盛山文部科学大臣に要望書を提出しました

2024年8月21日

 令和6年8月14日、日本視覚障害者団体連合の竹下義樹会長と三宅隆常務理事は、盛山正仁文部科学大臣に面会し、要望書を提出しました。

【写真01】要望書提出時の記念撮影。左から竹下会長、盛山文部科学大臣、三宅常務理事

【写真02】プログラミング教材に触れる盛山文部科学大臣

 要望書は「視覚障害のある児童・生徒に対するプログラミング教育」「普通学級に通う視覚障害のある児童・生徒に対するブラインドスポーツ体験の提供」を全国で促進するため、本連合及び加盟団体の取り組みに対して支援を求める内容になっています。

 要望書の提出では、竹下会長が概要を説明し、三宅常務が要望書の詳細を説明しました。説明の中では、盛山文科大臣に「視覚障害の児童・生徒向けのプログラミング講座」において使用しているプログラミング教材に触れていただき、本連合の取り組みにご理解をいただきました。

  そして、面会の最後には、盛山文部科学大臣より要望書に対する回答があり、「改正障害者差別解消法や障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行、パリ2024パラリンピックの開催等を踏まえ、要望書の内容をしっかりと受け止め、文部科学省及びスポーツ庁として前向きに検討させていただく」との回答を頂きました。

 

以下、要望書の貼り付け

日視連発第71号
令和6年8月14日

文部科学大臣 盛山 正仁 殿

社会福祉法人日本視覚障害者団体連合
会長 竹下 義樹

要望書

1 視覚障害のある児童・生徒に対するプログラミング教育について
 平成29年3月に改訂された小学校学習指導要領により、小学校段階におけるプログラミング教育が全国で実施されることとなり、現在、視覚障害のある児童・生徒が通う普通学級及び盲学校(視覚特別支援学校等)でもプログラミング教育は実施されている。しかし、視覚障害のある児童・生徒に対してプログラミング教育を行うためには、教育を受ける者の障害の状態や特性に応じた適切な教材や指導方法が必要となるものの、これらの教材や指導方法は確立していない。そのため、全国の視覚障害のある児童・生徒は、十分なプログラミング教育が受けられていないと言わざるを得ない。デジタル化の推進においては「誰一人取り残されない」ことを国が掲げる中で、視覚障害のある児童・生徒が適切なプログラミング教育を受けられないことは重大な問題である。
 そのため、本連合は、自主事業として、東北学院大学の菅原研教授及び松本章代教授にプログラミング教育アドバイザーとして協力を仰ぎ、宮城県立視覚支援学校で行われているプログラミング教材を基にした「視覚障害の児童・生徒向けのプログラミング講座」を令和4年9月より開催し、視覚障害のある児童・生徒に対するプログラミング教育において、必要な教材や指導方法の在り方を調査している。同講座は、令和6年3月末で13回開催、受講生は10名となり、参加者からは感謝の声が寄せられている。
 しかし、同講座の開催によって集められた情報はまだ少なく、視覚障害のある児童・生徒に対するプログラミング教育に必要な教材や指導方法の在り方は開発の途上にある。また、受講者からは「同講座を学外支援の一つとして活用したい」「地方に住んでいても同講座を受講したい」との新たな希望もあり、全国に普及させるための支援体制の検討も必要になっている。
 そのため、同講座の開催を継続し、これらの検討をさらに進めるため、貴省からの格段のご配慮をお願いしたい。

2 普通学級に通う視覚障害のある児童・生徒に対するブラインドスポーツ体験の提供について
 現在、インクルーシブ教育システムの推進により、多くの視覚障害のある児童・生徒が地域の普通学級に通い、障害のない児童・生徒と共に教育を受けている。その中では、視覚障害のある児童・生徒が教育を受けるために、教育現場で様々な工夫がなされている。しかし、体育の授業については、安全性の観点から、視覚障害のある児童・生徒が授業に参加できず見学になる事例が多い。成長期に体育の授業が適切に受けられないことは、非常に問題である。
 一方で、盲学校(視覚特別支援学校等)では、視覚障害のある児童・生徒が参加できるスポーツ「ブラインドスポーツ」を活用し、体育の授業を実施している。また、盲学校(視覚特別支援学校等)以外でも、全国の各地域には、視覚障害のある当事者を中心としたブラインドスポーツのサークルやクラブが存在し、本連合の加盟団体の多くがこれらのサークルやクラブを運営している。
 しかし、これらのブラインドスポーツは専門的なノウハウや、指導員及び支援者が必要であることから、地域の学校で実施することは困難である。また、地域の普通学級に通う視覚障害のある児童・生徒が学外でブラインドスポーツを体験したいと思っても、現状では体験できる場が少ないため、体験する場の創出も求められている。特に、体験する場は都市圏よりも地方の方が必要とされている。さらに、ブラインドスポーツに関する情報が、地域の普通学級に通う視覚障害のある児童・生徒及びその親だけでなく、担任などの学校関係者にも伝わっていないことから、ブラインドスポーツを体験する契機が生まれないことも問題である。
 そのため、本連合では、地域の普通学級に通う視覚障害のある児童・生徒を対象とした、ブラインドスポーツ教室の体験会を検討している。全国で同教室を実施するために、貴省からの格段のご配慮をお願いしたい。

 

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