社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合

１．はじめに

　１２月１１日、１２日の２日間、日本視覚障害者団体連合主催「第２回視覚障害者リモート将棋大会」を開催しました。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、今年もウェブ会議システムのZoomを利用してオンラインによる大会でした。
　本大会には、有段者の部１６名、級位者の部１６名の３２名の参加をいただきました。また、公益社団法人日本将棋連盟より審判長に勝又清和七段、副審判長に貞升南女流二段を迎えしました。
　そして、審判員として公益社団法人日本将棋連盟、富士通株式会社の将棋部、関東の大学の将棋部、棋友館の方々にご協力いただきました。また対局と並行し勝又審判長と貞升副審判長のお二人によるイベントを行いました。
　２日間にわたる大会を通じて、白熱した対局が展開されるとともにイベントを楽しむ等、参加者同士の親睦や交流を図ることができました。
　勝又審判長と貞升副審判長は講評の中で、「リモート対局であったが回線のトラブルも無く進行し、またいずれの対局も白熱した戦いで棋力が高いことに驚いた。また、イベントでは積極的に将棋の戦法の質問を受ける等、皆さんが将棋を楽しんでいることに嬉しくなった。皆さんの今後益々のご活躍を祈っています」と評されました。

２．対局

　Zoomのホスト用PC、審判員用PC、イベント用PCを日本視覚障害者センターに置き、参加者は自宅からリモートで参加されました。
　昨年開催した第１回視覚障害者リモート将棋大会に参加された方、日頃からオンライン通話サービスのSkypeを利用して将棋の対局を楽しんでいる方々等が全国から参加しました。
　１１日（土）は、各部の予選トーナメントを実施し、１６名から翌日の決勝トーナメントに進むことができる８名を決定しました。１２日（日）は、各部の８名による決勝トーナメントを実施しました。
　有段者の部の決勝戦の模様は勝又審判長と貞升副審判長による大盤解説とともに生配信され、多くの方が熱戦の行方を見守りました。有段者の部で優勝されました石川准さんは、昨年度の大会で優勝されており、２連覇されました。

入賞者

（１）有段者の部
　　　優　勝　　石川准さん
　　　準優勝　　中藤真さん
　　　第三位　　浅井成政さん

（２）級位者の部
　　　優　勝　　竹村寿一さん
　　　準優勝　　永木清昭さん
　　　第三位　　小川俊之さん

各部の優勝者には、日本将棋連盟会長賞、日本視覚障害者団体連合会長賞と記念品、準優勝と第三位には、日本視覚障害者団体連合会長賞と記念品が授与されました。

３．イベント

　トーナメントで惜しくも敗れてしまった参加者及び視覚障害のある将棋愛好家の皆様に楽しんでいただくことを目的に、対局と並行してイベントを行いました。

（１）勝又審判長と貞升副審判長の将棋講座

　１日目の将棋講座では振り飛車目線からの三間飛車の攻防、２日目では、中飛車の攻防に関するお話しをしていただきました。参加者の皆さん、熱心に聞いていました。

（２）視覚障害者囲碁「アイゴ」の紹介

　　日本視覚障害者囲碁協会の柿島光晴代表理事をお招きし、視覚障害者囲碁「アイゴ（９路盤）」の紹介をしていただきました。
　「アイゴ」は視覚障害者が手で触って確認し、頭の中に碁盤を描くことができる囲碁盤です。碁線が立体的に盛り上がっているおり、盤上の星と呼ばれる印も指で確認できるような工夫がされています。
　「アイゴ」の紹介をしていただいた後に、柿島代表理事と司会の吉泉豊晴情報部長と対戦が行われました。初めて「アイゴ」に触る吉泉部長も楽しく打つことができました。参加者からは、盤面の読み方（碁の打ち方）、囲碁を学ぶ機会があるのか等の質問が寄せられ、皆さん興味津々でした。将棋が好きな人は囲碁も好きな人が多いようです。

（３）勝又審判長の講演　「ＡＩ将棋」

　勝又審判長に「ＡＩ将棋」に関して講演を行っていただきました。将棋電王戦を振り返りながら、ＡＩが強くなっていった様子をお話ししていただきました。 ２０１７年の佐藤天彦叡王とponanzaとの対局においては、ＡＩの強さに驚かれたそうです。
　ＡＩは、自ら大量の棋譜をつくり、ＡＩ同士で感想戦も行い、学んでいくことで強くなっていくとのことです。
　ＡＩの進歩は、プロ棋士にも影響を与え、プロ棋士はより一層、駒の働きを重視するようになったといいます。

（４）トークショー

　参加者の皆様からの質問内容に、勝又審判長と貞升副審判長にお答えいただきました。
　将棋の勉強方法、将棋ブーム等の将棋に関係することから、仕事と子育ての両立、気分転換の方法について意見交換が行われました。
　勝又審判長と貞升副審判長の新たな一面も見られ、参加者の皆様楽しんでいました。

（５）大盤解説

　有段者の部の決勝戦、先手中藤真さん対後手石川准さんの対局を勝又審判長と貞升副審判長がリアルタイムで大盤解説を行いました。
　中盤・終盤の白熱した対局になると解説は大いに盛り上がり、お二人の解説をイベントの参加者は聞きいっていました。
　対局終了後に、勝又審判長と貞升副審判長から石川さんと御神本さんへ、「今日だけで３回目の対局とは思えない、集中力と棋力の高い将棋を指している」と驚きの言葉と、今後も頑張ってほしいとエールが送られました。