第59回障害者政策委員会開かれる

2022年3月10日

 令和3年11月15日、内閣府の「第59回障害者政策委員会」が中央合同庁舎8号館1階講堂においてオンライン参加を交えて開催され、日本視覚障害者団体連合からは竹下義樹会長が構成員として出席しました。
 今回は、若宮健嗣内閣府特命担当大臣の挨拶の後、議題1.障害者差別解消法に基づく基本方針の改定に係る地方団体へのヒアリング並びに、議題2.障害者差別解消法に基づく基本方針の改定に係る事業者団体等へのヒアリングが行われ、それを踏まえて質疑が行われました。

 議題1.については全国知事会(神奈川県)および全国市長会(大阪市)より説明があり、これに関連して竹下会長は、大阪市で配置されている広域相談支援員について、その的確性・専門性をどう考えるか、また、間接差別のように差別的取扱いかどうかの判断が難しい場合にどこに問い合わせているのかを質問しました。
 これに対し、大阪市から広域相談支援員に求められる資格等については確認して後日お答えしたいこと、差別かどうかの判断が難しい事案については市の障害福祉課または大阪府に問い合わせを行っていることが説明されました。また、神奈川県からは広域相談支援員に該当する人員の配置がないこと、判断の難しい事案は県の障害者福祉課に問い合わせ、それでも判断できない場合は国に照会することが説明されました。
 関連して石川准委員長からは、差別的取扱いかどうかの判断あるいは合理的配慮の過重性の判断が難しい場合に、行政内部で検討すること及び建設的対話が行われるよう努めることが大事であるとの指摘がありました。

 議題2.の事業者団体等へのヒアリングは、前半が7団体(全国ハイヤー・タクシー連合会、日本バス協会、定期航空協会、日本地下鉄協会、日本民営鉄道協会、日本旅行業協会、全国児童発達支援協議会)、後半は5団体(全国銀行協会、日本医師会、日本精神科病院協会、日本薬剤師会、日本映画製作者連盟)のヒアリングが行われました。
 これに関して竹下会長は、銀行において預金やその引き出しの際は代筆・代読支援は広く行われるようになってきたものの、ローンや信託に係る契約の際の支援は十分でないと聞いているとして、銀行側ではどのような支援の在り方が望ましいと考えているかを質問しました。また、薬局で薬を受けとる際にその種類等の識別が視覚障害者には難しいことを指摘し、どのような工夫が考えられるか尋ねました。
 これに対し、銀行では内規において代筆・代読支援を定めている割合が100%もしくはそれに近い割合になっているが、現場で実際に支援が行われていないとの指摘があることから、既に支援を行っている事例を共有するなどにより周知徹底を図りたいとの回答がありました。薬の識別については、薬剤が入っているプラスティックの入れ物に触れて分かる識別マークをつけるといった工夫が考えられるが、現実にはそうした取り組みができておらず、個々の薬局で薬の大きさや形状の違いを説明するくらいであるとの回答がありました。
 その他、インターネットバンキングにおけるログインなどの操作が障害者に使いにくいことから、障害当事者への事前の意見聴取が行われたのかとの質問があり、全国銀行協会からは、加盟銀行が110以上あるうち意見聴取を行ったのは21行にとどまっており、更に取り組みを進めたいとの回答がありました。