音訳ボランティア誕生から60周年、そして全国音訳ボランティアネットワーク設立10周年を迎える!
第6回総会開かる!全国から音訳者および関係者ら約200人が参加!!
全国音訳ボランティアネットワークについて
【写真の説明】挨拶をする代表の藤田氏
2007年6月8日設立。
これまで組織などに属し縦割りで活動を行っていたボランティア団体・個人を、横断的に繋げてネットワーク化し、情報共有・会員相互の交流を行うことで、音訳技術の向上を目指しつつ、さらに利用者のニーズを反映した図書製作に取り組むなど意欲的に活動を行う。「開かれた組織」を理念とする。
会員数(平成29年5月15日現在):
団体会員181・個人会員222
代表:藤田晶子氏
受け継がれる思い、EYEマーク運動に幕
【写真の説明】演台と横断幕
6月4日~5日、東京都千代田区にあるアルカディア市ヶ谷を会場に、全国音訳ボランティアネットワークの第6回総会が開催されました。今回は設立10周年の記念総会となり、全国から多くの音訳者および関係者ら約200人が参集し、節目の年を祝いました。
4日の午前は総会が執り行われ、午後には講演会「おかげさまで10周年!!~広がって、つながって、その先へ~」が開催。代表 藤田晶子氏の挨拶、文部科学省初等中等教育局特別支援教育調査官 青木隆一氏の祝辞に続き、EYEマーク・音声訳推進協議会理事長 磯野正典氏・作家 三田誠広氏の講演が行われました。
磯野氏は講演前に寄付金の贈呈を行い、EYEマークの活動に寄せられた支援金であることを説明。講演ではEYEマーク・音声訳推進協議会の活動の内、EYEマークに関するものを同日をもって終了する旨が伝えられました。これにより、視覚障害者の読書権をめぐる運動の歴史に一つの幕が下りました。
【解説】EYEマークとは?
視覚障害者など活字図書を読むことが困難な方のために、録音図書や拡大写本に変換・複製して提供することを、予め著作権者が許諾していることを示すマークです。
【写真の説明:左】白杖で”トルコ行進曲(モーツァルト)”を演奏する楊氏。音孔は水道屋に開けてもらったとのことです。
休憩後に行われた演奏会では、テノール歌手で笛奏者の楊雪元氏(視覚障害音楽家)が、音孔を開けた白杖を横笛のように吹くパフォーマンスやトークで参加者を楽しませ、続く岐阜市特別支援教育主幹教諭 神山忠氏の講演をもって初日は閉幕しました。
※読字障害者の苦しみ伝える~神山忠氏~
最後に登壇した神山氏は読字障害(ディスレクシア)を抱える当事者として、周囲から理解されないこと、周囲との違いに苦悩した過去を告白、そして自分の障害を受け入れることで新たな希望を見つけた今を語り、「障害は理解と支援があれば個性になる」と力強く結びました。
記念総会2日目、研修会では日本ライトハウス 竹下氏と国会図書館 安藤氏が登壇
【写真の説明】研修会で講師として登壇した日本ライトハウス情報文化センター館長 竹下亘氏(上)と国立国会図書館関西館 図書館協力課長補佐 安藤一博氏(下)
全国音訳ボランティアネットワーク第6回総会の2日目、研修会では日本ライトハウス情報文化センター館長 竹下亘氏が「サピエと情報提供サービスの将来」、そして国立国会図書館関西館 図書館協力課長補佐 安藤一博氏が「国立国会図書館の障害者サービスに関する取り組み」について現状を解説しました。
竹下氏は「サピエ」の厳しい運営状況を報告。音訳ボランティアについては、日本国際基督教奉仕団が録音図書の製作および貸し出しのサービスを行った年が1957年で、今年が60周年になることを紹介しました。また、主な利用者である視覚障害者については、障害者手帳を所持する315500人の内、マイノリティとなる18歳未満の当事者4900人が満足な情報保障を得られない可能性があることについて危うさを指摘しました。
安藤氏は国会図書館のサービスとして、視覚障害者などのために製作された電子データの収集・送信サービスについて説明。サピエ図書館との違いとして、プレーンテキストデータも対象に含むことを挙げるものの、プレーンテキストデータは著作権法37条で作るには課題が多く、試行的に収集している段階だと説明しました。
【写真の説明】研修会の会場から