「多様な見え方の人が集い、共に幸せに暮らすために」宣言

2025年5月30日

 第78回全国視覚障害者福祉大会(千葉大会)1日目の5月25日、千葉県千葉市のTKP東京ベイ幕張ホールにおいてシンポジウム「多様な見え方の人が集い、共に幸せに暮らすために」を開催しました。

 シンポジウムの締めくくりとして、日本視覚障害者団体連合・弱視部会 岸本将志部会長より宣言が発表され、採択されました。

【写真】シンポジウムの様子

【写真】宣言を読み上げる岸本弱視部会長

採択された宣言は以下のとおりです。

「多様な見え方の人が集い、共に幸せに暮らすために」
宣言

 視覚障害は、視力や視野の程度によって定義されているが、日本の法制度ではその認定基準が諸外国と比べて厳しく、「見えにくさ」が原因で日常生活や社会参加に困難を抱えていても、福祉サービスの対象とならない人々が多く存在する。身体障害者手帳の交付を受けている視覚障害者は約31万人にとどまる一方、諸外国の基準を用いて2009年に日本眼科医会が出した推計では、日本国内には約164万人の視覚障害者が存在するとされている。こうした「見えにくい人々」は、視力や視野の障害が認定基準に届かない場合が多く、制度の狭間に置かれている。さらに、色覚多様性や眼球使用困難症といった、視覚に関する別の困難を抱える人々も、現行制度では十分に把握されず、必要な支援に繋がっていないのが現状である。しかしながら、これまでの施策や要望活動は、主に手帳所持者を対象としており、このような多様な見え方を持つ人々の実態が十分に反映されてこなかった。

 しかし、教育・就労・生活のあらゆる場面において、手帳の有無にかかわらず、多様な見え方を持つ人々が困難に直面していることは明らかである。しかも多くの人が、自ら工夫しながら生活を送っているのが現状である。

 本連合が実施した日常生活用具に関する調査では、医療機関から福祉の支援に繋がるまでに5年以上を要した人が25%に上るなど、早期支援への接続に深刻な課題が存在している。

 教育の現場では、色覚検査の廃止により、自身の見え方の特性に気づかずに不適切な評価を受けたり、色分けによる情報提供が伝わらないことが理解されずに学習の妨げとなることがある。体育や理科実験などへの参加にも支障が生じている。

 生活面では、タッチパネル機器の普及が進む一方で、明るさや色の感受性に困難を抱える人々にとっては使いにくく、日常生活の利便性が損なわれている。

 障害福祉サービスにおいても、眼球使用困難症の人が同行援護を受けられなかったり、中等度・軽度のロービジョン者が必要とする日常生活用具の給付を受けられないなど、制度の隙間に取り残されている人々が多く存在している。

 私たちは、まず眼科医療から福祉や教育への円滑な橋渡しを実現する体制の構築を、関係機関と連携しながら強く求めていく必要がある。また、多様な見え方を持つ人々が、相互に理解を深め、現状やニーズを共有する機会を広げていかなければならない。

 さらに、集約された課題と要望を基に、私たち自身が主体的に考え、関係機関に必要な対策を提案・要請していくことで、全ての「見えにくさ」を抱える人々の生活の質(QOL)を向上させ、誰もが共に生きることのできる共生社会の実現を目指す。

 私たちはここに、全ての多様な見え方を持つ人々が、身体的・精神的・社会的に満たされた持続的な幸福感(ウェルビーイング)を実感できる社会の実現を強く願い、その実現に向けて行動することを宣言する。

令和7年5月25日
第78回全国視覚障害者福祉大会(千葉大会)

 

「多様な見え方の人が集い、共に幸せに暮らすために」宣言
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