『大分・熊本は今』日盲連が被災地を訪問(2)
【19日】竹下義樹会長と村上芳継会長、熊本の地での再会を喜ぶ
12月19日、日本盲人会連合の竹下義樹会長・及川清隆副会長・藤井貢組織部長は、熊本県視覚障がい者福祉協会を訪問しました。当日は協会側から村上芳継会長・茂村広事務局長、篠原靜雄点字図書館長が、さらに新城育子前会長、そして被災した当事者20名が出席、歓迎の意を表し熊本の地での再会を喜びました。
熊本地震における熊本県の被災状況~内閣府・熊本県ホームページから一部抜粋~
【写真の説明】熊本県視覚障がい者福祉協会が入る(福)熊本県福祉事業団の建物
内閣府ホームページから
(1)人的被害
死亡:161 重傷:1,068 軽傷:1,552
(2)建物被害
住宅被害
全壊:8,360 半壊:32,261 一部破損:138,224
非住家被害
公共建物:325 その他:4,262
火災:15
熊本県ホームページから
県内指定文化財の被災状況
国指定:301 被災数:96
県指定:384 被災数:54
合計 指定数:685 被災数:150
日盲連・日盲委連名の義援金を贈呈
冒頭、今回の震災における犠牲者に黙祷が捧げられ、竹下・村上両会長挨拶の後、日本盲人会連合・社会福祉法人日本盲人福祉員会(※以下、日盲委)連名による義援金が竹下会長から村上会長に手渡されました。
【写真の説明】日盲連・日盲委連名の義援金が、竹下会長(右)から村上会長(左)に手渡されました。
日本盲人会連合では今年の4月末よりホームページなどを通じ義援金を募り、皆様から総額として1000万円を上回るご厚意が寄せられました。
日盲連から熊本への義援金の贈呈は、4月と9月、そして今回の12月をあわせて計3回となります(※大分へは4月と7月の計2回)。
語られる震災の記憶、そして体験を教訓として
懇談の席における被災者の声は多岐にわたり、発災時の混乱や恐怖、その後の生活がいかに不便かつ困難なものであったか、その体験談は非常に生々しく痛ましいものばかりでした。
新城氏からは避難所におけるリーダーの重要性について言及があり、震災地支援の経験者が中心となり規律を正すことで避難所の雰囲気が変わることを、自身の体験を例に詳しく語りました。
及川副会長は震災の記憶を共有することの重要性を訴え、東北盲人会連合が中心となって編集している情報誌「語り継ぐ未来への友歩動(ゆうほどう)=災害からのメッセージ=」などへの体験談の寄稿を呼びかけました。
竹下会長・及川副会長・藤井組織部長が仮設住宅を訪問
協会を後にした竹下会長・及川清隆副会長・藤井組織部長は茂村事務局長とともに、仮設住宅を視察するために益城町福富に向かいました。
移動時のタクシーの車窓からは、ブルーシートで屋根を覆われた住宅が多数見られました。また、応急処置として部分的に補修された道路には起伏が生じており、移動時には車体が何度も大きく揺れました。半年以上が経過した今もなお、進まない復興と、そして恐ろしい震災の爪痕をあらためて感じ取ることができました。
11月に新築されたという仮設住宅はまだ木材の香りを放っており、前日に敷設されたという階段前の警告ブロックは日差しを受けて光沢を帯びていました。
障害者を対象とするこの仮設住宅は全部で6棟あり、現在4世帯がこの住宅で生活を営んでいます。藤井組織部長は対象を限定することに対し、孤立化の原因に繋がる可能性があるとその危うさを指摘しました。
【写真の説明】N氏(※仮称)の部屋で、励ましの言葉をかける竹下会長。
居住する視覚障害者のN氏(※仮称)は現時点ではそこまでの不便はないと答えたものの、災害救助法により供与期間が定められていることを憂慮し、「退去を命じられ、新たな住宅で構造を覚え直すことが不安だ」とその胸にある不安を吐露しました。