改正バリアフリー法が成立

2020年6月4日

 第201回通常国会において、5月13日に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の一部を改正する法律」が成立し、同月20日に交付されました。ここでは、成立した法案の要旨と概要を資料より抜粋して紹介します。

 要旨は次のとおりです。

 本法律案は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の一層の促進を図るため、重点整備地区における移動等円滑化に係る事業の類型として教育啓発特定事業を追加する等、国民の理解の増進及び協力の確保を図るための制度を整備するとともに、公共交通事業者等に対して役務の提供の方法に関する基準の遵守を義務付ける等の措置を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりです。

 法律の目的に、移動等円滑化に関する国民の理解の増進及び協力の確保を図るための措置を追加することとする

 主務大臣が定める移動等円滑化の促進に関する基本方針及び市町村が作成する移動等円滑化促進方針に国民の理解の増進及び協力の確保に関する基本的な事項等を追加するとともに、市町村が作成する移動等円滑化基本構想に教育啓発特定事業が位置付けられた場合には、関係する市町村等は、単独で又は共同して、当該基本構想に即して教育啓発特定事業を実施するための計画を作成し、これに基づき、当該教育啓発特定事業を実施することとする。
 また、移動等円滑化の促進に関する基本方針、移動等円滑化促進方針及び移動等円滑化基本構想に係る規定における主務大臣に文部科学大臣を追加することとする

 施設設置管理者は、その管理等する施設等における高齢者障害者等用施設等を円滑に利用するために必要となる適正な配慮についての広報活動及び啓発活動を行うよう努めなければならないこととする

 道路管理者は、旅客特定車両停留施設(バス等の旅客の乗降等のための道路施設)の新設又は改築を行うときは、道路移動等円滑化基準に適合させなければならないこととする

 一定規模以上の建築をしようとするときに建築物移動等円滑化基準適合義務の対象となる「特別特定建築物」の範囲を拡大することとする

 公共交通事業者等又は道路管理者は、新設旅客施設等又は新設旅客特定車両停留施設を使用した役務の提供の方法に関し移動等円滑化のために必要な基準を遵守しなければならないこととする

 その他所要の規定の整備を行うこととする

 この法律は、令和三年四月一日から施行することとする。ただし、一及び二の改正規定等は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする


 概要は次のとおりです。

[1 公共交通事業者など施設設置管理者におけるソフト対策の取組強化]
1.公共交通事業者等に対するスロープ板の適切な操作、明るさの確保等ソフト基準適合義務の創設

2.公共交通機関の乗継円滑化のため、他の公共交通事業者等からのハード・ソフト(旅客支援、情報提供等)の移動等円滑化に関する協議への応諾義務を創設

3.障害者等へのサービス提供について国が認定する観光施設(宿泊施設・飲食店等)の情報提供を促進

[2 国民に向けた広報啓発の取組推進]
1.優先席、車椅子使用者用駐車施設等の適正な利用の推進
(1)国・地方公共団体・国民・施設設置管理者の責務等として、「車両の優先席、車椅子用駐車施設、障害者用トイレ等の適正な利用の推進」を追加
(2)公共交通事業者等に作成が義務付けられたハード・ソフト取組計画の記載項目に「上記施設の適正な利用の推進」等を追加

2.市町村等による「心のバリアフリー」の推進(学校教育との連携等)(主務大臣に文科大臣を追加)
(1)目的規定、国が定める基本方針、市町村が定める移動等円滑化促進方針(マスタープラン)の記載事項や、基本構想に記載する事業メニューの一つとして、「心のバリアフリー」に関する事項を追加
(2)心のバリアフリーに関する「教育啓発特定事業」を含むハード・ソフト一体の基本構想について、作成経費を補助
(3)バリアフリーの促進に関する地方公共団体への国の助言・指導等

[3 バリアフリー基準適合義務の対象拡大]
1.公立小中学校及びバス等の旅客の乗降のための道路施設(旅客特定車両停留施設)を追加。目標・効果は共生社会の実現に向け、高齢者、障害者等を含む全ての人々が互いの個性を尊重しあう移動等の環境を整備する。