音声解説放送の充実を
テレビはラジオと並び、障害者にとっても大切な情報源です。視覚障害者にとっての音声解説放送や聴覚障害者にとっての字幕は視聴覚障害者がテレビから正確に情報を得るためには欠かせないものです。ここではテレビの現在の音声解説放送に関する現状と問題点について解説します。
1.音声解説放送に関する動き
2013年(平成25年)にまとめられた第三次障害者基本計画には、「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)に基づく放送事業者への制作費助成,「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」に基づく取組等の実施・強化により,字幕放送(CM番組を含む),解説放送,手話放送等の普及を通じた障害者の円滑な放送の利用を図る。」とあります。
また同計画には「聴覚障害者及び視覚障害者が映画を楽しむことができるよう,関係団体等の協力の下,日本語字幕の付与や音声ガイドの制作等のバリアフリー映画の普及に向けた取組を推進する。」とも記されています。
この計画に基づき、現在徐々に音声解説が増えていますが、未だ不十分な点もいくつかあります。
2.音声解説放送への要望
(1)緊急ニュース速報の音声化
視覚障害者にとって、最も切実な要望は緊急ニュース速報の音声化です。
ニュース速報は、緊急地震予報をはじめ、気象に関する警報など災害や生命に関わる重要な情報もあります。
しかしそれらのニュース速報は、視覚障害者にとってはテレビからニュース速報のチャイム音が流れるだけで、ニュース速報が配信されているという事実は分かっても、内容が分からないため、不安だけを掻き立てることになります。
現在は合成音声技術も進んでいるので、ニュース速報を字幕で表示するだけでなく、合成音声でも読み上げられるようなシステム開発が期待されます。
(2)音声による説明の徹底
アナウンサーが時々気象情報などを伝える際、「ご覧の通りです」と言って内容を音声で伝えないことがあります。表や図が表示されていても、視覚障害者には読み取りが困難な為、音声での説明が必要です。
時間の制限もあるため難しいところですが、可能な限り要点だけでも伝えることが望まれます。
(3)外国語のインタビュー等の音声化
視覚障害者がニュースなどを見ている時に困ることの一つは、外国人のインタビューがそのまま外国語で流されることです。字幕では日本語訳が画面に出ているのですが、字幕が読めない視覚障害者にとっては情報が得られません。
日本語の通訳者の声を流すか、字幕を読み上げるなどの方法で、視覚障害者でも外国人のインタビューを理解できるようになることが望まれます。
ドラマやバラエティなどのその他の番組については、NHKでも民法でも、徐々に音声解説放送が増えてきています。
これからもより多くの番組に音声解説放送がつき、視覚障害者もテレビが更に楽しめるようになることが望まれます。