トラックによる視覚障害者と盲導犬の事故死に関する声明

2015年10月14日

 2015年10月3日徳島市で発生した「トラックによる視覚障害者と盲導犬の事故死」を受け、日本盲人会連合は14日、声明を発表しました。
 全文は以下の通りです。

 

トラックによる視覚障害者と盲導犬の事故死に関する声明

社会福祉法人 日本盲人会連合
会  長  竹 下 義 樹

 去る10月3日視覚障害者と盲導犬がバックしてきた2トントラックにはねられ、胸などを強く打って亡くなる事故が発生した。  このトラックには、バックする際に音で周囲に注意を促す装置がつけられていたにもかかわらず、運転士が音が出ないようにスイッチを切っていたことが事故の原因と考えられている。  この事故だけでなく、視覚障害者と盲導犬が事故に遭うケースは過去にも多数起きており、その対策が遅れているのが実態である。  2010年1月29日国土交通省は、「ハイブリッド車等の静音性に関する対策」を取りまとめ、その報告書を公表した。また同日、条件を満たした装置を任意で装備できるよう、ガイドラインを設け、自動車メーカー等に周知している。  しかし、ハイブリッドカーや電気自動車に「車両接近通報装置」が付いていたとしても、運転士により意図的にスイッチを切ることができるようになっており、そのことが今回の事故を引き起こしたと言える。  この「車両接近通報装置」は、視覚障害者だけではなく、高齢者や幼児などの交通弱者に対して安全を確保するために決められたものであり、運転する人たちに対し、単独で歩いている視覚障害者、盲導犬利用者、高齢者、幼児などの安全配慮を求めるものである。  更に、一般の国民が車両の「静音対策」に関して、安全性を高めるために、音を出すことが必要であることに理解を求めるものである。  当法人は、以下のことを表明し、今後の「静音対策」が進展することを強く求めていく。

一 すべての自動車に「車両接近通報装置」の搭載をおこなうこと。 一 すべての車両が後ろに進むときや左折する時など音で知らせる安全対策を講ずること。 一 搭載されている「車両接近通報装置」のスイッチが意図的に切れないような構造にすること。 一 法令によって「静音対策」を明確にし、国民の安全を確保すること。 一 安全な走行を高めるため、車両が音を出すことに対して国民全体の理解を深めること。