愛盲時報 第195号(テキスト形式・全文)

2003年1月1日

 愛盲時報 第195号(平成15年1月1日発行)

 1.新春メッセ―ジ
 生き生きと暮らせる社会へ
 厚生労働大臣 坂口力
 厚生労働大臣の坂口でございます。謹んで新年のお喜びを申し上げ
ます。
 新年を迎えるにあたりまして、平素より障害保健福祉行政の円滑な
推進に格別の御支援を賜っておりますことについて厚く御礼を申し上
げる次第でございます。
 障害保健福祉行政は大きな転機を迎えております。昨年を振り返っ
てみますと、まず5月に議院立法によりまして「身体障害者補助犬法」
が成立をし、10月1日から施行されました。これにより視覚障害者
の方々が、公共的施設・公共交通機関等を利用する場合に盲導犬を同
伴することができるようになるなど、身体障害者の自立及び社会参加
の一層の促進が期待されております。
 また昨年は、「アジア太平洋障害者の十年」の最終年でありました
が、5月のESCAP総会におきまして、我が国も積極的に参画し、
10年間延長されることが決議されました。これをうけて10月には
滋賀県でハイレベル政府間会合が開催され、新しい行動課題「びわこ
ミレニアム・フレームワーク」が採択されるという大きな成果が得ら
れました。そして年末には、平成15年度を初年度とする「新障害者
基本計画」及び「重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)」が策
定されたところでございます。
 さて、本年は、いよいよ4月1日から、身体障害者などに対する福
祉サービスについて、今までの「措置制度」を改め、障害者自らがサ
ービスを選択して利用する「支援費制度」に移行致します。視覚障害
者の方々については、外出時の移動にあたりまして、介護等の便宜を
供与するガイドヘルパーの派遣もできますし、ホームヘルプサービス
事業の一環として、制度の対象ともなります。障害者福祉施策におけ
る大きな変革となるこの「支援費制度」を21世紀にふさわしい仕組
みとするため、その円滑な施行に努めてまいります。
 また、「支援費制度」を円滑に実施していくためにも、新障害者プ
ランに基づきまして、地域におけるサービス基盤の整備を図ることが
重要であります。このため、リハビリテーション及びノーマライゼー
ションの理念の下に、障害者の自立と社会参加に向けた施策の一層の
推進を図ってまいります。特に視覚障害者の方々につきましては、日
々進展する情報通信技術の利用機会を確保致します。また、活用能力
の格差を是正するため、いわゆる情報バリアフリー対策を推進してま
いりたいと考えております。
 結びにあたりまして、障害のある方もない方も、共に地域において
生き生きと暮らすことが出来る社会を目指し、引き続き障害保健福祉
行政の推進に全力で取り組んでまいる所存でございますので、本年も
皆さんの一層のご支援を賜りますよう御願いを申し上げる次第でござ
います。
 ありがとうございました。

 2.平成15年度福祉関係予算案 新障害者プラン1301億円
 2003年度予算の政府案が12月24日の閣議で決まった。障害
保健福祉関係予算案は対前年度比0.9%増の6659億4100万
円。平成15年度から新たに始まる障害者基本計画重点施策実施五か
年計画(新障害者プラン、平成15年度予算案1301億円)の実施
を軸に、障害者の自立と社会参加を推進するための施策に必要な予算
の確保を図っている。主な項目は次の通り。
 1、重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の推進:(1)訪
問介護(ホームヘルプサービス)事業273億7800万円を291
億1300万円に(4728人増員)、(2)短期入所(ショートス
テイ)事業41億8800万円を46億1400万円に、(3)日帰
り介護(デイサービス)事業132億8800万円を130億240
0万円に、(4)障害者ケアマネジメント体制支援事業1億4500
万円、(5)身体障害者福祉ホーム1億100万円を1億600万円
に、(6)身体障害者通所授産施設52億1600万円を51億53
00万円に、(7)小規模通所授産施設11億5500万円を35億
400万円に、(8)小規模作業所に対する助成(在宅重度障害者通
所援護事業費等)30億6400万円を27億5800万円に、(9)
障害者就業・生活支援センター事業5億4600万円を5億6700
万円に、(10)施設外授産の活用による就職促進モデル事業850
0万円を4200万円に。
 2、支援費制度の円滑な施行:(1)支援費制度の施行3281億
9500万円を3212億6700万円に、(2)支援費制度施行に
係る事務の円滑化等の支援12億7300万円。
 3、障害者の社会参加の促進:(1)障害者社会参加総合推進事業
(障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業と「障害者の明る
いくらし」促進事業を統合・再編)27億3400万円を26億29
00万円に(基本事業の実施か所59県市、1県市当たり事業費67
62万円。そのほか障害者情報バリアフリー化支援事業、パソコンボ
ランティア養成・派遣事業、パソコンリサイクル事業、障害者ITサ
ポートセンター運営事業、盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業な
ど)、(2)市町村障害者社会参加促進事業(市町村障害者社会参加
促進事業にバリアフリーのまちづくり活動事業を統合)28億710
0万円を18億2400万円に。
 4、その他の施策:(1)身体障害者適正判定等事業6600万円
を7900万円に、(2)手当等の給付(特別児童扶養手当及び特別
障害者手当等)1158億3700万円を1193億4300万円に
(平成14年の消費者物価下落分の額の改定を行う、0.9%~1.
0%の見込み)、(3)補装具の給付百76億1000万円を184
億7100万円に、(4)日常生活用具給付等事業24億7900万
円を21億4100万円に(新規に視覚障害者用活字文書読上げ装置)

 [15年度障害者雇用施策関係予算案]
 一方、障害者雇用施策関係予算案としては、平成14年度に施行さ
れた障害者雇用促進法の改正を踏まえ、障害者の職業的自立支援策を
強化するとともに多様な雇用の場を提供するなど体制整備を進めるた
めの予算が組まれている。主な予算は次の通り。
 1、雇用と福祉の連携による障害者の自立支援:(1)職場適応援
助者(ジョブコーチ)による事業の拡充18億1400万円を20億
1700万円に(対象者数を約2400人から約3000人に)、
(2)障害者就業・生活支援センター事業の充実5億4600万円を
5億6700万円に。
 2、障害者の雇用機会の拡大:(1)障害者試行雇用事業の推進3
億7800万円を4億8000万円に(対象者数を2200人から3
200人に)、(2)ITを活用した重度障害者の職業自立の推進2
300万円を7700万円に(支援機関数を5カ所から9カ所に)、
(3)障害者の再就職支援の推進3億6600万円を4億3100万
円に、(4)当事者団体と連携した障害者の職業自立等啓発事業の実
施3700万円を3600万円に。

 3.物価スライド凍結解除で 年金引き下げへ
 政府は12月18日、2003年度予算について(1)公的年金な
どの物価スライドを凍結解除し、前年の物価下落率見込み分0.9~
1.0%引き下げる(2)今年4月に改定の介護報酬を全体で2.3
%引き下げる(3)児童扶養手当の物価スライド適用は10月からと
する、ことを決めた。1973年の物価スライド制導入以来、初めて
の減額適用となる。
 物価スライドは厚生、国民両年金のほか障害者、被爆者らを対象と
した各種福祉手当にも適用される。最終的な引き下げ幅は、前年の消
費者物価下落率が判明する2月に確定する。
 介護報酬引き下げの内訳は、赤字事業者が多い介護支援専門員(ケ
アマネジャー)などの在宅サービスで平均0.1%引き上げ、黒字幅
の大きい特別養護老人ホームなどの施設サービスは平均4.0%引き
下げる。母子家庭に支給されている児童扶養手当については、昨年8
月に支給要件が見直され、母子家庭の家計も厳しくなっていることが
配慮された。

 4.謹賀新年2003年
 新年のごあいさつ
  日盲連会長 笹川吉彦
 新年明けましておめでとうございます。会員の皆様にはお元気で良
い年をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。
 年頭にあたり会員の皆様のご健康とご多幸そして世界平和を祈念致
します。
 昨年は皆様ご承知のとおり、日盲連にとってはまさに激動の1年で
した。多年の念願であった、はり師きゅう師養成施設の新・増設阻止
のための国会請願が、参議院本会議で採択されたことをはじめ、新し
い障害者基本計画の策定と、それに伴う新障害者プランの策定、郵政
関連法の改正に伴う第3種・第4種郵便、特に、盲人用郵便物の無料
取り扱い問題、新紙幣問題等々、また、これまでの措置制度から、事
業者との契約によるサービス提供システムの準備推進など。
 更に、かつて経験したことのない数多くの国際会議も、札幌、大阪、
滋賀の各地で大変な規模で開催されました。
 こうした動きの中から、いよいよ本年4月1日からは、新障害者プ
ランと支援費制度がスタート致します。支援費については残すところ
あと3か月しか有りませんが、各自治体が準備万端整えて、これまで
の福祉を後退させることなくスタートするよう願っています。勿論、
日盲連としても厚生労働省に対し、より強力に働き掛けてまいります。
 そこで1月からは、日盲連事務局内に「支援費制度110番」を設
置し、皆様からのお問合せを厚生労働省に取り次ぎ、回答を得てお答
えする様に致したいと考えております。電話03―3200―343
9番まで。ファックス03―3200―7755番まで、ご遠慮なく
お寄せ下さい。なお、実施主体は各自治体となりますので、自治体の
窓口へも積極的に働き掛けて頂きたいと思います。
 本年も多くの問題の解決のため、各方面の皆様はじめ会員の皆様の
お力とお知恵を拝借しながら、全力を尽くしてまいりたいと思います
が、なんと言ってもはり師きゅう師養成施設の問題が第一です。そし
て、支援費制度を軌道に乗せること、また、建設後30余年を経て、
すっかり手狭となった日本盲人福祉センターの移転、最もニーズのあ
るガイドヘルパー事業の位置付け、国際的な役割と交流の促進、差別
禁止法の制定促進など、昨年以上に重要課題を抱えて居ります。より
良い方向を見出し、前進出来るよう、皆様の一層のご理解ご支援を切
にお願い申し上げ新年のご挨拶と致します。

 出会いの妙
  日盲連副会長 齊藤績
 2003年明けましておめでとうございます。
 私は日盲連副会長の末席を汚している札幌視障協会長の齊藤績です。
昨年中は公私に亙り何かとご指導を賜り厚く御礼申し上げます。
 私にもこれまでに数えきれない程の出会いと別れがあります。その
内から2つ程「出会い」についてご紹介したいと思います。
 私達東京の学校で学んだ同級生は、ほぼ2年に1度クラス会を行っ
ております。仲間の1人にM君と言う全盲の者がおり、クラス会に出
る度、男の子(今では立派な大人)を手引きに連れてくるので、我々
のアイドルになっていましたが、M君が心臓発作で急逝して以来、そ
の「アイドル」なる者もクラス会には出なくなってしまいました。
 去る10年、和歌山の竜神温泉でのクラス会の後、高野へ行きまし
た。バスを降りてから家内が忘れ物をしたと言うので会社に問い合わ
せた処「帰りのバスに積み込んでやるから待っているように」との事
で道端に立っていると、道の向こうから「齊藤先生」と大声で呼びか
けながら駆け寄ってくる人がおります。なんとそれが件の男で、私に
とってはもう1人の息子にでも合えた様な嬉しさでした。
 今は群馬県の或る寺の住職をしており、たまたま2泊の予定で此処
に来ていて明日帰るとの事。もし家内がバスに忘れ物をしなければ彼
とは会えなかった訳で、2人とも高野からはるばる離れた別々の処に
住みながら、偶然とは言えない様な出会いがあったと思っております。
 もう1つは私が2度目に中国を訪問した昭和58年の事です。晩餐
会で偶然私の左隣に座た中国の方に話しかけたのがきっかけで親しく
なり、後に奥さん共々札幌の我が家へ訪ねて来てくれましたし、私も
訪中する度に会っておりました。
 その方は毛沢東と一緒に革命運動に加わり、事故によって失明。以
来、点字の翻訳に取りかかり、今の中国点字の基礎を作った、日本で
言うなら「石川倉次先生」の様な方です。晩餐会で隣に座らなかった
ら、あるいは間に他の人が1人でも挟まっていたら、話もしなかった
だろうし、こんなに親しくはならなかったと思います。
 つまり人と人との出会いは誠に不可思議なものであり、それだけに
その「出会い」を大切にしていきたいと思っております。

 新春を迎えるにあたって
  日盲連副会長 田代浩司
 日盲連会員並びに関係者の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げま
す。
 日本中、いや世界中が大騒ぎして迎えた21世紀も、はや3年目を
迎えることとなりました。厳しい社会情勢の中で私たち視覚障害者を
取り巻く環境も様々な問題を抱え、せっかく勝ち得た福祉の向上も、
今や後退を余儀なくされることとなりました。ただ手をこまねいて嘆
くばかりで、このまま成り行きに任せて良いものでしょうか。
 視覚障害者の福祉を支えてきたアハキ業の現状は如何ともし難く、
規制緩和、構造改革の名のもとに健常者のための施設の新・増設は野
放し状態と言っても過言ではありません。法改正の運動にしても努力
すれど実らず、どこに原因があるのでしょうか。日盲連が築いてきた
多くの先輩達の伝統により、様々な成果を勝ち得たことは言うまでも
ありません。ただ視覚障害者の減少と組織の弱体化は相通づるべきも
のがあります。
 今、私達は組織の団結を図り、笹川会長を中心に視覚障害者にとっ
て様々な問題に対し努力することが最も大切なことではないでしょう
か。昔から一般に言われるように1本の矢は折れるが、3本まとまれ
ば強靱となる例えどおり、日盲連会員が組織の重要性を認識し、一丸
となって視覚障害者の福祉の向上に努力しようではありませんか。
 私事としては、新年を迎えるにあたり幾つかの目標を立て、その実
現に頑張って行く誓いを立てたところです。

 5.新障害者基本計画を決定 重点実施の障害者プランも
 政府は12月24日の閣議で、障害者が住みやすい環境の整備を目
指す新たな「障害者基本計画」(2003年度から10年間)と、前
期五年間に重点実施する施策の数値目標を定めた「障害者プラン」を
決定した。
 「入所施設は真に必要なものに限定する」として、初めて入所施設
整備の数値目標を盛り込まなかったのが特徴。障害の有無にかかわら
ず地域で普通に暮らせる「ノーマライゼーション」の理念実現に向け、
一歩前進したといえる。
 障害者の地域生活を支えるため、ホームヘルパー約6万人(現行プ
ラン4万5千人)、ショートステイ約5600人分(同4500人分)
、デイサービス約1600カ所(同1千カ所)、グループホーム・福
祉ホーム約3万5600人分(同2万人分)などの在宅サービスを整
備する。
 雇用・就業対策では2008年度までに60万人の雇用を目指し、
教育ではこれまで障害者施策の対象外だった学習障害や注意欠陥多動
性障害などの子供を支援する体制整備のガイドラインを2004年度
までに策定する。
 また、情報技術(IT)社会での情報格差を解消するため、コンピ
ューターなどの利用を支援する技術者の養成研修を行い、2007年
度までに1万人以上の受講を目指す。

 ●新障害者計画・新プラン点字版日盲連から
 この「障害者基本計画」「重点施策実施5か年計画(障害者プラン)
」の点字版(全1巻)は日本盲人会連合点字出版所から1月下旬に刊
行の予定(価格等は未定)。

 6.障害者雇用率0.02ポイント低下
 法定雇用率未達成企業57.5%
 民間企業の平成14年6月1日現在の障害者雇用率は前年より0.
02ポイント低い1.47%で、15年ぶりに前年を下回ったことが
12月26日、厚生労働省の調査で分かった。特に中小企業での低下
が目立ち、長引く不況で雇用を守りきれなくなったとみられる。同省
は障害者の雇用不安を聞く専門の相談窓口を設置するなど対策を急ぐ。
 調査は1人以上の障害者の雇用が義務づけられている常用労働者5
6人以上の企業6万938社を対象に実施。法定雇用率(1.8%)
を達成していない企業は57.5%に達し、前年より1.2ポイント
上昇した。

 7.歩車道段差2cm確保呼びかけ 日盲連
 国交省ガイドラインまとめ
 国土交通省は12月18日、道路空間ユニバーサルデザイン懇談会
の答申に基づき、高齢者や障害者らがスムーズに通行できるように、
歩道の幅を2メートル以上確保するなど「道路の移動円滑化ガイドラ
イン」をまとめた。交通バリアフリー法の対象地域を中心に、ガイド
ラインに沿った道路の改良工事などを進める方針だ。
 ガイドラインでは、道路のこう配を1以下と規定。車道と歩道の境
界の段差は2センチを確保。視覚障害者がつえなどで、境界を認識で
きるようにするとともに、縁石には緩やかなカーブを設けることによ
って、車いすの利用者も支障がないように配慮。歩道橋には、原則と
してエレベーターを設置することも明示した。
 ただ、歩車道の段差についての記述で、日本盲人会連合が懇談会で
徹底して反対してきた「視覚障害者が識別できる他の方法があれば、
視覚障害者等の意見を十分配慮した上で2センチメートル以下でも良
い」という新たな基準が加えられた。
 これに対し、日盲連の笹川吉彦会長は「今後は、各自治体で基準を
設ける際、各障害者団体との協議が持たれることになるので、段差2
センチメートルの重要性を強調し、安全確保に万全を期してほしい」
と、日盲連加盟各団体に文書で呼びかけた。
 国土交通省では各自治体の取り組みとその結果をみた上で、全国を
統一した基準を設けるとしている。

 8.関副会長が辞意 日盲連理事会が承認
 日本盲人会連合の理事会が12月22日、東京・高田馬場の日盲福
祉センターで開かれ、平成15年度事業計画立案等について協議する
とともに、日盲連の機関決定に反して11月5日から7日まで、あは
き等法19条改正を求める国会議員会館前での座り込みを呼びかけた
関米一郎副会長の行動への対応を協議した。
 呼びかけは、個人として行ったとされてはいるものの、同氏の立場
は現職の日盲連副会長及び、あはき協議会長のままで、その行動は日
盲連の信用を著しく損なうものであり、組織人として許されないとす
る意見が大多数を占めた。理事会は同氏に日盲連副会長及びあはき協
議会長の辞任を勧め、関副会長は自ら辞意を表明。理事会はこれを承
認した。
 また、前日の21日、同センターで日盲連の総合企画審議会(齊藤
績委員長)が開かれ、笹川会長から(1)新障害者基本計画策定に当
たって設けられた内閣府の懇談会での経過、(2)支援費制度の問題
点、(3)これらに対する今後の日盲連の対応、等について報告され
るとともに、日盲連の平成15年度事業計画立案についての方針が話
し合われた。

 9.ブロック大会・福祉大会など各地で開催
 ●第62回三重県視覚障害者福祉大会
 三重県視覚障害者協会(西克彌会長)の第62回福祉大会「あいふ
ぇすたインくわな」が11月14日、桑名市の桑名市民会館で開かれ
た。大会式典では自立更生功労者などの表彰に続き、5つのスローガ
ンを発表。引き続き開かれた「視覚障害者福祉フォーラム三重」では、
「視覚障害者の自立と社会参加をめざして」をテーマに障害者、行政
担当者、市民が参加してディスカッションが行われた。大会スローガ
ンは次の通り。(1)支援費制度でガイドヘルプ事業の充実を(2)
障害者計画は視覚障害者の特性に配慮を(3)IT活用による視覚障
害者自立支援対策の充実を(4)視覚障害者の就労の場を確保(5)
視覚障害者の社会参加促進事業の充実を。

 ●第35回愛知県盲人福祉大会
 愛知県盲人福祉連合会(彦坂和夫会長)主催の第35回愛知県盲人
福祉大会が11月15日、渥美郡田原町の田原文化会館で開かれた。
県内各地から約320人が参加。式典では、功績のあった方々33名
に表彰状、感謝状が贈られた。続いて行われた議事で当面する課題を
3項目の決議にまとめ採択した。決議された要望事項は次の通り。
(1)支援費制度の実施に当たっては、ホームヘルプ、ガイドヘルプ
サービスが現状を下回ることのないようにする(2)地方における交
通バリアフリーの充実(3)視覚障害者の生活権を守り、自立と社会
参加を促進するため、はり、きゅうをあん摩師等法第19条に加え、
養成施設の新・増設を法的に規制する。

 ●鳥取県視覚障害者福祉協会設立55周年記念式典
 鳥取県視覚障害者福祉協会(板垣成行会長)の設立55周年記念式
典が11月17日、鳥取県・市の福祉関係者ら約110名が出席して、
鳥取市の白兎会館で開催された。式典挨拶で板垣会長は、視覚障害者
の高齢化について「今後、心して取り組まなければならない問題点」
と述べ、これからの会運営の目標を示唆した。また、55年を振り返
る「会の歩み」の報告に続き、協会に貢献のあった方々に功労賞、感
謝状が記念品と共に手渡された。

 ●第44回東北盲人福祉大会
 第44回東北盲人福祉大会仙台大会が東北盲人会連合と仙台市視覚
障害者福祉協会(千葉文児会長)の主催で11月23、24の両日、
仙台市情報産業プラザ「アエル」で約250人が参加して開かれた。
3つの分科会と代議員総会での討議に続いて行われた大会で九項目の
決議を採択した。決議された要望事項は次の通り。(1)視覚障害を
理由に老人ホーム等への入所を拒否することのないよう行政から指導
を(2)パソコンを日常生活用具として認定し、他のIT機器も含め
視覚障害者が使いやすい機器の開発・改良に行政の援助を(3)交通
バリアフリー法に基づいて道路や建築物のバリアを取り除き、歩行者
の安全確保のためのIT機器開発と音声誘導システムの全国統一(4)
新紙幣のサイズや識別マークが容易に判別できるよう更なる検討(5)
駅や公共施設における点字表示の内容、位置、高さ等の全国統一(6)
日盲連発行の愛盲時報の点字及びテープ化(7)パソコン周辺機器整
備補助金の継続(8)無資格者の徹底した取り締まり(9)介護保険
について、視覚障害者の介護対象項目に「書類等の読み書き、歩行の
介助」を加え、その必要性について眼科医の意見又は障害者手帳の等
級記入欄を設ける。

 ●第6回茨城県視覚障害者福祉大会
 茨城県視覚障害者協会(本多操会長)の第6回茨城県視覚障害者福
祉大会が12月1日、県内各地から約300人が参加して水戸市の茨
城県総合福祉会館で開かれた。式典ではボランティアの方々や団体に
感謝状が贈られ、続いて行われた議事では5項目の決議が採択された。
決議された要望は次の通り。(1)「茨城県、人に優しい町づくり条
例」に基づき、全市町村において視覚障害者も参加した地域社会づく
りの早期実現(2)図書及び情報、生涯学習、訓練と支援の充実を図
る拠点となる新しい「視覚障害者情報文化センター」の早期建設(3)
点・線ブロックの普及と音声誘導システムの大幅な導入(4)制度化
された補助犬法に関する社会の理解と盲導犬育成事業、及びアイバン
ク事業の充実(5)就業が困難な視覚障害者のための療護施設・授産
施設・特別養護老人ホーム等新・増設。

 10.郵便料金現状維持 第四種郵便無料も継続
 郵政事業庁は平成15年4月の日本郵政公社への移行時に、はがき
や封書、小包などの郵便料金を現行水準のまま維持する方針を決めた。
 民間から起用される初代郵政公社総裁の生田正治氏は、公社移行で
顧客サービスを重視する方針を表明。その一環として公社移行時の料
金引き下げが注目されていたが、郵便事業は本年度には再び大幅赤字
に陥ることが確実となり、公社経営の健全性確保のため料金を据え置
くことにした。
 国内の郵便料金は、現在の第1種の定形郵便物(封書)80円、は
がき50円を維持。国際郵便料金も現状のままとする。心身障害者団
体の刊行物など第3種郵便物の政策的割引料金や、視覚障害者向け点
字冊子など第4種郵便物の無料扱いも継続する。
 公社発足と同時に施行される信書便法では、許可業者に対し郵便の
配達が条件付きで全面開放される。現在は郵便への参入企業は出てい
ないが、将来的に公社が全国一律のサービスを維持しながら民間との
競争を迫られる可能性もある。

 11.両陛下お迎えし「障害者の日」
 日マ会など表彰の栄
 平成14年度「障害者の日」記念の集いが12月9日、天皇、皇后
両陛下をお迎えして東京有楽町の朝日ホールで開かれた。
 今年が「アジア太平洋障害者の十年」の最終年にあたることから、
特別に障害者福祉に功績のあった25人と日本あん摩マッサージ指圧
師会など5団体が内閣総理大臣表彰を受けた。
 また、「心の輪を広げる体験作文」「障害者の日ポスター」の入選
者の表彰も行われ、最優秀賞の中村和子さん(50、千葉県)が、視
覚障害を乗り越え障害者にパソコンを教えるインストラクターとして
活躍している体験を綴った作文を朗読、会場から大きな拍手が送られ
た。

 12.第52回厚生労働大臣表彰 視覚障害関係は18人
 自立更生した方や更生援護に尽力した方々などを顕彰する第52回
(平成14年度)厚生労働大臣表彰が12月4日、東京・霞が関の中
央合同庁舎第5号館で行われた。表彰されたのは73人と2団体、う
ち視覚障害関係は18人でお名前は次の通り(敬称略)。
 自立更生者:岸野新作(63、秋田県)、澤瀬正子(60、千葉県)
、浮嶋松男(62、東京都)、関川末次郎(80、新潟県)、長澤誠
(59、山梨県)、村田次夫(76、滋賀県)、川内龍馬(67、奈
良県)、上野剛義(65、鳥取県)、大下英三(68、広島県)、武
田勲(63、山口県)、畑中利雄(56、宮崎県)、村野正巳(61、
川崎市)
 更生援護功労者:菅原久夫(76、岩手県、花泉町身体障害者福祉
協議会会長)、佐野時男(69、静岡県、富士宮市身体障害者福祉会
会長)、山下茂一(75、兵庫県、元相生市身体障害者協会会長)、
山田富市(82、愛媛県、元東予市身体障害者協議会会長)、村上喜
太郎(84、金沢市、金沢市視覚障害者協会会長)
 社会参加促進功労者:高橋實(71、東京都、社会福祉法人視覚障
害者支援総合センター理事長)

 13.第26回将棋大会 A級福井さんが連覇
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)の第26回全国盲人将棋大会が1
1月17、18の両日、東京都盲人福祉協会との共催で東京・新宿の
戸山サンライズで開かれた。
 A級(有段者)は青森県の福井宏郷さん(4段)が昨年に続き2回
目の優勝、厚生労働大臣杯を手にした。B級優勝は長崎県の吉野健吉
さん。
 大会にはA級に18人、B級に14人の合わせて32人が出場し、
熱戦を繰りひろげた。準優勝以下は次の通り(敬称略)。
 A級準優勝・黒鳥貞夫(新潟県)、同3位・永井英一(千葉県)。
B級準優勝・鈴木重利(東京都)、同3位・福井秀実(青森県)。

 14.第28回日盲連全国文芸大会入選者
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)主催・第28回全国盲人文芸大会
の入選者が決まった。今回の応募者は、短歌58人(173首)、俳
句86人(256句)、川柳71人(213句)、随想・随筆九人
(9編)。
 審査員は短歌が佐佐木幸綱、谷川秋夫、俳句が田沼文雄、川柳が山
崎凉史、福田案山子、金子蛙次郎、随想・随筆は高橋秀治の諸先生で、
厳正な審査が行われた。入選された方々は次の通り(敬称略)。
 短歌:1位・毛利清(福岡県)、2位・長田美智子(山梨県)、3
位・斎藤ひろみ(新潟県)
 俳句:1位・中井玉仙(北海道)、2位・田中宗斎(東京都)、3
位・木村茂(群馬県)
 川柳:1位・石倉一生(奈良県)、2位・押山しょういち(栃木県)
、3位・藤岡健次(愛媛県)
 随想・随筆:1位・丸本直(滋賀県)「私と障害者スポーツ大会」、
2位・奥田弘(兵庫県)「光と影」、3位・西江須美(北海道)「パ
ソコン」。
 作品は各部門別の作品集に掲載、応募者には郵送。応募者以外の方
には実費頒布となり、点字・墨字とも、短歌、俳句、川柳は各千円、
随想・随筆は1500円。ご注文は日盲連文芸係(電話03―320
0―3439)まで。

 15.14年版「障害者白書」テープ版日盲連から
 申し込みは録音製作所へ
 「平成14年版障害者白書」カセットテープ版の製作が日盲連録音
製作所で進められている。今回の白書は1993年に定めた「障害者
対策に関する新長期計画」の最終年度に当たることから、過去10年
の施策や進展状況を総括、「さまざまな分野で着実な進展がみられた」
とする一方、「障害のある人が自立し社会参加していくには、依然と
してさまざまな障壁がある」とし、高度情報化社会で視覚、聴覚障害
者の情報入手が難しくなっている「文化・情報面の障壁」についても
指摘している。
 全国の日盲連加盟団体や点字図書館、盲学校などには配布されるが、
個人的に購入を希望する方には実費で頒布する。
 90分テープ全六巻(収納型ブックケース入)で価格は3千円(消
費税込み)。注文は日盲連録音製作所(電話03―3200―617
2)へ。
 申し込み締め切りは2月末日。テープの発送は3月下旬の予定。代
金の振り込みは、テープに同封する郵便振込用紙で。