赤羽国交大臣に「鉄道駅の安全対策に関する要望書」を提出

2020年9月23日

 9月23日、日本視覚障害者団体連合 竹下義樹会長と三宅隆情報部長が国土交通省(東京都霞ヶ関)の大臣室を訪れ、赤羽一嘉国土交通大臣に「鉄道駅の安全対策に関する要望書」を手渡しました。今回の面談は、JR阿佐ヶ谷駅の事故発生後、現場に足を運び調査を行った公明党の高木美智代衆議院議員、岡本三成衆議院議員などの働きかけにより実現したものです。

 竹下会長は「これまでホームドアの整備が進んでいくことで視覚障害者が安心して鉄道駅を利用できるようになってきている。しかし、未整備の駅がまだまだあるため、阿佐ヶ谷駅のような事故が起きてしまっている。引き続きスピード感を持って整備してほしい」と要望しました。また、新型コロナウイルス感染防止に伴う「新しい生活様式」により、声かけが減っていることにも触れ、駅係員等からの声かけを促すようにとソフト面での対応についても述べました。
 赤羽国交大臣からは、ホームドアの整備について駅単位の整備目標に加えて番線単位での目標を定めること、利用者10万人未満の駅であっても必要なところへの整備を促進すること、更なる声かけの強化を推進すること、ICTを活用した安全性向上についても検討すること、今後、駅ホームにおける視覚障害者の安全対策検討会を設置することなどについて報告がありました。

【写真】
左から高木美智代衆議院議員、岡本三成衆議院議員、赤羽一嘉国土交通大臣、竹下義樹会長、三宅隆情報部長

日視連発第72号 
令和2年9月23日 

  国土交通大臣
     赤羽 一嘉 殿

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 
会長 竹下 義樹 

 

鉄道駅の安全対策に関する要望書

 

 日頃より、バリアフリー社会の実現に向けて日々ご尽力いただいておりますことに心より敬意を表します。

 さて、貴省の取り組みにより鉄道駅の安全対策はハード面・ソフト面の両面において向上しつつあり、安全な鉄道利用を望む全国の視覚障害者は貴省の取り組みに大きな期待を寄せています。しかしながら、今年に入っても視覚障害者の駅ホームからの転落事故は後を絶たず、多くの視覚障害者は、その期待の裏で不安を感じながら鉄道を利用しています。

 ついては、貴省の鉄道駅における安全対策を更に推進するため、次の要望を行います。要望の実現を通して、視覚障害者を含む全ての鉄道利用者の安全確保に努めていただきますよう、お願い申し上げます。

1 ハード面の安全対策
(1)鉄道駅のホームドア整備を更に推進し、ホームドアが必要な駅への早期設置を実現してください。
【説明】
 ここ数年、ホームドア設置目安の利用客数10万人以下の駅において、視覚障害者のホーム転落事故が頻発しています。特に、視覚障害者にとってホームの構造が分かりづらい駅、多くの視覚障害者が利用する駅には、ホームドアの設置を求める声が高まっています。
 また、ホームドアが設置予定となった駅での転落事故もあることから、設置計画の前倒しを求める声もあります。特に、複数の鉄道会社の車両が乗り入れを行う駅ではホームドアの設置が遅れていることから、設置計画の前倒しを求める声が高まっています。
 そのため、設置基準の大幅な緩和、設置計画の前倒しを行うために、貴省のホームドア整備計画の再検討、鉄道事業者及び自治体への更なる補助等を求めます。

(2)視覚障害者が安全に利用できる新型ホームドアが早期に開発されるよう、関係機関への働きかけ・支援を行ってください。
【説明】
 ホームドアを早期に設置するためには、コスト等が負担とならない新型ホームドアの開発が重要と思われます。しかしながら、コスト面等を重視しすぎて、視覚障害者にとって利用しづらい仕様も見受けられます。そのため、ホームドアが早期に設置されること、視覚障害者を含む鉄道利用者が確実に利用できることを両立させた新型ホームドアの開発推進を求めます。
 なお、新型ホームドアの開発においては、開発時点で視覚障害者が参加し、視覚障害者の利便性を盛り込むことも必要です。

(3)視覚障害者が確実に認知できる内方線付き点状ブロックの敷設を推進してください。
【説明】
 内方線付き点状ブロックを敷設している駅によっては、足の裏や白杖で認知しづらい素材、目視確認がしづらい色合いや敷設方法が見受けられます。また、同ブロックが摩耗・破損しているため、認知できないものもあります。つまり、同ブロックを敷設しているものの、機能していないものも少なくはないのが現状です。そのため、新設と整備補修の両面で、視覚障害者が確実に認知できる状態の同ブロックの敷設を求めます。

(4)ロービジョン(弱視者)の安全対策も強化してください。
【説明】
 視覚障害者の事故は、全盲の視覚障害者だけではなく、ロービジョン(弱視者)の事故も多く発生しています。そして、ロービジョン(弱視者)の事故については、各種設備の見やすさの不備による事例が多いです。そのため、確実にロービジョン(弱視者)が目視で確認できる基準を定めた上で、ホーム端へのCPラインの敷設、階段段鼻の視認性に配慮したラインの敷設、目視確認がしやすいサインの設置等の推進を求めます。
 また、ホームドアが設置されていない駅には、早期にホーム端にCPラインを敷設し、ホーム上の待機列を示すサインの視認性向上も求めます。

2 ソフト面の安全対策
(1)駅員や乗客からの「声かけ」「見守り」の更なる推進を行ってください。
【説明】
 昨今、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「3密回避」や「ソーシャルディスタンスの確保」により、駅員や乗客から視覚障害者への「声かけ」「見守り」が行いづらい状況が生まれています。視覚障害者は、場合によっては「声かけ」「見守り」がないと、安全に駅ホーム等を移動することはできません。そのため、改めて視覚障害者への「声かけ」「見守り」の必要性を認識した上で、駅員や乗客からの「声かけ」「見守り」が行われることを目指した取り組みを求めます。
 また、「声かけ」「見守り」を行うためには、駅員等の資質の向上も必要です。そのためには、視覚障害当事者を交えた接遇研修の実施が必要です。

(2)改札や駅ホームには必ず駅員等を常駐させてください。
【説明】
 近年、一部の鉄道駅では、駅員削減が進み、様々な無人化対策が取られています。例えば、駅員に連絡するためのインターホンの設置等が普及し始めているものの、全国の視覚障害者からは、インターホンの設置場所が分からない、操作方法が分からない等の不満の声が寄せられています。また、駅員等がいないことから、改札や駅ホームで危険な目にあっても、誰からも助けられなかった事例もあります。そのため、視覚障害者が鉄道駅を安心安全に利用するためには、駅員等が常駐することが必要です。特に、前述した「声かけ」「見守り」の更なる推進を図るためにも、改札や駅ホームに駅員等が常駐することを強く求めます。

(3)ソフト面の対応を支えるための各種設備の導入を推進してください。
【説明】
 鉄道駅における視覚障害者への支援は「利用者と支援者が繋がること」が重要で、支援を必要とする視覚障害者と駅員等を上手く繋げることが必要になります。また、限られた駅員の数では、駅業務の全てを担うことができないことを踏まえると、鉄道利用者の安全を守るための各種設備の推進も必要となっています。そのため、駅員等のソフト対応に繋げるための各種設備の導入の推進を求めます。例えば、駅ホームからの転落を早期に把握するためには、転落検知マット等の導入が必要です。また、視覚障害者が改札を通過したこと等を駅員に知らせる各種システムを開発し、必要とされる駅に導入することも必要です。

3 更なる安全対策
(1)視覚障害者の駅ホーム転落事故の原因を客観的に究明する取り組みを実施してください。
【説明】
 視覚障害者の駅ホームからの転落事故が発生した際、当該駅の所管警察が実況見分等を行うものの、公表される情報からは「なぜ、視覚障害者が転落したのか」が見えてこないのが現状です。そして、この「なぜ」が整理できなくては、鉄道駅における視覚障害者への安全対策の有効性が高まりません。特に、視覚障害者はその者の見え方等によって移動方法が大きく異なるため、視覚障害者のことを熟知した者でないと、この「なぜ」の整理ができないと思われます。そのため、視覚障害者の駅ホーム転落事故が発生した際は、視覚障害に関する有識者(研究者、歩行訓練士等)を交えた原因究明を行い、その結果を各種安全対策に繋げることが必要です。

(2)いわゆる「歩きスマホ」を無くす取り組みを強化してください。
【説明】
 駅ホーム上で、視覚障害者が遭遇する事故で一番多いものは、他の歩行者との接触になります。特に、ここ最近、歩行者の「歩きスマホ」を理由とする前方不注意による事故が多く発生しています。このような接触事故がホーム上で発生すると、視覚障害者によっては方向感覚を失い、誤って駅ホームから転落する恐れがあります。また、接触した歩行者も怪我をすることもあります。そのため、全ての駅利用者の安全を守るため、「歩きスマホ」を無くす取り組みの強化を求めます。

4 備考
 まず、視覚障害者が安全に歩行するためには、視覚障害者自身が「歩行訓練」を受け、安全な歩行方法を身に付けることが最善とされています。そのため、近年の視覚障害者の駅ホーム転落事故を受け、視覚障害者自身も歩行訓練の必要性を再認識し、歩行訓練を受ける者も増えています。本連合としては、鉄道駅の各種安全対策と併せて、視覚障害者自身も歩行訓練等の安全対策を行うことが必要であると考えています。

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