愛盲時報 第194号(テキスト形式・全文)

2002年11月15日

 愛盲時報 第194号(平成14年11月15日発行)

1.障害者の権利実現へ「大阪宣言」 大阪フォーラム
 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念大阪フォーラム(同フォ
ーラム組織委員会他主催)が10月21日~23日、「障害者の権利
実現へのパートナーシップ」をテーマに大阪市北区中之島の大阪国際
会議場で開かれ、55の国と地域から約2400人の障害者や関係者
が参加し、これまでの「アジア太平洋障害者の十年」を総括すると共
に、2003年から始まる「新アジア太平洋障害者の十年」へ向けて
の新たな目標について話し合った。
 フォーラムでは、大阪府堺市と大阪市の4会場で①第12回リハビ
リテーション・インターナショナル(RI)アジア太平洋地域会議、
②「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン(RNN)大阪会
議、③第25回総合リハビリテーション研究大会、④国際職業リハビ
リテーション研究大会、の4つの会議が同時開催された。
 21日に開かれた常陸宮殿下をお迎えしての合同開会式には、日本
盲人会連合から笹川吉彦会長他が出席。また、世界盲人連合(WBU)
のキキ・ノードストローム会長が15日のDPI札幌大会、19日に
大阪で開催されたブラインドサミット会議に続いて参加した。主催者
を代表して最終年記念フォーラム組織委員会委員長の八代英太衆議院
議員が「今回のフォーラムは、この10年間にアジア太平洋地域各国
で蓄積された経験や実績、研究等を総括、共有し、新しくスタートす
る『アジア太平洋障害者の10年』で障害者の完全参加と平等を達成
するための将来像を描く重要な会議。国連での障害者権利条約批准に
向け力をあわせよう」と挨拶した。
 RNN大阪会議では、RNNを発展させた新たなアジア太平洋地域
の障害者の国際ネットワークとして「アジア太平洋障害フォーラム」
(APFD)の設立を決議、障害者の権利実現に向け、各国の障害者
団体や国際組織の連携強化を図る。
 最終日の23日には「障害者の権利実現へのパートナーシップに関
する大阪宣言」が全会一致で採択された。同宣言は、25日から滋賀
県大津市で開かれたESCAPハイレベル政府間会合でアピールされ
た。概要は次の通り。
 (1)障害者権利条約の早期実現への取り組みと、各国政府への取
り組み要請、(2)新アジア太平洋障害者の十年の推進への取り組み
と各国政府などに財政的措置、障害の原因除去、障害者の社会参加支
援のための計画策定などを要請、(3)RNNを発展させた新たな組
織として設立予定のアジア太平洋障害者フォーラム(APDF)への
参加働きかけと、第2のアジア太平洋障害者の十年キャンペーン会議
実施への財政的支援の確保、(4)「アジア太平洋障害開発センター」
(バンコク)への積極的協力・支援と各国政府などへの支援要請、
(5)アフリカ障害者の十年(2000年~2009年)、アラブ障
害者の十年(2003年~2012年)、ヨーロッパ障害者年(20
03年)との経験交流と各国政府などへの支援要請。

2.権利条約制定求め「札幌宣言」 第6回DPI世界会議 
 「すべての人々が等しく価値ある存在であり、すべての人々が尊重
される社会の実現」を目指す、第6回DPI(障害者インターナショ
ナル)世界会議札幌大会が、DPI世界評議会他の主催で、10月1
5日~18日の4日間、札幌市内の北海道立総合体育館「きたえーる」
をメーン会場に開かれ、109の国と地域から約3千人の障害者や福
祉関係者が参加して、障害者の権利条約に関する問題を中心に熱心な
討議が行われた。
 DPIは1981年に約50の国と地域の障害者が結成したNGO
組織で、4年に1度、世界会議を開催している。15日の開会式には
日盲連から齊藤績副会長が出席。海外からの視覚障害者代表として、
スウェーデンのキキ・ノードストロームWBU(世界盲人連合)会長
等28名が参加した。
 開会挨拶で、DPI世界議長のジョシュア・マリンガ氏(ジンバブ
エ)は、今回のテーマである「すべての障壁を取り除き、違いと権利
を祝おう」について触れ、物理的バリアに加え、偏見、排除、無視な
どの心理的なバリアからの開放が遅れていることを強く訴えるととも
に、「障害者の権利条約」制定に向けての結束を呼び掛けた。
 また、記念フォーラム組織委員会委員長の八代英太衆議院議員が
「1981年にシンガポールでDPIが組織されてから21年。今回
の札幌大会では、原点にもどって時間の許す限り、協力、議論し、有
意義な大会にして欲しい」と開会宣言を行なった。
 このほか15日は、基調講演やシンポジウムが開かれ、16、17
日の分科会、自由討議をはさんで、18日に総会を開き、国連に障害
者差別を禁じる権利条約制定などを求めた「札幌宣言」を満場一致で
採択、4日間の幕を閉じた。採択された札幌宣言は10月25日から
滋賀県大津市で開催されたESCAP「アジア太平洋障害者の十年」
最終年ハイレベル政府間会合でアピールされた。
 役員の改選も行われ、アジア・太平洋ブロック議長のビーナス・イ
ラガンさん(フィリピン)が女性として初めて世界議長に就任した。
また、19日には札幌市内で世界評議会が開かれ、次回(2006年)
の世界会議を南アフリカで開催することを決めた。DPI札幌宣言の
骨子は次の通り。
 (1)人権を擁護、尊重し拘束力のある国際条約を要求する。この
条約は人権に関するものとして扱われ、経済、社会的分野として扱わ
れるべきでない(2)法律作成にあたりあらゆる段階でわれわれの意
見を反映させる(3)すべての国がこの条約の制定と採択を支持する、
すべての障害者及び障害団体が条約と利益について、一般市民と政治
家の教育を奨励する(4)すべての国が差別禁止法を制定する、障害
者への機会均等を保障する、ことなどを求める。

3.「びわこフレームワーク」新十年へ目標 大津ハイレベル政府間
会合
 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の「アジア太平洋
障害者の十年」最終年ハイレベル政府間会合が10月25日~28日、
滋賀県大津市の大津プリンスホテルで31の国と地域から政府、国連、
国際NGO関係者ら約400人が参加して開かれた。今年が最終年と
なる「アジア太平洋障害者の十年」の行動課題の達成状況を評価し、
来年からスタートする「新アジア太平洋障害者の十年」(2003年
~2012)の達成目標となる新たな枠組みについて話し合った。
 日本からは日本盲人会連合の笹川吉彦会長等、障害者団体幹部及び
関係者約100名がオブザーバーとして参加した。
 最終日の28日には、これまでの10年で十分な進展が得られなか
った(1)障害者の自助団体(2)女性障害者(3)早期対処(4)
職業訓練と雇用(5)施設、交通機関へのアクセス(6)情報と通信
へのアクセス(7)貧困の削減、の7分野を優先的な行動領域として、
今後10年間の具体的な目標と行動計画を定めた「びわこミレニアム
フレームワーク」を採択し閉幕した。
 具体的な目標としては、すべての障害者が2015年までに初等教
育を受けられるようにすることや、2005年までに健常者と同様に
インターネットにアクセスできる環境を整える、各国政府が女性障害
者の権利を守る施策を確立する、などが盛り込まれた。

4.新たな十年に向け挑戦 アジア太平洋ブラインドサミット
 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム関連会議のひ
とつとして、「新たな障害者の十年に向けた視覚障害者の挑戦」をテ
ーマに「アジア太平洋ブラインドサミット会議」(日本盲人福祉委員
会主催)が10月19、20の両日、大阪市中之島の大阪府立国際会
議場で開催された。
 日本を含む22の国と地域から国際的に活躍している視覚障害者や
関係団体代表等、約300人が参加。日本盲人会連合からは同会議の
実行委員長でもある笹川吉彦会長の他、田代浩司副会長等20名が出
席した。
 19日は代表者会議とレセプションなどが開かれ、20日の開会式
では笹川実行委員長が「アジア太平洋地域の視覚障害者の生活、就業、
人権向上をめざし新しい障害者の十年に挑戦して欲しい」と挨拶。世
界盲人連合(WBU)のキキ・ノードストローム会長(スウェーデン)
、同アジア太平洋地域協議会(WBU―AP)のクア・チェン・ホッ
ク会長(シンガポール)が来賓として祝辞を述べた。
 また、アジアを中心に活躍、社会貢献している視覚障害者に送られ
る「岩橋武夫賞」が、岩橋明子日本ライトハウス会長から、WBU―
AP事務局長アイバン・ホ・タック・チョイ氏(マレーシア)に贈ら
れた。
 同日午前中の基調講演では、弁護士で今回のサミット副実行委員長
の竹下義樹氏が「わが国及びアジア諸国における差別禁止法の必要性」
について講演。
 午後からは、視覚障害者に対する差別禁止、人権擁護をテーマとす
る第1分科会と、職業と人材育成について検討する第2分科会に分か
れて各国代表や専門家による討議がおこなわれ、全体会議で決議文を
審議、承認を得た。
 決議文は、25日から滋賀県大津市で開催されたESCAPハイレ
ベル政府間会合でアピールされた。概要は次の通り。
 「我々は視覚障害者として、また、視覚を持つ同僚とともに我々の
真の意味のニーズを理解し、びわこミレニアムフレームの採択を指示
する。そして、我々は、唯一の国際的な視覚障害者団体で各国の組織
が参加し、特に視覚障害者の自助活動をサポートするWBUを通し、
我々はこの枠組みを実施する視覚障害者の権利、便益が真の意味で理
解され、そして尊重されるために活動を進めていきたい」。

5.WBU会長来日 次回総会は南アで
 日本盲人会連合の笹川吉彦会長は10月13日、「アジア太平洋障
害者の十年」最終年記念フォーラム関連の一連の会議に出席するため
来日したWBU(世界盲人連合)のキキ・ノードストローム会長(ス
ウェーデン)を宿泊先である都内のホテルに訪問、東アジア地区の活
動状況等について、意見交換を行なった。その中でノードストローム
会長は、2年後の2004年に開催する第6回WBU総会を南アフリ
カのケープタウンで行うことを明らかにした。

6.第8回フェスピック釜山で熱戦 日本選手も健闘
 アジア・オセアニア地域の障害者スポーツの祭典「第8回釜山フェ
スピック競技大会(極東・南太平洋障害者スポーツ大会)」が10月
26日から11月1日まで、大韓民国の釜山で開かれた。この大会は、
パラリンピックの中間年の約4年ごとに開催され、今大会には40の
国と地域から2400人以上の選手役員が参加、釜山アジアード競技
場をメーン会場に17種目で熱戦を繰り広げた。
 今回、日本からは140人の選手が19競技に出場、公開競技を含
め金45、銀36、銅29、計110個のメダルを獲得した。次回大
会は2006年にマレーシアのクアラルンプールで開かれる。
 視覚障害関係では、4種目に24人が出場。成績は次の通り。
 【ゴールボール】男子(谷尾謙治、大矢靖之、越川真伸、中村義弘)
=銅。女子(浅井三重子、熊川恵利子、直井由香、直井由紀)=銀。
 【柔道】広瀬誠・60kg級=銅、藤本聰・66kg級=金、稲葉
統也・73kg級=銀、大野錦治・81kg級=銅、加藤裕司・90
kg級=銀、天川敬史・100kg級=銀、宮内栄司・100kg超
級=金。
 【水泳】酒井喜和・200m個人メドレー=金/200m背泳ぎ=
金/200m自由形=金/50m自由形=銀。杉内周作・100m平
泳ぎ=金/100m自由形=金。
 【陸上】内田勝久・3段跳び=銀/走幅跳び=銅。三雲明美・10
0m=銀/200m=銅。柿谷愛子・やり投げ=金/砲丸投げ=銀。
大勢待茂男・やり投げ=銅。保科清・盲人マラソン=銀。

7.第2回全国障害者スポーツ大会 「よさこいピック高知」
 「見つけて夢!活かして力!」をスローガンに、第2回全国障害者
スポーツ大会「よさこいピック高知」が11月9日から11日までの
3日間、高知県で開催された。9日は高知県春野町の県立春野総合運
動公園陸上競技場に皇太子ご夫妻を迎え、開会式が行われた。全国か
ら参加した選手、役員が手にした小旗を振って笑顔で行進、皇太子さ
まが「日ごろの練習で培った力を十分に発揮し活躍されることを期待
します」と挨拶され、橋本大二郎高知県知事が開会を宣言した。
 大会には、全国から選手約3200人が参加。県内10会場で、陸
上やサッカー、バスケットボールなど13競技で熱戦を繰り広げた。
来年の第3回大会は11月に静岡県で開催される。

グランドソフト徳島2連覇
 第2回全国障害者スポーツ大会最終日の11月11日、高知市の高
須浄化センターグラウンドでグランドソフトボールの決勝戦が行われ、
徳島県が三重県を1対0で破り、昨年に続いて2度目の優勝を飾った。
3位決定戦は大阪府が京都府に8対0で勝った。
 今大会の対戦成績は次の通り(カッコ内は得点)。
 【1回戦】埼玉県(0)対大阪府(2)、高知県(0)対三重県
(3)、京都府(5)対岩手県(4)、徳島県(2)対鹿児島県(2)
(抽選で徳島県の勝ち)。【準決勝】大阪府(3)対三重県(5)、
京都府(1)対徳島県(8)。【3位決定戦】大阪府(8)対京都府
(0)。【決勝】三重県(0)対徳島県(1)。

8.第3回グランドソフト選手権 愛知が連続優勝
 第3回全日本グランドソフトボール選手権大会(日盲連、同スポー
ツ連盟協議会、同全日本グランドソフトボール連盟主催)が、10月
13日~14日の2日間、愛知県の牧野ヶ池緑地公園をメーン会場に
開かれ、全国各ブロックから予選を勝ち抜いた代表12チームが熱戦
を繰り広げた。13日は3チームづつ4ブロックに分かれてのリーグ
戦で翌日のトーナメント戦の組み合わせが決定。14日の決勝戦では
前年優勝の愛知県が東北ブロックの岩手県を4対2で破り連続優勝。
3位は近畿ブロックの大阪府と関東ブロックの埼玉県。

9.第9回フロアバレー 優勝は東京と群馬
 第9回厚生労働大臣杯全国フロアバレーボール青森大会(日盲連、
日本フロアバレーボール連盟、青森県視力障害者福祉連合会共催)が
9月22、23の両日、青森市の青森県民体育館をメーン会場に開か
れ、14都県市から男子10チーム(選手112名)、女子7チーム
(同80名)が参加し熱戦を繰り広げた。
 決勝戦で、男子は東京都のバトラーが名古屋市のキングシャッチー
をセットカウント2対0で破り、昨年に続き4度目の優勝。3位は仙
台市の仙台ずんだクラブ。女子は群馬県のオリーブ群馬が岡山県のフ
レッシュ岡山をセットカウント2対1で破り、同じく4度目の優勝を
飾った。3位は大阪市のモッピー。
 優勝チームには、それぞれ厚生労働大臣杯と日盲連会長杯が贈られ
た。

10.第17回全日本視覚障害者柔道大会 団体優勝は東京都
 第17回全日本視覚障害者柔道大会(日本視覚障害者柔道連盟主催、
全日本柔道連盟、日盲連など共催)が11月3日、東京・春日の講道
館で開かれ、44選手が参加して熱戦を繰り広げた。都道府県対抗戦
では東京都が14年ぶり2回目の優勝を飾った。2位は徳島県、3位
は熊本県。各個人種目の入賞者は次の通り(優勝、準優勝、第3位の
順。3位は2人の場合あり)。
 【60kg級学生・一般合同】広瀬誠、田村友一、澤田優。【66
kg級学生】平井孝明、白木勝、田米真暢。【同一般】安藤大輔、武
内勝昭、川野健一。【73kg級学生】木村崇之、日高四郎、橋口新
司。【同一般】藤本聰、サイモン・ジャクソン、日高道広、石坂啓。
【81kg級学生・一般合同】大野錦治、水野裕章、井上栄一、宮原
賢一。【90kg級学生・一般合同】加藤裕司、高垣治、林崎隆。
【90kg超級学生・一般合同】天川敬史、宮内栄司(同率1位)、
松本義和(3位)。【シニアの部】牛窪多喜男、伊藤友治、関民夫、
福山洋二。

11.柔道世界選手権 日本男子金メダル
 IBSA(国際盲人スポーツ協会)柔道世界選手権が9月5日~9
日、イタリアのローマで開かれ、26か国から103人(男子69人、
女子34人)の選手が出場、日本からは6人の選手が参加した。
 7日の個人戦では、男子60kg級で広瀬誠が銅、同66kg級で
藤本聰が金、同100kg超級で宮内栄司が銀メダル。また、8日の
団体戦(男子13か国、女子5か国が出場)決勝で、日本男子は強豪
フランスを破り、金メダルを獲得した。

12.各地で福祉大会開く

 ●第28回福岡県盲人福祉大会
 福岡県盲人協会(田代浩司会長)主催の第28回福岡県盲人福祉大
会が9月22日、「見直そう 考えよう そして築こう 21世紀の
盲人福祉」をテーマに、福岡県春日市のクローバープラザで視覚障害
者、ボランティアなど約400人が参加して開催された。今大会は同
協会の法人認可50周年の記念大会も兼ねている。
 大会午前中の式典では永年功労者の表彰などが行われた。午後は生
活、バリアフリー、職業の3つの分科会と、それに続く全体会議が開
かれ、高速道路料金の割引、支援費制度、盲人用郵便、駅の構内放送、
IT周辺機器への助成、職域の拡大と三療無免許対策などの提出議案
を審議した。
 大会スローガンは(1)あん摩師等法第19条にはり、きゅうを包
含(2)支援費制度におけるガイドヘルプ、ホームヘルプ事業後退の
阻止(3)郵便法改正による第3種、第4種郵便の現状維持(4)I
T機器における視覚障害者用ソフトの開発。

 ●第50回千葉県視覚障害者福祉大会記念大会
 千葉県視覚障害者福祉協会(室岡正司会長)の第50回千葉県視覚
障害者福祉大会記念大会が10月4日、370人余りが参加して千葉
市稲毛区の千葉県青少年女性会館で開かれた。大会式典では功労のあ
った方々の表彰などに続き、大会宣言と11項目の決議を採択した後、
千葉県社会福祉協議会の鵜沢一郎事務局長による「こんな制度(サー
ビス)をご存じですか」と題した講演が行われた。大会決議で採択さ
れた要望は次の通り。
 (1)千葉県視覚障害者福祉協会に対し、安定した事務所の取得と
専従事務員の確保のための公的援助(2)支援費制度を障害別に配慮
されたサービスに(3)路線バスの各停留所における外部スピーカー
での行き先案内(4)点字誘導ブロック上に自転車や店の商品等障害
物を置かないよう指導徹底化(5)点字誘導ブロックの敷設並びに音
声誘導機器の設置拡大(6)福祉タクシー券の広域利用(7)心のバ
リアを取り除くため県内全域で、障害者に対し「一声運動」の展開
(8)重度身体障害者に対する医療費助成申請手続きの簡素化(9)
スピーチオ(墨字文書読み上げ器)による公文書の発行(10)カラ
ーセンサー購入の際の減免措置(11)鍼灸マッサージ業が鍼灸学校
の新増設ラッシュを初め、カイロ整体等無資格業者に脅かされている
現状に対し規制の強化。

 ●第34回東京都盲人福祉大会
 第34回東京都盲人福祉大会(主催・東京都盲人福祉協会、北区視
覚障害者福祉協会)が10月16日、東京・北区の北とぴあさくらホ
ールで北区視力障害者福祉協会創立40周年記念を兼ねて開かれ、約
850人が参加した。大会式典では笹川吉彦都盲協会長(日盲連会長)
、北本正雄北区長の挨拶に続き、功労者の表彰などが行われた。議事
では、来年4月にスタートする支援費制度の問題などを取り上げ、6
項目の決議を採択した。決議された要望事項は次の通り。
 (1)支援費制度の実施に当たっては、福祉を後退させることなく、
地域格差が生ずることのないようにする(2)あん摩師等法第19条
を早期に改正し、乱立するはり師・きゅう師養成施設の新増設を規制
し、無資格類似行為者を徹底取締り(3)福祉のまちづくりにあたっ
ては、安全確保を最優先し歩車道段差の2センチ確保と音声誘導シス
テムの導入、駅ホームに可動柵の整備等(4)情報バリア解消のため
視覚障害者を対象としたパソコン教室の開設を早期に実現(5)視覚
障害者を対象とした授産施設の設置(6)「心のバリア」を取り除き、
真の理解を深めるため、統合教育を推進し、あらゆる教育分野に障害
者問題を取り入れる。

 ●第10回千葉市視覚障害者福祉大会
 千葉市視覚障害者協会(岡田正平会長)の創立60周年記念並びに
第10回千葉市視覚障害者福祉大会が10月25日、千葉市中央区の
ホテルポートプラザ千葉で約120人が参加して開かれた。記念式典
では功労者の表彰などが行われた後、8項目の大会決議を採択。日本
点字図書館館長・岩上義則氏が「情報バリアフリーと21世紀の展望」
と題する記念講演を行った。採択された決議は次の通り。
 (1)有資格ヘルスキーパー雇用に対し視覚障害者を優先、また、
音声機器導入等により一般職への参入促進(2)弱視者歩行の円滑化
を図るため、階段段鼻の色付けに配慮し、誘導ブロックを識別しやす
く(3)音響式信号機の設置を利用者の生活圏まで拡充(4)支援費
制度発足にあたりガイドヘルパーサービスの時間延長や宿泊などの利
用者ニーズに配慮し、利用者負担額を現行制度以上に増やさない(5)
公共出版物の点字化の継続実施と、拡大文字や音声による情報提供の
促進(6)国の障害者施策が障害種別を越えて統合化されるが、本市
においては個々の障害者の立場を尊重した施策を推進(7)行政から
の郵便物に差出人の点字表示を促進し、書類用紙の色付けをなくす
(8)医療費控除の手続きを高齢者並みに簡素化。

 ●第3回神奈川県視覚障害者福祉大会
 神奈川県視覚障害者福祉協会(鈴木孝幸会長)の第3回神奈川県視
覚障害者福祉大会が11月3日、座間市の総合福祉センターで開かれ
た。午前中は開会式に続いて研修会が開かれ「支援費制度について」
をテーマに講演が行われた。午後の分科会で提出された主な議案は、
第1分科会(福祉・支援費制度)では補装具・日常生活用具支給を本
人所得のみで算定、解説放送の充実とニュース速報の音声化、パソコ
ン周辺機器の助成金増とIT講習会の開催、有料道路の割引制度の手
続き簡素化、支援費制度の情報提供など、第2分科会(交通バリアフ
リー)では駅ホームのアナウンスの充実と誘導ブロックの適切な設置
や券売機の点字表示、音声誘導システムの全国統一、歩道の誘導ブロ
ック整備と障害物撤去など、第3分科会(職業問題)では無資格業者
の取締り、あはき等法19条に鍼灸を加える、視覚障害あはき師の公
共機関・企業での優先採用など。

13.2002年版厚生労働白書
 坂口力厚生労働大臣は9月10日の閣議に「2002年版厚生労働
白書」を報告した。今回の白書のテーマは15~64歳を中心にした
「現役世代の生活像」。高齢化の進展で年金や医療などの社会保障負
担が膨らんでいるため、それを支える現役世代の所得水準や働き方な
どに焦点を当てた。
 この「2002年版厚生労働白書」の録音テープ版は日盲連録音製
作所で製作、11月下旬に配布される予定。