音サインの現状
1.音サインとは
街中を歩いていると、いろいろな音が聞こえます。家電量販店の宣伝の音、パチンコ屋の音、商店街のアナウンスの声、道路や建設現場の工事音など様々です。
視覚障害者は、こうした音を「耳印(みみじるし)」として活用しています。交通バリアフリーの観点から、「音サイン」と呼ばれるサインオンが規定されていますが、前述した街中の音は音サインではありません。
音サインとは、視覚障害者向けに開発・設置された音をいいます。例としては、以下のようなものがあります。
- 駅の改札口などで聞こえるピンポーンと鳴る誘導チャイム
- 階段の入り口で鳴く小鳥の声
- 音響式信号機でカッコー・ピヨピヨと鳴く音
- ピッと鳴る家電製品の開始・制止音
2.音サインと音声案内の違い
音サインとよく誤解されるものに、「音声案内」があります。小鳥の鳴き声やピッという電子音等を音サインと呼ぶのに対し、人の声で伝える種類のものは、音声案内といって音サインとは区別しています。音声案内の例としては、以下のようなものがあります。
- トイレのボタンの位置などを説明する録音した肉声
- 駅ホームの車両進入を知らせる注意喚起の録音したアナウンス、
3.音サインの問題点
音響式信号機に代表される音サインの問題としては、以下のようなものがあります。
(1)居住環境との共生
音サインは一定の音量が必要な為、しばしば付近の住民から騒音に対する苦情が寄せられることがあります。居住環境との共生の在り方を考えた機器の開発・運用を進めていくことが必要です。
(2)開発・製造のコストの問題
音サインを開発するには、多くのコストがかかります。これは、多くの盲人用用具に共通する課題です。
4.音サインのJIS規格
音サインに関連する、JIS規格には次のようなものがあります。
- JIS T 0901:2011 高齢者・障害者配慮設計指針-移動支援のための電子的情報提供機器の情報提供方法
- JIS S 0013:2011 高齢者・障害者配慮設計指針-消費生活製品の報知音
- JIS S 0014:2013 高齢者・障害者配慮設計指針-消費生活用製品の報知音-妨害音及び聴覚の加齢変化を考慮した音圧レべル