愛盲時報 第204号(テキスト形式・全文)

2005年1月1日

   愛盲時報 第204号(平成17年1月1日)

 1.新春対談2005 尾辻厚生労働大臣と笹川吉彦日盲連会長
   新たな福祉構築へ「自立」と「自助」で
 新しい年を迎え、障害者福祉にもさらなる施策の充実が期待されます。昨年9月に就任された尾辻秀久厚生労働大臣に、就任の抱負も含め、笹川吉彦日本盲人会連合会長がお話をうかがいました。
 笹川:大臣、明けましておめでとうございます。
 大臣:おめでとうございます。
 笹川:先の臨時国会で大臣は、障害福祉制度の改革は「自立」と「自助」がキーワードだとおっしゃいました。私どもの団体も昭和23年の8月に結成され、当時の基本理念が自立と自助努力ということで、大臣の方針と一致するわけですけれども、我々障害者の場合は、社会的な支えというものがない限り、いくらがんばっても限界があるわけです。この点について、大臣はどのようにお考えでございますか。
 大臣:昨年の9月に厚生労働大臣に就任し、今責任の重さを感じておる所でございます。ある障害をお持ちの方とお話しておりました時に、自分達はタックス・イーターからタックス・ペイヤーになりたいとおっしゃったお言葉に大変感動を覚えました。皆様といろんなことを一緒に考えていきたい、保護される時代ではなく、「自立」と「自助」でご一緒にがんばりましょうということを改めて申し上げたいと思います。
 厚生労働行政について
 笹川:次に厚生労働行政につきまして、視覚障害者の自立の手段としては、残念ながら今の所、はりきゅうマッサージ、つまり自営業者が圧倒的に多い訳です。ところが、これまでは厚生行政、労働行政が別々になっておりまして、福祉でも雇用でもない、非常に半端な状況に置かれておりました。厚生労働省が機構改革で一つになったことに対して我々視覚障害者は大変期待している訳ですけれども、この点についてどのようにお考えでしょうか。
 大臣:厚生労働省は昨年の10月に、障害者福祉のあるべき姿をお示し致しました。そこで申し上げたのは、まず障害種別に関わりなく地域で暮らせるように支援するための総合化ということ。もう一つは、お一人お一人の障害特性やニーズに合った支援ということ。視覚障害者の皆様方にはこれまで就労支援、機器の活用による職域拡大、あんまマッサージの技術を活用した雇用促進に努める、といったことをさせて頂いてきました。
 今後も自営も含めた在宅就業について、ご支援を行っていくことが必要ではないかと基本的に考えており、厚生省と労働省が一緒になったメリットを是非いろんな所で活かして行きたいと思っております。そうした中で、福祉施策と雇用施策のより一層の連携を図り、障害者の就労支援を進めていくことは何より大事なことだと思います。
 視覚障害者に対する就労支援ということで具体的には、機器の開発・普及、福祉施設などでの雇用拡大に着目した取り組みを一層進めることにより、職域拡大に努めてまいりたい。そして来年度の制度改正に向けて、労働政策審議会障害者雇用分科会での議論の内容を踏まえ、障害者の在宅就業に対する支援を行うこととし、あんまマッサージを自営で行っている視覚障害者についても支援を行う、こんなことを考えております。
 社会参加と移動
 笹川:次に視覚障害があるが故の不自由さという中で、やはり一番不自由なのが自由に行動ができない、ということでございます。この移動介助について、今後どのようなお考えで取り組んで頂けるでしょうか。
 大臣:移動の自由を確保することは皆様方にとってきわめて重大な課題であると認識をしております。厚生労働省としては今回の改革において、再編される地域生活支援事業の中に、移動支援事業としてガイドヘルプ事業を位置付け、市町村の実施体制の確立を促しつつ、より柔軟にニーズに応えられる仕組みの構築に努めることとしております。
 視覚障害者と情報
 笹川:次に情報バリアの問題ですけれども、やはり視覚障害者の場合は情報不足というのが大きなポイントになります。今まさにインターネットの時代だと云われてますけれども、実際に視覚障害者がインターネットで情報を得られるというのは全体の5%ぐらいですね。
 やはり技術を習得する態勢が十分できていないということで、まず指導者の養成ですね。これはボランティアということになるでしょうけれども。もっと使いやすい機器の開発も必要だと思いますし、障害に応じた指導方法、訓練方法を是非お考え頂ければと思います。
 大臣:厚生労働省としても障害者の方々にもパソコンを大いに利用して頂こうという考え方で、たとえばパソコンボランティア養成派遣事業というのを実施致しております。また総務省でも、障害者の皆さんのIT利用、活用を支援する人材の資質向上や、育成の方策の検討を進めている、そういう所とも一緒に障害者の皆さんの情報バリアフリーの推進に努めてまいりたいと思っております。
 高齢化対策
 笹川:次に視覚障害者の高齢化の問題ですけれども、平成13年の実態調査ですと、70歳以上が51.5%、2人に一人は70歳以上ですね。60歳で見ますと4分の3、73.4%が60歳以上ということで、一般の高齢化とは比較にならないぐらい進んでおります。しかも高齢者の多くが中途以後の失明者なんですね。
 つい先日、世界盲人連合の会議がありまして、高齢者委員会で色々調査した結果、高齢失明者の3分の1が自殺者だと聞いてびっくりしたんですけれども。やっぱり高齢になって失明するということは、大変な苦痛なんですね。日本盲人会連合も、そういう方々をどうフォローすればいいかということで大変頭を痛めている所ですけれど、この点についてどのようにお考えでしょうか。
 大臣:厚生労働省としては、一般的には高齢者の生き甲斐と健康づくり推進事業というのをやっているんですが、障害をお持ちの方々もお年を召しても楽しんでいけるような施策を是非その中に入れていかなきゃいかんと思ってますから、色々考えてみます。
 笹川:比較的高齢者が喜んで参加している事業としましては、ご承知のカラオケですね。そういう催しには60歳以上の方も大勢参加して楽しんでおられます。ただ、そういうみんなが集まる場に行くにも、先程の移動の話、これがなければ参加することができませんので、今度の法律でその辺を保障して頂ければ、お年寄りの方々も本当に人生楽しむことができるんじゃないかと思いますね。
 大臣:色々工夫したり考えたり致したいと思います。
 笹川:最後に大臣のお人柄、日常生活、この辺をお聞かせ頂ければありがたいんですけれども。
 大臣:人柄は自分で語るのは難しいですから何とも言えませんけれども。大臣になりましてね、改めてこんなに忙しいものかって、本当にびっくりしてます。自分の時間が全く無いですね。しかし、命がけで大事な仕事をしっかりやろうと思っております。
 笹川:とかく障害者問題というのは一歩二歩遅れる傾向がございましたけれども、大臣のこの任期の間に本当に充実した施策が生まれて来ることを期待しております。
 大臣:限られたお金の中で何ができるか大変つらい所があるのは事実ですけれど、やれることは何でもやらなきゃいかんと思ってますし、厚生労働省がここまで障害者施策に全力で取り組もうと必死になっているのは、過去にもそう無かったような気がします。我々もがんばりますけれども、是非いろんな事を教えて頂いて、ご一緒にやれればこんなにありがたいことは無いと思っております。是非、宜しくお願い申し上げます。

 2.謹賀新年2005年
 「年頭のご挨拶」  日盲連会長 笹川吉彦
 新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には、お元気で平成17年(2005年)の初春をお迎えのことと、心からお喜び申し上げます。
 昨年の日本列島は、度重なる災害に見舞われ大きな被害を被りましたが、本年は何とか平穏無事であることを願って止みません。
 本年は皆様ご承知の通り、私達障害者にとって極めて重要な年となります。既にご承知の通り、支援費制度がわずか二年で計画のずさんさから破綻してしまい、急遽、障害福祉サービス法(仮称)が検討されることになりました。それも、わずかな期間で整備を急ぎ、一月開会予定の通常国会に提出される予定です。まだ、その内容が十分審議されないままの法案提出となりますので、支援費制度の二の舞を踏むのではないかと極めて不安です。もし、内容が不十分な状態で法律が制定されるとすれば、障害者福祉の将来に禍根を残すことになります。残されたわずかの期間内に、私達視覚障害者の要求がすべて盛り込まれるよう、最善を尽くさなければなりません。お互いに智恵と力を出し合い、悔いのない法律にするようがんばりましょう。
 一方、日盲連としては、日本盲人福祉センターの移転新築問題があります。昭和46年5月に落成した現在のセンターは、その後の事業の発展によりすっかり手狭となり、また建築基準法の改正によって、耐震性にも問題を生じ、さらに廊下を作業や物置代わりに使用していることから、再三にわたって消防署から改善命令を受けている始末です。この点は、村谷前会長当時から問題となっておりましたが、バブルで地価が高騰し、手も足も出ない状態でした。バブルがはじけて地価が大きく下落したことから、種々協議した結果、センターの移転新築に着手することになり、村谷前会長が全国会員の皆様のご支援の下、蓄積された資金を元に、一昨年10月、現在の建物の近くに今の敷地の約倍の広さの土地を購入し、昨年10月には日本財団に助成金の申請を行い、その結果を待っている所です。建築費は約4億3000万円で、現在のセンターを売却するなど、資金の確保に全力を挙げますが、会員並びに関係者の皆様にも、是非ご協力賜りたく存じます。募金方法等については、評議員会等で充分ご審議頂き、決定することに致しておりますので、その節はご理解ご支援の程、くれぐれも宜しくお願い申し上げます。
 年頭にあたり、会員の皆様の一層のご健康とご多幸を心からご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。

 「新春を迎えて」  日盲連副会長 齊藤績
 会員の皆様には、お元気で良い年をお迎えのこととお喜び申し上げます。また、平素の日盲連へのご協力に対し、深く感謝申し上げますと共に、本年もなお一層のお力添えを賜りますよう、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。
 昨年は北海道も、かつて経験したことのない程の災害に見舞われ、大きな被害を被りました。特に台風の被害は大きく、改めて地球環境の異変を肌で感じた思いでした。
 今年は酉年、鳥といえば昨年の鳥インフルエンザウイルス騒動を思い出しますが、本年は刻を告げ、力強く羽ばたく年であって欲しいと願うばかりです。
 私は日盲福祉センター建設に併せ、多くの困難を克服して我が国の障害者福祉を確立された村谷昌弘氏の業績を讃え、「村谷賞」を創設することを、笹川会長に提言しています。早期に実現されんことを願って止みません。
 当面する課題は山積しています。本年も皆様共々、力を合わせ諸問題解決のため、精一杯がんばりたいと思います。
 年頭にあたり、本年が日盲連にとって、また皆様にとって、良い年であるよう祈念致します。
 

 「新年のご挨拶」  日盲連副会長 田代浩司
 日盲連会員の皆様、2005年、平成17年の新春を謹んでお慶び申し上げます。
 昨年、12月6日から10日までの間、南アフリカのケープタウンで開かれた第6回世界盲人連合総会に初めて出席して、多くのことを学びましたが、特に団体活動の重要さを痛感致しました。また、会場で隣り合わせに座ったケニアの代表の方と、通訳を介して交流することができましたが、発展途上国の盲人の実態も、想像以上に厳しいものがあることを知りました。
 本年は、日盲連にとって大変重要な年だと思います。その一つは日盲福祉センターの建設です。その二は新法の制定です。その結果如何によっては、私達の将来が大きく左右されることになります。今こそ日盲連の組織力をフルに発揮する時だと思います。日盲連に対する会員の皆様の一層のご理解とご支援を、心からお願い致します。
 最後に、本年が会員の皆様はもとより、ご家族の皆様にとって良い年であるようお祈りし、新年のご挨拶とさせて頂きます。

 「団結して頑張ろう」  日盲連副会長 時任基清
 日盲連構成団体会員の皆様、『愛盲時報』愛読者の皆様、明けましておめでとうございます。我が国の障害者福祉は、平成12年度発足の介護保険制度、平成15年度発足の支援費制度により、大きく変貌致しました。「措置から選択と契約の福祉へ」の掛け声による社会福祉基礎構造改革は結局、私たちに何をもたらしたのでしょうか?
 聴覚障害者への「手話通訳派遣」は従来通り措置制度に残ったのに対し、視覚障害者の「外出介助(ガイドヘルプ)」は支援費制度に組み込まれた為、時間・回数制限、同居親族の所得による費用負担発生とその重圧により、結果的に「視覚障害者の社会参加を抑制・妨害する制度」となり果てています。
 更に、平成16年は、多くの台風襲来、大震災発生等々、災害の多発する年でもありました。
 平成17年の新年を迎えるに当たり、私たちは日盲連の団結を一層強化し、視覚障害者を取り巻く諸問題解決に取り組むと同時に、世界平和と、環境の安全を祈りたいものであります。
 最後に、現在、日盲福祉センター建て直しの準備が進んでおります。あるいは、各団体会員お一人お一人の皆様にも何かとご迷惑をお掛けしなければならない事態もあろうかと予想されます。改めてお願いの文書等をお送りすることになりましょうが、その折りには、ご無理の無い範囲で、できるだけのご協力をお願い致します。
 皆様の今年のご健勝とご発展をお祈りして年頭のご挨拶と致します。

 3. センター建設に100万円 京都きもの友禅株式会社寄贈 
 京都きもの友禅株式会社(東京・日本橋、代表取締役社長河端雄樹氏)は、平成16年11月に東京と名古屋で開催した「全国きもの博覧会」開催記念チャリティ販売会の収益金の中から100万円を日本盲人会連合に寄贈。日盲連ではこれを、現在進めている新しい日本盲人福祉センター建設のための資金の一部に充てることとした。笹川吉彦日盲連会長は12月20日、日本橋大伝馬町の同社応接室で贈呈を受けた後、河端社長に感謝状を贈り、深く感謝の意を表した。

 4. 障害保健福祉関係8.5%増7532億円 平成17年度予算案決まる 制度改革に向け新法提出へ
 政府は12月24日の閣議で平成17年度の予算案を決定した。障害保健福祉関係予算案は対前年度比8.5%増の7532億円。厚生労働省は新たな障害保健福祉施策体系の構築を目指し、制度の抜本的な見直しを行うとしており、次期通常国会に「障害者自立支援給付法(仮称)」を提出する予定だ。
 平成17年度予算案に盛り込んだ主な見直し関連事項は(1)障害者の自立支援のための居宅生活支援サービス等の充実に3887億円(2)障害に係る医療の給付(公費負担医療)に740億円(3)障害者の就労支援の推進に108億円(4)障害者の社会参加等の推進に276億円(5)発達障害に対する支援に7億円となっている。
 主な障害保健福祉関係項目の平成16年度予算と17年度予算案は次の通り。
 1、居宅生活支援サービス等の推進3509億1900万円を3886億7600万円に:
 (1)支援費のうち、居宅生活支援費(ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス、グループホーム)は601億8800万円を930億900万円に(平成18年1月から義務的経費化)、施設訓練等支援費は2871億1800万円を2901億6500万円に(基準額の見直しを平成17年4月に、利用者負担の見直しを18年1月に実施)
 (2)障害児タイムケア事業(新規)8億500万円
 (3)障害者地域生活推進特別モデル事業5億7800万円を3億9900万円に
 (4)支援費事業経営実態調査事業4000万円を2億2600万円に
 2、就労支援の充実93億8800万円を108億円に:
 (1)小規模作業所への支援の充実強化事業(新規)3億5300万円
 (2)重度障害者在宅就労促進特別事業(バーチャル工房支援事業、新規)5000万円
 (3)障害者就業・生活支援センター事業8億1700万円を10億2300万円に
 (4)小規模通所授産施設41億5500万円を49億3000万円に
 (5)小規模作業所24億8100万円(前年度と同額)
 (6)福祉工場19億3500万円を19億6500万円に
 3、発達障害に対する支援2億5200万円を7億600万円に
 4、社会参加等の促進275億7800万円を275億7700万円に:
 (1)障害者自立支援・社会参加総合推進事業48億円を45億円に
 (2)補装具給付事業178億7200万円を180億8500万円に
 (3)日常生活用具給付等事業22億500万円を23億8500万円に
 (4)障害者スポーツ・文化芸術活動振興事業9600万円を9100万円に
 (5)身体障害者福祉促進事業委託費5億1500万円を4億6900万円に
 (6)高度情報通信福祉事業1億4900万円を1億3200万円に
 5、精神障害者保健福祉施策の充実806億900万円を955億6100万円に
 6、その他の主な施策2366億100万円を2407億9000万円に:
 (1)医療費の公費負担129億9400万円を138億6900万円に
 (2)手当等の給付(特別障害者手当等)1211億8100万円を1239億6300万円に
 (3)制度改革に伴う市町村等への施行事務費等(新規)7億3100万円
 (4)知的障害児(者)基礎調査(新規)9000万円
 (5)厚生労働科学研究費27億1000万円を29億6200万円に
 (6)国立更生援護施設の運営費、整備費98億5500万円を98億9600万円に

 5. 介護保険改革 対象拡大先送り
 2005年の介護保険制度改革を検討してきた社会保障審議会の介護保険部会は12月10日、現行40歳以上となっている保険料徴収年齢を引き下げ、障害者福祉制度の一部を統合する見直し案について結論を先送りする報告書を了承し、議論を事実上終えた。同日の会合でも拡大推進派と反対派の委員が対立、報告書に今後の検討姿勢をどう示すかで注文が相次いだ。厚労省は今後、報告書をもとに与党と調整し、1月の通常国会に介護保険改革法案を提出する。成立すれば05年10月から順次、負担やサービスの見直しが始まる。

 6. 結成50年祝い式典 全国盲青年研修東京大会
 第50回全国盲青年研修大会が10月29~31の3日間、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで日本盲人会連合、日盲連青年協議会の主催、東京都盲人福祉協会、都盲協青年部会の主管で約250人が参加して開かれた。
 31日は、分科会・代表者会議報告と質疑応答が行われた後、大会式典が開かれ、8項目の決議を満場一致で採択した。終了後、レセプションホールでは、記念パーティーが開かれ、日盲連青年協議会結成50年を祝った。次回大会は福島県で開催の予定。決議された要望事項は次の通り。
 (1)鍼灸マッサージを守るため、有資格者であることを広く社会に訴えるとともに、無資格類似行為者の一掃に不可欠な関係団体の協力と結束(2)多くの保険医療機関で働く理学療法従事者の権益を守るとともに視覚障害従事者に対して不利益が生じないよう、身分の安定を保障(3)デジタル放送が視覚障害者の利用に不利益を生じないよう機器の開発と情報提供(4)公共交通機関や大きな交差点において、視覚障害者の特性を考慮した音響、音声、触覚などによる案内システムを当事者の意見を十分取り入れて構築(5)金融機関等での代筆による申請手続きを認める(6)視覚障害者にも適したパソコンソフト・周辺機器を日常生活用具給付対象品目に加え、IT講習会を視覚障害者が受講しやすい環境に(7)支援費制度において、視覚障害者等への適切な情報提供と、自治体間の格差是正、適正な制度運用、苦情や要望を受け付ける機関の充実(8)障害基礎年金の引き上げと、所得制限の大幅緩和。

 7. 日盲連音楽協 第45回福祉大会 神戸市で
 日本盲人会連合音楽家協議会(富田清邦会長)の第44回邦楽演奏会が12月12日、神戸市の垂水レバンテホールを会場に開かれた。兵庫県視覚障害者福祉協会音楽部の第33回箏曲定期演奏会に併せて行われたもので、全国から多くの会員が参加、見事な演奏に会場からは盛んな拍手がおくられた。
 13日は、同協議会の第45回福祉大会が、神戸市の神戸ルミナスホテル会議室で開かれ、各地区の状況や日盲連本部からの報告、次回の大会と邦楽演奏会などについて協議を行った。

 8. 第54回厚生労働大臣表彰
 第54回障害者自立更生等厚生労働大臣表彰の式典が12月8日、東京・霞が関の厚生労働省講堂で開かれた。今回は自立更生24人、更生援護功労32人、社会参加促進功労6人の計62人が選ばれ、視覚障害関係では、次の19人に方が表彰された(敬称略)。
 【自立更生】(職業はいずれも鍼灸マッサージ関連)笹本留男(74、青森県)、高橋等(76、岩手県)、相吉堯春(65、山梨県)、今井次男(63、大阪府)、岩崎敏彦(63、兵庫県)、森岡勝止(61、鳥取県)、柴村進(77、香川県)、飯田康隆(53、大分県)、山本一郎(63、船橋市)
 【更生援護功労】熊野進(71、茨城県視覚障害者協会波崎神栖支部長)、木村功(66、群馬県視覚障害者福祉協会副会長)、若松千代子(73、中野区視覚障害者福祉協会婦人部長)、福嶋愼一(71、京都府視覚障害者協会会長)、長永亮一(89、丹後視力障害者福祉センター評議員、元京都府視覚障害者協会理事)、染井圭弘(61、福岡市身体障害者福祉協会理事)、松下慧利(64、金沢市視覚障害者協会相談員)
 【社会参加促進功労】渡邊力(68、八尾盲人福祉協会会長)、金津和榮(57、島根県視覚障害者福祉協会事務局長)、山岸康子(61、全国盲ろう者協会理事)

 9. 秋の叙勲・褒章 野田守氏に旭日双光章
 2004年秋の叙勲・褒章で、視覚障害者関係では、元日本盲人会連合理事(現相談役)の野田守氏(76、東京都杉並区)が旭日双光章を受章した。

 10. 第19回視覚障害者柔道大会 熊本県が連続優勝
 第19回全日本視覚障害者柔道大会(日本視覚障害者柔道連盟、日本盲人会連合他主催)が11月7日、東京都文京区の講道館で開かれた。都道府県対抗戦では熊本県が連続優勝し、厚生労働大臣杯を獲得。準優勝は愛知県、第3位は三重県。
 全国から49選手が出場したが、最年少は17歳で、2年後のフェスピックや4年後のパラリンピックに向け力強い第一歩を踏み出した。大会を初めて知ったという選手もあり、今後の普及が大きな課題だ。
 各個人種目の入賞者は次の通り(優勝、準優勝、第3位の順。3位は2人の場合あり)。
 【60kg級学生】田村竹晃、井上善聖、丸山哲生
 【同一般】広瀬誠(欠場により二、三位は無し)
 【66kg級学生】平井孝明、望月貴仁、高橋利彦
 【同一般】安藤大輔、米田幸弘、武内勝昭、汪徳慧
 【73kg級学生】木村崇之、白木勝、菊地裕三
 【同一般】石坂啓、伏貫将光、安井明仙
 【81kg級学生・一般合同】加藤裕司、大我健侍、平井満治、水野裕章
 【90kg超級学生・一般合同】石川信介、宮内栄司、天川敬史、松本義和
 【シニアの部】福山洋二、山本正浩、関民夫

 11. 第4回障害者スポーツ大会 埼玉県内で13競技
 「ともに感動!ともに笑顔」をスローガンに、第4回全国障害者スポーツ大会「彩の国まごころ大会」が11月13日、全国から3000人を越える選手が参加して埼玉県で開幕した。熊谷市のスポーツ文化公園陸上競技場で開かれた開会式の後、15日までの3日間にわたり、埼玉県内9市町の各会場で13の競技が行われた。
 *青森県が初優勝 グランドソフトボール
 妻沼町町民運動公園で行われたグランドソフトボール競技では、全国各地の予選を勝ち抜いた8チームが熱戦を展開。15日の決勝戦では青森県と徳島県、3位決定戦では福岡市と大阪府がそれぞれ対戦することになっていたが、残念ながら雨のため試合は中止となり、抽選により青森県が初優勝、準優勝は徳島県、第3位は大阪府と順位が決まった。対戦成績は次の通り(カッコ内は得点)。
 【1回戦】青森県(4)対三重県(0)、福岡市(4)対埼玉県(1)、東京都(1)対大阪府(11)、徳島県(7)対石川県(1)
 【準決勝】青森県(13)対福岡市(1)、大阪府(1)対徳島県(4)
 【決勝戦】青森県対徳島県(抽選勝ちで青森県)
 【3位決定戦】福岡市対大阪府(抽選勝ちで大阪府)

 12. 優勝は東京と群馬 フロアバレー名古屋大会 
 第11回厚生労働大臣杯全国フロアバレーボール名古屋大会が、日本盲人会連合と名古屋市視覚障害者協会の主催で10月23、24の両日、名古屋市の障害者スポーツセンターなどを会場に開かれた。
 大会には7都県と3市から男子6チーム、女子8チームが参加して熱戦を繰り広げ、男子は東京都のバトラーが6回目の優勝、準優勝は名古屋市のキングシャッチー、3位は神奈川県のシーガルス。女子は群馬県のOLIVE群馬が6回目の優勝、準優勝は神奈川県のマリンフェアリーズ、3位は岡山県のフレッシュ岡山。優勝チームには、それぞれ厚生労働大臣杯と日盲連会長杯が贈られた。
 今回、準決勝まで勝ち上がった新潟県チームは、23日に発生した新潟県中越地震のため残念ながら棄権となったが、そのメンバーに対し、各出場チームから暖かい見舞金が寄せられた。

 13. 第30回全国盲人文芸大会入選者 
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)主催の第30回全国盲人文芸大会の入選者が決まった。今回の応募は短歌59人(173首)、俳句90人(264句)、川柳71人(212句)、随想・随筆10人(10編)。
 審査員は短歌が佐佐木幸綱、谷川秋夫、俳句が田沼文雄、松林尚志、高島征夫、川柳が福田案山子、金子蛙次郎、随想・随筆が高橋秀治、竹村実、中村みよ子の諸先生。
 作品は各部門別の作品集に掲載(随想・随筆は入賞作品のみ)。応募者には郵送。応募者以外には実費で頒布(点字版・墨字版とも短歌、俳句、川柳は各1000円、随想・随筆は1500円)。
 入選者は次の通り(敬称略)。
 【短歌】1位・植村壮一(鈴鹿市)、2位・野中利秋(福岡県)、3位・笠トクエ(福岡市)
 【俳句】1位・菊池宰識(松山市)、2位・高橋昭七(青森県)、3位・久野静(金沢市)
 【川柳】1位・山本幹夫(富田林市)、2位・池田本子(大阪市)、3位・江元保夫(佐久市)
 【随想・随筆】1位・奥田弘(神戸市)「りんごと私」、2位・槐島一郎(鹿児島市)「妙円寺詣り」、3位・秋本肇(亀岡市)「父への手紙」

 14. 第46回東北盲人福祉大会 秋田県男鹿市で
 第46回東北盲人福祉男鹿大会が10月2日、3日の両日、東北盲人会連合と秋田県視覚障害者福祉協会(石塚三雄会長)の主催により、秋田県男鹿市の男鹿観光ホテルを会場に開かれ、東北6県から約270人が参加した。
 2日は3つの分科会と代議員総会に続く大会式典で、笹川吉彦日盲連会長による基調講演などが行われ、7項目の決議を採択、閉会後に情報交換会が開かれた。決議された要望事項は次の通り。
 (1)視覚障害者が運営する団体に対し、事務職員が確保しやすいよう公的措置または法制度の確立(2)ホームヘルパーやガイドヘルパーの業務に、代読・代筆サービスを加える(3)すべての東北新幹線に点字による車両番号、座席番号及びトイレ内外の案内表示を早急に実施(4)点字用郵便物無料化の存続(5)カイロ・整体等違法業者の徹底した取締り(6)支援費制度、介護保険制度における移動介護の充実と地域格差の是正(7)パソコン周辺機器整備補助等障害者ITバリアフリー化支援事業の継続と拡充。

 15. 豪雨・台風被害会員に日盲連から見舞金
 日本盲人会連合は平成16年夏から秋にかけて日本列島に大きな被害をもたらした豪雨及び台風により被災した会員に、各加盟団体を通じて災害見舞金を贈った。被害は家屋の半壊が2件(各2万円)、床上浸水が40件(各1万円)の計42件で、見舞い金額は計44万円。被害状況は、住宅の半壊が北海道1件、山形県1件。床上浸水が新潟県1件、福井県7件、岐阜県1件、京都府16件、岡山県2件、香川県7件、徳島県1件、愛媛県3件、広島県2件。なお、新潟県中越地震の被害状況については現在調査を進めている。

 16. 民放連からCD2000枚寄贈
 日本民間放送連盟(日枝久会長)は「コトバのチカラ」(PHP出版)を朗読したCD版図書2千枚を日本盲人会連合に寄贈した。原本は民放ラジオ101社が実施したキャンペーンに寄せられた約3万2000通の中から選ばれた作品をまとめたもので、「スキなコトバ、キライなコトバ、残したいコトバ」、「心を動かされた歌詞(うた)」をテーマにエピソードを募集した。朗読はTBSラジオの遠藤泰子さんら各局のおなじみのパーソナリティ。CDジャケットには点字によるメッセージも添えられている。今後、日盲連から加盟各団体、点字図書館などに配布され、全国の視覚障害者への貸し出しを予定している。

 17. 短信
 *社団法人奈良県視覚障害者協会(醍醐照三会長)は、10月1日から団体名を社団法人奈良県視覚障害者福祉協会と変更した。住所表示は〒630―8301奈良市高畑町1096に。

 *神奈川県視覚障害者福祉協会(鈴木孝幸会長)は法人格を取得、10月1日から特定非営利活動法人としてスタートを切った。

 *千葉県視覚障害者福祉協会の総会が11月26日開かれ、室岡正司会長の辞任に伴い、新会長に向後和子氏が選出された。