メッセージ「3.11から5年」

2016年3月11日

 3月11日で、東日本大震災発生から5周年を迎えます。
 ここでは、甚大な被害を受けた東北3県・1市の当事者団体の会長方からのメッセージをお届けします。

日本盲人会連合副会長・
社会福祉法人岩手県視覚障害者福祉協会理事長の及川清隆氏のメッセージ

 「3月11日で東日本大震災から5周年を迎えることになります。
 当時、東北では視覚障害者が119名亡くなっており、岩手では35名亡くなっております。
 5周年を迎えますけれども、まだ災害復興住宅が建設されていないとか、大津波で打撃を受けた沿岸地区のインフラ整備がまだまだ進んでいません。私たちの外出がままならない、買い物がなかなかできないということで、まだ東日本大震災の傷跡が生々しく残っています。
 終わりのない東日本大震災ですので、私たちはこの5周年を契機として、もう一度災害の恐ろしさ、そしてこれから被災者にどう寄り添っていくのかということを、みんなとともに考えていきたいと思いますし、今後とも変わらぬご支援・ご協力をお願いしたいと思っております」

公益財団法人宮城県視覚障害者福祉協会理事長の柿沼正良氏のメッセージ

 「今年は曜日が5年前と同じで、11日金曜日の2時46分に震災が起きたので、今年はその日が無事に過ぎればいいなと思っています。
 復興状況ですけども、3県は毎日のニュースで復興・復旧の話題が未だに流れています。それだけ、復興・復旧が進んでいないのだなと思っております。しかしながら公共交通機関とか、それから一部の住民の住まいは安定してきています。仙台市などは震災前とほぼ変わりないような賑わいを見せていますが、復興市場に足を運ぶ人が少なくなってきております。気仙沼の復興屋台村の賑わいも、今では物足りなさを感じています。沿岸部から内陸に入ったことで住民の足も遠のいたり、あるいは他の地域に移動したりと、飲食店は大変だなと思っています。
 協会としては、日盲連前会長の笹川さん、現会長の竹下さんも含め、アドバイスや温かいお言葉をかけて頂いたり、会員も会長さんを身近に感じており感謝しています。私も衷心から御礼申し上げます。今後は全国の皆様とともに、日盲連を盛り上げるために頑張りたいと思っております」

仙台市視覚障害者福祉協会会長の高橋秀信氏のメッセージ

 「会員の方(ほう)としては、昨年の10月ぐらいまで仮設にいた方がいました。11月にやっと公営住宅に移ることができて、実際には5年はかかりませんでしたけれども、4年と少しかかったという現状です。沿岸以外の仙台市民の方(ほう)は、ほぼ普段の生活を取り戻しているのではないかと思います。ただ、沿岸部はまだ仮設住宅に住んでいる方々がたくさんいて、特にコミュニティがうまく作れていない、公営住宅に移った方々も新しい人間関係に悩んでいる方、仲間作りができていない方がいるというのが現状です。
 今後、我々被災当事者として発信していかないといけないことは、どう社会に啓発していくかということだと思います。そのためには我々が、災害弱者の立場の中で何ができるのかを知らなければいけない、我々にどんな配慮があるのか自ら確認して、それを視覚障害者に伝え、社会にも伝えていくことが必要なのかなと思っています。私自身、今後も仙台の状況、視覚障害者の置かれている立場を発信していきたいなと思っています」

公益社団法人福島県視覚障がい者福祉協会会長の阿曽幸夫氏のメッセージ

 「震災当時は地震と津波、そして原発事故と、視覚障害者の会員の皆様方も本当に苦労したみたいです。避難時・避難所の生活、仮設住宅に入っても周囲の環境が悪いため、一人で歩けないような状況もあったようです。
 そして福島県の場合は原発ということで、避難されている方が多いんです。今でも県内外に10万人はいます。視覚障害者の方も、私が知っている限り10名以上の方が避難しているのではないかと思っております。そして地元に帰っても、そこの場所が大きく変わっています。そういうところで苦労をしている方が多いと思います。
 今回の震災を受けて、隣近所の皆様に視覚障害者だということを知って頂くこと、皆様との助け合いを大切にしてほしいなと思っています。福島県はこれから20年30年40年と今のような環境が続いてまいります。皆様のご協力を頂きながら、視覚障害者の皆様方が元の生活に戻って頂ければ、本当に助かるなと思っています」