障害者の防災について考えるシンポジウム開催
公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会主催によるシンポジウム「障害インクルーシブな防災について考える~誰もとりのこされない防災への実践~」が12月20日に開催されました。
会場となった戸山サンライズ(東京・新宿)には、障害当事者、災害ボランティア、内閣府防災担当、地方自治体職員、報道関係、民間企業等を含む約130名が参集しました。
今回は、熊本学園大学の東俊裕教授による「障害インクルーシブな防災とは?」と別府市共創戦略室防災危機管理課の村野淳子専門員による「障害インクルーシブな防災の実践に向けて~別府市における“誰ひとり取り残さない防災”」の2つの講演が行われました。両氏は、日頃から障害当事者が自治体や地域の人とのつながりを持つこと、その中で障害特性を理解していただくこと、その上で、必要な支援を受けられる体制を作ることが重要であると訴えました。
また、避難行動要支援者名簿の作成は自治体で進んでいるものの、個別支援計画の策定が進んでいないことは問題であり、自治体に積極的な取り組みを求めました。講演後、パネルディスカッションが行われ、日本盲人会連合からは、及川清隆副会長がパネリストとして出席しました。
及川副会長は始めに、東日本大震災で亡くなった視覚障害者計119名の冥福を祈り、続いて震災後に「東日本大震災視覚障害者復興支援プロジェクト」を立ち上げたこと、支援活動を行ったこと、自治体に要望書を提出したことなどを報告しました。また、東日本大震災の被害を風化させないために発行した情報誌「語り継ぐ未来への友歩動」や被災者の心のケアを目的に実施した相談フリーダイヤルの取り組み、被災者本人が語り部となって講演する「語り部活動」を紹介しました。
今後の課題として、自治体が障害者の防災・災害時の安全確保にもっと積極的に関わる必要があるとし、「災害対策課」の設置、避難所の設置、平時からシュミレーションを行うなど運営管理の徹底を訴えました。他のパネリストからは、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨で被災した経験から災害時に必要な支援や行政に対する意見・要望が述べられました。