『大分・熊本は今』日盲連が被災地を訪問(1)

2016年12月22日

【18日】竹下義樹会長・及川清隆副会長、大分へ

 熊本地震の発生から8ヶ月を迎えた12月、日本盲人会連合は18日と19日の2日間にわたり、被災地である大分県・熊本県を訪問しました。

熊本地震における大分県の被災状況~大分県ホームページから一部抜粋~

【写真の説明】JR大分駅前広場に建つ大友宗麟公像

(1) 人的被害(総数 33人)
 ア 重傷(11人) イ 軽傷(22人)

(2) 建物被害(総数 9,262棟)
住家(8,125棟)
 全壊(9棟) 半壊(214棟)
 一部破損(7,902棟)
非住家(1,137棟)
 全壊(25棟) 半壊(37棟)
 一部破損(1,075棟)

その他被害
ア 学校施設
 一部破損(89棟) 幼稚園5棟、小学校30棟、中学校17棟、高等学校23棟、特別支援学校11棟、学校給食施設3棟
イ 社会教育施設
 一部破損(61棟) 県管理6棟、市町村管理55棟
ウ 文化財
 一部破損(37件) 国指定文化財12件、国登録文化財8件、県指定文化財17件

大分県盲人協会 衛藤良憲会長・羽田野廣司副会長・協会関係者と懇談

 初日の18日、大分県盲人協会を訪れた竹下義樹会長・及川清隆副会長を迎えたのは、発災直後に立ち上げられた九州盲人会連合会現地対策本部の本部長を務め、被災状況の調査・当事者支援という重責を担う大分県盲人協会の衛藤良憲会長と、羽田野廣司副会長をはじめとする協会関係者の方々でした。

【写真の説明】懇談会冒頭で挨拶をする衛藤会長(手前)・隣は羽田野副会長

 懇談の席で衛藤会長からは「日本は災害列島。日盲連もその都度募金を行うのではなく、長期にわたって募金をしながら、プールする体制を作った方がいい」と見解が述べられ、竹下会長も応じる形でその重要性を認めました。

【竹下会長3つの提言】

(1)地震・津波・台風など今後も災害が予測されることから、指摘されたような体制づくりが必要
(2)災害・危険を意識した活動を見据えることが必要
(3)教訓として今後に備えることが必要

「陸の孤島」湯布院

 被災者の体験談に続き、衛藤会長は大分県の被災状況を分析した結果として、別府・湯布院が顕著であったことを報告しました。
 どちらも福祉避難所は設けられたものの、とくに湯布院の方は盆地という地理的な条件に加え、観光客数に対し県民の行き来が少ないこと、それゆえに組織に所属していない当事者が多く今回の震災で孤立するケースが目立ったこと、このことを衛藤会長は「陸の孤島」という的確な比喩を用いて今後の課題としました。

他者との繋がりの重要性を確認

 今回の懇談を通して、当事者を繋ぐネットワークとしての組織(当事者団体)の重要性があらためて確認されました。
 また、罹災証明として写真や書類の提出を求められるなど「見える」ことが前提となる行政機関の手続きについては、周囲の目を借りることができるか否か、当事者の置かれた環境によって手続きの困難さが大きく異なることが報告され、これらは依然改善が図られない問題点として出席者間で共有されました。

【その他報告事項】(1)地震保険は基本的に家屋を保証、家財などは契約内容の確認が必要/(2)別府・湯布院は火災の被害はなかった/(3)県全体のライフライン被害は限定的/(4)破損・損壊した写真を役所の担当窓口に提出すると、支援金が即日支給される場合がある他