第122回労働政策審議会障害者雇用分科会開催
令和4年9月9日、厚生労働省の「第122回労働政策審議会障害者雇用分科会」が同省の職業安定局第1会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。
今回は、1.障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱について(諮問)、2. 2021年度の年度目標に係る評価及び2022年度の年度目標の設定についての2つを主な議題として、事務局の説明を踏まえて議論が行われました。
議題1.の法改正の要綱案に関連して竹下会長は次の趣旨を発言しました。
改正要綱案について基本的に賛成する。その上で2点をお願いしたい。
1.新規に障害者を雇用する企業に対する助成金等、新たに設けられる助成金がある。障害者雇用に資するものとして評価したいが、その支給要件を柔軟にして利用しやすいものにしてもらいたい。
2.既存の助成金の充実もこれまでの議論で述べられてきた。法改正に直接は関係しないかもしれないが、政省令の設定に当たってそのことを意識し反映させてもらいたい。
議題2.の目標設定については基本的に賛意を表しながら次の趣旨を発言しました。
1.実雇用率(数値)の向上だけでなく、雇用の質の向上や個々の障害者への支援の内容が重要だと考える。合理的配慮や助成金による支援の充実を図りつつ目標が達成されるようお願いしたい。
2.実雇用率や職業紹介状況をみると精神障害者の伸び率が高いように思う。そのこと自体は良いことであるが、身体障害者や知的障害者のそれぞれの実態がどうなのかも気になるところである。今後、6月1日現在における「障害者雇用状況」(6・1調査)において障害種別の実態が公表されると思うが、障害種別を念頭に置いた実績の公表や目標設定にしてもらいたい。
その他の議題として「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和3年度)」の説明があったが、それに関連して竹下会長は、相談件数だけでなくその内容にも言及されており評価されること、その公表は啓発にもつながり雇用促進に資するものなので今後も継続してもらいたいこと、コミュニケーションの不足が相談の上位に位置するが、これは重要な要素なので合理的配慮の事例集に係るガイドラインをコミュニケーション関連を含めて見直してもらいたいことを述べました。
コミュニケーションの問題については、竹下会長の発言を受けて使用者代表の山内一生委員(日立製作所)から、視覚障害者がテレワークなどにより在宅勤務になると、職場と違って周囲とのコミュニケーションがとりにくく支援を受けることができない実態があることが指摘されました。