愛盲時報 第190号(テキスト形式・全文)

2002年1月1日

 愛盲時報 第190号(平成14年1月1日発行)

 1.通常国会へも19条改正請願運動 日盲連理事会
 日盲連(笹川吉彦会長)の理事会が12月21日、東京・高田馬場
の新装なった都盲センター新館で開かれ、注目の「アハキ師法19条
改正の国会請願運動」を、少なくとも参院だけでも1月開会の通常国
会で再度行うことを申し合わせた。また、衆院に向けては、自民党の
鍼灸マッサージを考える国会議員の会を説得できる道を探り、チャン
スがあれば衆院に対しても国会請願運動を展開するとする基本戦術を
申し合わせた。
 日盲連のアハキ師法19条改正国会請願運動は12月7日に閉幕し
た臨時国会では、残念ながら不成功に終わった。すなわち、衆院では
自民党議員が1人も紹介議員にならなかったことから、審査に掛けら
れず受理(受け付け)されただけに終わり、参院では審査されたが
「保留」にとどまり、採択されなかった。
 理事会では特に、衆院が44件(41人)も受理されながら、政権
与党である自民からは“党議拘束”という縛りから、1件も国会請願
が出されなかったことに議論が集中した。「ツメをおこたったのでは
ないか、結果的にまずかった」「難しい問題であることは始めからわ
かっていた、根回しがまずかったのではないか」「野放しのはりきゅ
う科新増設を粗製濫造という表現で使われているが、この表現では設
置基準を高めるという結論しか出てこない、問題のすり替えではない
か」など厳しい意見も出された。
 とはいえ、理事会では(1)視覚障害者の生活権の問題として捉え
るべきだ(2)視覚障害アハキ師の職域を守るためには野放しの晴眼
養成施設の「はりきゅう科」新増設を規制するしか方法はない(3)
衆参両院とも日盲連の国会請願をにべもなく“不採択”にはしなかっ
た。まして参院では保留であった(4)衆院では自民党抜きとはいえ、
41人(受理件数44)、参院では各党各派から66人(79件)も
の議員が紹介議員になってくれたことなどから、前回(平成11年)
の国会請願とは大いに違い、採択に“脈あり”と判断、3度目の国会
請願運動を展開することにしたものだ。
 具体的には、各党各派の議員がまんべんなく紹介議員になってくれ
た参院に集中的に運動するが、衆院へも自民党の有力議員を説得して
国会請願の可能性を探ることを申し合わせた。そして、その際、請願
法人の登記簿を添付し、署名も集めて国会請願運動を展開することに
した。

 2.障害者プラン最終年5.9%増 14年度予算
 2002年度政府予算案が決まった。一般会計の規模は今年度当初
比1.7%減の81兆2300億円と改革断行予算になった。とはい
え、障害保健福祉関係予算は6601億1700万円と対前年比4.
1%増の増額となった。なかでも、障害基礎年金が物価下落にかかわ
らず、スライドしないで据え置かれたこと、また税制改正でマル優制
度(少額貯蓄優遇制度)が高齢者向けには廃止されるが、障害者には
存続されることなど、弱者に配慮した2002年度政府予算といえよ
う。
 また、最終年を迎える障害者プラン推進予算は9月の概算要求額と
ほぼ同額の3049億5100万円と前年に比べ5.9%増だった。
 主な新規予算は精神障害者社会復帰対策の充実と、障害者生活訓練
・コミュニケーション支援等事業。支援事業では、かねて日盲連が要
望していたパソコンボランティア養成・派遣事業及び、パソコンリサ
イクル事業を新規に創設。このほか、アジア太平洋障害者の10年最
終年記念事業の支援として4000万円計上されている。
 主な障害保健福祉関係予算は次の通り。
 (1)障害者プランの推進:①身体障害者福祉ホーム8600万円
を1億100万円に、②身体障害者通所授産施設50億7500万円
を52億1600万円に、③小規模作業所に対する助成(在宅重度障
害者通所援護事業費等)30億6400万円を30億6400万円に、
④市町村障害者生活支援事業17億4800万円を20億7400万
円に、⑤訪問介護(ホームヘルプサービス)事業200億2500万
円を204億6300万円に(ホームヘルパーの増員、ホームヘルパ
ー養成研修事業の実施)、⑥短期入所(ショートステイ)事業35億
4700万円を39億1300万円に、⑦日帰り介護(デイサービス)
事業92億4000万円を106億5000万円に、⑧身体障害者療
護施設457億5800万円を484億7000万円に、⑨市町村障
害者社会参加促進事業24億600万円を27億5600万円に(4
40カ所を510カ所に、1カ所当たり事業費1500万円)
 (2)障害者プラン関係以外の施策:①障害者ケアマネジメント体
制整備推進事業5億3100万円を4億9200万円に、②手当等の
給付(特別児童扶養手当及び特別障害者手当等)1121億4700
万円を1158億3700万円に、③障害者生活訓練・コミュニケー
ション支援等事業12億4500万円を13億6500万円に(ア.
手話通訳の派遣、盲導犬の育成等。イ.障害者の情報バリアフリー推
進のうち障害者情報バリアフリー化支援事業は継続、パソコンボラン
ティア養成・派遣事業とパソコンリサイクル事業は新規。ウ.盲ろう
者向け通訳・介助員派遣施行事業)、④「障害者の明るい暮らし」促
進事業13億7000万円を13億6800万円に、⑤バリアフリー
のまちづくり活動事業1億1500万円を1億1500万円に、⑥高
度情報通信福祉事業(身体障害者福祉促進事業委託費の一部事業の組
み替え等を図り、障害者のデジタル・ディバイドの是正を推進、新規)
1億5000万円、⑦国連・障害者の10年記念施設運営委託費4億
600万円を4億300万円に、⑧補装具の給付百70億600万円
を176億1000万円に、⑨「アジア太平洋障害者の10年」最終
年記念事業の支援(新規)4000万円、⑩日常生活用具給付等事業
24億7900万円を24億7900万円に、⑪支援費制度の施行準
備(新規)11億8700万円
 (3)保健福祉施策と雇用就業施策の一体的推進:①障害者就業・
生活支援センター(仮称)による就業・生活支援の一体的推進(現行
のモデル事業25カ所を47カ所で実施)1億5400万円を5億4
600万円に、②施設外授産の活用による就職促進モデル事業830
0万円を8500万円に、③職場適応援助者(ジョブコーチ)による
就業支援事業の実施(職業安定局で要求)

 [14年度障害者雇用施策関係予算案]
 一方、障害者雇用施策関係予算案としては、障害者をめぐる厳しい
雇用情勢、企業の経営環境の変化に適切に対応するため、きめ細かな
職業的自立支援策の強化等による障害者雇用の促進を図る予算が組ま
れている。主な予算は次の通り。
 (1)経済情勢の変化等に対応した障害者雇用の促進:①職場適応
援助者(ジョブコーチ)による人的支援事業の実施16億7400万
円を18億1400万円に、②「障害者雇用機会創出事業」の推進5
億3600万円を5億6900万円に、③障害者の再就職支援の推進
3億6600万円を3億6600万円に④重度障害者在宅就労推進事
業の実施2300万円、⑤当事者団体と連携した身体障害者の職業自
立等啓発事業の実施(新規)500万円、⑥障害者のキャリアの向上
等に関する研究の実施600万円を500万円に
 (2)雇用と福祉の連携による就業・生活支援の推進:①障害者就
業・生活支援センター(仮称)による障害者の就業・生活支援の一体
的推進(新規)4億2000万円、②医療・福祉等の分野における職
リハ人材育成研修事業の充実5200万円を9400万円に

3.謹賀新年2002年

 年頭のご挨拶
 日盲連会長 笹川吉彦
 新年明けましておめでとうございます。
 会員の皆様には、ご家族共々よい年をお迎えのことと、心からお慶
び申し上げます。本年も会員の皆様のご指導、ご支援のもと、日盲連
活動の一層の充実と発展を図っていく所存ですので、ご理解ご協力の
程、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
 本年、平成14年(2002年)は、私たち障害者にとって極めて
重要な年となります。
 その第1は、平成7年度から実施されたノーマライゼーション7か
年戦略の「障害者プラン」最終年にあたることです。昨年暮れにまと
まった平成14年度政府予算案によると、プラン達成に必要な予算は
確保できたことになっていますが、たとえ数値目標が達成されたとし
ても、その中身が問題です。日盲連は常に障害者の特性に基づいた、
きめ細かな施策の実現を求めてきましたが、残念ながらこの点は、ほ
とんど考慮されておらず、特に授産所や福祉工場への視覚障害者の参
加は実現していません。このままでは、少数派の視覚障害者は置き去
りになってしまう恐れがあります。
 従って、その第2となる「新障害者プラン(仮称)」の策定にあた
っては、障害種別・等級を配慮した、きめ細かなプランを作り上げて
いく必要があります。今のところ、どのような手順で新障害者プラン
が策定されるか不明ですが、時代の変化に対応できる、しかも実態に
即した実のあるものにしていく必要があります。おそらく向こう10
年間という長期計画になるものと予測されますので、「障害者プラン」
の二の舞にならないよう、充分練り上げ、盛り込んでいきたいと思い
ます。
 その3は平成15年4月1日から実施される支援費制度に対する対
応です。厚生労働省では、今年度末までに政省令をまとめることにし
ていますが、未だにその中身がよく分からないと言うのが実態です。
特に気がかりなのは、事業者と私達当事者が同等の立場で契約を結び、
必要なサービスの提供を受けることになるわけですが、事業者が必要
な質と量のサービス提供ができるかどうか、また事業者の認定を行う
のは各都道府県であり、実施主体は各自治体となることから、よほど
綿密な連携が取られない限り、スムーズに運営できるとは思えません。
私達視覚障害者にとっては、契約書の確認という大きな問題もありま
す。いずれにせよ支援費に移行することによって、今日の障害者福祉
が後退することがあってはなりません。そのためには私達自身、支援
費の内容をよく検討し、問題点があれば改善を求め、より良い制度に
作り上げていく必要があります。
 その4は、アジア太平洋障害者の10年最終年記念フォーラムへの
取り組みです。1993年にスタートした10年計画は、本年が最終
年となり、これに合わせ第6回DPI世界大会が、札幌と大阪で開催
されます。日盲連も今日まで大きく関わってきましたので、このフォ
ーラムにはいろいろな形で参加すると共に、多くの国が発展途上国で
あるアジア各国に対し、更なる福祉の充実を図るための方向付けをす
る必要があります。すでに組織委員会・実行委員会も設置されており、
着々と準備が進められていますので、その動きについても充分ご注目
いただきたいと思います。
 最後になりましたが、今、日盲連が抱えている最大の課題は、昨年
から持ち越しているアハキ等法第19条問題です。残念ながら昨年の
臨時国会では、目的を達成する事が出来ませんでしたが、これまでに
なく手応えを感ずることができました。去る12月21日に開かれた
理事会で、通常国会に向け、もう一押しすることになりました。詳細
については追ってご連絡いたしますが、ご理解ご支援をよろしくお願
い申し上げます。会員の皆様のご健康とご多幸を御祈念申し上げます。

 天馬空を行く
 日盲連副会長 齊藤 績
 あけましておめでとうございます。
 昨年は日盲連にとって誠に多事多難な年であったと思っております。
中でも、アハキ問題とそれに関連する法19条問題については、積極
的なご支援を賜り、感謝いたしております。ただ、私たちが願ってい
る方向とは行かなかったことが誠に遺憾なことだと思っております。
 職業の安定なくして、福祉はないと言われますが、まったくその通
りであり、時間をかけてでも、ぜひ私たちが目指すものを勝ち取らな
ければならないと思っております。それには団結こそが問題解決の鍵
になると確信しております。ご協力の程、重ねてお願い致します。
 今、日盲連が抱えている問題は山ほどあると思いますが、その中で
も、私が強く感じ、解決を急がなければならないものに、日盲福祉セ
ンターの狭さの解消です。日盲福祉センターを訪れたことのある方々
ならおわかりかと思いますが、地方から上京した会員はもとより、外
部からのお客様の居場所さえありません。早急に何らかの方策を講じ
なければならない問題だと思っております。
 次に、私が常に感じていることのひとつに、毎年の日盲連大会に出
される7、80件もの議題・要望の中から、ひとつでもよいから結論
を見い出し、それを提案者を始め、会員皆様に伝えられるようなシス
テムを構築しなければならないと思っております。
 話はがらりと変わりますが、今年の干支は午(馬)。馬と人との関
わりははるか昔からのことであり、そのためにか、馬にまつわるエピ
ソードもたくさんあるようです。曰く、馬齢を重ねる。曰く、馬脚を
現す。曰く、馬の耳に念仏。など馬を馬鹿にした言葉が多いけれども、
馬ほど利口な動物は他にありません。皆さんも、シンザン、ハイセイ
コー、テンポイントに勝る意気込みでペガサス共々天を駆けめぐりま
しょう。

 19条改正に全力
 日盲連副会長 関米一郎
 明けまして、おめでとうございます。
 皆々様のご繁栄と健康を祈念申し上げます。
 昨年は、全国盲人福祉大会での決議「あはき等法19条」に鍼灸を
加えるべきとの請願運動に皆さんの強力な結集のもと請願運動に終始
いたしましたが、結果は衆議院では取り上げもなく、参議院では自由
党の反対によって保留となってしまいました。
 その原因、要因は多くありました。これもその任にあたった私にあ
ります。深くお詫び申し上げます。これで責任を返して言い逃れをす
るつもりはありません。反省し、どうすれば実現するかを考えていか
ねばならない。皆さんからの提言もいただきながら、今度こそ実現す
べく全力を尽くす覚悟です。
 私の考えの一端を申し上げ皆さんの賛同をお願いいたしたいのです。
 まず、7団体推進協を解散し、改めて一致する団体と提携して取り
組むこと。次に、自民党一辺倒でなく、超党派に働きかけていくこと。
政治的に政治家を選び、理解を求めて、実現に近づけていくこと。笹
川会長が提唱している日盲センターの移転構想を推進して、今の日盲
センターを臨床研究所として、よい指導者の臨床を受けさせたり、論
文を集めて貸し出したり、常時常駐していただき、電話またはメール
等で質問に即答できる場とすること。さらに、筑波技短を4年制大学
として正規の教員養成を行うことなどです。
 いずれは19条に頼らなくてもよい職業的自立を図らなければなり
ませんが、今は晴眼者の急増を食い止めるには19条の改正しか方法
はないと私は考えます。
 一方、現実には、あはき師としての自信を持ち、法律がいう2坪以
上の治療室、1坪以上の待合室でなく、施設設備にも、それ相当の投
資をする覚悟が必要です。また、工夫によっては、ビルを活用する意
欲を持つ必要がありましょう。
 さらに、東京都のように特別養護老人ホーム、老人保健施設等に雇
用されるべく全国的に運動を展開して行く必要があると思います。
 確かに、福祉にも力を注がなければならないことは重々わかってお
りますが、働く意欲をどう引き出すかが先決と考えます。
 私は、反省し共鳴して下さる皆さんと全身全霊を尽くして、難問課
題に向かって頑張ることを新年にあたりお誓い申し上げます。

 職業的福祉の構築
 日盲連副会長 田辺建雄
 あけましておめでとうございます。昨年は21世紀最初の年、つま
り百年の1年目で相当緊張して送ったつもりであります。日盲連の運
動の中で、IT講習会、IT周辺機器の補助金、ガイドヘルパー講習
会、パソコンボランティアの養成講座、バリアフリーなど新規事業を
含め、多くのことが着々と進んでいると思います。
 しかし、我々の職業であるアハキ問題のうち、鍼灸養成学校の急増
について、国会請願をしたのですが、あまり進んでいないのが現状で
しょう。いろいろな理屈を言っている人もありますが、その前に憲法
では職業の自由をうたっておりますので、当然、視覚障害者の方が不
利であります。それで、その不利を職業的福祉をもって進めなければ
ならないと思っております。職業のないほど、みじめなものはありま
せん。そして生活扶助の対象となって、国家的損失にもなると思って
おります。
 日盲連は点ブロックやコンピューターなど一般福祉活動だけでなく、
職業的福祉に今年は重点的に取り組まねばならないと思います。
 国の方では、銀行が赤字になった場合、多くの税金を投入して、職
業的福祉に取り組んでおります。それと同じく、我々視覚障害者の不
利になっていることや、少数派になっている今、職業的福祉で補う必
要があろうと考えます。それによって、初めて憲法でいう職業の自由
がなりたって行くのではないかと考えております。そのために、日盲
連はこの考えを社会や国会議員に訴えることが真っ先ではないでしょ
うか。
 なお、私が担当していますスポーツ連盟協議会の方では、組織強化
をはかるため、アンケートをとっております。また、来る2月には、
初の全国ボーリング大会を福岡で準備を進めておりますので、ご協力
の程お願い致します。私も一生懸命がんばりますので、ご指導のほど
よろしくお願い致します。ではみなさま、今年もお元気で幸せな年で
ありますよう、心からお祈り致します。

4.桝屋敬悟厚生労働副大臣の新春メッセージ
 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 皆さま方には日ごろより障害者行政に多大なるご理解とご協力をい
ただき、心より恩礼を申し上げたいと思います。さて、21世紀はこ
の日本のみならず、世界中で社会、経済のあり様が大きく、しかも速
いスピードで変わって行くことが予想される時代です。特に、IT化
は私たちの家庭生活、職業、産業、経済などあらゆる生活場面に大き
な影響を与えつつあります。私はこうしたIT化が進展する社会の中
で、障害者の方々がITを積極的に利用して社会参加を進めていくこ
とが重要であると考えております。このため、障害者の方々のための
情報バリアフリーを支援する事業をすでに実施しておりますが、本年
度からは視覚障害者などの方々のパソコンや周辺機器等の使用につい
て支援をする、パソコンボランティア派遣事業や企業等のパソコン機
器等を無償で斡旋するパソコンリサイクル事業を開始するなど、さら
に、情報バリアフリーの推進を図ることとしております。
 また、本年は障害者プランの最終年度となりました。障害のある人
も、障害のない人も、共に地域において生き生きと暮らすことのでき
る社会を目指すノーマライゼーションの理念の下、全力で障害者プラ
ンの目標達成に向け、取り組んでいく考えであります。さらに、契約
による障害者福祉サービスの利用の仕組みであります。支援費制度に
ついて平成15年度からの円滑な施行が図られるよう、万全の準備を
進めているところであります。
 厚生労働省の発足から1年が経過いたしました。改めて厚生省で行
ってきた障害者福祉施策と労働省で行ってきた雇用促進施策のさらな
る融合を図り、より障害者の方々の視点に立った、効果的、総合的な
施策の推進に努めていきたいと考えております。本年もノーマライゼ
ーションの理念の下、障害のある方々が様々な分野で活躍することが
できるよう、引き続き障害者施策の推進に全力で取り組んで参る所存
でありますので、皆さまの一層のご支援、ご協力をお願い申し上げ、
私の新年のご挨拶とさせていただきます。

5.衆院では審査されず 参院は保留 19条改正
 臨時国会が12月7日、閉幕したが、日盲連(笹川吉彦会長)が加
盟組織をあげて精力的に要望・陳情運動していた「アハキ師法19条
改正に関する国会請願」は、残念ながら衆院では審査にかけられず、
受理(受け付け)されただけに終わり、参院でも審査されたが「保留」
に止まり、採択はされなかった。
 とはいえ、視覚障害アハキ師の職域を守るためには野放しの晴眼養
成施設の「はりきゅう科」新増設を規制するしか方法はなく、また、
衆参両院ともアハキ師法19条改正の国会請願をにべもなく「不採択」
とはしなかったことから、日盲連では1月に始まる通常国会に再度、
改めて同じ内容の国会請願運動を行う方向を模索し始めた。
 衆院では政権与党である自民党が党の政務調査会(19条改正では
同調査会の社会部会)で、意見の一致をみない案件は、国会議員1人
ひとりの請願の紹介を認めない“党議拘束”をかけていることから、
自民党議員からは1通の国会請願も出されなかった。このため、厚生
労働委員会の審査にかけられず、平成11年の国会請願運動と同じ結
果になった。
 自民党の社会部会で意見の一致をみなかった理由としては、巷間い
われているように(1)業界団体の足並みが必ずしも19条改正で一
致していないこと(2)養成施設の設置基準を引き上げるなど行政指
導の運用強化などをまず行うべきであること(3)福岡地裁判例(柔
整師の養成施設規制は違法)が重いこと、などだったという。
 ちなみに、衆院で19条改正の国会請願が受理(受け付け)された
件数は44件(国会議員41人)だったが、党派別では民主党26人、
公明党、社民党が各4人、無所属が3人、共産が2人、保守党と自由
党が1人ずつで、自民党議員は皆無だった。なお、自民党議員を紹介
議員に提出された日盲連の「アハキ師法19条改正に関する国会請願」
は、ほとんど窓口だった8代英太議員あずかりになっているという。
 一方、参院では衆院とは異なり、請願は自民党議員からも出され、
採択するかどうか、12月6日の厚生労働委員会理事会理事会で審査
された。多くの委員(国会議員)が賛成したが、一部委員に反対があ
り、請願採択の条件が全会一致であるため、請願は採択でもなく、不
採択でもない「保留」になった。ただ、反対した議員もこの法19条
改正問題も含めて、視覚障害者の自立の手段をどう確保するか前向き
に検討することには異論はなく、そのための議員連盟を立ち上げる方
向が検討されている。
 なお、参院で、日盲連の「アハキ師法19条改正に関する請願」を
行った件数は79件(国会議員66人)。党派、会派別では、「自由
民主党・保守党」41、「民主党・新緑風会」15、公明党6、日本
共産党2、無所属の会2だった。

 [通常国会にも19条改正の国会請願模索]
 笹川日盲連会長は12月7日、八代英太、阿部正俊、中島眞人議員
ら自民党議員を訪問、改めて19条改正を陳情、要望した。つまり、
両院とも“不採択”ではない、まして参院では“保留”であり、しか
も、衆院では自民党抜きとはいえ41人、参院では各党各派から66
人もの議員が紹介議員になってくれたことから、採択に脈ありという
判断だ。
 これを受けて、ある有力議員からは「不採択ではないのだから、国
会議員の理解を深めるためにも、再度次期通常国会に同じ内容の国会
請願を行うべきだ。鍼灸マッサージを考える国会議員の会の動きと2
本立てで運動すべきだ」とアドバイスがあった。さらに、アハキ師の
職場開拓も含めて視覚障害者の雇用・就労を考えるよい機会だという
助言もあり、日盲連では1月召集の通常国会に再度改めてアハキ師法
19条改正を国会請願する道を模索することにした。

 [山梨視障協の19条請願 県議会で採択]
 日盲連の各加盟団体は、地元県議会に対し19条改正の請願運動を
展開しているが、山梨県視覚障害者福祉協会(花形幹雄会長)が山梨
県議会に提出していた請願が12月の定例県議会で採択された。19
条に関する同様の請願はこれまで、鳥取、福井、長野、愛知の四県で
採択されている。

6.視覚障害関係19人に厚生労働大臣表彰
 第51回(平成13年度)厚生労働大臣表彰が12月5日、霞が関
の中央合同庁舎で行われた。表彰された76人と一団体のうち視覚障
害関係は19人。お喜びの方々は次の通り(敬称略)。
 自立更生者:青木利吉(65、茨城県、マッサージ業主)、石井光
雄(61、埼玉県、三療業主)、齊川庄一(67、千葉県、理学療法
士)、大熊重雄(78、東京都、マッサージ業主)、湯本一(68、
神奈川県、鍼・マッサージ業主)、岩本節郎(66、愛知県、三療業
主)、中西久惠(62、京都府、マッサージ業主)、谷田眞盛(73、
愛媛県、同)、道免肇(60、福岡県、同)、早瀬道雄(66、長崎
県、三療業主)、菅原静子(69、宮崎県、同)、廣瀬仁彦(67、
姫路市、マッサージ業主)
 更生援護功労者:駒崎倭夫(74、北区盲人福祉協会元会長・現副
会長)、久米清美(54、徳島県視覚障害者連合会会長)、春山正夫
(77、加世田市身体障害者協会副会長)、甲斐常夫(67、元福岡
市視覚障害者福祉協会理事・現監事)、野村木一郎(80、宇都宮市
身体障害者福祉会連合会理事)
 社会参加促進功労者:木村武司(83、新潟県点訳委員)、茂木幹
央(65、日本失明者協会理事長)

7.障害者白書テープ版 注文は日盲連へ
 日盲連録音製作所は「平成13年版障害者白書」のカセットテープ
版を作り、全国の日盲連加盟団体や点字図書館、盲学校などに配布す
るが、個人的に購入を希望する方には、実費で頒布する。
 90分テープ全6巻で収納型ブックケース入り。価格は1セット消
費税込みで3000円。注文は日盲連録音製作所まで(電話03―3
200―6172)。申し込み締め切りは2月末日。テープの発送は
3月下旬の予定。支払いは同封の郵便振込用紙で。

8. 訃 報
元全日本鍼灸マッサージ師会会長の関野光雄氏が平成13年12月
31日逝去された。85歳。告別式は平成14年1月4日、京都市の
シティーホール西ノ京玉泉院でしめやかに行われた。

 関野光雄氏のご逝去を悼む
 日盲連会長 笹川吉彦
 平成13年12月31日夜、元全鍼師会会長関野光雄氏が逝去され
たとの報を受け、またもや偉大な指導者を失ったとの思いで一杯でし
た。享年85歳とのこと。
 関野氏はかつて、日盲連理療部会(現アハキ協議会)会長として敏
腕をふるわれていたこともあり、「盲人の三療を守る」という立場か
ら大いに活躍しておられました。その後、全鍼師会に移られ、同会の
法人化を実現するなど多くの業績を残しておられます。
 大変な論客で、故村谷名誉会長とは激論を交わす場も多々ありまし
たが、「盲人の権益を守る」という言葉は常に共通していました。1
年のうちに2人の偉大な指導者を失ったということは、大きな痛手で
すが、私たちはそのご遺志を継ぎ、我が国盲人のはり・きゅう・マッ
サージ業における立場を堅持するため、全力を尽くしたいと思います。
心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りします。

9.日本手技療法学会の平成13年度第13回学術大会・臨床実技研
修セミナー開催のお知らせ
 会期:平成14年2月24日(日)~25日(月)
 会場:熱海ニューフジヤホテル(〒413―0013 静岡県熱海
市銀座町1―16、TEL0557―81―0111)
 日程:
【2月24日(日)】
○学術大会
 ・委託研究報告
 「体性感覚刺激の生体機能に及ぼす影響」(日本手技療法学会会長
・佐藤昭夫先生)
 「手技療法の生体内活性酸素産生に対する効果」(筑波技術短期大
学付属診療所所長・青柳一正先生)
 ・一般研究報告 10題
 ・分科会(実技指導)
【2月25日(月)】
○臨床実技研修セミナー
 「距腿関節モビリゼーションの実際」(神奈川衛生学園専門学校・
富井利一他)
 「胃の疾患に対する指圧」(日本指圧協会・木下誠)
 *参加費
 正会員・準会員:1万円、
 当日会員:1万7000円、
 学生:3000円
 昼食費(24日):2100円
 その他、宿泊費等詳細についての問い合わせは左記へ。
 日本手技療法学会事務局
(〒101―0042千代田区神田東松下町37―4、電話03―3
252―8811、FAX03―3552―8813)
 申込締切:2月1日(消印有効)