愛盲時報 第193号(テキスト形式・全文)

2002年9月10日

 愛盲時報 第193号(平成14年9月10日発行)

 1.平成15年度厚労省概算要求 障害者福祉関係に6870億円
 新障害者福祉施策推進へ
 厚生労働省は8月28日、平成15年度予算の概算要求をまとめた。
概算要求総額は今年度比で4.6%増の19兆5237億円となった。
 障害保健福祉関係では、4.1%増の6869億1600万円を要
求。平成14年度で終了する障害者プランに替わる新しい障害保健福
祉施策の推進を目指す。概算要求の概要は次の通り。
 1、支援費制度の円滑な施行
 (1)支援費制度の施行3281億9500万円→3292億80
00万円:(ア)ホームヘルプサービスなどの居宅生活支援の推進5
68億5200万円、(イ)更生施設、授産施設などの施設訓練等支
援の推進2724億2800万円
 (2)支援費制度施行に係る事務の円滑化等の支援9億3400万

 2、住まいや働く場ないし活動の場の確保
 (1)地域生活援助事業(グループホーム):(ア)知的障害者地
域生活援助事業55億1400万円→64億6500万円、(イ)精
神障害者地域生活援助事業14億3600万円→17億9900万円
 (2)福祉ホーム:(ア)身体障害者福祉ホーム1億100万円→
1億600万円、(イ)精神障害者福祉ホーム5億2400万円→9
億2700万円
 (3)授産施設:(ア)身体障害者通所授産施設52億1600万
円→51億1400万円、(イ)知的障害者授産施設(通所)352
億3300万円→358億200万円、(ウ)精神障害者通所授産施
設37億5300万円→46億7700万円
 (4)小規模通所授産施設11億5500万円→31億7400万

 (5)小規模作業所に対する助成(在宅重度障害者通所援護事業費
等)30億6400万円→27億5800万円
 3、在宅福祉対策の着実な推進
 (1)訪問介護(ホームヘルプサービス)事業(身体・知的・精神)
273億7800万円→341億7800万円
 (2)短期入所(ショートステイ)事業(身体・知的・精神)41
億8800万円→46億8000万円
 (3)日帰り介護(デイサービス)事業132億8800万円→1
35億8000万円:(ア)身体障害者日帰り介護(デイサービス)
事業81億8200万円→83億7500万円、(イ)在宅知的障害
者日帰り介護(デイサービス)事業19億2300万円→21億57
00万円、(ウ)障害児通園(デイサービス)事業31億8300万
円→30億4800万円
 (4)重症心身障害児(者)通園事業22億9100万円→26億
5000万円/巡回方式の導入《新》
 (5)訪問入浴サービス事業5億4600万円→7億900万円
 (6)知的障害者生活支援事業(生活支援ワーカー)3億3100
万円→3億9200万円
 4、障害者のサービス利用に係る相談支援体制の推進
 (1)相談支援体制の充実88億1300万円→107億7500
万円:(ア)市町村障害者生活支援事業20億7400万円→32億
2300万円、(イ)障害児(者)地域療育等支援事業35億350
0万円→39億400万円、(ウ)精神障害者地域生活支援センター
32億400万円→46億4800万円
 (2)障害者ケアマネジメント体制支援事業1億4900万円:
(ア)障害者ケアマネジメント推進協議会の設置《新》、(イ)障害
者ケアマネジメント従事者研修、スキルアップのための研修の追加
《新》
 (「5、重度障害児(者)に対するきめ細かい施策の推進」「6、
精神障害者保健福祉施策の推進」は省略)
 7、障害者の社会参加の推進
 (1)障害者社会参加総合推進事業(障害者生活訓練・コミュニケ
ーション支援等事業と「障害者の明るい暮らし」促進事業を統合・再
編)27億3400万円→29億7000万円
 (ア)基本事業:①実施か所数59県市、②1県市当たり事業費6
200万円、③事業内容の改善(視聴覚障害者の情報、コミュニケー
ション支援関係事業の充実)
 (イ)障害者の情報バリアフリーの推進:①障害者情報バリアフリ
ー化支援事業、②パソコンボランティア養成・派遣事業の拡充、③パ
ソコンリサイクル事業の拡充、④障害者ITサポートセンター運営事
業(パソコンボランティアの活動支援、障害者からの利用相談等を実
施/実施か所数20か所/1か所当たり事業費1000万円)《新》
 (ウ)身体障害者補助犬育成事業(身体障害者補助犬法の施行に伴
い、盲導犬に加え、介助犬及び聴導犬を育成/育成頭数350頭)
 (エ)盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業(30県市→40県
市)
 (2)市町村障害者社会参加促進事業(市町村障害者社会参加促進
事業にバリアフリーのまちづくり活動事業を統合)28億7100万
円→31億9000万円
 (ア)基本事業:①実施か所数510か所→580か所、②1か所
当たり事業費1500万円、③事業内容の改善/メニュー事業の追加
(本人活動支援事業、ピアカウンセリング事業、福祉車輌購入助成事
業等)
 (イ)バリアフリーのまちづくり活動事業
 8、保健福祉施策と雇用就業施策の一体的推進
 (1)障害者就業・生活支援センター事業の拡充〔一部再掲〕5億
4600万円→9億9600万円
 (2)施設外授産の活用による就職促進モデル事業8500万円→
4200万円
 (3)職場適応援助者(ジョブコーチ)による就業支援事業の拡充
(職業安定局で要求)
 9、その他の施策
 (1)高次脳機能障害支援モデル事業1億1200万円→1億60
0万円(国立身体障害者リハビリテーションセンター実施分3200
万円→2600万円/都道府県実施分8000万円→8000万円)
 (2)身体障害者適正判定等事業6600万円→8100万円(更
生相談所による障害程度区分決定事務に関する市町村職員研修の実施
等《新》)
 (3)手当等の給付1158億3700万円→1181億6200
万円:①特別児童扶養手当812億3100万円→840億5200
万円、②特別障害者手当等346億500万円→341億1100万

 ※①②ともに、物価スライドの特例措置に係る所要額は枠外で別途
要求。
 (4)厚生科学研究費〔厚生科学課に一括計上〕:①障害保健福祉
総合研究経費3億8300万円→4億3300万円、②感覚器障害研
究経費6億8000万円→6億8000万円、③こころの健康科学研
究経費21億4200万円→22億3900万円
 (5)補装具の給付等:①補装具の給付176億1000万円→1
86億9300万円、②日常生活用具給付等事業24億7900万円
→24億7900万円(視覚障害者用活字文書読上げ装置《新》/聴
覚障害者用情報受信装置は文字放送デコーダーと入れ換え)
 (6)更生医療・育成医療の給付:82億300万円→100億4
200万円
 (7)社会福祉施設整備費等〔社会福祉施設整備費・設備整備費に
一括計上〕:①国庫補助申請に係る事務負担軽減のための補助基準単
価及び補助金算定方法の簡素・合理化(事項要求)、②支援費制度移
行に伴う身体障害者更生施設等の補助基準面積の改善(事項要求)、
③障害児(者)地域療育等支援事業実施のための専用スペースに対す
る整備費補助の創設(事項要求)、④放課後児童クラブと障害児通園
事業を連携し実施する場合の交流スペースの整備(事項要求)
 (8)国立更生援護施設の整備・運営費103億5200万円→1
10億6600万円:①介助犬トレーナー育成研修事業等の実施(国
立身体障害者リハビリテーションセンター)900万円《新》、②高
次脳機能障害支援モデル事業〔再掲〕(国立身体障害者リハビリテー
ションセンター)3200万円→2600万円、③自閉症・発達障害
支援センター職員研修の実施等〔再掲〕(国立秩父学園)1400万
円→900万円

 2.障害者が指定事業者と契約の支援費制度スタート準備本格化
 厚生労働省は9月12日、障害者が自らサービスを選んで事業者と
契約する「支援費制度」が来年4月から始まるのを前に、事業者に支
払われるサービスの単価と、利用料についてそれぞれの基準額案を都
道府県担当課長会議で公表した。市町村での利用者の申請受付は10
月から始まる。
 ホームヘルプの単価(30分以上1時間未満)は身体介護4030
円、家事援助1530円。視覚障害者らの外出を介助するガイドヘル
プは、内容によって身体介護か家事援助の単価を適用する。施設サー
ビスは職員数などを基本にした単価から、利用者の障害程度に応じた
3段階の単価に変わり、施設によっては収入に増減が生じる。
 一方、利用者の負担額は所得に応じてゼロから全額負担まで18の
ランクに分けられており、また、事業ごとに細かく規定されている。
視覚障害者が最もよく利用するガイドヘルプやデイサービスを例にと
ると、所得ゼロから住民税非課税までは負担ゼロ。住民税均等割課税
の場合は、ガイドヘルプ30分50円、デイサービス1日100円。
所得税3万円以下課税の場合は、ガイドヘルプ30分150円、デイ
サービス1日300円となっている。
 ただ、ホームヘルプを含めた在宅サービスは月々の利用料の合計額
に上限を設け、負担が急増しないように配慮した。住民税均等割課税
の場合は月額1100円、所得税3万円以下課税の場合は月額220
0円となっている。所得については、本人の所得がゼロの場合、同居
している配偶者又は子の内、最高額納税者が対象となる。
 この基準額案は来年度政府予算が決定した段階で確定するが、各自
治体では厚生労働大臣の定めた額を下回らない範囲で最終決定するこ
とになっている。

 3.あはき法19条請願 参議で採択
 昨年秋の臨時国会に引き続き今通常国会に提出されていた、あん摩
師等法第19条にはり、きゅうを加え、養成施設の新・増設を規制す
る請願が、通常国会最終日の7月31日に開かれた参議院厚生労働委
員会で採択され、引き続き開かれた同本会議で採択された。
 日盲連では今回の請願に万全を期すため、加盟各団体から提出する
請願書には、法人の登記簿謄本を添付するなど背水の陣で臨んだ。
 一方、関係団体からも請願書が提出されたため請願書の数は前回を
上回り、参議院では125通、衆議院では113通に達した。
 また、自民党の党議拘束で八代英太衆議院議員(日盲連顧問)の手
元で預かりとなっていた33通も、7月23日に衆議院議長に提出さ
れ受理されたが、衆議院では保留となった。
 参議院では、異例とも言える超党派の視覚障害者の社会参加を推進
する参議院議員懇話会が結成され、採択に向けて積極的な取り組みが
なされたが、同懇話会会長の中島眞人議員(元山梨県立盲学校教諭)
と、事務局長の堀利和議員は「臨時国会に向け関係者と充分協議し、
議員立法として取り扱うようにしたい」と語っていた。

 4.点字郵便物等無料は附帯決議 郵政関連法成立
 郵政3事業の公社化と、郵政事業への民間参入を盛り込んだ郵政関
連法が7月24日の参院本会議で可決、成立、来年4月の「日本郵政
公社」の発足が確定した。
 なお、日盲連など障害者団体が求めてきた第3種、第4種郵便の存
続については法律での明文化はならなかったものの、衆院での附帯決
議と片山総務相の国会答弁に盛り込まれた。
 附帯決議では「総務省及び日本郵政公社は、郵便法第26条第2号
及び第3号の盲人用郵便物について、無料の取扱いとするとともに、
心身障害者のための政策的軽減料金の維持に特に配慮すべきこと」と
なっている。第2号は盲人用点字、第3号は盲人用録音物又は点字用
紙で、点字図書館等盲人福祉施設から差し出し、又は施設にあてて差
し出されるもの。
 また、片山総務相は7月4日の衆院総務委員会で、第3種、第4種
郵便物の政策割引制度で、盲人用の点字郵便物など現在無料で扱って
いる郵便物について「無料でなければ認可しない」との見解を明らか
にした。ただ、将来的に公社の経営悪化の可能性もあるため「公的助
成も1つの選択肢だと思う」とし、公社の自主的割引が困難な場合に
は補助金で制度を維持するとの考えを示した。

 5.改正ハートビル法可決・成立 バリアフリー化推進
 多数の人が利用するデパート、ホテルなどにバリアフリー化を義務
付ける改正高齢者・身体障害者円滑利用建築物法(ハートビル法)が、
7月5日の衆院本会議で可決、成立した。義務化の対象となるのは延
べ床面積が2000平方メートル以上の建築物。これに併せ、一定の
基準を満たす建物に対する優遇措置を設ける。来夏までに施行される。
具体的には、デパートなどに、一定の幅以上の廊下の確保、車いす用
のトイレや利用しやすいエレベーターの設置を義務付ける。
 今回の改正で初めて義務規定が設けられ、違反した場合には自治体
の改善命令が出され、それに従わなければ100万円以下の罰金が科
される。

 6.新しい障害者計画懇談会 分野別施策の素案
 平成15年4月からスタートする新しい障害者基本計画に関する懇
談会の第4回が9月4日、東京・霞が関の厚生労働省で開かれ、日盲
連から笹川吉彦会長が出席した。今回は分野別施策の基本的方向骨子
の素案が示され、各委員から意見を聞いた。素案の主な内容は次の通
り。
 (1)啓発・広報:啓発活動や福祉教育推進、公共サービス従事者
への障害者理解促進
 (2)生活支援:利用者本位の生活支援体制整備、在宅サービス充
実、施設サービス再構築、スポーツや文化・芸術活動振興、福祉用具
の研究開発や普及促進と利用支援、サービスの質の向上、専門職種の
養成・確保
 (3)生活環境:住宅・建築物及び公共交通機関・歩行空間等のバ
リアフリー化と防災・防犯対策推進
 (4)教育・育成:一貫した相談支援体制整備、専門機関の機能充
実と多様化、指導力の向上と研究推進、社会的・職業的自立促進、施
設のバリアフリー化推進
 (5)雇用・就労:雇用率制度を柱とした施策推進、能力・特性に
応じた職域拡大、働きやすい雇用・就業形態促進、ITを活用した雇
用促進、雇用・就労事業活性化、職業リハビリテーション推進、雇用
への移行を進める支援策や職業能力開発の充実、雇用の場における障
害者の人権擁護
 (6)保健・医療:障害の原因となる疾病等の予防・治療、適切な
医療の充実、精神保健・医療施策や研究開発推進、専門職種の養成・
確保
 (7)情報・コミュニケーション:情報バリアフリー推進、社会参
加を支援する情報通信システムの開発・普及、情報提供体制やコミュ
ニケーション支援体制の充実
 (8)国際協力:リハビリテーション技術の交流と情報交換や技術
指導者養成など国際協力推進、国連や国際的非政府機関の障害者問題
に関する行動計画・ガイドライン作成等に積極的に参加、障害者の国
際交流を支援

 7.新紙幣の識別マーク 日盲連でサンプルテスト
 日銀は紙幣を一新し、2004年から流通させることを決めている
が、新紙幣の印刷に当たる財務省印刷局の担当者が8月12日、日盲
連の笹川吉彦会長を訪ね、視覚障害者用識別マークのサンプルを示し、
意見を求めた。
 新紙幣は千円札(150×76mm)、5千円札(156×76m
m)、1万円札(160×76mm)の3種類。おもて面の右下と左
下に入れる識別マークのサンプルが1種類の札につき八通り、少しず
つ大きさや間隔を変えたものが示されており、手で触って感触を確か
められるようになっている。また、1万円札と5千円札には、識別マ
ークとは別に偽造防止のためのホログラム(立体画像)がおもて面左
下に付けられ、触覚でも感じ取れる。
 日盲連では、高田馬場の日盲福祉センターや、8月に開かれた全国
盲青年研修大会、全国盲女性研修大会の会場で、希望者に識別マーク
のサンプルを実際に触ってもらい意見を聞いた。
 また、日盲連加盟団体には識別マークのサンプルの形状を説明した
一覧表を送付した。

 8.アジアのリーダーめざし 第48回全国盲青年大会 福井市で
開催
 日盲連の第48回全国盲青年研修大会が8月23日から3日間、福
井市の福井国際交流会館他で開かれた。日盲連、同青年協議会(西村
秀樹会長)、福井県視力障害者福祉協会(小山尊会長)、同青年部が
主催、全国から約250人が参加した。
 1日目は常任委員会と大会運営委員会。2日目はテーマ別に第1
(社会対策)、第2(日常生活一般)、第3(スポーツ新興)の3つ
の分科会に別れ、それぞれ討議を行い、続く全国代表者会議では平成
14年度予算案や、地方提出、分科会提出、執行部提出の各議題など
を討議、大会宣言案・決議案を承認した。
 最終日の25日は、前日の代表者会議の報告等に続き大会式典が行
われた。小山尊福井県視障協会長らの歓迎の挨拶に続き、主催者代表
として笹川吉彦日盲連会長が「アジアのリーダーとなる青年協に」と
挨拶、八決議を満場一致で採択し、閉幕した。来年度の第49回大会
は長崎県で開かれる。採択された要望事項は次の通り。
 (1)鍼・灸をあん摩師等法第19条に加えるとともに、有資格者
であることを広く訴え、無資格類似行為者の一掃と、各方面への協力
要望(2)理学療法従事者の権益を守るとともに、視覚障害従事者の
身分安定の保証(3)全ての市町村に各障害別の代表者を加えた障害
者施策推進協議会を設置し、市町村各差が生じないような障害者計画
を策定(4)金融機関等で代筆での申請手続を認め(5)障害基礎年
金引き上げと所得制限の大幅な緩和(6)視覚障害者にも適したパソ
コンソフト、周辺機器を日常生活用具給付対象品目に加え、地方自治
体のIT講習会を視覚障害者が受講しやすい環境に(7)触覚や音声
で容易に操作できる電子機器の開発・改善を各企業に要望(8)交通
バリアフリー法に基づき、視覚障害者の移動の安全性を向上させるた
めの設備の充実と公共交通機関職員に障害者に対する接し方などを指
導。

 9.女性協議会スタート 第48回全国盲女性大会 岡山市で開催
 日盲連の第48回全国盲女性研修大会が8月26日から3日間、岡
山市の岡山ロイヤルホテルで開かれた。日盲連、同女性協議会(名取
陸子協議会長)、岡山県視覚障害者協会(井上孝昭会長)、同女性部
の主催で、全国から約700人が参加した。
 今大会は日盲連婦人協議会が日盲連女性協議会と名称を改めてから
初の大会であり、2年後に迫った同協議会50周年記念大会の準備状
況なども議題に上り、一段と熱のこもった討議が続いた。
 1日目は常任委員会と全国委員会が開かれた。2日目の代表者会議
では、平成13年度事業報告と収支決算、50回大会、各ブロック提
出議案などを審議、続いて開かれた研修会では「旅に学ぶ」をテーマ
に各ブロック代表がレポートを発表、意見交換を行なった。3日目は
大会式典が行われ、主催者を代表して笹川吉彦日盲連会長、名取陸子
女性協議会長が挨拶、続いて行われた議事で7項目の決議を採択し閉
幕した。来年度の第49回大会は岩手県で開催の予定。決議された要
望事項は次の通り。
(1)支援費制度の実施にあたり、ガイドヘルプ、ホームヘルプ事業
が今より低下することのないよう適切な措置(2)障害基礎年金を1
級は月額10万円以上、2級は月額7万5000円引き上げ(3)障
害者基本計画の策定にあたり、視覚に障害を持つ女性たちの日常生活
の快適さと高齢に際して起こる諸問題に対する配慮(4)IT社会に
対応するため、視覚障害者の使いやすい機器の開発と適切な指導者の
養成と派遣(5)視覚障害者が自由に金融機関を利用することができ
るよう現金自動預入支払機(ATM)が音声や点字により全盲でも使
えるシステムの開発と窓口での代筆サービス(6)音声によって色を
識別する機械を日常生活用具に指定(7)日常生活用具支給に際し、
世帯所得ではなく受給者本人の所得のみ対象に。

 10.スポーツ連盟協幹事会で諸方針 役割分担など決める
 日盲連のスポーツ連盟協議会(田代浩司協議会長)は7月20日、
名古屋市の名身連福祉センターで幹事会を開き、(1)役割分担につ
いては、総務担当に加藤範義(再任)、会計担当に本橋昭人(青年協
議会スポーツ担当)の両幹事を選任、(2)規定の改正については、
幹事の定員を現行の15名以内から16名以内に、種目別競技連盟の
委員会の規定は「代表者会議の議を経る」とされているものを「委員
会が定めて代表者会議に報告する」とし、日盲連理事会の承認を経て
代表者会議に提案、(3)平成15年度から会員の登録事務は各種目
別競技連盟が行う(会費の納入はこれまで通り日盲連事務局へ)、
(4)平成14年度各種目別競技連盟の総会、研修会、及び幹事会は
3月29、30日に開催(場所は未定)、等を決めた。
 また、ボウリング競技連盟(上野文雄委員長)から、7月20日現
在、4団体(仙台市、茨城県、福岡市、沖縄県)、26人の登録があ
ったこと、平成15年2月、福岡市で全国大会を開催する予定である
ことが報告された。

 11.中国ブロック盲人福祉大会 分科会と全体会議に400人
 第51回日盲連中国ブロック盲人福祉大会が8月18、19の両日、
広島市のホテルグランヴィア広島を会場に約400人が参加して開か
れた。初日は4つの分科会と全体会議などが行われ、笹川吉彦日盲連
会長が「最近の動向と障害者基本計画への取り組み」を講演。2日目
は大会式典と議事が行われ13項目の決議を採択し閉幕した。来年度
は鳥取県で開催の予定。
 決議された主な要望事項は(1)新しい障害者プランの策定と完全
実施(2)支援費制度実施に当り、視覚障害者に経済的・心理的負担
がないよう配慮(3)音響信号機設置と公共施設に微弱電波方式誘導
システム設置(4)全ての官製はがきに切れ込みを(5)年金・税金
関係等公文書を点字化(6)テレビの字幕音声化(7)誘導ブロック
上の安全歩行のための歩道整備(8)医療機関で働く視覚障害鍼灸マ
ッサージ師の雇用安定等(9)社会福祉協議会等に歩行訓練士を常駐
(10)パソコンを日常生活用具に(11)JR切符の大きさと材質
の統一(12)JR列車の手動によるドア開閉の安全確保と号車番号
点字表示(13)金融機関窓口での代筆を認め、音声装置付きATM
を設置。

 12.東海ブロック14年度夏期研究集会開く 静岡・浜名湖に1
00人
 日盲連東海ブロック連絡協議会の平成14年度夏期研究集会が7月
7日、8日の両日、静岡県雄踏町の浜名湖ロイヤルホテルで開かれた。
加盟5団体から100人余りが参加、日盲連からは笹川吉彦会長が出
席し、「視覚障害者福祉運動の現状と課題」を講演した。1日目の分
科会では支援費制度における在宅生活支援サービスの問題や、第3種、
第4種郵便制度存続など各団体から提出された研修テーマを討議。さ
らに2日目の全体会議で論議を深めると共に突っ込んだ意見交換を行
った。次回は名古屋市で開催の予定。

 13.国連の障害者権利条約特別委に傍聴団 日本から笹川会長ら
 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム組織委員会
(委員長・八代英太衆議院議員)は国連の「障害者権利条約特別委員
会」に日本から傍聴団を派遣した。同委員会は7月29日~8月9日、
ニューヨークの国連本部で開かれ、障害者の権利条約採択への大きな
一歩を踏み出すものと期待されている。
 傍聴団のメンバーは、同フォーラム組織副委員長の兒玉明・日身連
会長を団長とする主唱団体関係者等18名で、視覚障害者を代表し笹
川吉彦・日盲連会長が参加した。

 14.短信
 *社会福祉法人広島県盲人協会(前川昭夫会長)は、7月22日付
で会の名称を社会福祉法人広島県視覚障害者福祉協会に変更した。
 *三重県視覚障害者協会の中井俊造会長が5月末で退任、6月1日
付で西克彌氏(67)が新会長に就任した。

 15.訃報
 中嶋巖氏 元山梨県視覚障害者福祉協会会長の中嶋巖氏が6月23
日逝去された。85歳。葬儀は24日、甲府市塩部の甲府シティホー
ルでしめやかに営まれた。自宅は甲府市長松寺町13─10。

 16.日盲連点字出版所 新刊図書のご案内
いよいよ来年度から「支援費制度」導入
「措置」から「契約」へと変わる障害者福祉
必携の2冊をぜひお手元に!!
 書名:『身体障害者福祉法』
原本:社会福祉六法(平成14年版)
定価:全2巻5,000円
点字図書給付事業による自己負担額1,000円
 書名:『身体障害者福祉法関係法令集』
原本:社会福祉六法(平成14年版)
定価:全1巻2,500円
点字図書給付事業による自己負担額500円
 ご注文・問合せ日盲連点字出版所・販売図書担当
電話:03-3200-6157

 17.日盲連加盟団体のインターネット利用状況調査結果 平成1
4年9月4日現在
 ホームページを開設している団体のアドレス(8団体)
 東京都http://www.normanet.ne.jp/~
tomou/
 千葉県http://www1.odn.ne.jp/tisik
yo
 石川県www.ishi-joubun.or.jp
 名古屋http://www.geocities.co.jp/
HeartLand-Apricot/2093
 滋賀県http://www3.ocn.ne.jp/~sisi
ce/
 京都府http://homepage2.nifty.com/
kyosikyo/
 大阪府http://homepage2.nifty.com/
fushikyo/
 大分県http://homepage3.nifty.com/
oita-kenmou/index.htm

 Eメールアドレスを持っている団体(22都府県市)
 秋田県、茨城県、東京都、千葉県、神奈川県、横浜市、長野県富山
県、石川県、福井県、静岡県、名古屋市、滋賀県、京都府大阪府、大
阪市、岡山県、山口県、香川県、高知県、佐賀県、熊本県