トラック・静音自動車などの警告音の義務化の要望書提出

2015年10月29日

 日盲連は平成27年10月3日に徳島市で発生した「トラックによる視覚障害者と盲導犬の死亡事故」を受け、10月14日、23日の2度にわたり国土交通省に対し「交通安全対策に関する要望書」を提出し交通事故防止について話し合いを行いました。
 両日とも藤井貢組織部長が訪問。14日は「総合政策局安心生活政策課」と交通バリアフリーの観点から、23日は「自動車局技術政策課」とトラックなどの大型車両、静音自動車の走行時における警告音発生装置の義務化などについて話し合いました。
 また、両日とも全日本盲導犬使用者の会の郡司七重会長も同席し、共に要望書を提出しました。

日盲連の藤井貢組織部長・全日本盲導犬使用者の会の郡司七重会長から要望書が手渡されました。

【写真の説明】要望提出の様子

 国土交通省からは、今回の事故をきっかけに省内でも交通弱者に対する安全対策を求める機運が高まっており、頂いた要望を元に更なる安全対策を進めていき、方策の一つとして、政府がとりまとめを進めている「第10次交通安全基本計画」へ交通弱者にも配慮した車両の安全対策を更に盛り込めるように努力したいとコメントがありました。
 また、静音対策については、平成22年に策定したガイドラインの元に自動車メーカーが標準装備しているが、更なる基準の厳格化のため、静音対策の義務化と基準化を盛り込んだ国際基準を、日本政府が主導して国際連合の専門部会で議論中であることを明らかにした。国際標準化を図ることで輸入車を含めた静音対策を確実なものとしたいとの意向で早ければ来年にも国際基準が成立する模様です。

 以下に、日盲連が国土交通省に提出した要望書の全文を掲載します。

 

日 盲 連 発 第83号 平成27年10月14日

国 土 交 通 大 臣  石 井 啓 一 様

社会福祉法人 日本盲人会連合
会  長  竹 下 義 樹

交通安全対策に関する要望

 仲秋の候、貴職におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 また、日頃視覚障害者の安全な移動にご尽力いただき厚く御礼申し上げます。
 さて、去る10月3日(土)徳島市新浜町の市道で、盲導犬と歩いていた視覚障害のあるマッサージ師がバックしてきた2トントラックにはねられ、胸などを強く打って亡くなる事故が発生し、一緒にいた盲導犬も巻き添えになり死亡する事故がありました。
 報道によれば、この事故が起きたのは、このトラックに、バックする際に音で周囲に注意を促す装置がつけられていたにも関わらず、運転士によりこのスイッチが切られており、音が出ないようになっていたのが原因という事でした。
 視覚障害者と盲導犬が事故にまき込まれるケースは過去にも起きているにもかかわらず、対応が遅れているのが実態です。
 また、最近では、走行音の小さなハイブリッドカーをはじめ電気自動車などが普及しており、外を歩く際車の接近を音で判断することが多い視覚障害者にとって深刻な問題となっています。
 2010年1月29日国土交通省は、「ハイブリッド車等の静音性に関する対策」を取りまとめ、その報告書を公表しています。条件を満たした装置を任意で装備できるよう、同日ガイドラインを設け、自動車メーカー等に周知しています。
 しかし「車両接近通報装置」が搭載されている車両であっても、運転士によりそのスイッチが意図的に切れるようになっている状況ではこのような事故は減らないのではないかと考えています。
 この「車両接近通報装置」は、視覚障害者だけでなく高齢者や幼児などの交通弱者に対して安全を確保するために搭載されたものであります。
 「人の命は地球よりも重い」との言葉もあります。
 そこで、運転する人たちには単独で歩いている視覚障害者、盲導犬利用者、高齢者、幼児などの安全配慮を求め、以下のことを要望します。

一 すべての自動車に「車両接近通報装置」の搭載を行うこと。
一 すべての車両が後ろに進むときや左折する時など音で知らせる安全対策を講ずること。
一 搭載されている「車両接近通報装置」のスイッチが意図的に切れないような構造にすること。
一 法令によって「静音対策」を明確にし、国民の安全を確保すること。
一 安全な走行を高めるため、車両が音を出すことに対して国民全体の理解を深めること。