視覚障害者の早期相談支援のためのリンクワーカー育成に係るガイドライン作成事業 報告書
眼科での医学的治療に限界があり、医療機関において視覚障害の可能性の告知を受けた人々の多くは精神的に大きく落胆してしまい、引きこもりや精神疾患を発症するケースが少なくありません。また、最悪のケースでは、自殺に追い込まれることもあります。こうした事態を回避する上で、できるだけ早期に、患者の気持ちに寄り添いながら適切なタイミングで情報提供を行うとともに支援機関への橋渡しをする専門家が有効であると考えられます。
英国においては、医療機関を拠点に患者とその家族らに対して、早期から気持ちに寄り添った支援やすぐに活用できる支援を行うとともに、福祉・教育・就労等の社会資源へ橋渡しを担う専門家であるECLO(Eye Clinic Liaison Officer)のシステムが確立されています。また、ECLOの養成や活動に際し、視覚障害当事者団体である英国王立盲人協会(RNIB)が大きな役割を果たしていることも特徴です。
このECLOのシステムを学び、日本に合った形で早期の支援体制を構築するため、日視連は2022年より全国生活協同組合連合会、埼玉県民共済生活協同組合及び大阪府民共済生活協同組合の助成を受け、調査を実施しました(令和4年度調査報告書は、こちら)。
本調査では令和4年度調査を踏まえながら、さらに英国のECLOシステムの理解を深めるため現地視察を行うとともに、眼科医療の段階から早期に専門性の高い相談と支援が行われるよう医療と福祉をつなぐ視覚障害リンクワーカーの育成に関するポイントや留意事項についてまとめた手引き(ガイドライン)を作成しました。
このほど、本事業の調査結果をとりまとめた報告書が完成しましたので、公開をいたします。ご活用の程、よろしくお願いいたします。
なお、本事業は全国生活協同組合連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会、大阪府民共済生活協同組合から助成をいただき実施いたしました。
あらためて、調査にご協力をいただきました皆様に御礼申し上げます。