鉄道駅ホームドア増設と駅員の配置について要望

2015年12月18日

日盲連は、11月27日、石井啓一国土交通大臣に対し、鉄道輸送における安全配慮の促進を求めて緊急に要請を行った。鉄道駅の無人化が進む中、視覚障害者が駅ホームから転落するなどの事故が相次いで いるところから、視覚障害者が駅ホームから転落し駅員がいない時間帯であったため、利用客によって救出されたが鉄道会社からも気づかれず報道もされなかったという最近発生した事故を受けて、緊急にホームドア等の設置の促進とホーム上の駅員の常時配置を求めて要望書を提出したもの。
 要望書は、鈴木孝幸副会長と藤井貢組織部長が同省鉄道局に持参し、担当官と意見交換をした。鉄道局からは、課題は十分認識しているが、鉄道の安全策は鉄道各社が独自に安全基準を定めており、全国一律の基準を定めることは難しいが、それぞれの鉄道会社の実情に応じた安全策を促進するよう取り組みたい。
 また、ホームドアについては、現在乗降客10万人以上の駅について順次優先的に設置を進めているが、10万人未満の駅へのホームドア設置にインセンティブを付与するため、税制措置の拡充を要求していることなどの回答があった。

国土交通省陳情の様子

国土交通省陳情の様子

(1)国土交通省への要望書

 

日盲連発第97号 
平成27年11月27日

国土交通大臣 石井 啓一 殿

社会福祉法人 日本盲人会連合 
会  長  竹下 義樹  

鉄道輸送における安全配慮に関して

 秋冷の候、貴職におかれましてはますますご健勝の事とお慶び申し上げます。
 日頃、国民の安全輸送にご尽力いただくとともに、視覚障害者の公共交通機関の利用における安全性と利便性の向上にご尽力いただいていることに御礼申し上げます。
 さて、視覚障害者にとっては鉄道利用における最も深刻な問題であるホームからの転落事故をなくすため、ホームドア等の設置が進んできております。
 しかし、ホームドア等のないホームにおいては視覚障害者だけでなく、一般乗客のホーム転落事故は後を絶ちません。
 鉄道事業法は、輸送の安全確保と、鉄道等の利用者の利益を保護することや、鉄道事業等の健全な発達をその目的として定めています。
 更に、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第1条は、移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図ることを定めています。
 以上の諸規定からしても、視覚障害者をはじめ、全ての交通弱者が安心して移動できる社会を目指すことが必要です。
 つきましては、視覚障害者の「安全な輸送」を高めていくため、次の項目について特段のご配慮を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

1 ホームドア等の早急な設置
 ホームドアや可動柵などを、計画的かつ有効的な整備計画に基づいて設置するよう要望します。
2 ホーム上の駅員の常時配置
 朝夕の混雑時間帯で予め定めた時間だけではなく、ホーム上に駅員を常時配置するよう要望します。