第72回全国盲人福祉大会でフォーラム開催

2019年6月4日

 第72回全国盲人福祉大会2日目の5月27日、札幌市中央区のホテルニューオータニイン札幌において、「スマートサイト・ロービジョンケア」をテーマにフォーラムが開催されました。コーディネータを札幌市視覚障害者福祉協会近藤久江会長が務め、パネリストに勤医協札幌病院眼科副科長で医学博士の永井春彦氏、鍼灸・マッサージ治療院あおぞらの空間代表山田英雄氏、札幌市視覚障害者福祉協会視覚障害生活訓練専門職員小宮康生氏が登壇しました。

 冒頭の挨拶で、近藤会長は「この大会のスローガンの1つに、“繋ごう 医療・就学・就労・福祉”を立てている。今回のフォーラムはこのスローガンの一部分としての意味合いも込めて開催している」と述べました。

 永井氏は、ロービジョンとスマートサイトについて眼科医の立場として講演されました。その中で、ロービジョンという言葉は1950年代にニューヨークで使われ始めたこと、日本では1980年代に入ってから弱視に代わる言葉として使われ始めたこと、同じころ厚労省がロービジョンケアの研修を始めたこと、2012年に診療報酬にロービジョン検査判断料が加わったこと、スマートサイトは2005年にアメリカの眼科学会が始めたプロジェクトであり、眼科学会のホームページ内に「スマートサイト」というページを開設したこと、日本では2010年に兵庫県眼科医会で「つばさ」というスマートサイトが作成されたこと、今では34都道府県で立ち上げられており、近いうちにすべての都道府県で立ち上がる予定であり、眼科医が入口となり、患者の次のステップへの後押しとなる取り組みが広がっていることなどを説明しました。

 山田氏は、中途視覚障害者としての自身の経験を交えながら、就学・就労について講演されました。講演の中で、いろいろな人につながることの重要性、特に中途視覚障害者に対しての精神的なケアが重要なことについて述べました。

 小宮氏は、視覚障害者の横のつながりを作れる場としての「ロービジョンケア北海道」について紹介しました。始めはロービジョンに特化したことを行い、2010年からは定例化し毎月開催していること、当事者・家族・支援者などが垣根なく気軽に情報交換できる場づくりをしていることを紹介しました。

 最後に日本盲人会連合竹下義樹会長は、「日盲連はこの6、7年に日本眼科医会と連携し、眼科医と当事者団体とが繋がることが重要と働きかけてきたこと、また眼科医が患者を適切に次のステップに繋げることも重要である」と述べました。