自由民主党、公明党 「障害者総合支援法」施行3年後の見直しに関するヒアリングへの出席

2015年9月19日

 平成27年9月16日、日盲連は自由民主党政務調査会の厚生労働部会障害福祉委員会・障害児者問題調査会が主催するヒアリング、及び同日に開催された公明党・障がい者福祉委員会が主催するヒアリングに出席をしました。
 両ヒアリングには日盲連からは及川清隆副会長(岩手県視覚障害者福祉協会理事長)が出席をし、議題である「障害者総合支援法」施行3年後の見直しについて日盲連からの要望事項の趣旨説明を行いました。
 日盲連からの要望は、各都道府県に生活訓練・歩行訓練士の配置基準の創設を求めること、同行援護事業に通勤通学、個人事業主の出張、入院時の外出に適用することなど、障害者総合支援法に係わる合計7項目の要望を行い、及川副会長からは「視覚障害者が移動をすることは、ただ移動をするためだけではなく、その先に自立や社会参加などの目標があり、そのためにも視覚障害者の移動に関する要望は積極的に実現をして欲しい」と視覚障害者に対する移動保障の必要性を訴えました。
 また、今回の会議においては、来年度の障害福祉予算との関連もあることから、別項目として点字ニュース即時提供事業(JBニュース)による情報提供の必要性を要望し、事業に対する予算確保を含め、この事業が視覚障害者の情報取得の生命線であることを訴えました。

要望書

 日頃より、障害者の福祉の向上に向け日々ご尽力いただいておりますことに心より敬意を表します。
 さて今回の懇談会にあたり、視覚障害者団体として次のように要望事項をとりまとめました。
 ご理解いただきまして、実現に向けお取り組みいただきますようお願い申し上げます。
 
1,障害認定基準について
(1)現行の視覚障害の障害認定基準を、生活の困難さ・生活実態に即した基準となるように見直しを要望する。
 現行の障害者手帳の等級に係る視覚障害認定基準は、制度成立以来ほとんど改正されておらず、現行の福祉制度に馴染まなくなっている側面があり、早急に見直しいただきたい。特に「両眼の視力の和」とされている現行基準を見直し、自然な状態での見え方を基準としていただき、基準の狭間に置かれた当事者や枠外に置かれた視覚障害者にも現行の福祉制度が活用できるよう抜本的な見直しを要請します。
(2)身体障害者手帳を所持できない障害者に対しての救済措置を要望する。
 身体障害者手帳にいまだ該当しないが、しかしその予備群とも言える治療法のない疾病を有する障害者は将来に向けて、この時期がもっとも不安感が強いことを踏まえ、これらの方々に対して、例えば医師の診断書によって手帳保持者に類似した救済措置を講じることを要望します。
 
2,障害者総合支援法の見直しについて
(1)各都道府県に生活訓練・歩行訓練士の配置基準を創設することを要望する。
 地方では、障害者が自力で歩くための訓練を指導してくれる人も体制もありません。調査によれば、歩行訓練・生活訓練をする訓練士がいない県が2つ、存在しても訓練に携わっていない県も多数存在します。
 全国でどこにいても歩行訓練・生活訓練が受けられるよう、各県の訓練士の配置基準を設けていただき、どの都道府県にいても歩行訓練・生活訓練が受けられる体制の確立を要望します。
(2)同行援護事業を通勤通学、個人事業主の出張、入院時の外出にも適用することを要望する。
 同行援護事業が通勤、通学あるいは定例的に動くような場所に移動する場合は使えません。また、入院時に外出することにおいては、二重給付の観点から利用が出来ません。
 私どもは通勤や通学も含めて生活の全体として同行援護事業が活用できるようにしていただきたいと考えるものです。これらは例えば学校や職場、病院などで保障すべきという考え方もありますが、極めて専門性の高い事業であり、これを各機関、企業や学校で用意することは困難と考えるため、同行援護事業への適用を要望します。
(3)同行援護事業の報酬において、現在「身体介護有り」と「身体介護無し」という2つの区分を一本化し、報酬の見直しを行うことを要望する。
 同行援護は、移動支援と異なり視覚障害者に情報提供をすることに着目した制度であり、結果として移動が保障されるという考え方に基づいた制度です。身体介護有り・無しという介護あるいは介助の考え方とは異なる制度であるはずです。身体介護が必要な場合はたまたま制度の重複が発生するものとお考えいただいた上で、報酬単価の一本化を要望します。
(4)意思疎通支援事業の中に音訳者・点訳者の育成事業、テキスト制作等の新事業を組み入れることを要望する。
 視覚障害者は点字資料や音訳資料を入手するためには、常にボランティアに依存しているという実態があります。専門家はほとんどいません。これでは学校教育、特に高等教育や様々な専門分野ではなかなか対応ができないという実情がありますので、是非、専門家の育成を事業の中に組み込んでいただきたいということと、新たにテキストデイジーやマルチメディアデイジーの作成を事業の中に組み入れていただいて、情報を視覚障害者が自由に活用できるような体制の確立を要望します。
(5)65歳を過ぎて障害をもった障害者に対して制度が活用できることを要望する。
 65歳を過ぎて障害をもった場合に、障害者総合支援に関わるいろいろな制度の活用ができないという制約や実態があります。これらについては障害の特性を勘案していただいて、65歳を過ぎて障害をもった視覚障害の場合でも、施設入所など障害に着目した制度が活用できるようにお取組みしていただくことを要望します。