自由民主党「予算・税制等に関する政策懇談会」への要望書提出
2024年11月26日
【写真】三宅常務理事が自民党執行部に要望書の説明を行っている様子
令和6年11月21日に、日視連は自由民主党が主催する「予算・税制等に関する政策懇談会」に出席し、要望書を提出しました。要望書は、視覚障害者にとって早期の解決が必要な事項を中心とし、マイナ保険証、障害福祉サービス(同行援護、地域生活支援事業)、鉄道の安全対策、医療と福祉の連携に関する要望をとりまとめました。同懇談会には竹下義樹会長、三宅隆常務理事が出席し、要望書の内容を説明しました。その後に行われた出席議員との意見交換では、多くの議員から要望書の内容に賛同する旨の意見が挙げられました。牧島かれん衆議院議員、自見はなこ参議院議員からは、マイナ保険証の利活用を進めるのであれば、国が責任をもって誰でも利用できるようにすべきとの意見がありました。また、田中昌史参議院議員からは、障害福祉サービスにおける地域生活支援事業の予算執行の在り方を疑問視し、同事業を必要とする地域の障害者が満足に同事業のサービスを受けられるように予算を組むべきとの意見がありました。
以下、要望書の貼り付け
日視連発第103号
令和6年11月21日
自由民主党
政務調査会長 小野寺五典 殿
参議院幹事長 松山政司 殿
組織運動本部長 小渕優子 殿
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
会長 竹下 義樹
(公印省略)
令和6年度「予算・税制等に関する政策懇談会」
要望事項
1.マイナ保険証
(1)利用に関すること
現在、医療機関や薬局等に設置されているマイナンバーカードの読み取り機器は、本人認証を行うためにタッチパネルで暗証番号を入力するもの、顔認証を行うもの等がある。しかし、視覚障害者がこれらの方法で本人認証を単独で行うことは難しい。
そのため、視覚障害者が単独で本人認証できる仕組みを速やかに導入することを要望する。具体的には読み取り機器にテンキーを外付けすること及び顔認証の仕組みを工夫すること等を要望する。
(2)オンライン資格確認に関すること
多くの視覚障害者が従事する「あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう(以下、あはきとする)」では、患者が提出するマイナ保険証を読み取り、資格確認(療養費を受領する資格があることを確認すること)を行う必要がある。この間の話し合いで、視覚障害のあはき施術者のみの施術所の場合、例外としてオンライン資格確認によらない本人確認が認められることになった。しかし、視覚障害のあはき施術者は、音声等で確認し操作できる端末及びシステムを用意してほしいと強く望んでいる。
患者とのトラブルを避け、将来的にも晴眼者と同様のオンライン資格確認ができるようにし、視覚障害のあはき施術者が適切に保険を取り扱えるようにするため、視覚障害のあはき施術者の意見を踏まえて、音声読み上げ機能等が付いたマイナ保険証の読み取り端末を用意すること、パソコン・スマートフォン等の音声読み上げ機能に対応するオンライン資格確認システムを用意することを要望する。
2.障害福祉サービス
(1)同行援護に関すること
同行援護サービスは、利用者負担額の算定が世帯収入を基に行われていることから、家族が同居する者の負担が大きくなってしまうことがある。そのため、利用者負担額の算定においては、サービス利用者本人の収入により算定されることを要望する。
(2)地域生活支援事業に関すること
同事業の予算額は年々増額されており、各地域においてより同事業の実施が強化されている。しかし、予算執行における同事業の必須事業と任意事業の実施比率が決められていることにより、これまで任意事業に含まれている事業を実施してきた施設が予算削減によりサービスの継続ができなくなっている。特に視覚障害者の外出に欠かすことのできない歩行訓練ができないとの声が寄せられている。継続して視覚障害者に必要な地域生活支援事業におけるサービスが行えるよう、予算執行のあり方の見直しを要望する。
3.鉄道の安全対策
全国の鉄道駅の半数が無人駅となり、有人の鉄道駅であっても無人になる時間帯が増えてきている。そのため、このような駅であっても安全に利用できるよう、国や鉄道事業者は様々な安全対策を講じているが、視覚障害者が利用する観点が抜けていると言わざるを得ない。例えば、無人駅から離れたところにいる係員と繋がるためのインターフォンを設けたとしても、視覚障害者はそのインターフォンがどこに設置されているかが分からない。この他にも、視覚障害者のニーズを把握していないため、ハード面・ソフト面の両面で不備が生じている。
そのため、無人駅及び無人となる時間のある駅においては、地域の視覚障害者のニーズを踏まえて、確実に視覚障害者が利用できるハード面・ソフト面の両面で安全対策を講じることを要望する。
4.医療と福祉の連携
多くの視覚障害者は、医療機関で視覚に障害があることの告知を受けるが、その医療機関では、視覚障害として生活するための各種支援に関する情報を持ち合わせていないことが多い。そのため、医療機関から告知を受けた視覚障害者に対して、障害福祉サービスの利用、補装具・日常生活用具の利用、教育や復職に関する支援等の様々な視覚障害者向けの情報を速やかにかつ的確に提供することができないケースが多い。また、告知を受けた視覚障害者を医療機関から各種支援機関に繋げることができないケースも多い。これは、医療と福祉の連携が乏しい結果の現れだと思われる。
このような状況をなくすため、国が積極的に医療と福祉の連携を進める施策を行うことを要望する。例えば、イギリスでは、失明の告知を受けた患者に対して眼科医療内で早期に相談支援を行う者「ECLO(エクロ:Eye Clinic/Care Liaison Officer)」が活躍している。日本においてもこのような者を眼科医療内に設置することが望ましい。
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