第123回社会保障審議会障害者部会開かれる

2022年3月23日

 令和3年12月3日、厚生労働省の「第123回社会保障審議会障害者部会」がベルサール飯田橋駅前(1階)においてオンライン参加も交えて開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。

 今回の議題は障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて(中間整理(案))であり、基本的な考え方、障害児支援、引き続き検討する論点の3つの柱が設定され、3番目の柱には居住支援、相談支援、就労支援、精神障害者等に対する支援、障害福祉サービス等の質の確保・向上、制度の持続可能性の確保、居住地特例、高齢の障害者に対する支援、障害者虐待の防止、そして新たに地域生活支援事業、意思疎通支援、療育手帳の在り方が盛り込まれました。
 前回の議論を踏まえて修正・追加した要点について社会・援護局障害保健福祉部の企画課から説明があり、それを踏まえて議論が行われました。

 竹下会長は、次のような趣旨の意見を述べました。

1.意思疎通支援事業の代筆・代読支援に関して「十分なサービスが行き届いていないとの意見があることから、必要なサービスを受けることができるよう、現行制度の運用について必要な見直しを検討する必要がある」との記述があるが、運用面の見直しだけで全国の自治体で支援を受けられるようになるかは疑問である。代筆・代読支援等の意思疎通支援は、地域生活を成り立たせインクルーシブな地域社会を実現する上で欠かせない支援であり、どの地域に住んでいても確実に支援を受けることができるよう環境を整えることが求められる。

2.インクルージョンを盛り込んでいただいたことは評価したい。ただ、併行通園をインクルージョンと捉えることはできないと考えている。本来、障害児と健常児が同じところで過ごせるよう包摂するのがインクルージョンである。現実には分離した形で障害児への特別支援が行われており、併行通園は、その分離したものをつなぐ移行のための手段の一つといえる。地域において子どもたちの発達の場・共通する場をどのように保障するか考える必要がある。心のバリアフリーの観点からいってもインクルージョンの環境づくりが重要になる。インクルージョンを十分に維持した制度設定をお願いしたい。

 なお、津久井やまゆり園で発生した殺傷事件を踏まえて、構成員である黒岩祐治(くろいわゆうじ)神奈川県知事から「当事者目線」の重要性を強調する発言がありました。
 それに対し、当事者でない人が「当事者目線」を言った場合に肝心の当事者が置き去りにされかねない、言葉が一人歩きしてしまうといった懸念が複数の委員から指摘され、会議終了に当たり、部会長からも「当事者目線」の用い方には工夫が必要であるとの発言がありました。