第62回全国盲人福祉施設大会決議事項

2014年7月7日

 第62回全国盲人福祉施設大会で決議された事項は次の通りです。

 (1)選挙公報は、国民の基本的人権である参政権行使のための重要な情報源であり、「公職選挙法」では国政等の選挙で発行が義務づけられています。視覚障害者等のために発行される点字版・音声版・拡大文字版の「選挙のお知らせ」も、選挙公報として発行が義務づけられることを強く要望します。
 また、「選挙のお知らせ」が有権者に届けられていなかったり、投票所においては、秘密保持の問題事例や盲ろう者等視聴覚障害者が適切な支援がないために選挙権が行使できなかったりしています。都道府県の選挙管理委員会に対し、こうした事例が改善されるよう指導強化を切に要望します。

 (2)点字出版所は視覚障害関係事業の中で最も古い歴史があり、視覚障害者の社会進出と社会参加を支えて来ました。主な事業である点字教科書・点字図書・点字版選挙公報・各種広報誌の安定供給には、点字製版機や印刷機を常に万全の状態に維持する必要があります。そのため、点字製版・印刷機の新規購入や保守管理等の費用について補助されることを強く要望します。

 (3)視覚障害者情報提供施設においては、パソコンをはじめ、携帯電話・スマートフォン、デジタル読書機など情報機器やソフトの多種多様化に伴い、視覚障害者から操作支援が日常的に求められています。この時代背景を受け、厚生労働省令に定められた「点字図書館の職員の配置の基準」に情報支援員を必須とし、ICT技術の積極的な活用と電子書籍を含むデジタル資料の情報提供を可能とする環境が早急に整備されることを要望します。

 (4)障害者総合支援法の施行に伴い、情報アクセス及びコミュニケーションに困難のある障害者が、障害の有無によって分け隔てられることがない共生社会を実現するため、地域生活支援事業としての意思疎通支援事業に点訳や音声訳、読み書きを支援するための代読・代筆が明記されました。
 今後、視覚障害者情報提供施設は同事業への積極的な関与が求められることから、各自治体においては、情報サービス部会加盟施設等関係団体との連携の下、人材養成等事業実施体制の整備を早急に進めることを要望します。

 (5)盲人ホームから就労継続支援、就労移行支援等の障害福祉サービスへの円滑な事業移行のための定員基準、設置基準、配置基準等の要件緩和を要望します。

 (6)盲導犬等の候補犬の訓練活動における公共交通機関や公共施設等の取り扱いについて「盲導犬に準ずる扱い」とする検討をしていただいているところですが、早急に円滑な訓練活動に資するよう要望します。

 (7)同行援護事業について、通勤・通学・通所においても適正なアセスメントとサービス利用計画の下、利用できるよう要件の改善を要望します。

 (8)視覚障害高齢者が盲養護老人ホームへの入所を希望する場合は、市町村役場は出来るだけその申請を許可するよう要望します。

 (9)65歳以上の身体障害者がグループホームへの入所を希望する場合は、市町村役場は当該入所希望者が64歳までに障害福祉サービスを受けていた、いないに関わらずその申請を許可するよう要望します。

 (10)情報弱者といわれる視覚障害者が最低限の生活が送れるよう、日常生活用具及び情報機器等の用具を役所から情報発信してもらえる事を、要望します。