愛盲時報 第240号(テキストデータ・全文)

2013年10月20日

愛盲時報 第240号 平成25年10月20日

《1.厚労省平成26年度概算要求 共生社会実現へ施策推進》
 厚生労働省は8月27日、平成26年度予算の概算要求をまとめた。一般会計での要求総額は今年度当初予算比3.8%増の30兆5620億円と、過去最大の予算要求となった。そのうち障害保健福祉関係では、対前年度伸び率9.1%増の1兆5265億円を要求。障害福祉サービス関係費(自立支援給付プラス地域生活支援事業)では10.7%増の9621億円を要求している。また、「新しい日本のための優先課題推進枠」のうち「障害者の活躍推進」に217億円を計上している。障害者関係の主な要求額は次の通り(身体障害関係以外は大きな項目のみ掲載、カッコ内は前年度)。
 1 障害福祉サービスの確保、地域生活支援などの障害児・障害者支援の推進:1兆4953億円(1兆3722億円)
  1-1.障害福祉サービスの確保、地域生活支援等
   (1)障害者の潜在力発揮プログラムの推進(「全員参加の社会」の構築に向けて):195億円(新規、推進枠)
   (2)良質な障害福祉サービス等の確保:9107億円
   (3)地域生活支援事業の充実(一部推進枠):514億円
   (4)障害児・障害者への福祉サービス提供体制の基盤整備:71億円(一部推進枠)
   (5)障害児・障害者への良質かつ適切な医療の提供:2233億円
   (6)特別児童扶養手当、特別障害者手当等:1504億円(特別児童扶養手当1122億円)、特別障害者手当等382億円)
   (7)障害児・障害者虐待防止などに関する総合的な施策の推進:4.1億円
     ア.障害者虐待防止対策支援事業の推進:4.1億円
     イ.障害児・障害者虐待防止・権利擁護に関する人材養成の推進:400万円
   (8)重度訪問介護などの利用促進に係る市町村支援事業:22億円
  1-2.地域における障害児支援の推進
   (1)障害児の発達を支援するための給付費などの確保:911億円
   (2)重症心身障害児者の地域生活モデル事業の実施:2400万円
  1-3.障害児・障害者の自立及び社会参加の支援等 
   (1)障害者自立支援機器の開発の促進:2.8億円(一部新規、一部推進枠)
   (2)芸術活動の支援の推進:3億円(一部新規、一部推進枠)
   (3)障害児・障害者の社会参加の促進:27億円
   (4)障害児・障害者スポーツに対する総合的な取組:8.8億円
   (5)社会参加推進のための相談支援の充実(新規、推進枠、地域生活支援事業514億円の内数)
   (6)自治体システムの整備等による相談支援の充実:29億円(新規、推進枠)
 2 地域移行・地域定着支援などの精神障害者施策の推進:255億円(244億円)
 3 発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 2.4億円(2.3億円、地域生活支援事業計上分を除く)
 4 障害者に対する就労支援の推進 14億円(12億円、地域生活支援事業計上分を除く)
  (1)地域振興につながる連携の促進(新規、推進枠、地域生活支援事業514億円の内数)
  (2)工賃向上のための取り組みの推進(一部新規、一部推進枠):5.7億円
  (3)一般就労移行支援の充実(新規、推進枠、地域生活支援事業514億円の内数)
  (4)働く障害者のための交流拠点の設置促進(新規、推進枠、地域生活支援事業514億円の内数)
  (5)障害者就業・生活支援センター事業の推進 8.1億円
 5 自殺・うつ病対策の推進 13億円(12億円)
 6 東日本大震災からの復興への支援:39億円(39億円)
  (1)障害福祉サービス事業所等の災害復旧に対する支援(復興庁計上)9.6億円
  (2)障害福祉サービスの再構築支援(復興庁計上)11億円
  (3)避難指示区域等での障害福祉制度の特別措置(復興庁計上) 1600万円 
  (4)被災地心のケア支援体制の整備(復興庁計上)18億円

《2.第59回全国盲女性研修大会 山口県で》
 日本盲人会連合並びに同女性協議会の主催、山口県視覚障害者団体連合会並びに同女性部の主管による「第59回全国盲女性研修大会山口県大会」が8月28日~30日、下関市の「海峡(かいきょう)メッセ下関(しものせき)」ほかで、関係者約600人が参加して開催された。
 28日は常任委員会と全国委員会、29日の午前は全国代表者会議が開かれ、平成24年度事業・収支決算・監査報告、平成25年度運動方針案・事業計画案・予算案、「女性協10年のあゆみ」発行などについて審議が行われた。
 29日午後からの研修会第1部は、日盲連の鈴木(すずき)孝幸(たかゆき)副会長が「地域格差を無くし自由な外出を!」を講演、第2部では「装いや身だしなみで心がけていること」をテーマに各ブロック代表9名がレポートを発表、活発な意見交換が行われた。
 最終日の30日は大会式典が開かれ、舛尾(ますお)政美(まさみ)実行委員長(山口県視覚障害者団体連合会会長)が挨拶、日盲連の新城(しんじょう)育子(いくこ)女性協議会長に続いて竹下(たけした)義樹(よしき)会長が主催者挨拶を行い、来賓からの祝辞や祝電も披露された。大会議事では、代表者会議並びに研修会の報告を承認、大会宣言・決議を採択し、3日間にわたる大会は盛会の内に終了した。
 次回の第60回大会は東京都で開催される予定。決議された要望事項の概要は次の通り。
 1、障害者権利条約の早期批准を実現するとともに、それにふさわしい国内法の見直しをするよう要望します。
 1、年金生活を余儀なくされている重度障害者の所得を保証するため障害基礎年金の月額を、1級は12万円、2級は10万円以上に引き上げるとともに、所得制限を緩和するよう強く要望します。
 1、視覚障害者が医療機関を利用する場合の、サポート体制として、通院の際にはガイドヘルパーの利用ができるように、入院の際にはホームヘルパーを導入できるよう、強く要望します。
 1、緊急時には、昼夜を問わずいつでもガイドヘルパーが利用できるよう強く要望します。
 1、同行援護事業における利用者負担を廃止し、個人のニーズに応じた支給量を決定するとともに、地域間格差を解消するよう強く要望します。
 1、介護保険法の優先原則を見直し、65歳以降に福祉サービスを利用する場合も、利用者が介護保険サービスと障害者福祉サービスを選択できるよう要望します。
 1、視覚障害者が安心して歩行できるよう、駅ホームには可動柵、横断歩道にはエスコートゾーン・音響式信号機の整備をするなど、移動の安全を保障するよう強く要望します。
 1、視覚障害者が付き添いと特急を利用した際、特急料金を半額にするよう要望します。
 1、緊急放送や外国語放送の字幕の音声化をするとともに、解説放送の拡大を図るよう要望します。
 1、食品の表示内容や日用品の点字表示など、ユニバーサルデザイン化を徹底するよう要望します。

《3.第59回全国盲青年研修大会 静岡県で》
 日本盲人会連合並びに同青年協議会、静岡県視覚障害者協会の主催による第59回全国盲青年研修大会静岡大会が9月22、23の両日、静岡市のグランドホテル中島屋を会場に、約160名が参加して開催された。
 22日午前は実行委員会と常任委員会が、午後からは代表者会議が開かれ、平成24年度事業・決算・監査報告、平成25年度事業計画案並びに予算案、規程の改正などについて審議を行い、第1(バリアフリー・移動)、第2(生活・職業問題)、第3(組織強化・その他)の3分科会では各団体からの提出議案が話し合われた。続いて開かれた全国委員会では、分科会で採択された議案の中から次年度の全国盲人代表者会議に提出する議案を選択、宣言案と決議案も原案どおり採択された。23日の研修会では、第1「接遇について学ぼう」、第2「手回しオルゴール」、第3「演劇に触れる」の各テーマで専門家の講演と体験指導が行われ、続いて大会式典が開かれた。式典では、静岡県視障協の須藤(すどう)正起(まさき)会長と渡邊(わたなべ)博和(ひろかず)青年部長の開催地挨拶、日本盲人会連合の竹下(たけした)義樹(よしき)会長と菊地(きくち)理一郎(りいちろう)青年協議会長の主催者挨拶、来賓祝辞の後、採択された宣言・決議が読み上げられ、大会は盛会の内に終了した。決議事項は次の通り。
 1、東日本大震災の教訓を活かし、災害時の避難情報等を視覚障害者に迅速かつ的確に伝えるためのシステム作りと、避難所における障害特性に配慮した対応を強く要望する。
 1、鍼灸マッサージ師の権益と国民の安全を守るため、鍼灸マッサージは有資格者のみが行えることを広く社会に啓発し、あはき業の健全な発展を阻害する無資格類似行為者の一掃を強く要望する。
 1、障害者総合支援法のもとで、現在生じている地域間格差を解消するとともに、個々の障害者の実態及びニーズに対応した支援制度の実現を強く要望する。
 1、障害者が自己実現を図ることのできる社会をめざし、障害者権利条約の批准を早期に実現するとともに、その理念が反映するような障害者差別解消法の運用を強く要望する。
 1、公共の施設や交通機関において、音声や触知による案内、文字サイズやコントラストに工夫した掲示方法の普及など、弱視者も全盲者も安全で快適に利用できるシステムの構築を強く要望する。
 1、駅ホームにおける可動柵や内方線付誘導用ブロックの設置、ハイブリッドカーや電気自動車への静音対策の義務化、自転車のマナー・ルール教育など、視覚障害者が安心して安全に移動できる対策を強く要望する。
 1、家電製品やIT機器の開発において、操作しやすいスイッチ類や音声ガイドが充実するとともに、点字、拡大文字、ウェブサイト等により視覚障害者に充分な情報提供が行われるシステムの構築を強く要望する。
 1、多くの視覚障害者の情報源となっているテレビ放送において、より多くの番組に音声解説を付加し、緊急放送の字幕を音声化するよう強く要望する。

《4.日盲連が第1回地域交流祭を開催》
 日本盲人会連合が「共に生きる社会づくり」をテーマにした、「第1回日盲連地域交流祭」が8月10日、東京・西早稲田の日本盲人福祉センターで開催された。開催に当たっては日盲連の職員・ボランティアのほか、新宿区社会福祉協議会などの協力機関からもボランティアが集まり、模擬店などを担当。また、近隣の中学校・高校の美術部の協力で制作されたポスターは、地域の商店などに掲示された。
当日のイベントは、日盲福祉センターの見学ツアーや体験会、点字グッズの制作などのほか、模擬店、クイックマッサージのコーナーも人気を博した。これらの収益は東日本大震災の義援金として寄付された。
 そのほか、東京都盲人福祉協会の就労支援事業所「パイオニア」による点字リサイクル品販売や、音楽家協議会会員による琴の生演奏などもあり、抽選会では取引業者の皆さんの協力で多くの景品が提供され、イベントに花を添えた。
 当日展示された、日盲連の歴史をふりかえるパネル展示の写真の一部については、今後の貸し出しも計画されている。

《5.短信》
 *静岡県視障協 新会長に須藤(すどう)正起(まさき)氏
 公益社団法人静岡県視覚障害者協会の佐藤(さとう)三四二(みよじ)会長が勇退、須藤(すどう)正起(まさき)氏が新会長に就任した。

 *日盲連加盟団体 新法人移行
 新制度上の公益法人への移行を申請していた社団法人山口県視覚障害者団体連合会(舛尾(ますお)政美(まさみ)会長)が、7月1日付けで一般社団法人に移行した。

 【訃報】
  社会福祉法人浴風会(よくふうかい)顧問・元理事長の板山(いたやま)賢治(けんじ)氏(元日本盲人会連合顧問、元日本盲人福祉委員会会長、元日本盲人社会福祉施設協議会理事長)が9月22日、逝去された。享年87。お通夜は9月27日、告別式は9月28日、いずれも東京都府中市の府中の森市民聖苑(せいえん)でしめやかに営まれた。喪主は妻の恵美子(えみこ)さん。また、後日お別れの会が開かれる予定。

《6.第8回視覚障害者向け総合イベント サイトワールド2013》
 今年のテーマ 学ぼう活かそう点字からITまで
 【日時】平成25年11月1日(金)~3日(日)
  午前10時~午後5時(3日は午後4時まで)
 【会場】すみだ産業会館サンライズホール
  (JR・地下鉄 錦糸町駅前 丸井錦糸町店8・9階)
 【入場料】無料
 【イベント】体験発表、講演会、セミナー等のほか、最先端の技術・機器および、日用品等の展示会
 主催:(社福)日本盲人福祉委員会(サイトワールド実行委員会)
 共催:(社福)日本盲人会連合
  (社福)日本盲人社会福祉施設協議会/全国盲学校長会
  (社福)日本点字図書館/(社福)日本ライトハウス
  (社福)視覚障害者支援総合センター
 詳細はホームページ(http://www.sight-world.com/)に掲載。

《7.日盲連ボランティア 表彰者のご紹介》
 本年9月に開かれた日本盲人社会福祉施設協議会の「創立60周年記念第61回全国盲人福祉施設大会」と「第43回朗読録音奉仕者感謝の集い」(鉄道弘済会並びに日本盲人福祉委員会主催)において、日本盲人会連合点字図書館で活動されている3名のボランティアの方々が表彰されました。
 受賞者の方々のご紹介を致します。
(敬称略)
 【第61回全国盲人福祉施設大会 表彰者】
  ・点訳ボランティア 澄谷(すみたに)亮子(あきこ)
   1976年第7回日盲連点字図書館点字講習会終了後、主に医学書等の図書製作に尽力。2010年~手打ち点字図書データ化作業の活動中。1990年第39回東京都社会福祉大会にて表彰、1998年50周年記念第51回全国盲人福祉大会にて厚生大臣賞受賞。
   主な製作図書:『鍼灸(しんきゅう)不適応(ふてきおう)疾患(しっかん)の鑑別(かんべつ)と対策(たいさく)』『腎臓(じんぞう)の専門百科(せんもんひゃっか)』『病理学(びょうりがく)』
  ・音訳ボランティア 米木(よねき)祥子(さちこ)
   大阪府盲人福祉協会にて活動開始。上京を機に2000年~当館・他施設にて活動中。医学書から小説まで幅広く音訳し、最近では東洋医学分野だけではなく、西洋医学分野への製作にも携わっている。
   主な製作図書:『針灸(しんきゅう)治療(ちりょう)361問』『膠原病(こうげんびょう)診療(しんりょう)ノート』『江戸(えど)の哀花(あいか)』
 【第43回朗読録音奉仕者感謝の集い 表彰者】
  音訳ボランティア 稲垣(いながき)妙子(たえこ)
   朝日カルチャーセンターにて朗読講習会を受講後、音訳グループに所属。その後1980年~当館に所属し、主に東洋医学書の図書製作に尽力。1983年日本盲人会連合より感謝状、1994年第43回東京都社会福祉大会にて表彰。
   主な製作図書:『中医(ちゅうい)診断学(しんだんがく)』『「症例(しょうれい)から学(まな)ぶ」中医(ちゅうい)針灸(しんきゅう)治療(ちりょう)』『鍼灸(しんきゅう)の科学(かがく) 実技編(じつぎへん)』
 以上3名の方、長年のご尽力に改めて感謝申し上げます。

《8.東日本大震災義援金 募金・配布のご報告》
 平成25年9月24日現在、日本盲人会連合に寄せられた東日本大震災義援金の募金状況は、総計536件、5379万8443円となり、うち5152万3940円を646人と7団体に送らせていただきました。
 義援金をお寄せ下さった皆様には、改めて篤く御礼申し上げます。
 募金は引き続き受け付けております。
 送付方法は下記のいずれかで。
 【郵便振替】口 座 名:社会福祉法人 日本盲人会連合
  口座番号:00170-9-48326
  ※ 通信欄には「震災義援金」と必ずご記入下さい。
 【銀行振込】銀行名:みずほ銀行
  支店名:高田馬場支店
  預金種類:普通預金
  名義人:(フク) ニホンモウジンカイレンゴウ
  口座番号:2691058
 お問合せは日盲連事務局へ
 (電話03-3200-0011)

《9.ご寄付のお願いについて》
 平素より視覚障害者福祉向上のため、ご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、当法人は、昭和23(1948)年の創設以来、戦後の障害者福祉運動の牽引役として諸活動を展開し、今日の障害者福祉制度の基盤確立に尽力しております社会福祉法人です。
 活動内容は、点字・録音図書等の製作・出版・貸し出し、福祉用具の販売、文化・スポーツイベントの開催など多岐にわたっております。このような活動に対して特段のご厚志を賜りますよう何卒よろしくお願いします。

《10.視覚障害者のための震災ホットライン》
 日本盲人会連合では東日本大震災で被災した視覚障害者の心のケアの為の震災ホットライン(電話、フリーダイヤル)を設置しています。日常生活で困っていること、つらいことなどがあれば、1人で悩まずにお電話下さい。
  【番号】0120-1049-55(トーホクゴーゴー)
  【受付時間】月曜日~金曜日 9時~17時
   (受付時間外は留守番電話でお受けします)
  【設置期間】平成26年2月28日まで