第63回日盲社協全国大会が福島で開催

2015年7月17日

 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)の第63回全国盲人福祉施設大会が、6月25、26の両日にわたって、福島市のザ・セレクトン福島を会場に開催され、全国から約200名の参加者がありました。
 25日午後から研修会、事業部会が行われ、その後交流会が催されました。26日は講演、表彰(ボランティア、永年勤続職員、援護功労者)、式典が執り行われました。

 25日の研修会は、「震災後の現状とこれから」というテーマで実施されました。
 阿曽幸夫福島県視覚障がい者福祉協会会長と南相馬市で被災された震災語り部矢島秀子さん、三上サト子さんから大震災の体験や苦労をお聞きした後に参加者を交えて討議がなされました。東日本大震災における視覚障害当事者の苦労や困難を風化させてはならないこと、福島第一原発の事故がその後の復興に大きな陰を落とし未だに将来が見通せない状況にあること、視覚障害者の防災への対応について引き続き検討して行くことの重要性を確認しました。

 事業部会は例年通り、点字出版、情報サービス、自立支援施設、生活施設、盲人用具の5部会毎に26年度の活動報告と27年度の活動計画及び各部会の検討事項について協議されました。

 26日には、国立障害者リハビリテーションセンター病院の仲泊聡第二診療部長による講演がありました。
 「眼科医と視覚障害者のつながり」と題された講演では、まず視覚障害者支援が滞っている課題が示されました。その背景について、各種データをよりどころとして支援対象の減少と支援内容の変容が視覚障害者支援の専門性の減弱を招き、教育の場も縮小させ、全体のニーズをさらに把握しにくくさせてしまっているのではないか、他方で地域格差が拡大しているのではないかという分析結果が示されました。
 こうした課題を改善するためには支援機会の増大が必須であり、視覚障害当事者と眼科医をつなぐ窓口として視覚障害情報提供施設(点字図書館)が仲介の機能を果たしていくことが最も現実的な対応策ではないかという考えが示されました。

 引き続き大会式典が執り行われ、表彰として、ボランティアへの感謝状贈呈・永年勤続職員への表彰条贈呈・援護功労者への感謝状贈呈が行われました。日本盲人会連合の関係では、村田路子さん(点訳)、小川展子さん(録音)のお二人が感謝状を授与されました。

 来賓挨拶では、厚生労働大臣、福島県知事、福島市長、福島県社会福祉協議会長に続いて、竹下義樹日盲連会長が演壇に立ちました。震災による障害者の関連死の問題や福祉施策の動向に関連して日盲連と日盲社協が連携して活動していくことの重要性が力説されました。

 最後に本大会のアピールと大会決議が提案されました。アピールでは、社会福祉法人改革の逆風の中で、求められるニーズに応えるために連携を強化してサービスの創出や発信していくことが宣言されました。また大会決議として13にわたる項目が満場一致で承認されました。

 第63回全国盲人福祉施設大会決議事項の概要は次の通り。
 (1)点字版・音声版の「選挙のお知らせ」を選挙公報として発行することを義務づけるよう要望
 (2)点字製版・印刷機の購入費、保守管理費の補助を要望
 (3)点字図書館の職員の配置の基準にIT支援員の配置も明記するよう要望
 (4)あらゆる形態の視覚障害者向け郵送が無料となるよう制度化を要望
 (5)盲導犬育成の公的支援が100%受けられるよう制度の見直しを要望
 (6)通所、通勤、通学に同行援護サービスが利用できるよう要件の見直しを要望
 (7)就労移行支援事業における在職者利用制限の緩和と就職後の定着支援の報酬化の要望
 (8)養護盲老人ホーム、盲人を対象とする救護施設等に交付される措置費について、消費税増税分の増額を要望
 (9)養護盲老人ホーム入所希望者の経済要件の緩和を要望
 (10)グループホームについて、全ての障害者が入所対象となるよう入所要件の改善を要望
 (11)独立行政法人福祉医療機関の養護盲老人ホーム居室の個室化改築への融資の返済条件を完全無利子とするよう要望
 (12)日常生活用具、情報処理機器等について役所から情報発信するよう要望
 (13)東日本大震災に関連して、被災視覚障害者の応急仮設住宅の環境改善、復興公営住宅への入居促進、原発事故避難の長期化への対応、災害に備えての要援護者の避難支援計画整備と福祉避難所の設置を要望。 以上。