マイナンバー制度で総務大臣に緊急に要望
日本盲人会連合(日盲連)は12月18日に総務省を訪れ、高市早苗総務大臣に対してマイナンバー制度についての緊急の要望書を提出した。日盲連はこれまでに、視覚障害者に対し十分な配慮をするよう、事前に意見交換の場を求めてきた。
しかし、ほとんど意見交換がされない中で10月からマイナンバーの通知がスタートしたため、対応に苦慮していた。この間、全国の視覚障害者・関係団体等から多数の相談や苦情が寄せられ、6月1日~12月11日まで合計178件を数えた。このような状況を受けて、日盲連としても、改めて総務省に対して意見交換を求めていたところ、ようやく今回の陳情が実現したもの。
陳情は、日盲連鈴木副会長、藤井組織部長、工藤情報部長が総務省を訪れ、総務省自治行政局住民制度課マイナンバー制度担当住民台帳第三係長、内閣官房社会保障改革担当室内閣府大臣官房番号制度担当室企画官、内閣官房社会保障改革担当室主査が応じた。
これまで寄せられた苦情では、「音声コード」を読み上げないという問題が多かった。そこで、読み取り装置であるスピーチオ、テルミー、らくらくホンを持参し、読み取りができない(しずらい)ことを確認してもらった。その上で、全国各地には実際に通知書の内容を確認できないで困っていたり、正しい情報を得られないために不安を抱いたりしている視覚障害者が多数いることを訴えた。
また、個人カードに点字を付すことについても、正しい点字表記法に基づいて行うよう要望した。更に、このまま視覚障害者が置き去りにされる状態が続かないように、通知書を読めない本人から申し出があった場合には、今からでも点字による通知書を発行することを要望した。そのために、自治体が視覚障害者団体等とも連携しながら、視覚障害者に対して適切な対応をするよう、総務省から改めて各地方自治体に指示することを要望した。
これらに対して、その場では明確な回答はなかったが、カードに記載される個人名の点字については、システム上可能かどうかを検討し、新たな啓発パンフレット(点字、音声版)の作成を検討したいと回答があった。検討結果については改めて協議がある。
日盲連発第102号 総務大臣 高市早苗 殿 マイナンバー制度についての要望書 社会福祉法人 日本盲人会連合 日頃より、視覚障害者の福祉向上にご尽力いただいていることに対し、心より敬意を表します。 1 多数の視覚障害者が「通知書」に記載された自己のマイナンバーを読めないで困っています ①送付された通知書の封筒には点字で通知書である旨記載がありますが、通知書にはその記載さえありません。また、点字による番号通知も行われないと聞いております。このままの状態が続くことは決して好ましいことではありませんので、本人から申し出があった場合には、改めて点字による通知書を発行いただくよう要望します。 2 マイナンバーカードについて ①マイナンバーカードには、視覚障害者向けに点字エンボスが付されることとなっていますが、付される点字エンボスは、正規の点字表記になっていないと聞いております。予算を確保いただき正規の点字表記がされるようお取り組ください。 |