第119回労働政策審議会障害者雇用分科会
令和4年5月25日、厚生労働省の「第119回労働政策審議会障害者雇用分科会」が同省の職業安定局第1会議室をホスト会場としてオンラインで開催され、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長が構成員として出席しました。今回は、これまでの議論の内容を集約した意見書(案)について、事務局の説明を踏まえて議論が行われました。
意見書(案)は次の5つの柱から構成されています。
1.雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化
2.障害者雇用と障害者福祉の連携の促進
3.多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進
4.障害者雇用の質の向上の推進(調整金・報奨金の取扱いを含む納付金制度の在り方等)
5.その他の諸課題(除外率の取扱いなど)
竹下会長は、全体として事務局の案に賛意を表しつつ、次の2点について発言しました。
1.雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化に関連して、身体障害と精神障害においては中途障害者が相当数おり、その雇用継続やキャリア形成を支援することがきわめて重要である。そこで、「キャリア形成の支援に際しては、資格取得の促進や職業訓練、研修機会を設ける等」の箇所を「キャリア形成の支援に際しては、中途障害者を含め、資格取得の促進や(以下略)…」に改めてもらいたい。
2.その他の諸課題に関連して、「除外率設定業種の障害者雇用の状況等を踏まえ、10ポイント以上引き下げることを含めて検討することが必要」と書かれているが、「障害者雇用の状況等を踏まえ」とあるために除外率の引き下げが着実に行われるかどうかに懸念が残る。10ポイント以上の引き下げが担保されるような書き方にしてもらいたい。
調整金・報奨金の支給に上限枠を設けることや除外率の引き下げについては、賛成の意見が多くみられた一方で、新型コロナウイルス感染症の影響等により厳しい経営状況にある企業が少なくないこと、障害者雇用に熱心に取り組んできた企業ほどダメージを受けやすい制度改定には疑問があることなどを理由として、慎重に検討すべきとの意見が事業主団体を中心に提示され、今後さらに調整に向けて検討することとされました。