デジタル社会構想会議 ヒアリング

2022年3月10日

 令和3年11月24日、デジタル庁のデジタル社会構想会議(以下、構想会議)のテーマ別議論・グループ6「誰一人取り残さないデジタル化、国民参加」の会議が開催されました。構想会議はデジタル化に向けた重点計画の見直しを行い、目標・方針・取組等を整理して施策推進の行程等をまとめることとしているが、11月4日に開催された構想会議において6テーマの分科会が設定され、その中のグループ6が障害者・高齢者に関するものとなりました。

 当日は、そのグループ6において全日本ろうあ連盟、日本視覚障害者団体連合、全国手をつなぐ育成会連合会、日本身体障害者団体連合会の4団体のヒアリングが行われました。会議に先立って、構想会議から提示された重点計画見直しの考え方や方向性に対して各障害者団体が意見書を提出し、当日はその意見書に即して意見を述べました。日視連からは三宅隆組織部長、吉泉豊晴情報部長が出席しました。

 三宅部長は、全体的な観点から、重点計画見直しの考え方等に基本的に賛意を表明しつつ、障害状況によって異なる個々のニーズに対応する必要があること、アクセシビリティの配慮・確保を進める際に障害当事者の参加という視点が必要であること、機器やサービスの開発・導入の段階だけでなく運用されていく中での変更においても障害当事者の意見を反映させるべきこと、現状ではコインロッカーやセルフレジあるいは店舗の無人化等のデジタル化が視覚障害者の不安や困難の要因となっており、利用可能な装置の開発や人的支援の体制整備が必要であることなどを述べました。

 吉泉部長は、就労と教育の分野に関して、職場において視覚障害者用ソフトウェアの導入がセキュリティを理由に認められにくく、クラウドシステムなどの利用にも困難が生じていることから、相談・支援体制の充実が求められること、教育分野ではGIGA構想の下で一律に同じ情報端末を配布するのではなく個々のニーズに合った機器の導入が必要であること、児童・生徒と教員双方に対して操作方法等を教授する支援体制が必要であることを述べました。

 質疑応答において日視連の関連では、就労および教育の分野において合理的配慮等にかかわる法制度の状況や行政の取り組みをどう評価するかとの質問があり、各施策において相談体制の充実が図られつつあることを評価しつつも、現場での問題解決のためには権限のある相談機関や担当者が必要であること、合理的配慮を実現させるための担保の仕組みが必要であることを述べました。
 また、デジタル化にかかわる機器等の導入およびその利活用に関する支援の在り方について質問があり、個々人が所有して用いる機器等については日常生活用具の給付制度があるが、新たに開発されるものへの対応や補助の程度において更なる充実が求められること、セルフレジのように不特定多数が利用するものについてはインフラとしてアクセシビリティに配慮した開発が必要であること、支援体制の整備については人材の育成やその派遣を長期にわたって安定的に行うことができるように図る必要があることを回答しました。