令和4年度第3回全国団体長会議開かれる

2023年2月28日

 令和5年2月15日、第3回全国団体長会議が日本視覚障害者センター研修室をホスト会場にして、オンラインで開催されました。
 
 会議は、全国の加盟団体の代表者(代理含む)が参加し、後藤英信日本視覚障害者団体連合常務理事の司会、堀口俊二山梨県視覚障がい者福祉協会会長と楠本光男愛媛県視覚障害者協会会長の議事進行により進められました。
 
 まず、徳島県視覚障害者連合会の会長を務められた故久米清美氏のご逝去に黙祷を捧げ、竹下義樹会長からは、これまでの先人の実績を学びつつ新たな時代の流れを見据えて障害当事者としての運動を工夫する必要があるとの挨拶がありました。

 続く研修会では、「障害者差別解消法の基本方針の改定について」と「国連障害者権利委員会の対日審査における総括所見について」の二つのテーマが取り上げられました。
 「障害者差別解消法の基本方針の改定について」は村山芽衣子内閣府政策統括官(政策調整担当)付参事官(障害者施策担当)付参事官補佐から、また、「国連障害者権利委員会の対日審査における総括所見について」は石川准静岡県立大学名誉教授から説明があり、田中伸明名古屋市視覚障害者協会会長からは国連障害者権利委員会の対日審査に立ち会った経験から意見が述べられ、関連して質疑が行われました。
 
 障害者差別解消法は、買い物の際などにタッチパネルを操作する必要がある場合に店員に支援を求める根拠となり得るかとの質問に対しては、根拠になり得るが合理的な配慮の具体的な在り方は個々に異なること、合理的配慮とは別に環境整備という観点も合わせて考える必要があることが説明されました。
 また、インクルーシブ教育を進めるほかに盲学校の専門性を高める必要もあるのではないかとの質問に関しては、盲学校も必要であるとした上で、その価値を高める方法を既存のやり方に依存するだけでなく時代の要請に合わせて工夫する必要があるとの説明がありました。
 加えて、理療教育を含めあはきが厳しい状況にあるが、視覚障害者の伝統的な文化としての価値、日本だけでなくアジア諸国に広がりをみせている価値も視野に入れて考える必要があることが述べられました。
 協議事項、意見交換では、令和5年度事業計画及び運動方針について三宅隆組織部長から説明があり、竹下会長からは国連の総括所見を生かすべきこと、年金を含む所得保障の充実を求める必要があること、あはきの無資格者の放置状態から有資格者を護るべきことが述べられりました。
 これについて、駅における安全対策の他に利便性を損なわないよう国交省と鉄道会社に要請していく必要があること、踏切と一般道との境での点字ブロック設置はガイドラインに明記されており要望の根拠となること、踏切内についてはエスコートゾーンのようなものの写真が載っているが文章としては明記されておらず、どのような対応策が適当か引き続き検討して安全対策を求めていく必要があることが説明されました。
 そのほか、電動キックボードが歩道を走行可能になるのは視覚障害者にとって危険であること、視覚障害者が小中学校から講師として招かれることがあるが、道徳教育(障害者を保護すべきとの意味合いが強い)だけでなく人権教育(障害者も同じ権利を持つ)も含めて考えるべきこと、眼科と連携した相談支援は重要だと思うが日視連ではどのように考えているか確認したいこと、同行援護に係る報酬が低いため事業所の撤退やガイドヘルパー不足がみられるので報酬のアップを求めるべきことが述べられました。
 これらに対して、電動キックボードの扱いに関しては既に安全対策の要望書を出しているが更に安全確保を要請していくこと、人権という視点は重要であり共有されてきていること、眼科医と連携した相談支援については来年度も研究を進め実践に向けて検討したいこと、同行援護に係る報酬の引き上げはヘルパーの資質向上と抱き合わせで求めていく予定であることが説明されました。
 
 最後に、橋井正喜日本視覚障害者団体連合常務理事から第76回全国視覚障害者福祉大会(奈良大会)について説明があり閉会となりました。