第2回 全国団体長会議開かれる

2022年2月25日

 令和3年10月29日、第2回全国団体長会議が日本視覚障害者センター研修室をホスト会場にして、オンラインで開催されました。

 会議は、全国の加盟団体の代表者(代理含む)が参加し、橋井正喜日本視覚障害者団体連合常務理事の司会、米島芳文石川県視覚障害者協会理事長と山﨑道子さいたま市視覚障害者福祉協会理事長の議事進行により進められました。

 まず、竹下義樹会長から冒頭の挨拶で各地域で声を上げ行動することの大切さが述べられ、次いで令和3年度中央情勢報告の主な内容として、あはき19条裁判において各地方裁判所では勝訴したが最高裁の動きがまだないこと、厚労省の雇用と福祉の連携の事業を更に拡げる必要があること、障害者総合支援法の見直し(相談支援、居住支援、子ども支援等)が新型コロナウイルス感染症の影響で遅れていること、盲学校の入学希望者(とりわけ理療科)が減少していること、デジタル庁が発足し陳情を行ったことなどが説明されました。
 関連して、雇用と福祉の連携事業についての質問が出され、京都市の取り組み事例が説明されたほか、バリアフリー対応型信号機(通称ピックス)の普及状況について質問があり、全国で140機ほど設置されていることが説明されました。

 協議事項の第1項「代筆・代読支援の普及」については、佐々木宗雅副会長から平成30年度の「視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究事業」について説明があり、視覚障害者への代筆・代読に関する支援を行う自治体が全国で1割未満であること、利用登録している視覚障害者の数も少ないことが紹介されました。
 その要因として1.視覚障害者側では家族や知人に依頼していたり、同行援護や家事援助のサービスで対応していること、2.自治体側では意思疎通支援事業として手話通訳が中心となっており代筆・代読支援に目が向いていないこと、3.事業開始から間がなく軌道に乗っていないことなどが考えられると説明されました。
 これに関連して、役所から届く通知や手続きの文書あるいは契約文書を処理するためには支援者に一定の資質が求められるとして、代筆・代読支援者の研修としていくつかの自治体では2日間の研修が実施されていることが紹介されました。

 協議事項の第2項「参加団体からの情報提供」としては、愛媛県の「愛顔(えがお)の癒し券」支援事業が紹介されました。これは、新型コロナウイルス感染症の治療等の最前線で働く医療従事者を対象に県が無料でマッサージ券を配布する試みで、視覚障害あはき師による社会貢献、就労機会の確保を両立させたものでした。

 そのほか、川崎市における会員獲得のために有効な周知活動や中途失明者への取組み、第49回(2021年)衆議院議員選挙の島根県で異なる立候補者の氏名が点字で同じになってしまう問題などが述べられました。

 続く研修会では「バリアフリー法の最近の動向」と題して国土交通省総合政策局バリアフリー政策課交通バリアフリー政策室長の平野洋喜氏による講演が行われ、その質疑において、心のバリアフリーとしての子どもたちへの教育が重要であること、駅ホームでの対策が不十分な現状にあること、障害者用ICカードの導入を全国に広める必要があること、点字ブロックの上に物が置かれていることが多く更なる啓発が必要であること、無人駅で支援を受けられず困っていることなどの指摘がありました。
 これに対し、心のバリアフリーに関しては文部科学省と連携して進めること、駅ホームでの転落防止にはホームドア設置に加えてICTの活用や人的サポートも組み合わせて対応を考えること、啓発については駅のアナウンスなど各種手段により行っていくこと、ICカードや無人駅の問題については引き続き検討することが説明されました。