第72回障害者政策委員会開かれる

2022年11月11日

 令和4年10月24日、内閣府の「第72回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館6階623会議室をホスト会場としてオンラインにより開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回は障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針改定について、並びに障害者基本計画(第5次)について、事務局の説明の後で審議が行われました。

 議題1の基本方針改定について竹下会長は次の2点を発言しました。

1.障害を理由とする差別に関する相談対応の基本的な考え方のところで、『紛争解決のための措置による対応が考えられる』とあるが、「紛争解決や被害からの救済のための措置」とすべきである。障害者権利委員会の総括所見において救済手続きが指摘されており、議題2の基本計画では被害からの救済が明記されていることから、基本方針でも明記すべきと考える。

2.資格試験における合理的配慮が述べられているところで、『民間資格の試験を実施する事業者に対しても同様に、試験の実施等に当たっての合理的配慮の提供を促す』とあるが、私学への入学が制限されている実態を踏まえて「私学への入試や民間資格の試験を…」としてもらいたい。

 これに対し事務局からは次のような回答がありました。

1.被害からの救済がどの範囲までを意味するのかが難しく、また、差別解消法上では「相談及び紛争の防止等のための体制の整備」と表現されていることから案の記述としました。「被害からの救済」が「紛争解決」に含まれると解釈できないだろうか。

2.私学の入試については民間部門でも合理的配慮が義務化されれば、わざわざ記述しなくても配慮がなされるものと思うが、関係省庁と協議して検討したい。

 関連して竹下会長は、「紛争解決」に「被害からの救済」が必ずしも含まれるとは限らない旨を指摘し、石川准委員長とのやりとりを交えて、「再発防止」という表現を適切な箇所に盛り込むことについて事務局に検討してもらうこととなりました。

 議題2の障害者基本計画(第5次)については竹下会長から次の趣旨の発言がありました。

1.『差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止』のところでは、『障害者虐待防止法等の適正な運用を通じて障害者虐待を防止する』とされており現行法の枠内での取り組みになっているが、国連障害者権利委員会の総括所見を踏まえるなら、「障害者虐待防止法の見直しを含む検討」という表現を入れてもらいたい。

2.『各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、試験の実施等に当たり障害特性に応じた合理的配慮を提供する』と書かれており、国家資格に限定された記述になっているが、「各種の国家資格を含むあらゆる資格の取得等において…」と改めてもらいたい。関連して内閣府にお願いしたいが、2005年の障害者施策推進課長会議において「資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮について」という文書が作成されており、これが各種試験における配慮の基準になっているようなので、差別解消法を踏まえた形で見直してもらいたい。

3.交通機関の安全に関連して、無人駅の問題への言及がない。今後、無人駅が増えると予想されるが、その安全対策と利便性の確保を盛り込むにはどのように記述したらいいか、ハード面とソフト面の両方にかかわる事柄であるだけに難しいが、是非盛り込んでもらいたい。

 他にも様々な意見がありましたが、日常生活用具の給付に係る品目と基準額が現状に照らして不十分な面があり、また、自治体により格差が生じているとの指摘が複数の委員からなされました。これに対し厚生労働省から、自治体が実施主体となっている地域生活支援事業の枠組みで行われていることから一律に対応することは難しいとの回答がありましたが、石川委員長は、制度的枠組みを理由として「難しい」と答えるだけでは不十分であり納得できないと指摘しました。