愛盲時報 第206号(テキスト形式・全文)
愛盲時報 第206号(平成17年6月15日)
1.第58回全国盲人福祉山口大会下関で開催 センター建設促進で特別決議 障害者自立支援法案修正求める
第58回全国盲人福祉大会・山口大会(日本盲人会連合、山口県視覚障害者団体連合会主催)が5月18日から3日間、山口県下関市の山口県国際総合センター(海峡メッセ下関)で開催された。
多くの問題点を抱えたまま国会で審議入りした障害者自立支援法案対策など、平成17年度も課題は山積しており、全国から集まった視覚障害者代表により連日熱心な討議が交わされた。
5月20日、全国から約1800人の視覚障害者代表が参加して第58回全国盲人福祉大会が開かれた。会場の海峡メッセ下関・展示見本市会場には「就労こそ自立への道 働く場の保障を」「タイ式マッサージの導入を 全力で阻止しよう」「各種サービスの費用負担は あくまでも 本人の所得で」「第4種盲人用郵便物の 無料扱いを 存続させよ」の4つの大会スローガンが掲げられ、自立した地域生活の確保に向けた運動の展開や、日本盲人福祉センター建設に総力を挙げて取り組むことなどを確認。
式典では開催地元山口県視覚障害者団体連合会の舛尾政美会長の歓迎の言葉、笹川吉彦日本盲人会連合会長の主催者挨拶、二井関成山口県知事、江島潔下関市長からの祝辞などが述べられ、日盲連顕彰等表彰では、第1回村谷昌弘福祉賞を含め20人に賞状と副賞が贈られた(表彰者名は2面に掲載)。
大会議事では平成16年度決議処理報告に続き、前日の第42回全国盲人代表者会議で採択された平成17年度運動方針を承認、大会宣言案と8項目の決議案に加え、特別決議案として「日本盲人福祉センターの建設促進と建設資金募集の推進」を満場一致で採択、3日間に亘る討議を締め括った。
なお、平成18年度の第59回全国盲人福祉大会は名古屋市で開催の予定。
2.大会決議
1、障害者自立支援法の制定に当たっては、障害者福祉を後退させることなく、真に障害者の地域生活が確保されるよう、強く要望する。
1、各種サービスの費用負担を補うため、障害基礎年金の支給額を引き上げると共に、特別障害者手当の支給対象を身障者手帳1、2級にまで拡大するよう強く要望する。
1、激増する、はり師、きゅう師養成施設の新増設を規制し、資質の低下を防ぐよう、強く要望する。
1、タイ式マッサージの導入を阻止するとともに、無資格者横行の原因となっている、あん摩師等法に、あん摩マッサージ指圧の定義を明記するよう、強く要望する。
1、郵政民営化に当たっては、第3種、第4種郵便物の特別配慮を継続し、各種情報の提供に万全を期すよう、強く要望する。
1、盲人の歩行の安全を確保し、社会参加を促進するため、音声誘導システムの導入、音響式信号機の設置、駅ホームへの可動柵の設置及び階段段鼻の色付けなど、安全設備の整備促進を図るよう、強く要望する。
1、情報バリアを解消するため、パソコンを補装具に加えると共に、IT機器の指導者養成、講習会の開催費補助、使い易い機器の開発、解説放送の充実などを図るよう、強く要望する。
1、特別支援教育の実施に当たっては、障害児童、生徒の教育に十分対応出来る教員の養成を急ぐとともに、学校教育法施行令第22条の3項を削除するよう、強く要望する。
3.大会宣言
近代日本の幕開けの主役を演じた勤王の志士、吉田松陰を初め、伊藤博文、桂小五郎、高杉晋作など、枚挙にいとまのない程、多くの有能な人材を輩出したこの山口県、下関市に於いて、全国各地から2千余名の仲間が相集い、第58回全国盲人福祉大会が開催できた事は誠に喜びに堪えない。
この日を迎えるに当たり、大変なご助力を頂きご歓迎下さった、山口県や下関市を初め県下各市町村、各関係機関、諸団体の皆様に対し衷心より深く感謝申し上げる次第である。
今、私たち特に日盲連にとって、早急に解決しなければならない問題が山積している。その中で最重要課題として取り組まなければならないのが、日本盲人福祉センターの移転、新築である。
今の日本盲人福祉センターは昭和46年に建設されたものであるが、それから30数年が過ぎ、建物は古くなる一方、建築基準法や消防法などが改正され、指導が厳しくなってきた反面、事業内容も増えてきたために、誠に狭隘且つ劣悪な環境の中で、仕事をせざるを得ず、早急に移転、新築をしなければならない状態に置かれている。
会員はじめ関係者のご理解を得、早期実現に向け努力していかなければならない。
次に、視覚障害者が古来適職として貢献してきた、あんま、マッサージ、指圧、鍼、灸すなわちアハキ業の業権確保と新職域拡大である。最近マスコミの目に余る「無資格者を美化するような報道」や無資格者養成学校などの案内広告等もまき散らされ、無資格者横行の原因ともなっている。私たちは力を合わせ断固阻止しなければならない。
視覚障害者の社会参加を促進するため、安全且つ安心して活動できる生活環境の整備が必要であり、移動介護(ガイドヘルパー)制度の充実の他、交通バリアフリー法施行以来、公共交通機関をはじめ、道路環境の整備が進められているが、未だ不十分であり、音響式信号機をはじめ音声誘導システム、JIS規格に基づく誘導ブロックの敷設、弱視者のための階段の段鼻への色付け、拡大文字による各種表示などを促進していかなければならない。
次は情報技術の著しい進歩に対応するため、視覚障害者のIT利用を促進し、視覚障害者用の機器の研究開発、購入費の補助等、情報環境の条件整備に努めると共に、他の情報媒体による視覚障害者向けの情報提供にも努力しなければならない。
私たちにとっての、幸せは「自分の障害を意識することなく過ごせる毎日であること」「安心して働ける職場が確保されていること」そして高齢を迎えても「生きていて良かった」という生き甲斐のある生涯である事だと確信している。
しかしながら、昨今の社会経済状勢は厳しく、従って前述の3点の実現は非常に困難な状態に置かれている。であればなおのこと「連帯こそ問題を解決するカギ」という信念で取り組む必要がある。
私たち視覚障害者自身も自らの障害に打ち勝ち、地域住民の理解と協力を得て「共に生きるまちづくり」の普及と「人間尊重、社会連帯の理念」に基づく福祉思想の浸透を促進していかなければならない。
全国30万の視覚障害者が、ますます団結と絆を強めあい、問題意識に目覚め次代の要求に対応できるよう、自助、自立に努める決意である。
以上宣言する。
4.日盲連顕彰等20人 第1回村谷福祉賞樋口氏に
第58回全国盲人福祉山口大会で、日盲連顕彰等受賞者の表彰が行われた。今回表彰された方々は、故村谷昌弘日盲連名誉会長の業績を記念して新たに創設された「村谷昌弘福祉賞」1人を含め、礎賞4人、パイオニア賞1人、光の泉賞14人の、計20人。
第1回村谷昌弘福祉賞には、長年、大阪府視覚障害者福祉協会会長として、また日盲連副会長及び理事として、団体活動に貢献された日盲連顧問・樋口四郎氏に贈られた。そのほか各賞の受賞者は次の通り(敬称略・順不同)。
礎賞(組織功労):牧野功芳(福島県)、関谷幸夫(神奈川県)、小山尊(福井県)、北本望(広島県)
パイオニア賞(先駆的功労):藤野克己(岐阜県)
光の泉賞(内助等功労):江尾郁子(北海道)、荒川けい子(秋田県)、小巻芳子(埼玉県)、鈴木篤子(神奈川県)、田村文代(長野県)、光村若子(岐阜県)、山口清子(京都府)、柿内悦子(大阪市)、大原佳子(広島県)、伊藤礼子(愛媛県)、福元アイ子(鹿児島県)、徳原美智子(沖縄県)、木村雅子(日盲連)、鷹林智子(同)
5.第42回全国盲人代表者会議 自立支援法案への対応など運動方針6項目
山口大会2日目の19日は、第42回全国盲人代表者会議が下関市の海峡メッセ下関・イベントホールで開かれた。
午前の全体会議では平成16年度決議処理報告と平成17年度運動方針案を審議。(1)障害者自立支援法案への対応(2)職業問題への対応(3)所得保障問題(4)第3種・第4種郵便物取り扱いの現状維持(5)あらゆるバリアの解消(6)特別支援教育への対応、の6項目を柱とする平成17年度運動方針は本部提案通り承認された。
午後からは生活、バリアフリー、職業の3つの分科会で、各加盟団体から提出された44項目の議案について討議した後、再び全体会議でとりまとめを行った。主な提出議案は次の通り。
生活分科会:(1)自立支援法については、障害の特性を考慮し地域格差が生じないようにする、現行の事業を延長し利用回数制限を撤廃、応益負担制度を導入せず利用者のみの所得で算定、移動介護を義務的費用とし介護保険に統合しない(2)日常生活用具給付制度の拡充については、パソコン、ディスプレイ、色センサー、音声タグを日常生活用具に、また弱視用単眼鏡、拡大レンズを補装具に加え、給付に地域差が生じないよう国レベルで調整(3)福祉制度・サービスについては、高速道路等料金の身障手帳提示による割引適用と車両制限の撤廃、点字図書館の指定管理者制度適用をなくす、新幹線のぞみのジパング割引適用、携帯電話の通話料半額、ガイドヘルパー広域ネットワーク拡充、第4種郵便物の無料化存続と法的裏付け(4)その他、自治体における視覚障害者の災害時避難所設置と避難訓練のマニュアル化、など。
バリアフリー分科会:(1)安全な移動の確保等については、音声誘導、信号延長装置等の開発を主導し音声を全国統一、自転車の無灯火対策、エスカレーター増設に際し誘導ブロックを敷設、駅ホームの転落防止柵設置(2)IT(情報技術)に関わるバリアフリーについては、電波障害地区の解消、テレビ放送の副音声化促進、障害者情報バリアフリー化支援事業継続と利用回数制限撤廃、視覚障害者のIT利用支援人材の育成(3)その他、金融機関利用に際しての視覚障害者への配慮、など。
職業分科会:(1)あはき関係については、マッサージ療養費の単価引き上げ、認可後の養成学校の定期検査等、タイ式マッサージ導入反対と無資格者徹底取締り、あはきの健保適用拡大(2)雇用・就労については、一般企業でのあはき師雇用促進、特別養護老人ホームの機能訓練指導員として視覚障害者を雇用、自営業者に対する資金援助、ヒューマンアシスタント制度の拡充、視覚障害者に配慮した公務員採用試験の実施、視覚障害者への法定雇用率制定、視覚障害者自立支援センター設置、など。
6.新常務理事に東山氏 理事会・評議員会
山口大会初日の18日、海峡メッセ下関・海峡ホールで開かれた理事会では、全国盲人代表者会議提出議案の確認など大会運営について協議を行い、引き続き行われた定期評議員会では平成16年度事業及び決算報告が本部提案通り承認された。
また、6月30日付で退任する常務理事・蒔苗實氏の後任として、前国立福岡視力障害センター所長の東山文夫氏が選任された。
平成16年度事業では、懸案となっていたテレビの解説放送(副音声)について、独立行政法人福祉医療機構などの協力を得て調査研究に着手したことや、第6回世界盲人連合総会、第7回マッサージセミナーへの参加など積極的な国際交流を行ったこと、青年協議会並びに女性協議会が50回記念大会を開催し、新たな活動方針を打ち出したことなどが報告された。
一方、最大の課題であった日本盲人福祉センターの移転・新築については日本財団からの助成が得られず方針転換を余儀なくされたこと、また、はり・きゅう養成施設の新増設阻止に向けた衆議院議長宛国会請願については再度保留となり、代わるべき方策について調整中との報告もあった。
7.タイ式マッサージの上陸を断固阻止 あはき協代議員会
山口大会初日の18日、海峡メッセ下関・海峡ホールで、あはき協議会(桜井俊二協議会長)の代議員会が開かれ、平成16年度事業並びに決算報告、平成17年度事業計画案、同予算案を審議、いずれも執行部提案通り承認された。
平成16年度事業では、あん摩師等法第19条改正請願の第159通常国会での衆議院採択が、紹介議員239名、請願件数349通に達したものの、残念ながら再度保留となったことが報告された。
その他、介護老人福祉施設の機能訓練指導員としての視覚障害マッサージ師採用や、あはき業の小規模作業所設置などの要望、無資格者施術の危険性の周知、国家資格者マーク及び統一看板使用についての検討、各都道府県への無資格者一掃のための請願書提出などの運動を展開した。
平成17年度の主な事業計画は次の通り。
(1)視覚障害あはき師が長期にわたり安心して営業活動ができるよう社会環境を整える運動(2)無資格者等の一掃に向け都道府県議会への請願(3)タイ式マッサージの日本上陸阻止に向けた運動(4)資質向上、競争力強化のための運動(5)鍼灸マッサージ健保取り扱い拡大運動(6)損害賠償補償保険への加入促進。
8.スポーツ協代表者会議開く
山口大会初日の18日、海峡メッセ下関・会議室で開かれたスポーツ協議会(鈴木孝幸協議会長)の代表者会議では、平成16年度事業及び決算報告と平成17年度事業計画案、同予算案を審議、いずれも本部提案通り承認された。
平成17年度に予定されている主なスポーツ協議会主催事業は次の通り。
(1)通信競技大会の開催
(2)視覚障害者スポーツ団体連絡会の開催:10月1日、横浜市
(3)視覚障害者スポーツシンポジウムの開催:1月29日、東京都
その他、視覚障害者スポーツ関連行事は次の通り。
(1)全国障害者スポーツ大会グランドソフトボール地区予選:5月~6月
(2)第6回全日本グランドソフトボール大会:9月17日~19日、三重県
(3)全国ボウリング大会:9月18日、東京都
(4)第5回全国障害者スポーツ大会・グランドソフトボール大会:11月5日~7日、岡山県
(5)第12回全国フロアバレーボール大会:11月26日~27日、神奈川県
(6)第20回全日本視覚障害者柔道大会:11月27日、東京都
(7)社会人サウンドテーブルテニス大会:1月、東京都
9.2億円募金始まる ― 新しい日盲福祉センター建設へ ―
「さあ、皆さん、我らが“城”を建てましょう!!」と、日本盲人会連合(笹川吉彦会長)では「日本盲人福祉センター」移転・新築資金“2億円募金”を始めた。1口5千円で何口でも可、また、5千円以下でも良い。送金方法は郵便振替で口座名「社会福祉法人日本盲人会連合」、口座番号00160―5―536104。ひとりでも多くの方々からの募金を期待している。問い合せは日盲連事務局(電話03―3200―3439)へ。
日本盲人福祉センターの移転・新築は数年前から検討されていた。現在のセンターが建てられた昭和46年(1971年)から34年もたち老朽化、耐震性にも問題があること。そして、何よりも支援の拠点として、また、サービス提供の拠点として手狭になってきたことがその理由だ。
同センターの計画によれば、移転・新築先は現センターから東へ約200メートル、インド大使官邸の裏側に位置する。敷地の広さは820平方メートルで、現在地の約2倍の広さ。平成15年に取得ずみで、この敷地に地上3階建て、延べ床面積1310平方メートルの新センターを建てようという計画。
行う事業は現センターとほぼ同じで、点字図書館、点字出版、録音製作、用具あっ旋販売、点字情報即時提供、日盲連事務局など。そして、その移転・新築に約4億2千万円の経費が掛かるが、約半分の2億円が不足している。今回の呼びかけは、この2億円を募金しようというもの。
具体的には、日盲連関係者から1億円、一般企業から1億円の寄付を仰ぎたいとしている。
ご寄付(1口以上)頂いた方々のお名前は、日盲連の機関誌「点字日本」「日盲連アワー」「愛盲時報」に掲載予定。募金期間は平成19年3月31日まで。
笹川会長等から100万円寄付 ― 募金早くも370万円突破 ―
「日本盲人福祉センター建設2億円募金」が始まったが、早速、笹川吉彦日盲連会長から100万円の寄付が託された。また、京都きもの友禅(株)と、鈴木清太郎日本失明傷痍軍人会理事(埼玉県)からも、それぞれ100万円の寄付があった。
さらに、日常生活用具の音声体重計などを製作している東京事務光機代表故酒井隆彦氏夫人みよ子様から30万円が、また、日盲連理事の板垣成行鳥取県視覚障害者福祉協会会長、同岡田正平千葉市視覚障害者協会会長、日盲連監事の槇野勝信元大阪府視覚障害者福祉協会会長から、それぞれ10万円の寄付があった。
[センター建設二億円募金寄付者名](5月31日現在、敬称略)
《総額370万1350円》
【100万円】京都きもの友禅株式会社、笹川吉彦(東京都)、鈴木清太郎(日本失明傷痍軍人会理事)
【30万円】酒井みよ子(東京事務光機代表故酒井隆彦氏夫人)
【10万円】板垣成行(鳥取県)、岡田正平(千葉市)、槇野勝信(大阪府)
【5万円】みすず会(東京都)
【3万5千円】宮腰武雄(北海道)
【7200円】大橋由昌(横浜市)
【5150円】宮原満州男(大阪市)
[その他]4千円(2人)
10.衆院厚労委 自立支援法案審議開始 障害者代表初の参考人に
身体、知的、精神の3障害へのサービスの一元化や利用料の1割自己負担などを盛り込んだ障害者自立支援法案の審議が5月11日、衆院厚生労働委員会(鴨下一郎委員長)で始まった。利用者の負担増に対する懸念が相次いで出され、尾辻秀久厚労相は「制度を継続可能なものにするため、お互いに助け合い、支え合うことをお願いしたい」と述べた。
17日の同委員会には、日本盲人会連合をはじめ、障害者団体代表が参考人として出席、「障害者自立支援法」と「障害者の雇用の促進等に関する法律改正案」に対する各団体の意見を述べた。
出席した団体は8団体で、各団体15分ずつ両法案に対する評価や意見を述べた後、各委員1人20分を持ち時間として、参考人に対する質問が行われた。障害者団体代表が委員会に呼ばれ、意見を聞かれたのは、これが初めて。
日盲連としては、視覚障害者の立場から(1)費用負担はあくまでも本人の所得を対象とし、同一世帯の収入は対象としないこと(2)移動支援は地域生活支援事業ではなく、自立支援給付(個別給付)とし、財源を保障すること(3)障害程度区分の調査については、介護保険の認定基準を利用するのではなく、障害者の実態が十分把握できる調査項目を定め、調査すること(4)応益負担とする場合は、まず所得保障を充実し、現行の生活水準が維持できるようにすること(5)重度視覚障害者の就労に万全を期すこと、特に重度障害者介助者助成制度の適用期間を、10年後も継続し、対象職種を拡大すること(6)ただでさえ無資格類似行為者が激増している中、タイ式マッサージやタイスパは、絶対に導入しないこと、などを強く訴え、委員からの質問にも答えた。各委員からは「大変参考になったので、今後の審議に十分活かして行きたい」との発言があった。
一方、各障害者団体は「法案の内容は極めて不十分であり、修正を行うことを前提として今国会中に成立させ、障害者の不安を取り除いてほしい」との統一見解を示した。
11.応益負担など見直しを 日比谷公園に6600人結集
日本障害者協議会(河端静子代表)主催、日本盲人会連合など障害者団体協賛の「『障害者自立支援法』を考えるみんなのフォーラム」が5月12日、東京の日比谷公園内にある日比谷公会堂と野外音楽堂で開催された。
北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から6600人が参加、障害者団体代表によるシンポジウムや意見発表、さらには各政党代表によるシンポジウムと盛りだくさんなプログラムを通じて、現在国会で審議が行われている同法案の問題点について活発な論議が交わされた。
最後にフォーラムアピールを満場の拍手のうちに採択し、関係方面に要望書を提出した。アピールの要旨は次の通り。
(1)障害保健福祉関連の予算を大幅に増額し、財政難にあっても必要で充分な予算額を確保(2)応益負担の導入、家族への負担などを見直す(3)難病や発達障害など「谷間の障害」と言われている人々も対象に(4)雇用と福祉の一体的な体制を図り、企業の応援も得て、働く場を増やす(5)個々のサービスの決定にあたっては、障害当事者の自己決定を尊重。
12.さいたま市に新組織 日盲連加盟団体59に
さいたま市視覚障害者協会(長根清平会長)の設立祝賀会が4月3日、相川宗一市長ら多くの来賓を迎え、会員・関係者など150名が参加して、さいたま新都心の「ラフレさいたま」で盛大に開催された。
さいたま市が政令指定都市となって以来、同協会の結成が待たれていたが、ここにめでたく誕生の日を迎えた。また、同協会は本年度から日本盲人会連合に加入することが決まり、これで全国の日盲連加盟団体は59団体となった。
さいたま市視覚障害者協会の連絡先は、〒338―0004さいたま市中央区本町西1―3―30、電話048―852―2008。
13.加盟団体新会長就任
*社団法人北海道視力障害者福祉連合会:東川信夫会長が勇退、新会長に山本克光氏が就任した。
*社団法人山梨県視覚障害者福祉協会:花形幹雄会長が勇退、新会長に相吉堯春氏が就任した。
14.関係方面に一斉陳情 タイスパ問題で厚労省回答
日本盲人会連合では5月31日、風雨の中、役員並びに総合企画審議会委員が4班に別れ、大会決議等を元に一斉陳情した。
第1班は厚生労働省と財務省、第2班は国土交通省と総務省、第3班、第4班は衆議院第1、第2議員会館の厚生労働委員45名全員に、障害者自立支援法案の修正と、タイ式スパサービス及びタイ式マッサージの導入絶対阻止に絞り、陳情を行った。
厚生労働省への陳情の中で、医政局医事課担当官にスパ問題について質したところ、「免許資格となっているので免許のない者は認めない」との明確な回答があった。
なお、他の省庁に対する陳情は、段階を追って行う事にしている。
陳情の内容は次の通り。
厚生労働省関係
1、障害者自立支援法の制定について
(1)現行の障害者福祉制度を後退させないよう万全を期して頂きたい。
(2)視覚障害者の移動支援は生命に関わる重要な問題であり、自立支援給付対象に加えて頂きたい。
(3)費用負担についてはあくまでも本人の負担を対象とし、同一世帯は加えないで頂きたい。
(4)応益負担となった場合は何らかのかたちで所得補償をして頂きたい。(障害基礎年金の引き上げ、または特別障害者手当の給付対象の拡大等)
(5)障害程度区分については障害種別にあった認定基準を設け、適切な認定が図られるようにして頂きたい。
(6)市町村に設置される審査会には障害当事者も委員として指名されるよう図って頂きたい。
(7)情報提供にあたっては、点字、録音、SPコード添付等、視覚障害者が不利にならないよう図って頂きたい。
(8)市町村間に格差を生じないよう万全を期して頂きたい。
2、補装具・日常生活用具の充実について
(1)視覚障害を補うため、パソコン、活字文書読み上げ装置、単眼鏡、ルーペを補装具に加えて頂きたい。
(2)日常生活用具に音声タグを加えて頂きたい。
3、視覚障害者の職業的自立について
(1)障害者基本法に基づき、視覚障害マッサージ師を介護福祉施設(特別養護老人ホーム)に機能訓練指導員として、また、一般企業にヘルスキーパーとして優先採用するよう図って頂きたい。
(2)タイ式マッサージ及びタイスパの導入を絶対認めないで頂きたい。
(3)あん摩師等法に違反する無資格者の徹底取り締まりを図って頂きたい。
(4)あん摩師等法に定義を明記し、違法行為が行われないよう図って頂きたい。
(5)鍼灸師養成施設の新増設を規制すると共に、各校における運営について不正行為がないよう監督を強化して頂きたい。
(6)重度障害者介助者助成制度の適用期間を10年後も継続し、対象職種を拡大して頂きたい。
4、その他
(1)視聴覚障害者情報提供施設(点字図書館)の指定管理者は専門性への必要性から一般入札等を図らないで頂きたい。
(2)看護士養成学校のカリキュラムに「障害者への接し方」を加え、看護士が障害者に適切に対応できるよう図って頂きたい。
国土交通省関係
1、駅ホームに転落防止のための防護柵を設置して頂きたい。
2、エスカレーターには誘導ブロックを敷設すると共に音声案内を整備して頂きたい。(公共交通機関、公共建造物)
3、音声誘導システムの全国統一普及を図って頂きたい。
4、高速道路の割引制度については身障者手帳の提示とし、視覚障害者が利用する全ての車両に適用して頂きたい。
5、新幹線の主流が「のぞみ」になったことから「のぞみ」にもジパング倶楽部制度が適用されるよう図って頂きたい。
6、パスネット、スイカ等のカードを統一し、どの鉄道交通機関でも利用できるよう図って頂きたい。
7、ICタグを利用した誘導システムの実験には、幅広く視覚障害者を参加させ、適切な評価が行われるよう図って頂きたい。(実験場が不明)
総務省関係
1、ラジオ放送が全国どの地域においても明瞭に受診できるよう図って頂きたい。
2、テレビの解説放送の拡充を図って頂きたい。
3、各種選挙の実施にあたっては、現在の点字投票に加え、電子投票のシステムを導入して頂きたい。
財務省関係
1、障害者に対する各種サービス制度の予算を需要に合うよう確保して頂きたい。
15.情報バリア解消でシンポジウム開催 総合企画審・理事会
日本盲人会連合は5月30日、東京・高田馬場の東京都盲人福祉センターで、総合企画審議会(齊藤績委員長)と理事会を開き、第58回全国盲人福祉大会で決議・採択された事項を陳情書にまとめた。
なお理事会ではこの他、(1)本年秋に情報バリア解消のため、全日本ろうあ連盟との共催により東京でシンポジウムを開催すること(2)平成18年5月に名古屋市で開催される第59回全国盲人福祉大会が、名古屋市視覚障害者協会による政令指定都市単独開催となるので、全面的に支援すること、を決定した。
16.春の叙勲・褒章
2005年春の叙勲・褒章受章者の内、日盲連及び障害者関係で受章された方は次の通り(敬称略)。
旭日双光章:板垣成行(78、鳥取県視覚障害者協会会長)、柏谷勲(70、福島県盲人協会会長)、浦友亮(74、元大阪府視覚障害者福祉協会会長)。
瑞宝双光章:蒔苗實(70、日盲連常務理事)。
旭日中綬章 :兒玉明(79、日本身体障害者団体連合会会長)。
瑞宝小綬章:小林一弘(70、元全国盲学校長会長)。
紫綬褒章:和波孝禧(60、バイオリニスト)。
17.視覚障害者用ポータブルレコーダー基準額改正
視覚障害者用ポータブルレコーダー(録音再生機)の国庫補助基準単価改正予定については、3月30日付厚生労働省通達により5万5千円とされていたが、その後、基準額が変更され、従前の8万9800円に改正する旨の通知が5月25日付で各自治体にあった。
これにより、従来通り録音再生機PTR1(8万9800円)も自己負担なしに給付を受けることができる。なお、再生専用機の給付基準額については3万6750円で変更はない。
18.第31回全国盲人文芸大会作品募集
日本盲人会連合は第31回全国盲人文芸大会の応募作品を次の要領で募集します。
【作品の種類】「短歌」「俳句」「川柳」「随想・随筆」の4部門で自作、未発表の作品。
【応募資格】日盲連組織団体会員及び、同団体が設置する施設に所属する視覚障害者であること。
【応募方法】
短歌、俳句、川柳は1人3首(3句)以内、随想・随筆は点字で32マス250行以内、墨字で400字詰め原稿用紙10枚以内。川柳の課題は「自立」と「支援」。
応募用紙:部門ごとに別々の用紙を用い、1行目に部門、2行目から住所、氏名(読みがな付き)、電話番号、その次の行から作品を書く。点字の場合は固有名詞やまぎらわしい言葉に墨字を書き添えるか注釈をつけ、墨字の場合は固有名詞にふりがなをつける。
参加料:短歌、俳句、川柳は1部門1千円、随想・随筆は1500円、2部門以上はそれぞれ加算。
送り方:①応募作品と参加料(現金)を現金書留で郵送、②応募作品に参加料(小為替または100円以下の小額切手で)を同封して郵送、のいずれか。
応募作品を掲載した作品集(随想・随筆は入選作品のみ)を送付するので、点字・墨字いずれを希望か応募の際に明記。
締切:平成17年8月31日(当日消印有効)。
優秀な作品には厚生労働大臣賞、文部科学大臣奨励賞などが贈られる予定。
【送り先・問合せ先】〒169-8664、東京都新宿区高田馬場1-10-33、日盲連文芸係(電話03-3200-3439)。