愛盲時報 第205号(テキスト形式・全文)

2005年3月25日

   愛盲時報 第205号(平成17年3月25日)

 1.日盲連理事会・評議員会開く センター建設へ募金呼びかけ
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)の平成16年度第6回理事会が3月22日、第3回定期評議員会が同23日、東京・芝の東京グランドホテルで開催され、平成16年度補正予算案、平成17年度事業計画案、同予算案を審議、いずれも本部提案通り承認された。
 平成17年度予算は、寄付金の減少、補助金の減額など厳しい状況が変わらず、13会計、総額5億2894万9000円と前年度から883万4000円の減額となっている。
 事業計画では、障害者福祉が障害者自立支援法により大きく転換しようとしていることなどを踏まえ、日盲福祉センターの移転新築、メーリングリストの整備による迅速な情報提供、テレビの解説放送実現などに積極的に取り組む、とした。
 また、故村谷昌弘日盲連名誉会長の業績を記念し、団体活動の主力となって活躍した人に贈る「村谷福祉賞」(賞金10万円と記念品)の創設を決定、日盲連顧問樋口四郎氏がその第1回受賞者に選ばれた。
 その他、さいたま市視覚障害者協会が4月1日付けで新たに加盟することと、それに伴う定款の一部変更(評議員の定数を61名から62名に)についても承認された。
 役員の補充では、退任する室岡正司理事(千葉県)に替わり岡田正平氏(千葉市)が新理事に就任。評議員には次の方々が新しく就任する(カッコ内は現評議員、敬称略)。千葉県・向後和子(室岡正司)、広島県・橘高則行(石井邦夫)、兵庫県・岩崎敏彦(堀忠男)、東京都・小林文雄(稲垣佳生)、茨城県・諏訪光英(本多操)。
 また、新潟県視覚障害者福祉協会(松永秀夫会長)からは、昨年秋の新潟県中越地震に際し、全国の会員から贈られた義援金が総額約520万円に達したことが、感謝の言葉と共に報告された。
 22日の理事会に続いて開かれた指導者研修会では、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室の田村一室長補佐を講師に迎え、「障害者自立支援法の概要」をテーマに研修を行った。
 23日は評議員会終了後、日盲福祉センターの建設委員会が開かれ、建設資金に充てる寄付金募集については、当面の目標額を2億円として、日盲連組織団体、個人、一般企業など各方面に呼びかけることを申し合わせた。

 2.日盲連女性協全国委員会 第50回大会記念誌配布
 日本盲人会連合女性協議会(名取陸子協議会長)の平成16年度第2回全国委員会が3月24日、東京・高田馬場の日盲福祉センターで、委員全員が出席して開かれた。平成17年度事業計画案、予算案、運動方針案が、いずれも原案通り承認された他、8月25日~27日に、広島県福山市で開催される第51回全国盲女性研修大会の準備状況や、会報「あかね」について購読料の徴収状況改善、名簿管理の徹底、原稿依頼への協力態勢などを審議した。
 また、昨年大阪で開かれた第50回大会を記念して発行準備が進められていた「日本盲人会連合女性協議会の歩み 50回大会記念誌」(点字版・墨字版)が完成、製本されたばかりの記念誌を早速委員全員が手に取り、感慨を新たにした。
 同記念誌は近く各都道府県団体に送付されるが、保存版(点字・墨字各一部)以外は、大会に参加した会員に配布する予定で、同協議会では各団体の協力をお願いしたいとしている。

 3.日盲連あはき協 養成施設濫造対策など審議
 日本盲人会連合あはき協議会(桜井俊二協議会長)の委員会が3月23日、東京・芝の東京グランドホテルで開かれ、これまでの経過報告に続いて鍼灸養成施設濫造対策などを審議した。平成16年度事業並びに会計中間報告と、平成17年度の運動方針を含む事業計画案及び、予算案は本部原案通りを承認された。
 主な運動方針・事業計画は次の通り。
 (1)衆議院への法改正請願運動は再び「保留」となったが、今後も視覚障害あはき師の自立と生活の安定を確保するための社会環境を整える運動を進める
 (2)無免許あはき業者と無資格類似行為業者の一掃運動については、厚生労働省の指示もあり、数件の摘発が行われたが充分な実効が上がっておらず、各都道府県議会への請願運動で全都道府県の採択を目指すなど、さらに運動
 (3)「タイ式マッサージ」の日本上陸は断固阻止で運動
 (4)視覚障害あはき師の資質向上と競争力強化を目指す講習会・研修会などを実施
 (5)鍼灸マッサージ健康保険取り扱いの拡大強化
 (6)損害賠償補償保険への加入促進

 4.主な行事予定
 ・第58回全国盲人福祉大会(社団法人山口県視覚障害者団体連合会との共催、5月18日~20日、山口県下関市・海峡メッセ下関)
 ・第31回全国盲人文芸作品募集(募集期間:7月1日~8月31日、成績発表11月下旬)
 ・第51回全国盲青年研修大会(7月29日~31日、福島県福島市・飯坂温泉ホテル聚楽)
 ・第51回全国盲女性研修大会(8月25日~27日、広島県福山市、ニューキャッスルホテル、広島県民文化センター)
 ・第46回全国盲人音楽家福祉大会(1月28日邦楽演奏会、29日大会、神奈川県・江ノ島女性会館で予定)
 ・第29回全国盲人将棋大会(11月5日~6日、東京で予定)
 ・第12回全国フロアバレーボール大会(11月26日~27日、神奈川県座間市市民体育館)
 ・第6回全日本グランドソフトボール大会(9月23日~25日、三重県津市)
 ・第20回全日本視覚障害者柔道大会(共催、11月27日、東京都文京区の講道館)
 尚、社会人サウンドテーブルテニス大会も秋に予定されている。

 5.第58回全国盲人福祉大会は山口で 皆さん参加しましょう!!
主催:社会福祉法人 日本盲人会連合
   社団法人 山口県視覚障害者団体連合会
会期:平成17年5月18日(水)~20日(金)
日程及び会場
 【第1日目】5月18日(水)
 ・理事会
 ・評議員会
 ・あはき協議会代議員会
 ・スポーツ協議会代表者会議
 [会場]海峡メッセ下関(山口県国際総合センター)会議室
  〒750-0018 山口県下関市豊前田町3-3-1
  電話0832-31-5600
 【第2日目】5月19日(木)
 ・第42回全国盲人代表者会議
 [会場]海峡メッセ下関・会議室及び展示見本市会場
 【第3日目】5月20日(金)
 ・第58回全国盲人福祉大会
 [会場]海峡メッセ下関・展示見本市会場
*大会事務局
  社団法人 山口県視覚障害者団体連合会
  〒759-6534下関市永田郷440-3 春光苑内
  電 話0832-86-7305
  FAX0832-86-6791

 6.日本盲人会連合平成17年度事業計画
 (自平成17年4月1日~至平成18年3月31日)
 日本盲人会連合は、全国の視覚障害者の福祉増進と生活安定向上を目指し昭和23年結成以来積極的な活動を推進してきた。終戦後60年、私たち障害者を取り巻く環境は支援費制度の破綻から障害者自立支援法へと大きく転換されようとしており、その結果如何は我が国の障害者の将来を大きく左右する結果となる。こうした事態を踏まえ日盲連は次の事業計画を立て、完全実施すべく全力を傾注する。特に最重点課題として、懸案となっている日本盲人福祉センターの移転新築を挙げ、その実現に努める他、その生涯を我が国の障害者福祉推進のために捧げられた故村谷昌弘氏の多大な功績を讃えると共に、深く感謝の意を表し、その名を歴史に止めるため「村谷福祉賞」を創設、またIT社会に対応するためメーリングリストの整備を図り、情報バリアの解消と迅速な情報提供に努め、更に情報の中心となっているテレビ放送の解説放送(副音声化)の実現に積極的に取り組む。内容は次の通り。
  Ⅰ 組織活動
 1、組織強化
 福祉行政の主体は各市区町村に移っており、これに対応するためのそれぞれの地域での組織作りが急務となっている。特に支援費制度においては、実施主体が各自治体であることから、各地域における団体活動を推進し、情報提供、連絡伝達等を強化して視覚障害者一人一人の福祉を確立してきた所である。平成17年度も更にその充実を図る必要がある。また、日盲連の一層の団結強化を図って行かなければならない。
 2、情報技術、IT等へ の対応
 情報技術の著しい進歩に対応するため、視覚障害者のIT利用を促進すると共に、視覚障害者用の機器の研究開発、購入費の補助等、情報環境の条件整備に努め、他の情報媒体による視覚障害者向けの情報提供にも努力する。メーリングリストについては当面、各団体、又は団体長のアドレスを事務局に登録し、可能な限りメールによる送信に努め、迅速な情報提供を図る。
 3、移動の補助
 視覚障害者の社会参加を促進するためには、安全かつ安心して活動できる生活環境の整備が必要であり、移動介護(ガイドヘルパー)制度の充実の他、交通バリアフリー法施行以来、公共交通機関をはじめ、道路環境の整備が進められているが未だ不十分であり、音響式信号機、音声誘導システム、JIS規格に基づく誘導ブロックの敷設、弱視者のための階段段鼻への色付けや、拡大文字による各種表示など、更には科学技術を駆使した補助装置開発の促進に努める。視覚障害者誘導のための整備基準の全国統一も急務である。
 4、村谷福祉賞の創設
 日本盲人会連合結成準備段階から平成12年3月までの永きに亘り、我が国の障害者福祉、特に視覚障害者福祉増進にその生涯を捧げ、今日の我が国における障害者福祉を確立された故村谷昌弘氏の偉業を讃え、団体活動の主力となって活躍している者の中から、毎年開催される全国盲人福祉大会において村谷福祉賞を贈り表彰する。
 5、解説放送の研究促進
 視覚障害者の情報バリアを解消するため、独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、テレビ放送における解説放送(副音声)の研究開発の促進を図る。
 6、第58回全国盲人福祉大会開催
 5月18日から20日までの3日間、社団法人山口県視覚障害者団体連合会との共催により、同県下関市の海峡メッセにおいて、第58回全国盲人福祉大会を開催する。大会には全国各地域の代表多数が参加、日盲連の運動方針を決定するとともに、大会決議を採択するなど、内外に向け日盲連の活動を示す最大の意志決定の大会となる。
 7、各種協議会の開催
 日盲連活動の一環として、加盟団体の協力を得て、研修、文化、スポーツなど、各種行事を実施する。
  Ⅱ 施設事業
 1、第2種社会福祉事業
 (1)全国の視覚障害者を主体として構成する団体に対する連絡及び助成事業:情報は随時団体に送付。「点字日本」「日盲連アワー」「点字JBニュース」「電話ナビゲーション」他、各種広報を通じて情報提供。ブロック大会、会議、研修会には役員を派遣し、情報交換に併せ、組織の連携、強化に努める。更に各団体及びブロック、各協議会に対し、助成を実施する。
 (2)日本盲人会連合更生相談所の設置運営:更生相談所に併せて厚生労働省委託の全国盲人生活相談事業を行う。電話、手紙、来所、電子メールで随時相談に応じ、毎月1回顧問弁護士による法律相談を行うと共に、年2回、眼科、生活を含む総合相談を実施。
 (3)視覚障害者情報提供施設日本盲人会連合点字図書館の設置経営:(ア)蔵書拡充、登録者拡大
(イ)デイジー図書充実とマザーテープデイジー化
(ウ)東京都委託点訳・朗読奉仕員指導者等養成事業実施
(エ)全国視覚障害者情報提供システムとの連携強化。
 (4)視覚障害者情報提供施設日本盲人会連合点字出版所の設置経営:(ア)設備、機能充実
(イ)厚生労働省委託「点字厚生」「ワールド・ナウ」発行
(ウ)各自治体広報点字版委託事業と各種点字パンフレット、点字表示等受注
(エ)視覚障害者に関わる情報、移動等各種バリアフリー化事業に参加、協力。
 2、公益事業
 (1)福祉一般に関する調査、研究、改善普及、情報宣伝活動及び、文化向上に関する事業:各地域における視覚障害者の実態を把握し、情報を随時提供。事務局内に支援費制度・介護保険制度110番(電話03-3200-3439)を設置し随時会員からの相談に応じる。
 (2)業職域拡大及びあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう業安定のための調査研究、改善普及並びに医療保険取扱い、業経営の指導普及:
(ア)あはき業従事者の権益を守るため、あん摩師等法の改善を図る
(イ)他団体と協調し無資格類似行為者一掃のための諸施策推進
(ウ)はり、きゅう、マッサージの健康保険取扱いをより容易にするため関係団体と共にその改善に努め、事務代行を実施
(エ)あはき協議会の組織強化を図り、資質向上のため日マ会と共催でブロック研修会開催
(オ)新職域として特別養護老人ホームの機能訓練指導員への視覚障害マッサージ師優先採用を関係方面に積極的に働きかけ
(カ)あはき業の安定経営と発展を図るため各種相談に応じ助言、指導を行うと共に三井住友海上火災保険株式会社と契約し損害賠償保険の取扱いを行い、あはき業が国民の健康保持増進に一層貢献できるよう努力(キ)新職業の職域開発のため関係方面に積極的に働きかけ。
 (3)国内及び海外の関係団体との相互交流、協力に関する事業:
(ア)関係省庁における審議会(分科会・部会)等に代表を派遣、視覚障害者の意見要望反映に努める
(イ)日本盲人福祉委員会を介してWBU(世界盲人連合)、同東アジア・太平洋地域協議会に加盟し国際的に活動。沖縄でJICA(ジャイカ)の協力により東南アジア各国のマッサージ指導員の研修事業を行う。国連特別委員会で協議中の障害者権利条約制定促進にも積極的に参加協力すると共に前年度に引き続き国際委員会を設置し、海外視覚障害者団体との連絡、情報交換、国際交流に努める
(ウ)全国社会福祉協議会、日本障害フォーラム(JDF)、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等法推進協議会、鍼灸マッサージ保険推進協議会等関係団体と連携し、視覚障害者の権益擁護と福祉増進に努める。
 (4)その他の事業
(ア)厚生労働省の補助事業「点字ニュース即時提供事業」を実施、全国62ヶ所の地方実施機関を通じ、「点字JBニュース」の点字、電話による提供を前年に引き続き行う。また、インターネットにより「点字JBニュース」及び、自治体等の身近な生活情報を各地方実施機関から配信。
(イ)録音製作所:
(a)設備、機能充実を図り「厚生労働白書テープ版」を平成17年度よりインターネット配信
(b)厚生労働省委託「録音声の広報『厚生』」、「厚生労働白書」(録音版)、「障害者白書」(同)の作成、配布。各自治体発行の広報(録音版)、各種録音物作成、配布
(c)JBS日本福祉放送で毎週1本、30分枠ラジオ番組「セブンデイズ日盲連」を制作し、日盲連の活動をいち早く紹介、会員相互のコミュニケーションを促し視覚障害者全体に役立つ情報提供に努める。
(ウ)盲人用具の研究開発、販売斡旋、普及:厚生労働省の委託による盲人用具販売斡旋事業と共に各種機器の研究開発、普及、販売など視覚障害者の便宜を図り、サービスの提供に努める。
(エ)東京都委託事業の実施:
(a)東京都の委託を受け、広域ガイドヘルパーネットワーク事業を実施
(b)点訳、朗読奉仕員指導者養成事業を実施。音訳をはじめ、英語、点字楽譜、触地図等専門点訳者の養成。
  Ⅲ 日本盲人福祉センターの移転と拡充
 日本盲人福祉センターは、昭和46年5月に建設され、日盲連活動の拠点として、また、視覚障害者への各種サービスのセンターとして重要な役割を果たしてきた。しかし、30余年を経た今日、事業の発展により、施設は狭隘となり、建物の老朽化も進んできた。また、その後の建築基準法にも適合せず、消防署からは再三にわたり、防災上問題あり、として忠告を受ける結果となった。センター移転は、村谷前会長当時からの懸案であったが、幸いにも現在地から300メートル程の所に適当な土地が見つかり、これを確保、今年度からは建設資金の確保等に全力を挙げ、早期着工に取り組む。なお、建設促進を図るため、関係者による建設委員会を設置し、これに当たる。

 7.障害者自立支援法案今国会提出へ
 政府は2月10日、身体・知的・精神の障害者ごとに分かれている福祉制度を一本化する「障害者自立支援法案」を閣議決定、国会に提出した。成立すれば今年10月から段階的に施行する。
 3月22日に開かれた日本盲人会連合の指導者研修会では、この「障害者自立支援法」について厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課社会参加推進室の田村一室長補佐を講師に迎え、研修を行った。以下に、当日厚生労働省から示された資料の概要をご紹介する。
 指導者研修会資料「障害者自立支援法案の概要」
 障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度の下で一元的に提供する仕組みを創設することとし、自立支援給付の対象者、内容、手続き等、地域生活支援事業、サービスの整備のための計画の作成、費用の負担等を定めるとともに、精神保健福祉法等の関係法律について所要の改正を行う。
 Ⅰ 障害者自立支援法による改革のねらい
 1、障害者の福祉サービスを「一元化」
 サービス提供主体を市町村に一元化。障害の種類(身体障害、知的障害、精神障害)にかかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供。
 2、障害者がもっと「働ける社会」に
 一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業等で働けるよう、福祉側から支援。
 3、地域の限られた社会資源を活用できるよう「規制緩和」
 市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスが利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制を緩和する。
 4、公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」
 支援の必要度合いに応じてサービスが公平に利用できるよう、利用に関する手続きや基準を透明化、明確化する。
 5、増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化
 (1)利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」
 障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者負担を求める。この場合、適切な経過措置を設ける。
 (2)国の「財政責任の明確化」
 福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改める。
 Ⅱ 法案の概要
 1、給付の対象者
 身体障害者、知的障害者、精神障害者、障害児
 2、給付の内容
 ホームヘルプサービス、ショートステイ、入所施設等の介護給付費及び自立訓練(リハビリ等)、就労移行支援等の訓練等給付費(障害福祉サービス)
 心身の障害の状態の軽減を図る等のための自立支援医療(公費負担医療)等
 3、給付の手続き
 給付を受けるためには、障害者又は障害児の保護者は市町村等に申請を行い、市町村等の支給決定等を受ける必要があること。
 障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、市町村に置かれる審査会の審査及び判定に基づき、市町村が行う障害程度区分の認定を受けること。
 障害者等が障害福祉サービスを利用した場合に、市町村はその費用の100分の90を支給すること。(残りは利用者の負担。利用者が負担することとなる額については、所得等に応じて上限を設ける)
 4、地域生活支援事業
 市町村又は都道府県が行う障害者等の自立支援のための事業(相談支援、移動支援、日常生活用具、手話通訳等の派遣、地域活動支援等)に関すること。
 5、障害福祉計画
 国の定める基本指針に即して、市町村及び都道府県は、障害福祉サービスや地域生活支援事業等の提供体制の確保に関する計画(障害福祉計画)を定めること。
 6、費用負担
 市町村は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用を支弁すること。
 都道府県は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用の4分の1を負担すること。
 国は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用の2分の1を負担すること。
 その他地域生活支援事業に要する費用に対する補助に関する事項等を定めること。
 7、その他
 附則において利用者負担を含む経過措置を設ける。
 附則において精神保健福祉法をはじめとする関係法律について所要の改正を行う。
 Ⅲ 施行期日
 ・利用者負担の見直しに関する事項のうち自立支援医療(公費負担医療)にかかるもの:平成17年10月
 ・新たな利用手続き、国等の負担(義務的負担化)に関する事項、利用者負担の見直しに関する事項のうち障害福祉サービスにかかるもの等:平成18年1月
 ・新たな施設・事業体系への移行に関する事項等:平成18年10月

 8.特別障害給付金 4月から請求受付け開始
 国民年金の任意加入期間に未加入だったため、障害基礎年金等を受給していない障害者を対象とした福祉的措置として、特別障害給付金が支給されることになり、4月から請求受付けが始まる。
 支給対象者は
 (1)平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生
 (2)昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった被用者(厚生年金、共済組合等の加入者)の配偶者
で、任意加入していなかった期間内に障害の原因となる傷病の初診日があり、現在、障害基礎年金1級、2級相当の障害に該当する方(ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当)。また、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金を受給できる場合は対象にならない。
 支給額は、障害基礎年金1級該当で月額5万円、同2級該当で月額4万円。物価スライドが適用され、本人所得による支給制限は、扶養親族等がいない場合、前年の所得額が360万4000円に達すると半額、462万1000円になると支給されない。扶養親族等が一人加わるごとに上限が38万円上乗せされる。
 請求手続きは平成17年4月1日から、住所地の市区町村役場窓口で受け付ける。障害認定等の審査、給付金の支給の事務は社会保険庁が行う。

 9.障害者権利条約推進議員連盟発足
 2月22日、東京・永田町の衆議院第1議員会館会議室で、国連障害者権利条約推進議員連盟が設立総会を開き、発足した。同連盟には超党派で衆・参両議員123名が参加、役員選任では会長に元外務大臣の中山太郎衆議院議員が、事務局長には日本盲人会連合顧問の八代英太衆議院議員が選出された。
 国連障害者権利条約制定に向けた動きを支援、条約の早期実現を図るために設立されたもので、今後の活躍に大きな期待が寄せられている。

 10.日本で初の執行委員会開く WBU東アジア太平洋協議会
 世界盲人連合(WBU)東アジア太平洋協議会の第1回執行委員会が3月25、26の両日、東京・高田馬場の東京都盲人福祉センターで開催された。
 メンバーは平成16年12月に南アフリカのケープタウンで開かれた第6回WBU総会の折りに選出。
 委員会には、グレエム・イネス会長(オーストラリア)はじめ委員全員が出席。日本からは執行委員の指田忠司氏と、財務担当の田畑美智子氏が出席した。
 また世界盲人連合第1副会長のマリアンヌ・ダイヤモンド氏(オーストラリア)なども同席し、むこう4年間の活動方針や当面する諸問題について協議した。

 11.タイ式マッサージの参入は絶対阻止で運動
 2月24日から3月3日まで開かれていた、日本とタイとの自由貿易協定(FTA)交渉で、その結果が注目されていた、タイ式マッサージの導入は先送りとなった。
 この問題については、これまで何度か見送られてきたが、今回法務省は「疲労回復、リラクセーションを目的とした就労に限定し、タイにちなんだ保養施設を日本に建設、施設内で雇用する方式に限って受け入れる」方向で、検討しているとした。日本の教育課程を経た上で国家免許を取った者に限るとしている看護士のケースとは異なり、このままでは無資格者の巣窟となるのは明らかで、日本盲人会連合では全国組織を挙げ、小泉総理をはじめ関係各方面に一斉陳情し、絶対阻止する方針で運動を展開。日本あん摩マッサージ指圧師会など、関係各団体も一斉に反対運動を展開した。
 今回は見送られたものの、交渉の項目から外されたわけではなく継続検討課題となっており、この際、徹底した反対運動を行い、対象項目から外すまで反対運動を継続して行く必要がある。

 12.ブロック大会等各地で開催
 *第58回九州盲人福祉福岡大会
 第58回九州盲人福祉福岡県大会(代議員総会)が2月6日~7日、九州盲人会連合会と福岡県盲人協会(田代浩司会長)の主催で開かれ、福岡市のセントラルホテルフクオカを会場に、8県2市から約200人が参加した。
 6日は監査会、理事会に続き福祉、職業対策、体育の3つの分科会と代議員総会が行われた。7日の福祉大会では式典に続いて平成17年度運動方針を審議し、7項目の決議を採択、続いて日本盲人会連合の笹川吉彦会長が「障害者自立支援給付法について」を記念講演した。決議された要望事項は次の通り。
 (1)乱立激増する無資格違法類似業者の徹底取締り強化と、あはきの定義等法改正を早急に
 (2)改革のグランドデザイン等により応能負担から応益負担へ変わろうとしているが、従来の制度より後退したり、地域格差が生じないよう要望
 (3)三位一体改革で、税財源や施策権限が国から地方へ移されようとしているが、福祉施策及び団体等への補助金の廃止や減額が行われないよう要望
 (4)自立と社会参加促進のための情報提供、パソコンやIT機器の開発充実、交通関係施設等の整備
 (5)自然災害に対する災害弱者の緊急避難救助体制づくりを市町村、地域社会に要望
 (6)「障害者の権利条約」「障害者差別禁止法」の速やかな制定
 (7)視覚障害者マッサージ師を介護施設に機能訓練指導員として優先的に雇用。

 *北信越ブロック会議 長野県で
 平成16年度日盲連北信越ブロック会議が長野県視覚障害者福祉協会(桜井俊二会長)の主管により2月11、12の両日、長野県松本市の美ヶ原温泉ホテル翔峰で関係者約160人が参加して開かれた。今回は、昨年の豪雨や新潟県中越地震により加盟団体会員に大きな被害があったことから、災害被害者による体験談の発表も行われた。
 11日は開会式と代表者会議、青年部協議会、女性部協議会・研修会が行われたほか、福井県の窪田清和氏が水害被害者体験談を語った。12日は全体会が開かれ、新潟県の林光男氏が地震被害者体験談を報告。引き続き日本盲人会連合の笹川吉彦会長が「最近の中央情勢」を講演した。代表者会議に提出された主な要望事項は次の通り。
 (1)「障害者自立支援法」の制定と関連法制度の改正に当たっては、視覚障害者への配慮を明記するとともに、応益負担を導入せず、個人の所得に応じた負担金とする
 (2)無資格者による医療類似行為の中止と厳重な取締り対策を早急に。
 また、青年部協議会では
 (1)障害者ITバリアフリー化推進事業とともに法制度の整備
 (2)バリアフリー化促進と社会への理解啓発
 (3)郵政民営化に当たっての点字郵便の継続
 (4)信号機に歩行者用音響を
 女性部協議会では
 (1)高速道路通行料金の割引対象拡大
 (2)テレビ番組にもっと音声解説を
 (3)支援費制度、日常生活用具給付の自己負担は本人所得のみで算定(4)食料品への点字表示
 (5)医療機関への視覚障害者対応マニュアル配布
などの議題が提出された。

 *四国ブロック協議会・研修会 高知県で
 平成16年度日本盲人会連合四国ブロック協議会並びに研修会が2月19、20の両日、高知市の土佐御苑を会場に、同協議会と高知県視力障害者協会(松岡弘会長)の主催で開かれた。四国四県の代表者ら約100人が参加、19日は開会式に続き、笹川吉彦日盲連会長による「中央情勢報告」の講演と質疑応答、各県からの活動報告などが行われた。
 20日は代表者会と青年、女性、スポーツの各協議会に続き全体会が開かれ、各分科会の審議内容が報告された。各県及び各協議会から提出された主な議題は次の通り。
 (1)障害者自立支援法の施行など制度改正に当たり、視覚障害者がその特性により不利にならないよう考慮を
 (2)付き添いを必要とする場合のJR特急券を半額に
 (3)有料道路等障害者割引を手帳の提示で
 (4)視覚障害あはき師への助成制度確立
 (5)福祉・医療の応益負担反対
 (6)携帯電話の通話料を半額に
 (7)インクジェット用年賀葉書に切り欠きを
 (8)支援費制度の家族負担を自己負担に
 (9)ICレコーダーを日常生活用具に

 *第39回関東ブロック協議会埼玉大会
 第39回日本盲人会連合関東ブロック協議会埼玉大会が同協議会と埼玉県視力障害者福祉協会(高野宗吉会長)の主催で2月20、21の両日、埼玉県・江南町の「ホテルヘリテイジ」で開かれた。
 11団体から300人以上が参加。20日は大会式典と記念講演に続き、福祉・文教、職業・経済、青年、女性の4分科会で討議が行われた。21日の全体会議では各分科会報告、協議会報告、笹川吉彦日盲連会長からの日盲連活動報告が行われ、10項目の決議を採択し閉幕した。次回第40回大会は東京で開催の予定。決議された要望事項は次の通り。
 (1)介護保険利用料の1割負担減額とホームヘルパー、ガイドヘルパー負担額を本人所得のみで算定
 (2)鍼灸マッサージの無資格者取締り徹底を図るため、都道府県議会に請願し、法改正を含めて採択を
 (3)老人施設等の機能回復訓練士として視覚障害者の雇用を図る
 (4)ヒューマンアシスタント制度の充実強化を図るとともに、企業・医療機関でのマッサージ師雇用拡大
 (5)公共交通機関の駅構内誘導及びホーム、車内放送等正確に聞こえるようなアナウンスを
 (6)有料道路の通行料を視覚障害者が同乗するバスを含むすべての車に割引適用
 (7)社会参加を容易にする安全歩行のための点字ブロック普及と音声誘導システム導入
 (8)視覚障害者選挙人の秘密を守るため、電子投票制度の早期実現
 (9)補助犬法に基づく一般社会の理解と、盲導犬の育成事業の充実(10)人にやさしい町づくり条例に基づき、全市町村で視覚障害者の参加した地域作り実現

 13.第28回将棋大会 A級優勝は加藤さん
 第28回全国盲人将棋大会(日本盲人会連合、東京都盲人福祉協会主催)が1月30~31日、東京都新宿区の戸山サンライズで開かれた。出場者はA級(有段者の部)12人、B級16人の計28人で、初日の予選、2日目の決勝トーナメントに熱戦を繰りひろげた。各級の優勝者には厚生労働大臣杯が贈られる他、A級には四段、B級には初段が日本将棋連盟より授与される。成績は次の通り(敬称略)。
 【A級】優勝:加藤秀雄(愛知県、2段)/準優勝:福井宏郷(青森県)/第3位:鷲頭芳夫(札幌市)
 【B級】優勝:広瀬進市(群馬県)/準優勝:江口茂樹(佐賀県)/第3位:田守賢一(東京都)

 14.視覚障害者卓球 第1回選抜大会開催
 日本視覚障害者卓球連盟主催の第1回選抜視覚障害者卓球大会が、2月12、13の両日、東京都国立市の多摩障害者スポーツセンターで開催された。例年行われている厚生労働大臣杯全国視覚障害者卓球大会が、諸般の事情により中止となったため、会員からの強い要望を受け開催されたもの。
 全国から男子33人、女子31人の64選手が参加、試合は全て個人戦で、予選リーグ戦と決勝トーナメントに熱戦を展開した。成績は次の通り(敬称略)。
 【サウンドテーブルテニスA】(アイマスク有り) 
 〈男子〉優勝:大内敏治(名古屋市)/準優勝:平子浩(愛媛県)/第3位:開田正一(石川県)、額賀勝彦(茨城県)
 〈女子〉優勝:高橋ミヤ(神奈川県)/準優勝:山崎智恵子(川崎市)/第3位:今里宏美(京都府)、笠羽明美(横浜市)
 【サウンドテーブルテニスB】(アイマスク無し、男女混合)
 優勝:小園文子(宮崎県)/準優勝:松田浩二(神奈川県)/第3位:橋本一郎(福島県)、渡辺宏子(埼玉県)

 15.地震・台風被災会員に災害見舞金
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)は、平成16年10月23日に発生し、最大震度七を記録した新潟県中越地震により被災し、住宅が半壊する被害を受けた会員11名に、新潟県視覚障害者福祉協会を通じて災害見舞金計22万円を贈った。
 また、平成16年秋に上陸した台風により、床上浸水の被害を受けた会員11名に、兵庫県視覚障害者福祉協会を通じて災害見舞金計11万円を贈った。
 なお、豪雨・台風被災者については既に昨年12月、11道府県の42人に見舞金を贈っている。

 16.訃報
 かねて病気療養中だった福井県視覚障害者福祉協会の元会長で現相談役の嶋田等氏が2月8日、肺炎のため逝去された。82歳。葬儀は10日、福井市足羽の月輪寺でしめやかに営まれた。喪主は長男の英雄さん。自宅は福井市つくも2-12-4(電話0776-35-1717)。