【速報】第70回全国盲人福祉大会徳島大会盛会裏に閉幕

2017年5月29日

大会式典、華やかに開かる

 5月26日から3日間にわたり、徳島県において開催された第70回全国盲人福祉大会最終日は、全国から視覚障害者ならび関係者約1500人が徳島市のアスティとくしま(徳島県立産業観光交流センター)に参集し、盛大に大会式典と議事が行われました。

【写真の説明】会場となったアスティとくしま

第1部 式典

【写真の説明】上から、日本盲人会連合 竹下会長の主催者挨拶・式典の模様・徳島県視覚障害者連合会 久米会長 歓迎の挨拶

 第1部の式典では、徳島県視覚障害者連合会 久米清美会長から地元主催者団体を代表して歓迎の挨拶が述べられた後、日本盲人会連合 竹下義樹会長が登壇。竹下会長は主催者挨拶で、「現在、国の動きとして身体障害者福祉法に基づく視覚障害認定基準が70年ぶりに改定されようとしている。これまでは両眼の視力の和を基にして等級を決めてきたものを、国際基準にのっとって良い方の眼を基準にして認定をするという流れで議論が始まっている。また、障害者差別解消法が昨年4月より施行されて1年が経過したが、この法律の施行によって、社会が前進したのか進歩したのか検証する必要があると思われる。私たちの声は一つの声となって社会に影響を与えてこそ日盲連の存在意義がある。この大会を通じてみなさんの声が社会の大きな力となることを願っている」と述べました。  続いて、日盲連顕彰等被表彰者(※)に表彰状、感謝状が贈られた後、来賓から祝辞が述べられたほか、多数の関係者より祝電が寄せられたことが紹介され披露されました。

※日盲連顕彰等被表彰者氏名(敬称略・順不同)

【村谷昌弘福祉賞】 久米清美(徳島県)
 【礎賞】組織功労 中本満(福井県)
    〃 玄場義明(岡山県)
    〃 松岡弘(高知県)
【青い鳥賞】 髙橋秀信(東北ブロック・仙台市)
【光の泉賞】 内助等功労 吉田直子(北海道ブロック・北海道)
    〃 坂場けい子(関東ブロック・茨城県)
    〃 八代保子(関東ブロック・相模原市)
    〃 後石原シノブ(北信越ブロック・石川県)
    〃 生川やす子(東海ブロック・三重県)
    〃 宮本員代(近畿ブロック・和歌山県)
    〃 池田シトミ(四国ブロック・愛媛県)
    〃 友安はるみ(九州ブロック・福岡市)
    〃 坂本良子(九州ブロック・長崎県)
 福祉貢献 相馬フミ(東北ブロック・青森県)
    〃 前岡佳子(中国ブロック・岡山県)
【永年勤続表彰】  安楽英樹(日盲連・東京都)
【感謝状】 公益財団法人徳島県視覚障害者連合会
(第70回全国盲人福祉大会開催)

 

第2部 大会議事

 第2部の大会議事では、平成28年度決議処理報告、平成29年度運動方針を執行部の原案通り全会一致で可決。さらに宣言・決議も全会一致で採択されました。  続いて次年度日盲連結成70周年記念となる第71回大会開催地団体を代表して、東京都盲人福祉協会笹川吉彦会長より挨拶がり、来年東京都台東区の東京文化会館を会場に開催することが報告されました。 最後に、徳島県視覚障害者連合会石山清美監事より閉会が宣言された後、万歳三唱し、三日間にわたる大会の幕を閉じました。

平成29年度運動方針

第1 地域生活における安心安全の確保

 視覚障害者にとって、日常生活はもちろん、社会参加をする上でも、常に危険と遭遇することを予測しておかなければならず、時には命を落とすことも珍しくないのである。視覚障害者にとっての自立や日々の生活における生活の質を考える上で、安心安全の確保はその大前提となるものである。その中でも、本年度における重点課題は以下のとおりである。

1.視覚障害者の自立と日々の安全
(1)鉄道駅ホームにおける安全対策
 昨年8月15日に、盲導犬ユーザーが地下鉄ホームから転落し死亡するという、私たちにとって衝撃的で不幸な事件が発生した。
 私たちは、直ちに事故現場を検証し、「二度と繰り返してはならない」という決意の下で、国や鉄道事業者に安全対策を求める行動を開始した。ところが、その後も視覚障害者の鉄道駅ホームから転落する事故が連続し、昨年10月には大阪で、本年1月には
埼玉県で、死亡事故が発生している。ホームドアを含む転落防止柵の設置が不可欠であることは関係者に周知されつつあり、その促進策も図られてはいるものの、経済的ないしは技術的な理由から、その普及は一部に限られているのが実情である。
 私たちは、全国に約9,500と言われる鉄道駅に、転落防止柵が何年あるいは何十年内に設置されるのかを明確にする要求をするとともに、転落防止柵ができるまでの全ての駅における安全を実現するための方策を提案することも必要である。
 駅員や他の乗客からの声かけは重要な安全策の一つであるが、そうした声かけが期待できない駅や場面が想定されるのであるから、そうした場合にも安心して鉄道駅が利用できるシステムを提案し、実現しなければならない。

(2)屋内屋外における安全対策
 これまでにも継続して要求してきた外出時における環境の整備は、地域によって大きなばらつきがある。視覚障害者が安心して外出するための環境整備の一環として、音響式信号機、LEDによる補助信号機、エスコートゾーンの設置の拡大、更に時差式信号機等への対応に向けた取り組み等により、切れ目のない安全対策として実現するよう、引き続き運動する。
 また、視覚障害者誘導用ブロックについては、屋外用と屋内用を区別し、すでにJIS化されている屋外用に加え、屋内用についてもJIS化を目指すとともに、その普及策を図る。

(3)歩行訓練の確立
 視覚障害者の自立にとって、歩行訓練を含む生活訓練は、極めて重要である。とりわけ、外出時における安全対策にとって、歩行訓練は必要不可欠な訓練である。
 昨年度は、歩行訓練士の活動や機能訓練事業所の実態把握のための調査研究を実施した。本年度は、その調査結果を踏まえ、歩行訓練を含む生活訓練を、視覚障害者が「いつでも、どこでも、必要に応じて十分に受けられる」ようにするための、歩行訓練士の配置基準を提案し、その実現を目指す。

(4)同行援護事業の充実と地域間格差の解消
 同行援護事業は、視覚障害者の外出方法の一つとして重要な役割を担っている。しかし、未だに私たちの望む制度としては不完全であり、地域間の格差も大きい状態が続いている。入院時の利用や通勤・通学時の限定された適用は実現したものの、十分な支給量(利用時間数)の確保、通勤・通学時の全面的な利用等は、私たちの強い要求にもかかわらず、未だ実現していない。
 また、本事業は、国の事業であるにもかかわらず、自治体間における運用の格差も解決しなければならない大きな課題である。
 本連合として、厚生労働省に適切な対応を促すとともに、各加盟団体とも連携して、不適切な運用や支給量に対しては、不服申立等をも含めた強い運動を展開することが必要である。他方、全国的にもガイドヘルパーの確保が困難となり、視覚障害者の安全確保の見地から、ガイドヘルパーの資質向上も重要な課題となっている。そのために、同行援護事業所等連絡会を中心に、移動支援従事者資質向上研修等を実施する。

2.大災害に備えた対策と被災者支援
(1)東北3県及び熊本県に対する支援の継続と被害を風化させないための活動
 東日本大震災及び熊本地震における被災者への支援は、これからも必要である。未だ仮設住宅で生活している障害者をはじめ、避難生活を余儀なくされている障害者は少なくなく、生活再建も未だ道半ばである。
 ところが、時間の経過とともに、被災者の声が国や社会に届かなくなったり、国民の意識から被災者の存在が薄れていこうとしている。私たちは、視覚障害被災者が安心して生活できる生活基盤が確立するまで支援の手を緩めてはならないのである。そのためには、被災者を訪問する等、現状を把握するとともに、視覚障害被災者の声を集約し、自治体や国に対して新たな支援策を求める活動を続けなければならない。
 東日本大震災情報誌「友歩動」や語り部の派遣等は今後本連合としてどのように継続していくかを検討し、必要が生じた場合は新たな募金活動にも取り組むための体制作りを急ぐ。

(2)大災害に備えた取り組み
 東日本大震災における被災障害者への支援の経験は、熊本地震における被災者支援に生かすことができた。しかし、これまでに作成された被災者支援マニュアルは十分には生かされておらず、大災害に備えた対策もあまり前進していない。
 そのため、本連合が設置した大災害に備えた基金の積み立てを進めることや、これまでに作成された報告書やマニュアルを各自治体において実践されるために働きかけを行わなければならない。更に、予測されている南海トラフ地震や都市直下型地震だけ
でなく、気候変動によってもたらされつつある台風や水害にも備えることが必要である。

第2 情報保障と合理的配慮
1. 障害者差別解消法の啓発と差別禁止条例の制定
 昨年4月1日から障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が施行され、1年が経過した。
 しかし、この1年間で社会が変化したという実感は、私たちにはない。この法律が広く社会に浸透し、国民の意識が変わらなければ、わが国の社会から障害者差別はなくならないのである。この法律を生かし、社会を変革するには、差別事象に対し、その解決のための組織的な取り組みをしなければならないのである。差別事案に対しては、個人の努力に委ねるのではなく、本連合が加盟団体と連携して組織的に不当な差別的取り扱いを告発したり、合理的配慮が実現するように運動しなければならない。
 その一つとして、本連合は、昨年8月に総合相談室を立ち上げ、相談体制を充実させ、視覚障害者に関連する合理的配慮の好事例を厚生労働省が作成する障害者雇用事例集や内閣府のデーターベースに掲載してもらうための働きかけを行った。
また、障害者権利条約及び障害者差別解消法を生かし、各地域における問題を解決するためには、障害者差別禁止条例(仮称)の制定は極めて重要である。この間、全国の自治体で障害者差別禁止条例の制定が広がっているが、都道府県レベルの自治体でさえ
未だ障害者差別禁止条例が制定されていない自治体も数多く存在する。今後は、すべての都道府県レベルにおいて障害者差別禁止条例が制定されるよう、他の障害者団体とも連携して取り組むことが必要である。

2.点訳・音訳、代筆・代読の拡大
 点訳・音訳者の養成は引き続き重要な課題であるが、点訳・音訳者の養成を実施していない都道府県も存在する。点訳・音訳者の養成をすべての都道府県において実施してもらうためには、全国的に統一されたカリキュラムが必要である。
 現在、統一的なカリキュラムの作成に向けて研究を進めているが、今後関係団体とも協議し、統一カリキュラムを作成した上で、厚生労働省の推薦を取り付けることが必要である。
 また、昨年6月には、入院中の視覚障害者も代読・代筆サービスを利用できることが明確になった。しかし、私たちが必要とするさまざまな場面において代筆・代読者が派遣されるようになるためには、全国の都道府県において代筆・代読者の養成事業が実施されなければならず、厚生労働省の通達等によって派遣要件が示されることが必要である。

3.補装具・日常生活用具の拡大と地域間格差の解消
 一昨年まで実施してきた補装具・日常生活用具の普及と地域間格差を解消するための研修会は、昨年度は実施することができなかった。国の新たな動きをも踏まえ、私たちの自立と社会参加を促進し、生活の質を向上させるために必要な補装具・日常生活用具が確実に指定され給付されるように、厚生労働省及び自治体に働きかけなければならない。
 今年度は、財源を確保するとともに、厚生労働省の支援を受けて、前記の研修会を各地で開催する。

4.情報保障
(1)マラケシュ条約の批准と読書バリアフリー法の実現
 視覚障害者をはじめ、印刷物を自由に読むことができない障害者の情報保障を定めたマラケシュ条約は、昨年条約としての効力を発したが、わが国は未だ批准していない。このマラケシュ条約を批准するためには、著作権法の改正が不可欠であるが、本連合としては、それだけでなく、すべての著作物に対する情報アクセシビリティを保障するための読書バリアフリー法(仮称)の制定を強く求めていく。

(2)解説放送の拡大
 テレビ等の音声解説(副音声)は、一部の番組に取り入れられているものの、私たちが強く求めている災害時の緊急通報の音声化や外国語の日本語吹き替えの音声化は未だ実現していない。視覚障害者の8割以上がテレビにより情報を得ている実態、あるいは安全対策の観点から、テレビ等の音声解説(副音声)の拡大を強く求めていくことが必要である。

(3)インターネット等におけるアクセシビリティ
 スマートフォン等のICTの普及はとどまるところを知らず、とりわけ金融機関におけるインターネット利用等の場合においては、このままでは視覚障害者が取り残されることが懸念される。生活の様々な場面で、これまで視覚障害者が問題なく使えたものが、画像認証やタッチパネル等の方式になったために使えなくなるという事態も生じている。また、必要に迫られて使おうとしても、視覚障害者には確認作業ができず、使えないことも多い。
 ユーザーとしての立場から関係者に対する働きかけがなければ、こうした傾向は更に拡大することになる。そのため、スマートフォンを中心とした視覚障害に配慮したICTの普及とその使い方の研修に取り組まなければならない。あわせて、画像認証等の問題や新たにタッチパネル方式が採用される際には、視覚障害者が排斥されることのないように国に働きかけるとともに、視覚障害ユーザーの声をメーカー等の関係機関に伝えるシステムを作らなければならない。

第3 職業的自立
1.あはきにおける諸問題
(1)あん摩師等法19条訴訟に対する取り組み
 平成医療学園グループが提起したあん摩師等法19条訴訟に対しては、昨年、視覚障害関係団体及びあはき業界が一丸となって、平成医療学園グループの主張が誤っていることを裁判所や社会に訴えるため、「あん摩師等法19条連絡会」を結成した。
 そして、全国の関係団体による特別決議や署名活動に取り組むとともに、東京・大阪・仙台にも対策会議を設置して、各裁判の傍聴等に取り組んできた。本年度は、各訴訟の審理が深まることが予測されるので、視覚障害あん摩マッサージ指圧師の実態や私たちの声が裁判に十分に反映されるような取り組みを行わなければならない。

(2)健康保険適用の拡大
 いよいよ国民が一部負担のみであはき施術を受けることができるようにするための、健康保険法の療養費制度における受領委任払い制度が実現する運びとなった。早ければ平成30年度に制度化されることになる。問題は、視覚障害あはき師が十分に受領委任払い制度を利用できるようになるかである。
 そのためには、書式や申請手続きが視覚障害者にとって困難なものとならないようにすることに加え、視覚障害あはき師に対する支援の体制が不可欠である。本年度は、視覚障害あはき施術所に職場介助者(ないしはそれに準じた援助者)の配置、往療の際の同行援護事業の適用の実現を目指し、全力で取り組まなければならない。

(3)無免許・無資格対策
 無免許対策の一環として、免許保有者と無免許者との差別化を図るための「厚生労働大臣免許保有証」が交付された。今後は、圧倒的多数の有資格者がこの「免許保有証」を所持するようになり、他方で国民に対しこの「免許保有証」の存在を認識してもらうための啓発活動が必要である。また、無免許業者に対しては、引き続き保健所をはじめとする行政と警察による取り締まりを求めるとともに、国民を無免許者の犠牲者にしないための裁判闘争の具体化に向けた取り組みを前進させることが必要である。

2.雇用・就労
(1)障害者雇用促進法に基づく雇用の促進
 すべての事業者に障害者差別の禁止と合理的配慮の提供を義務づけた改正障害者雇用促進法が施行されて1年が経過した。
 また、本年度は法定雇用率の改定に向けた論議が開始され、現時点で民間事業者に義務づけられた2.0%の法定雇用率は、2.3~2.4%に引き上げられようとしている。これは、精神障害者を中心とする障害者の求職者数の増加を踏まえた改定であり、障害者の実雇用数も順調に増大している。しかし、残念ながら身体障害者の実雇用数は停滞気味であり、視覚障害者の新規就職者数も減少傾向にある。そのため、視覚障害者が、その適性と希望に沿って差別されることなく就職の機会が保障され、採用後においてもその能力を適正に発揮できるための合理的配慮の提供が行われるよう、厚生労働省だけでなく、企業団体等に対し積極的に働きかけることが必要である。また、相談活動や各加盟団体からの情報提供を受けて、当事者の声を吸い上げ、差別事例等の実態を把握し、問題点の改善策を具体的に提案する等の活動が必要である。更に、国が作成する事例集に好事例を掲載させたり、本連合のホームページ等を活用して、好事例を啓発することを、継続的に行うことが必要である。

(2)個別事例に対する支援と問題の解決
 岡山県の短大で発生した視覚障害教員に対する差別事案については、第一審において短大の差別を厳しく糾弾する判決が言い渡されたものの、短大により控訴され、今後も戦いが続くこととなった。この事件は、改正障害者雇用促進法の試金石ともなり得る事案であって、完全勝訴に向けて支援を継続しなければならない。今後も、個々の差別事案に対し、関係機関と連携して、その解決を図ることが必要である。

(3)中途視覚障害者の雇用の継続と合理的配慮
 中途視覚障害者がそれまで培ってきた多くの知識や経験を無駄にしないためにも、定年まで働き続けられるように雇用継続を図ることは、本人にとってはもちろん、社会全体にとっても極めて重要な課題である。そのためには、在職中に、必要なロービジョンケアや在職者訓練等のリハビリテーションをはじめとする合理的配慮の提供が行われることが不可欠である。しかし、視覚障害者に対する職業リハビリテーション施設等は少なく、一部地域にしかない。
 そのことを考慮すると、全国のどこからでも必要な支援が得られるようにするためには、特別な対策が不可欠である。そのことがスムーズに行われるようにするために、国等に対し、具体策を提案し、その実現を図る。

(4)視覚障害公務員等に対する支援
 国や地方自治体、独立行政法人に雇用されている視覚障害者が、十分に能力を発揮し、公務員等としての職責を果たすためには、支援が必要であることは言うまでもない。民間企業と同様に、合理的配慮の好事例を収集し、それを公表し、周知・啓発を
図るべきである。厚生労働省・人事院・総務省に対し、合同の検討会議を設置し、具体策を検討するよう要望する。

第4 スポーツ・文化・芸術活動の促進
1.スポーツの推進
 残り3年となった東京オリンピック・パラリンピックに向けた各種取り組みが急ピッチで進められている。パラリンピックの競技種目以外の視覚障害者スポーツについても、裾野を広げるとともに、国民全体に向けた啓発活動も必要である。
 引き続き、イベント等の開催を関係機関に働きかけ、スポーツ協議会を中心とした当事者によるプロジェクトチームの立ち上げも検討する。

2.文化芸術活動の充実
 音楽を通じて日本文化の発展に寄与しつつ、会員の一層の技芸向上を図るため、本年度は韓国との交流をも兼ねて日韓伝統音楽演奏会を大阪、名古屋、東京で開催する。また、邦楽及び洋楽を問わず、視覚障害音楽家への支援についても、新たな取り組みを検討することが必要である。
 他方、視覚障害者の芸術活動のうち、音楽については活発な活動が行われているが、それ以外の芸術活動についてはごく一部の者によってしか取り組まれていない。生活の質を高めるためにも、視覚障害者による芸術文化活動を発掘し、支援していくことが必要である。
 また、文化芸術は障害の有無にかかわらず心の豊かさや相互理解をもたらすものであるとの観点から、議員立法として「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」の制定を目指す。
 なお、本年度もこれまで通り、全国盲人文芸大会、全国盲人将棋大会等を開催する。

第5 主な階層別(カテゴリー)の活動
1.視覚障害高齢者
 視覚障害者のうち65歳以上は、7割を超えていると言われている。障害者総合支援法7条は、65歳以上の障害者に対し、介護保険制度が優先的に適用されることを規定しているため、障害福祉サービスを利用していた者が65歳になると、要介護認定を強要され、介護保険に基づくサービス利用を強制されることが多い。そのため、昨年の法改正で、そうした高齢障害者の利用者負担を軽減するための措置が講じられ、平成30年4月から実施されようとしている。
 しかし、そうした改善がされてはいるが、視覚障害者専用、あるいは視覚障害者に配慮したデイサービスやグループホームは広がっていない。これまでは、養護老人ホームや特別養護老人ホームの建設に力点が置かれてきたが、今後は在宅介護が中心となることを踏まえ、視覚障害者の受け入れを中心としたデイサービスやグループホームの拡大を図ることが必要である。

2.弱視(ロービジョン)者
 昨年は、弱視(ロービジョン)に関する懇談会を継続し、弱視(ロービジョン)者が抱える様々な課題が明らかになりつつある。教科書や公共サービス等における拡大文字の普及・定着やロービジョンケアの確立が求められ、学校や企業における弱視(ロービジョン)者に対する合理的配慮等が課題として指摘されている。そのため、昨年は、弱視(ロービジョン)者の読み書きにおける課題について、その実態調査を行った。そして、本年度は、弱視(ロービジョン)者の問題に関する課題を整理した上で、その解決を図るために、常設機関としての「弱視者協議会(仮称)」の設置に向けて検討する。
そうした常設機関の設置によって、本連合が従来の活動ではカバーできなかった分野での取り組みを強化する。
 なお、徐々に広がりつつある眼科医会や福祉関係者等によって構成された各地の視覚障害者支援ネットワークが、全国都道府県ごとに設置されるように働きかける。

3.青年
 各加盟団体への30~50代の視覚障害者の入会は極めて少なく、その結果として各加盟団体の青年部としての活動が困難になる団体が増えている。本連合の活動を活性化させ、未来にまで続かせるためには、青年層の取り込みは焦眉の課題である。
 青年層を取り込むには、まず、様々な懇談会や意見交換会を引き続き開催し、青年層が抱える問題や悩みを吸い上げ、青年層が求める要求を実現するための運動を起こし、本連合が青年層にとって魅力のある当事者団体になる必要がある。
 また、本連合の役員や派遣委員に青年層を採用し、後継者作りを行うことも必要である。

4.女性
 視覚障害女性が抱える問題は、これまでは女性協議会を中心に取り組まれてきた。「女性が活躍できる社会」が大きく取り上げられようとしている今日においては、女性に対する差別の問題や家庭と職業の両立等の課題を、本連合の重要な活動の1つとして位置づけることが必要である。未だ実現していない女性副会長を選出し、ジェンダーバランスを意識した組織運営を実現することも必要である。

5.中途視覚障害者
(1)地域包括ネットワークの拡大
 眼科における治療の終了によって、当該視覚障害者に必要な支援が途切れてしまうことは避けなければならない。各地で広がりつつある、眼科医、教育機関、福祉施設、当事者団体等の関係者の連携ないしネットワーク化は、そうした中断を防ぐために極めて効果的である。そうした連携を実現するためのネットワークとしての地域包括ネットワーク(仮称)を都道府県ごとに立ち上げるとともに、「日本版スマートサイト」を確立し、眼科医に普及させることを目指す。

(2)地域リハビリシステムの確立
 中途視覚障害者が社会から離脱したり孤立することを防ぐためには、十分な情報提供と相談体制の確立が不可欠である。
 相談からはじまり、歩行訓練を含む生活訓練が地元で受けられ、職場復帰や各地域の団体にアクセスできるようなシステムとしての地域リハビリテーションシステム(仮称)を確立しなければならない。

(3)NEXT VISIONとの連携
 公益社団法人NEXT VISIONが、視覚障害者の福祉向上を目的に、「神戸アイセンター」を立ち上げた。神戸アイセンターは、わが国初の目の病気の研究治療から患者の就労支援までを一貫して行う支援センターである。
 本連合は、同センターの視覚障害者等の支援事業に積極的に連携することとし、同センターの「ビジョンパーク」で開催される各種事業に対して、本連合所属の地元会員から必要に応じて相談員を派遣し、就労相談を中心に各種事業に協力する。

(4)視覚障害認定基準の改善
 わが国の視覚障害者等級は、両眼の視力の和を基準として認定されている。これは国際基準に照らしても不合理なものである。
 本連合は、岐阜大会において、視力の良い方の眼を基準とする制度に改定するよう求める特別決議を行った。厚生労働省は、ようやく認定基準を検討するための委員会を立ち上げ、本年度中にその結論を得ようとしている。本連合は、視力の良い方の眼を基準とする制度に改めるとともに、中心暗点等の者も障害認定が受けられる基準になるよう、強く求めていく所存である。

第6 組織活動
1.結成70周年に向けた準備
 本連合は昭和23年8月18日に結成され、来年は結成70周年の記念大会を開催する。記念大会は、東京都盲人福祉協会のご協力により、平成30年6月11日~13日にかけて、東京都台東区の東京文化会館で結成70周年の第71回東京大会として
開催が決定した。大会式典だけでなく、記念誌の発行を含め、記念大会に向けた取り組みを急ぐとともに、さらに将来を見据えた本連合のあり方や役割を検討しなければならない。

2.調査研究と政策能力の強化
(1)総合企画審議会の充実
 引き続き重点課題を明確にするとともに、そうした課題を解決するための道筋や政策提言を行うために、総合企画審議会に専門委員会やプロジェクトチームを設置する。そうした委員会やプロジェクトチームには、外部からも委員を招き、政策能力を高める。
 また、各種の政策提言の裏付けとなる実態調査や事例等を収集し、データ化するとともに、それを必要に応じて情報として発信する。

(2)相談活動の継続と拡充
 昨年8月に立ち上げた総合相談室の活動を継続するための資金の確保を図るとともに、相談員の研修や相談体制の拡充を図る。
 また、本連合の相談活動を、全国の眼科医や関係機関に周知するとともに、国民に対するアピールをも検討する。
 
3.財政基盤の確立
(1)安定的な財源の確保
 国の補助金や委託事業が縮小し、あるいは毎年のように実施される「一割カット」が財政運営を困難にしている。
 他方、本連合の財政基盤を支えてきた福祉用具の販売等による利益も、減少傾向に歯止めをかけることができていない。経費の節減だけでは対応しきれない事態になりつつある。そうした状況を打破するには、一方で国に対し新たな助成金や委託金を
要求するとともに、他方では独自の財源作りとしての事業化を検討することが必要不可欠である。本年度は、そうした新たな財源作りについての方策を検討しなければならない。

(2)財政運営における透明化
 社会福祉法の改正によって、これまで以上に財政の透明化や公正さが問われることになった。また、加盟団体や会員にもわかりやすい財政報告(決算書等)ができるようにしなければならない。

4.国際交流と国際貢献
 本連合は、日本盲人福祉委員会を介して、WBU(世界盲人連合)やWBU-AP(世界盲人連合アジア太平洋協議会)に参加し、国際交流と情報収集を行っている。また、本連合に設置された国際委員会の活動を充実させることによって、国際交流を本連合の活動に活かすことも必要である。とりわけ、本年は、日韓伝統音楽演奏会を大阪、名古屋、東京で開催し、韓国と音楽を通じて交流する。今後も、可能な範囲でスポーツや文化活動を通して、アジア地区を中心とした外国と交流する。

宣言

 昭和23年8月に、本連合結成大会が大阪府下二色の浜で開催されてから、本年で70年の大きな節目を迎える。そのような意義深い年に、この四国東部の「吉野川四国三郎」によって育まれ栄えた、阿波徳島平野で第70回全国盲人福祉大会が開催できることは私たちの大きな喜びである。

 昨年4月には、差別の禁止と合理的配慮の提供義務を定めた障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が施行され、障害者を取り巻く環境が大きく進展した。

 しかし一方では、一昨年、ここ徳島で全盲の盲導犬使用者がバックしてきたトラックに轢かれ死亡するという事故が発生し、昨年から今年にかけて鉄道駅ホームから視覚障害者が転落し死亡するという痛ましい事故も多発している。また、学校法人平成医療学園グループが「あん摩師等法19条は違憲である」として、大阪・東京・仙台の各地裁に国を相手とする訴訟を提起した。

 いずれの事柄も、私たちの命と職業的自立に関わるものであり、決して看過できない出来事である。私たちは、そうした状況を踏まえ、視覚障害者の安心安全な移動を確保するための施策の実現を強く求めるとともに、視覚障害あはき師の職業的自立のために、平成医療学園グループが提起した訴訟において国が勝利するよう全力を尽くすだけでなく、視覚障害あはき自営業者に対する支援が実現するよう全力を尽くす決意である。

 本年度は、平成30年4月からスタートする国による第4次障害者基本計画が確定する。この基本計画は、国や自治体の障害者施策の柱となるものであるから、その内容は、視覚障害者にとっての情報アクセシビリティが改善され、繰り返し発生することが懸念される大災害における要援助者に対する対策が前進するものとなるよう、働きかけなければならない。また、本年度は、視覚障害認定基準の見直しがされる予定であり、視覚障害認定基準が国際標準に即して改正されることを強く求めていく。

 私たちは、この三日間、壇上に掲げたスローガンの下に全国各地から集った多くの仲間と現状を取り巻く諸問題について討議した。その結果、あん摩師等法19条訴訟への取り組み、交通のバリアフリーと安全な移動のための対策、点訳音訳や代筆代読制度の確立等、多くの課題が山積していることを確認した。

 くしくも、本連合が全国初の障害者団体として社会福祉法人の認可を受けてから本年で50周年目の年となる。今後は、会発足70周年に向けて全国の視覚障害者の中核を担う団体であることを強く認識し、視覚障害者の日々の幸福を希求して活動することを、ここに宣言する。

平成29年5月28日 第70回全国盲人福祉大会 徳島大会

決議

一、 災害時における支援体制を確立し、福祉避難所に白杖や防災ベスト等の必要な物品を備蓄するよう要望する。

一、 日常生活用具給付制度を見直し、補装具との整合性を図るとともに、地域間格差を解消するため、国において最低限の指針を示し、視覚障害者のニーズに即した品目の支給が可能となるよう要望する。

一、 誘導ブロックや音響式信号機等の拡充、駅ホームからの転落事故防止策の推進、同行援護事業の充実、全国どこでも歩行訓練が受けられる体制の確立等により、視覚障害者の安全な移動が実現できるよう要望する。

一、 あん摩師等法19条を死守すると共に、視覚障害あはき師への支援策の確立や無資格医業類似行為者の取り締まり強化によって、視覚障害あはき師の生計と職業領域が維持されるよう要望する。

一、 視覚障害者の就労拡大のため、点字や拡大文字、あるいはパソコン等による採用試験の実施、就労を継続するための合理的配慮の提供が行われるよう要望する。

一、 選挙公報をはじめとする情報は、点字、音声、拡大文字、テキストデータ等の当事者が必要とする媒体で提供するとともに、テレビのニュースや緊急放送における字幕スーパーの音声化を要望する。

一、 視覚障害者のインターネット環境を整備し、個人認証やセキュリティー対策が視覚障害者にも対応できるよう要望する。

一、 公共施設や交通機関の照明・案内表示・サイン等の設置基準が、弱視者にも対応したものとなるよう要望する。

一、 どこでもロービジョンケアが受けられる体制を整備するとともに、中途視覚障害者の自立のため、早期の相談、生活訓練、職業訓練が受けられる総合的な施策の確立を要望する。

一、 視覚障害の認定基準は、両眼の視力の和を基準とする現行制度を見直し、視力の良い方の眼を基準とする制度に改めるとともに、中心暗点等の者にも障害認定が受けられる基準となるよう要望する。

以上決議する

平成29年5月28日 第70回全国盲人福祉大会 徳島大会