自転車と静音車(ハイブリッド車・電気自動車)走行時の課題

1.研究調査報告書から

 交通問題を多角的に研究している(財)国際交通安全学会では、「視覚障害者の歩行者としての交通安全ニーズに関する調査研究」と題した2008年度(平成10年度)研究調査報告書を公表しています。
 報告書では、歩道で視覚障害者の安全な歩行環境が確保されていない実態や、交通安全を願う視覚障害者のニーズなどが浮き彫りとなっています。調査は、単独歩行(盲導犬歩行を含む)をしている全国の視覚障害者計802人(全盲343人、弱視459人)を対象に実施したものです。
 調査結果で全盲者を例にみると、障害理解と事故経験に関する調査から、自動車の路上駐車に対する不満が非常に高いことが分かります。特に、駐車している自動車に接触した経験のある人は82%にのぼり、歩行中にけが・事故にあったことがある人が35%もいました。ケースとしては、駐車中のトラックの荷台との接触や、横断中の事故が多いことも読み取れます。
 また、歩道上を走る自転車に91%の人が危険を感じ、置いてある自転車にぶつかって倒した経験がある人は83%もいました。

2.自転車の現状

 このように視覚障害者にとって危険の多い自転車は、道路交通法で「軽車両」と位置付けられており、車道を走るのが原則です。

 元々は、自転車は車道のみ走行可能だったところ、1970年(昭和45年)と1978年(昭和53年)の改正で、歩道走行を例外的に容認されています。
 その後、原則と例外が逆転していた実態の解消のため、警察庁は2011年(平成23年)10月25日、幅3メートル未満の歩道で自転車の走行を原則禁止することを柱とする自転車交通総合対策をまとめ、全国の警察本部に通達しました。

 日盲連でも、2011年(平成23年)に会員らを対象に視覚障害者が自転車と接触した事故や危険と感じられていることに関するアンケート調査を実施しました。有効回答は、354人分(男性236人、女性118人)でした。
 それによると、1年で2人に1人の視覚障害者が歩道などで自転車とぶつかっており、走行中の自転車と20回以上ぶつかった人も4%いた事実が明らかになりました。また、自転車とぶつかったために白杖が折れたり、曲がってしまったりした経験のある人は34%いたことも判明しました。
 本連合の交通対策への希望としては、誘導ブロック・点状ブロックの周知、及び認識の向上があります。

3.自動車の現状

 自動車に関する問題としては、ハイブリッド車の静音性があります。
 昨今、ガソリン消費量が少なく、環境にも優しいとされるハイブリッド車や電気自動車が増えてきましたが、ハイブリッド車が低速走行する際、モーターで動くことから、小さな音しか出しません。これは、音を頼りに車の接近を判断する視覚障害者にとって大きな問題でした。

 そこで、日盲連で2009年(平成21年)7月に、会員に向けてハイブリッド車に関する緊急アンケートを実施したところ、52人の回答者のうち75%の人が、恐怖を感じる、という結果が明らかとなりました。

 国土交通省はこれらの動きを受け、2011年(平成23年)7月に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」を設置し、翌年1月には「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン(※1)」を定め、自動車メーカー等関係者に周知しました。
 これにより、現在では、発進から約時速25kmの速度域と後退時、車両接近を知らせる為の音を出す装置(車両接近通報装置)が販売されています。

※1 「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」の詳細については、下記のサイトに掲載されています。
国土交通省(http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000049.html