財務省に新紙幣に関する要望書提出

2019年8月9日

 8月7日、日盲連竹下義樹会長、橋井正喜常務理事、三宅隆情報部長が財務省を訪問し、
2024年(令和6年)より流通が開始される新紙幣に関して要望書を提出しました。

日盲連発第77号 
令和元年8月7日 

 

 財務省
  理財局長 可部 哲生 殿

社会福祉法人 日本盲人会連合  
会長 竹下 義樹  

新紙幣に関する要望書

 

 平素は、視覚障害者も社会の一員として、経済活動に参加できるよう格別のご高配をいただき感謝いたします。
 来る令和6年(2024年)より流通が開始される新紙幣に関しまして、視覚障害者の意見をもとに、以下のとおり要望いたします。
 何卒お取り計らいいただきますよう、よろしくお願いいたします。

1.識別マークの読みやすさについて
 従来の紙幣と比べて面積が広くなったことにより、判別が容易になったという意見が寄せられています。一方で、紙幣に折り目が付いたり、ある程度使用された場合、識別マークの判別がしづらくならないかという心配の意見もあります。そのため、流通する紙幣の識別マークが常に確認できる状態に保つための配慮を要望します。

2.識別マークの位置について
 従来の紙幣に比べてわかりやすくなったという意見が多く寄せられています。一方で、従来の識別マークの位置に比べると、新紙幣は触る範囲を広くしなければならないため、紙幣の内容確認に時間がかかるという意見もあります。識別マークの位置について、なるべく触る範囲を広くしなくても確認できる工夫の検討を要望します。

3.ホログラムについて
 弱視(ロービジョン)者の中には、ホログラムの反射により位置や大きさがわかりやすくなったという意見が寄せられています。新紙幣が正式に流通する際には、弱視(ロービジョン)者が確実に視認できる内容でホログラムが印刷されることを要望します。

4.金額表示について
 従来よりも大きく表示されたことにより、見えやすくなったという意見がある一方で、従来の漢数字に比べて線が細くなった、背景の色と同化して見えづらいという意見もあります。今後、これらの意見を参考に、新紙幣が正式に流通する際には、色合いを微調整する等、弱視(ロービジョン)者が確実に視認できる内容で印刷されることを要望します。

5.色について
 弱視(ロービジョン)者の見え方によって意見は別れましたが、1万円券と五千円券の識別が難しいという意見が寄せられています。そのため、弱視(ロービジョン)者の意見を参考にしながら色やコントラストの微調整を行い、新紙幣が正式に流通する際には、弱視(ロービジョン)者が確実に視認できる内容で印刷されることを要望します。

6.紙幣の大きさについて
 紙幣の大きさで違いを判断することを望む視覚障害者からは、今回の新紙幣が大きさでの判別が難しいとの意見が寄せられています。今後、紙幣によって大きさを変える等の検討を要望します。

7.視覚障害者への周知について
 今回の新紙幣は、視覚障害者への工夫や配慮が施されており、一定の評価ができます。しかし、視覚障害者は自らその工夫や配慮の情報を入手することが難しいため、新紙幣を流通させる際には新紙幣の仕様を全国の視覚障害者に分かりやすく、的確に周知する必要があります。そのため、全国の視覚障害者が新紙幣を正しく利用するために、視覚障害者向けの講習会の開催、点字版・音声版・拡大文字版・テキスト版での周知用資料の作成等を要望します。

※資料 「新紙幣に関する要望書」(DOC形式/37KB)