日盲連 大会決議事項各省庁に陳情
社会福祉法人日本盲人会連合(竹下義樹会長)では、6月25日の午前に開かれた理事懇談会で、第67回全国盲人福祉大会の決議処理に基づく要望事項をまとめ、午後から関係各省庁等への一斉陳情を行いました。この日訪れたのは警察庁、厚生労働省、文部科学省、日本郵便、経済産業省、財務省、金融庁、総務省、内閣府。このほか会計検査院、国土交通省、人事院へは後日陳情を行う予定。陳情項目の概要は次の通りです。
【警察庁】
(1)ボタンの位置を音声で確認できる歩車分離式信号機や押しボタン式信号機の設置推進
(2)LED付音響信号機(弱視者対応信号機)設置推進
(3)音響式信号機の音声稼働時間延長を
(4)横断歩道へのエスコートゾーン敷設推進
(5)横断歩道やスクランブル交差点において自転車を押して歩くことのルール徹底を
(6)音の静かな自動車の危険防止対策として静音対策のより強力な推進
(7)暴走自転車取り締りの徹底対策を
(8)整体やカイロプラクティック等の養成所排除、あはき無資格類似業者、柔道整復師の違法行為の徹底取り締まりを。
【厚生労働省】
(1)介護保険制度のケアマネージャーや総合支援法の相談支援員、居宅支援のホームヘルパー等への、「視覚障害者への支援」に対する教育の充実を要望
(2)65歳以降も介護保険にない「障害福祉サービス」が受けられるよう改善を要望
(3)「代読」「代筆」をコミュニケーション支援の必須事業とし、「代筆」「代読」のみの使用を可能に
(4)地域生活支援事業の「点字・声の広報等発行」を必須事業に
(5)同行援護事業では、個人のニーズに合った支給量が確保できるよう市区町村への徹底指導を
(6)同行援護の身体介護を伴わない移動支援費のアップ、地域間格差の是正、サービスの充実、手続きの簡素化を要望
(7)同行援護制度の理念を熟知した自治体の担当者の配置で、利用者、事業所、ガイドヘルパーの相談対応を要望
(8)同行援護の利用者の自己負担を無くしてほしい
(9)事業所に緊急時を含めヘルパーの24時間対応の指導を要望
(10)質の高いガイドヘルパーの養成に関するシステム作りを要望
(11)入院中の外出について、同行援護事業が利用できることを自治体に周知してほしい
(12)視覚障害者の入院時における院内のサポートは、病院が責任を持って対応すること。病院での対応が困難な場合は、ホームヘルパーが利用できるような制度改正を要望
(13)入院時にホームヘルパーが利用できるよう、制度の改正を要望
(14)介護保険の通院介助について、院内介助もできることをケアマネージャーに周知してほしい
(15)補装具の給付品目や耐用年数の見直しを要望
(16)日常生活用具の給付品目や耐用年数の見直しと、地域間格差を是正するために国が一定の指針を明確に示すことを要望
(17)同一家庭内に晴眼者がいる場合でも、必要な日常生活用具が支給されるよう市町村に指導を
(18)国の消費税増税に伴う障害基礎年金の引き上げ、または手当の加算を要望
(19)物価スライドによる基礎年金引き下げを止め、現状の金額の維持を強く要望
(20)中途失明者の日常生活訓練を地域で継続して受けられるよう、各都道府県に歩行訓練師等視覚障害生活訓練等の指導者を必ず配置し、視覚障害者のリハビリテーションの構築を都道府県に指導してほしい
(21)中途失明した視覚障害者に対し、歩行訓練や生活訓練を医療の一環としてリハビリテーションに位置づけ、全国一律のサービスとして制度化を要望
(22)視覚障害等級判定は、両眼視力の和ではなく、左右の視力のうち、よく視える方の視力のみで判定するように改めることを要望
(23)国に重度障害者医療費窓口無料化の制度もしくは同制度を実施する自治体へのペナルティの撤廃を要望
(24)処方薬や市販薬の名称や注意書きなどの商品情報が視覚障害者にも理解できるよう、点字や音声コードやQRコード化して情報提供するシステムづくりを。
【厚労省職業関係】
(1)あはき法19条の堅持を要望
(2)あん摩マッサージ指圧師はり師灸師の定義を明確に
(3)整体やカイロプラクティック等の養成所を排除し、鍼灸マッサージ業の無資格類似業者の取り締まりを徹底するとともに、柔道整復師の違法行為を徹底的に取り締まることを要望
(4)療養費(鍼灸)の医科診療との併用を認めてほしい
(5)按摩・マッサージ・指圧師が行うマッサージを診療報酬制度に復活させ国家資格者にふさわしい診療報酬の格付けを要望
(6)重度の視覚障害者あはき師が施術所等の自営業を営む場合、職場介助者として従業員を雇用する際の給与の一部を公的に補助する制度の新設を要望
(7)視覚障害者雇用の促進と職場での能力が十分発揮できるよう、通勤、業務、出張等の障害を補う合理的配慮を要望
(8)障害者差別解消法の施行にあたり、視覚障害者の就労・就業支援に対し、代読・代筆や出張の際の人的支援等の合理的配慮の構築を要望
(9)政府の指針として地方公共団体に対し、視覚障害者あん摩マッサージ指圧師をヘルスキーパーとして雇用するよう指導してほしい
(10)視覚障害者の職域拡大のため高齢者福祉施設等でのマッサージ師雇用の法的義務化を要望
(11)介護保険における通所リハビリおよび訪問リハビリの担い手として視覚障害者マッサージ師の採用を要望
(12)視覚障害者が就業可能な職業を世界的に調査し、新職業の開拓を要望
(13)技術向上のため、国家試験の実技の復活もしくはこれに代わる実技の認定制度の検討を要望。
【文部科学省】
(1)近年、視覚障害者のあはき免許の国家試験の合格率や就職率が低下していることに鑑みて、教育体制のあり方や充実を図ることを要望
(2)あはき法第18条の2を廃止する。ただし、中卒の中途視覚障害者が存在する現状に鑑み、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、18歳に達したものを対象とした個別入学資格審査制度(学校教育法施行規則第150条第7項)を盲学校専攻科に適用する制度改善を要望
(3)障害者スポーツの振興として、各競技大会における、視覚障害競技者にとって不可欠なガイド・伴走者の養成・補助を選手強化の一環として位置づけし、制度を確立して大会等へ参加しやすい環境づくりを要望
(4)スポーツ施設の利用に際し、ナショナルトレーニングセンターを障害者アスリートにも開放し、一般のスポーツ施設でも、視覚障害者の利用しやすい環境づくりがなされるよう要望。
【日本郵便株式会社】
(1)インクジェット用葉書をはじめ、郵便局で購入可能なすべての種類の葉書に切り込みを入れてほしい。
【経済産業省】
(1)全ての食品及び、日用品の容器並びに詰め替え用パッケージに点字表示の徹底、もしくはユニバーサルデザイン化を要望
(2)処方薬や市販薬について、名称や注意書きなどの商品情報が視覚障害者にも理解できるよう、点字や音声コードやQRコード化して情報提供するシステムづくりを要望
(3)視覚障害者屋内用点・線ブロックの早急なJIS化を要望
(4)全ての公共施設や駅構内のトイレに音声案内や点字表記を設置するとともに、操作ボタンや緊急ボタンの位置及び操作方法の統一を要望
(5)障害者用交通系ICカードの作成を要望
(6)スマートフォンやタブレット端末等の新たな情報端末を視覚障害者も容易に活用できるよう要望
(7)フューチャーホンの販売継続を各メーカーに要望
(8)店舗のポイントカード申込の際、代筆が認められるよう要望
【財務省】
(1)国の消費税増税に伴う障害基礎年金の引き上げ、または手当の加算を要望
(2)物価スライドによる基礎年金引き下げを止め、現状の金額維持を強く要望
【金融庁】
(1)クレジットカードの契約やローン等の契約行為において、行員立ち会いの下、家族やガイドヘルパーや銀行員等による代読代筆が可能となるよう要望。
【総務省】
(1)テレビ放送におけるニュース番組の字幕スーパー、テロップ、および緊急、臨時放送チャイムの後の字幕スーパーの音声化を要望
(2)テレビ放送における外国語の説明はテロップのみではなく、通訳の音声も入れた形で放送してほしい
(3)行政機関からの情報、選挙公報などを権利条約の理念に基づき、点字・音声・拡大文字など必要な媒体で作成するよう要望。
【内閣府】
(1)障害者権利条約の理念を広く国民に広めると共に、さまざまな場面での合理的配慮を要望
(2)災害時における視覚障害者に対する支援体制の充実を要望
(3)災害時においては、視覚障害者のための2次避難所をあらかじめ確保されるよう要望
(4)「東日本大震災被災視覚障害者支援対応要望書」を岩手県と宮城県と仙台市と福島県に提出した。要望内容を早急に取り組んでいただくよう指導してほしい
(5)障害の種別や有無にかかわらず、子供から高齢者まで誰もがともに安心して暮らせる社会づくりを推進する観点から「ユニバーサルデザイン社会」を政府の重点施策として明確に位置付け、省庁横断的な施策推進本部を設けて、実効性ある施策の推進を要望。