特別支援学校の普通教育
1.概要
盲学校には、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。児童・生徒の学級定員数は、小学部・中学部が6名、高等部は8名と定められています。
幼児・児童・生徒の発達段階に応じ、視覚障害に配慮したきめ細かい指導がなされています。一人ひとり1年間の支援計画や指導計画をつくり、保護者の意向も踏まえつつ教育活動が行われています。障害程度の重複多様化という新たな課題にも適切に対応しています。
近年、インクルーシブ教育の流れを受け、盲学校によっては児童・生徒の居住地での学校と交流学習を進めているところもあります。
多くの盲学校では学校の公開日を設け、見学や相談などに対応しています。
2.カリキュラム
(1)自立活動
盲学校のカリキュラムには、通常の学校にはない「自立活動」という授業があります。
「自立活動」の目的は、視覚障害によるさまざまな困難を克服し社会の中で自立することです。点字、歩行、日常生活の指導のほか、ルーペや単眼鏡などの訓練も行います。
また、パソコンを使いメール・インターネットによるコミュニケーションや情報収集能力の向上を目指した指導が行われています。
(2)実験・実技科目
理科や図工(美術)、技術・家庭科などでは、見えなくても、または見えにくくても実験や実技が行えるようさまざまな工夫がなされています。
(3)体育
体育でも、通常のスポーツに少し変更を加え、補助をしながらさまざまなスポーツができるようになっています。
例えば、短距離走ではゴールで音源を発し、全盲の児童・生徒でもその音に向かって走れるようにしています。
水泳では、プールの壁に近づいた時に指示棒で頭をたたいて合図を出し、もうすぐ端だということを知らせるようにしています。
サウンドテーブルテニスのように、音のなるピンポン球をネットの下で転がして打ち合う視覚障害者用のスポーツも開発されています。
3.教科書
(1)点字教科書
小学部から高等部まで、点字を使用する児童・生徒には点字教科書が与えられます。
小学部・中学部の国語、算数(数学)、理科、社会、英語の5教科については、文部科学省著作の点字教科書が発行されており、おもに盲学校教員が編集に携わっています。北海道から沖縄まで同じ点字教科書が使われています。
義務教育のその他の科目や高等部の科目は、民間の点字出版所が発行しています。高等部の理科の点字教科書の一部など、全国でも履修する生徒数が少ない場合、需要と供給の関係で単価が上がり、1科目の点字教科書が数十万円に及ぶこともあります。
(2)拡大教科書など
弱視の児童・生徒の場合、通常の検定教科書か拡大教科書を選択します。
拡大教科書は、文部科学省著作の教科書ではなく、すべて民間の教科書出版社から発行されています。