あはき法19条訴訟 東京地裁第9回口頭弁論

2018年6月1日

 平成医療学園グループの横浜医療学園専門学校が、国に対しあマ師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟の第9回口頭弁論が、5月16日、東京地裁103号法廷で行われました。法廷傍聴には、98枚の傍聴券を求めておよそ120名がつめかけました。口頭弁論では、これまでの平成医療学園側の主張を整理した書面が提出されました。

 要点は、1.違憲審査基準として、従来最高裁がとってきた「明白性の基準」ではなく、「厳格な合理性の基準」を採用し、より慎重に判断すべきであるとの原告独自の考え方が示されたこと 2.あはき法19条制定当時からは、視覚障害者を取り巻く経済状況が大きく変化し、現在では健常者向け養成学校の新設を制限して視覚障害者の生計の維持を図るという同条の規制目的は妥当しなくなったこと 3.マッサージ師の総数に占める健常者の割合と、視覚障害を持つマッサージ師の生計の困難さには関係がなく、マッサージ師全体に占める健常者の割合を斟酌して健常者向け養成学校の新設の可否を判断する法の基準は不合理であること 4.原告は、法令違憲の主張に加え、他の専門学校では昭和57年に定員増加が認められたのに、平成医療学園で認められないことは、憲法14条の平等原則に反するという適用違憲の主張も行うとしたことなどです。

 次回口頭弁論で、国から、平成医療学園の主張に対する全般的な反論が行われる予定です。閉廷後、場所を東京都盲人福祉センターに移し、研修会を開催しました。ここでは関係者およそ70名が参集、活発な意見交換会となりました。挨拶に続いて口頭弁論解説、全日本視覚障害者協議会、日本理療科教員連盟、日本あん摩マッサージ指圧師会、日本盲人会連合の各団体から活動報告が行われました。その後、口頭弁論の内容についての突っ込んだ質疑応答があり、会の終わりには、今後、さらに裁判官に対して視覚障害者の意思を示すことが重要になるため、はがき陳情などを積極的に行っていくべきだとの方針が確認されました。

 次回の第10回口頭弁論は7月25日(水)11時30分から、東京地裁103号法廷で行われます。それ以降の進行予定は未だ決まっておらず、次回、裁判所がどのような考え方を示すかが注目されます。