障害福祉・介護保険サービスをテーマに研修会
第70回全国盲人福祉大会2日目の5月27日、JRホテルクレメント徳島にて「障害福祉サービスと介護保険サービスの適用に係わる諸問題について」をテーマに研修会が行われました。来年4月より障害福祉サービスならびに介護保険サービスの報酬改定または基準改定の見直しが行われるため、参加者の関心も高いものでした。講師は、厚生労働省より社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課大津昭夫課長補佐と、老健局総務課唐戸直樹課長補佐。
大津氏は、障害福祉サービスについて、昨年5月に成立した障害者総合支援法の改正内容のうち、視覚障害者施策に関することと共生型サービスについて説明されました。概要は次のとおりです。
1.障害者自立支援施設やグループホームなどから、賃貸住宅等での一人暮らしを希望する障害者について、一定期間、定期的な巡回訪問や随時対応により地域生活を支援する自立生活援助サービスを新設
2.就労移行支援を経て一般就労に移行した障害者の環境変化に伴う生活上の課題について相談を通じ、企業との連絡調整による問題解決などの支援を行う就労定着支援サービスの新設
3.コミュニケーション支援が必要な障害者が入院した場合、ヘルパーによる支援が受けられるよう、重度訪問介護の訪問先の拡大
4. 65歳になるまでに長期間、障害福祉サービスを利用してきた高齢障害者に対して、介護保険サービスの利用者負担を障害福祉制度によって軽減する仕組みを設けることにより、介護保険サービスの円滑な利用を促進する
5.高齢者と障害児、障害者が同一事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉の両方の制度に共生型サービスを位置づけること
などについて説明されました。
唐戸氏は、介護保険サービスについて、最近の状況を説明されました。概要は次のとおりです。
状況について、
1. 75歳以上の人口は2025年まで増加するが、2030年頃からは伸びなくなり、85歳以上の人口は2030年以降10年程度は増加が続く
2.各地域の高齢化の状況は異なるため、特性に応じた対応が必要
3. 65歳以上の高齢者のうち認知症高齢者が増加していく
4.世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していく。
地域包括ケアシステムの強化については、
1.自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現、制度の持続可能性を確保することに配慮し、必要なサービスが提供されるようにする
2.地域包括ケアシステムの深化・推進のため、自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進、医療・介護の連携の推進、地域共生社会の実現に向けた取組の推進を行う
3.介護保険制度の持続可能性の確保として、2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を3割とする、介護納付金への総報酬割の導入を行う。
地域共生社会の実現に向けた取組としては、
1.「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念を規定
2.「我が事・丸ごと」の理念を実現するため、市町村が、地域福祉活動への参加を促進するための環境整備をするなどの包括的な支援体制づくりに努める旨を規定
3.地域福祉計画の充実
などについて説明されました。