愛盲時報 第239号(テキストデータ・全文)

2013年7月20日

愛盲時報 第239号 平成25年7月20日(土)

≪1.第66回全国盲人福祉福井大会≫
 社会福祉法人日本盲人会連合(竹下義樹会長)と社会福祉法人福井県視覚障害者福祉協会(小山尊会長)の主催による第66回全国盲人福祉大会が6月21日~23日、福井県あわら市のグランディア芳泉と、同越前市のサンドーム福井を会場に、関係者約1800人が参加して開催された。
 「急げ、東日本大震災からの復興。学べ、被災障害者の体験」「期は熟した。障害者権利条約の批准。作ろう、障害者も安心できる社会を」「守れ、鍼灸マッサージの免許制度」「広げよう、日盲連の仲間。示そう、日盲連の団結力」の4つの大会スローガンのもと、全国の視覚障害者代表が山積する課題について3日間にわたり討議を重ねた。
 *第1日目
 大会初日の21日は、あわら市のグランディア芳泉を会場に、理事会・評議員会、あはき協議会代議員会、スポーツ協議会代表者会議が開かれた。
 理事会では大会の実行計画・運営等を協議。引き続き開かれた評議員会には61名中、58名の評議員が出席。竹下会長は挨拶の中で、開会中の国会で改正障害者雇用促進法と障害者差別解消法が成立したことで、今後これらの法律を裏付けとして、雇用の拡大や差別禁止への取り組みをさらに充実させたいとした。
 評議員会では「災害語り部派遣事業」に関する質問が相次ぎ、日盲連内に開設される「震災ホットライン」の電話番号0120-104955(トーホクゴーゴー)が発表された。平成24年度事業報告案並びに決算報告案は、本部提案通り承認された。
 あはき協議会(小川幹雄協議会長)の代議員会では、平成24年度事業報告並びに決算報告を承認、平成25年度事業計画案、同予算案などが審議された。また、無免許対策については昭和35年の最高裁判決に関連して、医務局長通知をいかに覆すか、学識経験者や弁護士などの協力を得て検討を始めていることが報告されたほか、同行援護において通勤・通学が認められていないことや、ヒューマンアシスタント制度が適用されないなど、視覚障害あはき業者にとって不合理な点が多いので改善してほしい、などの要望が出された。保険取り扱いにおいて必要な医師の同意書については、整形外科だけでなく内科を含む主治医の同意書でも認められるという厚生労働省の見解が報告された。
 スポーツ協議会(大橋博協議会長)の代表者会議では、平成25年度の活動計画として9月にモンゴルへスポーツ交流団を派遣し、ブラインドテニスとサウンドテーブルテニスの講習を行うとともに、モンゴル独自のスポーツについて指導を受けるという交流事業を実施することが承認された。平成24年度事業並びに決算報告については、執行部原案どおり承認され、平成25年度事業計画案、同予算案が審議された。会議にはパラリンピック水泳金メダリストの河合純一氏が参加し、激励の挨拶を行った。
 *第2日目
 大会2日目の22日は、第50回全国盲人代表者会議が、あわら市のグランディア芳泉で開かれた。全体会議では、平成24年度決議処理報告に続いて平成25年度運動方針案を審議、いずれも本部提案通り承認された。引き続き開かれた「生活」「バリアフリー」「職業」の3分科会で、各団体からの提出議案を討議。
 生活分科会では、同行援護事業でのヘルパーの自家用車使用を認め移動時間を利用料に算定すること、入院の際に病院内でのホームヘルプサービスを受けられるようにすること、災害時に福祉施設を避難所とし、障害特性に対応した備品の備蓄をすることなど、多岐にわたる懸案事項が話し合われた。福岡県提出議案の「白杖シグナル運動」も採択された。
 バリアフリー分科会では、安全な移動を保障するためのエスコートゾーン・音響式信号機の設置拡大など、交差点周辺の環境整備が俎上に上った。また、バイクや自転車の運転者に対する啓発活動の必要性や駐車時のバックミラーの収納を徹底させるよう要望が出された。テレビの緊急放送や字幕の音声化、市販薬のパッケージに音声コードをつけて欲しい、など情報バリアの解消に向けた意見もあった。
 職業分科会では、あはき自営業者にも職場介助者制度に準じた支援を行うことや、公的機関にヘルスキーパーなどの採用を求めるといった提案が議題に上った。無資格者対策では、カイロプラクティックを容認する発言に対して反対意見が続出。さらに、再度開かれた全体会議で各分科会報告が行われ、一部修正を経て採択された。
 *第3日目
 最終日の23日は越前市のサンドーム福井を会場に、第66回全国盲人福祉大会の式典並びに議事が盛大に開催された。第1部の式典では小山尊福井県視覚障害者福祉協会会長の観光ガイドを含めた歓迎挨拶、竹下義樹日本盲人会連合会長の主催者挨拶に続いて、日盲連顕彰等受賞者に表彰状、感謝状が贈られた。続いて、田村憲久厚生労働大臣の挨拶を障害保健福祉部の君島淳二自立支援振興室長が代読したのを皮切りに、西川一誠福井県知事や日盲連顧問の衛藤晟一参議院議員など、多数の来賓から祝辞が述べられた。第2部の大会議事では、平成24年度決議処理報告、平成25年度運動方針案を執行部の原案通り全会一致で可決、宣言・決議も全会一致で採択された。
 竹下会長は、福祉の地域間格差の解消、ロービジョン者への支援強化、無免許対策としての昭和35年最高裁判決の再分析、などを今年度の方針として熱く語った。続いて次年度の第67回全国盲人福祉大会開催地団体を代表して大分県盲人協会の衛藤良憲会長が、「シンプルな大会運営を計画している」としながらも、全国の会員に向けて「熱烈歓迎」と参加呼び掛けを行った。最後は万歳三唱で3日間にわたる大会の幕を閉じた。

≪2.大会決議≫
 1.障害を理由とする差別をなくするための新たな法律の制定と障害者の権利に関する条約を早期に批准し、障害者が自己実現を図ることのできる社会となるよう要望する。
 1.障害基礎年金を1級は月額12万円以上に、2級は月額10万円以上に引き上げるとともに、所得制限を大幅に緩和するよう要望する。
 1.視覚障害者同行援護事業における利用者負担を廃止し、個人のニーズに応じた支給量を決定するとともに、ヘルパーの自家用車使用を認めるよう要望する。
 1.介護保険法の優先原則を見直し、65歳以降に福祉サービスを受ける場合も、利用者が介護保険サービスと障害者福祉サービスを選択できるよう要望する。
 1.災害時における視覚障害者の支援体制を確立し、福祉施設を福祉避難所に指定すると共に、障害別に配慮した避難所の設置を行い、一時避難所においても白杖や防災ベストなどの必要な物品を備蓄するよう要望する。
 1.災害時の避難情報等を視覚障害者に迅速かつ的確に伝えるためのシステムづくりと、視覚障害者の避難先での生活・移動・心身のケア等をサポートできる障害者災害福祉専門員の配置等を要望する。
 1.視覚障害者の社会参加と平等を実現するため、情報の点字化、音声化、拡大文字化、テレビ放送の副音声化、利用しやすいIT機器の開発など、情報におけるバリアを解消するための施策を実施することを要望する。
 1.駅ホームにホームドアや可動柵、内方線付誘導用ブロックを設置すると共に、弱視者対策として、階段の段鼻の色づけ、時刻表や電光掲示板などを見やすいように文字サイズ、設置位置、コントラストを工夫するよう要望する。
 1.安全な移動を促進するため、誘導用ブロック・エスコートゾーン・音響式信号機、弱視者対応信号機の設置と、自転車のマナー・ルールの教育とハイブリッド車静音対策の徹底を要望する。
 1.日常生活用具の給付品目の指定に当たっては、国が一定の指針を示すと共に、当事者のニーズに応じた品目を決定するよう要望する。
 1.あん摩・マッサージ・指圧、鍼、灸の定義を明確にすると共に、あはき業の健全な発展を阻害する無資格類似行為者の一掃を要望する。
 1.視覚障害者の雇用拡大のため、介護保険施設の機能訓練指導員や、企業・自治体等の職員に対するメンタルヘルスの向上も目的としたヘルスキーパーを雇用するよう要望する。

≪3.日盲連顕彰等16人と2団体≫
 (敬称略)
 【礎賞(組織功労)】
 柿沼正良、山内文夫(山形県)
 【青い鳥賞】
 奥田千代子(福井県)、田中みゆき(京都府)
 【ブライトスター賞】
 日本盲教育史研究会
 【パイオニア賞】
 大里晃弘(茨城県)、守田稔(大阪府)
 【光の泉賞(内助等功労)】
 島仁美(北海道)、松嶋三好子(さいたま市)、高橋エミ(川崎市)、大谷あさ子(富山県)、田村久子(京都府)、村田衣江(堺市)、前川智子(広島県)、楠本恵子(愛媛県)、坂井ミネ子(佐賀県)、上園京子(鹿児島県)
 【感謝状】社会福祉法人福井県視覚障害者福祉協会(第66回全国盲人福祉大会開催)

≪4.短信≫
 【春の叙勲・褒章】
 *旭日双光章
 岩崎敏彦・兵庫県視覚障害者福祉協会会長(72)
 相吉堯春・元山梨県視覚障害者福祉協会会長(73)
 *旭日単光章
 村上喜太郎・石川県視覚障害者協会理事長(74)
 *黄綬褒章
 浦塚國男・大分県盲人協会元副会長(86)
 *紫綬褒章
 浅川智恵子・日本IBMフェロー(54)
 【新法人移行】(以下は新団体名、北から)
 *公益社団法人移行
 福島県視覚障がい者福祉協会(阿曽幸夫会長) ※団体名変更
 群馬県視覚障害者福祉協会(塚越梅美会長) ※新会長就任
 鳥取県視覚障害者福祉協会(市川正明会長)
 島根県視覚障害者福祉協会(小川幹雄会長)
 *一般社団法人移行
 北海道視覚障害者福祉連合会(森正裕会長) ※団体名変更、新会長就任
 青森県視覚障害者福祉会(佐々木秀勝会長) ※団体名変更
 栃木県視覚障害者福祉協会(須藤平八郎会長)
 岐阜県視覚障害者福祉協会(清水和弘会長)
 大阪市視覚障害者福祉協会(山野一美会長)
 佐賀県視覚障害者団体連合会(森きみ子会長)
 *公益財団法人移行
 宮城県視覚障害者福祉協会(柿沼正良会長)
 徳島県視覚障害者連合会(久米清美会長)
 愛媛県視覚障害者協会(武智幸男会長) ※新会長就任
 *一般財団法人移行
 大阪府視覚障害者福祉協会(井上誠一会長)
 *新会長就任
 社会福祉法人熊本県視覚障がい者福祉協会(新城育子会長)
 公益財団法人宮崎県視覚障害者福祉協会(小島義久会長)
 【訃報】
 一般社団法人神戸市視覚障害者福祉協会の近藤敏郎前会長が5月25日、逝去された。享年81。告別式は5月27日、神戸市長田区の日本基督教団鷹取教会でしめやかに営まれた。喪主は妻の系子さん。

≪5.法律相談のご案内≫
 日盲連顧問弁護士大胡田誠先生の法律相談は毎月1回、東京・西早稲田の日盲福祉センターで。料金は無料です。お電話・お手紙でのご相談も受け付けます。来館・お電話でのご相談は、あらかじめご予約を。お問い合わせは「日盲連事業部」(電話03-3200-1102)まで。

≪6.夏季休館のお知らせ≫
 日本盲人会連合・日盲福祉センターでは8月14日(水)~18日(日)を夏季休業とさせていただきます。利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、何卒ご了承下さい。

≪7.視覚障害者のための震災ホットライン開設≫
 日本盲人会連合では東日本大震災で被災した視覚障害者の心のケアのための震災ホットライン(電話、フリーダイヤル)を設置しました。番号は0120-1049-55(トーホクゴーゴー)。受付時間は月曜日~金曜日、9時~17時(これ以外の時間は留守番電話でお受けします)。設置期間は平成26年2月28日まで。悩みを話すだけでも気持ちが軽くなるかもしれません。震災から2年3か月が経過した今も、日常生活を送る上で困っていること、つらいことなどがあれば、1人で悩まずにお電話下さい。

≪8.福島に「しゃべる線量計」を追加配布≫
 社会福祉法人日本盲人会連合は5月末までに、社団法人福島県盲人協会を通じて、音声読み上げ機能を搭載した「しゃべる線量計」60台の追加配布を行いました。日盲連では東日本大震災発生直後から義援金の募金・配布などの被災者支援を続けていますが、線量計の寄贈もその一環として実施しており、既に本年1月に配布した104台と合わせ、福島県の会員全員に「しゃべる線量計」を贈ることができました。義援金をお寄せ下さった皆様には、改めて心より篤く御礼申し上げます。

≪9.東日本大震災義援金 募金・配布のご報告≫
 平成25年6月19日現在、日本盲人会連合に寄せられた東日本大震災義援金の募金状況は、総計527件、5364万8923円となり、うち5142万4451円を646人と7団体に送らせていただきました。
 義援金をお寄せ下さった皆様には、改めて篤く御礼申し上げます。
 募金は引き続き受け付けております。
 送付方法は下記のいずれかで。
 【郵便振替】口座名:社会福祉法人日本盲人会連合
 口座番号:00170-9-48326
 ※通信欄には「震災義援金」と必ずご記入下さい。
 【銀行振込】銀行名:みずほ銀行
 支店名:高田馬場支店
 預金種類:普通預金
 名義人:(フク)ニホンモウジンカイレンゴウ
 口座番号:2691058
 お問合せは日盲連事務局へ
 (電話03-3200-0011)

≪10.第39回全国盲人文芸大会作品募集≫
 【作品の種類】「短歌」「俳句」「川柳」「随想・随筆」の4部門(自作、未発表の作品に限る)
 【審査員】
 「短歌」佐々木幸綱、池田はるみ、黒岩剛仁
 「俳句」松林尚志、松井国央
 「川柳」西出楓楽、川端六点、夢の家快楽
 「随想・随筆」当山啓、竹村實
 【応募資格】日盲連組織団体会員であること
 【参加料】短歌・俳句・川柳は1部門1,000円
 随想・随筆は1,500円
 2部門以上応募の際は、それぞれ加算
 【応募方法】
 (1)「短歌」「俳句」「川柳」は、1人3首(3句)以内、「随想・随筆」は、点字が1行32マス250行以内、墨字が400字詰原稿用紙10枚以内
 (2)川柳の課題は「三本の矢」と「今でしょ」
 (3)部門ごとに別の用紙を用い、1行目に部門、2行目から住所、氏名(フリガナ)、電話番号、次の行から作品を書く
 (4)固有名詞やまぎらわしい言葉には、点字原稿なら墨字を 書き添えるか注釈を付け、墨字・メールならルビをふる
【送付方法】
 (1)参加料を現金、小為替、切手のいずれかで同封(現金の場合は必ず現金書留封筒を使用する)
 (2)メールの場合は件名を「文芸作品応募」とし、参加料を入金する際、メールで送信することを明記する
【締め切り】
平成25年7月31日(当日消印有効、昨年から締め切りが1か月早くなったので応募はお早めに)
【送付先・問合せ先】
 社会福祉法人 日本盲人会連合 文芸係
 〒169-8664 東京都新宿区西早稲田 2-18-2
 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755
 メール:ariizumi-k@jfb.jp

≪11.日盲連の情報誌ご紹介 点字・音声・インターネットでご利用を≫
 『点字日本』
 毎月発行の点字版情報誌。購読料は1部300円。
 日盲連の活動状況や文化・スポーツ行事のご案内、福祉関係情報などを幅広くご紹介しています。
 ●購読の申し込みは日盲連点字出版所
 電話:03-3200-6157(直通)
 『日盲連アワー』
 毎月発行の録音版情報誌。主な内容は『点字日本』とほぼ同じ。カセットテープ90分1巻、またはデイジーCD1枚に収録。
 ●購入(年6000円)の申し込みは日盲連録音製作所
 電話:03-3200-6172(直通)
 ●貸し出しの申し込みは日盲連点字図書館
 電話:03-3200-6160(直通)
 『日盲連 声のひろば』
 インターネット版音声情報誌。毎月初旬に更新。
 インタビューを中心に毎回楽しい話題をお届けしています。
 ご利用は日盲連ホームページ(http://www.normanet.ne.jp/~nichimo/)の「音声情報コーナー」から。
 ●カセットテープ版・デイジー版の貸し出しは日盲連点字図書館
 電話:03-3200-6160(直通)

≪12.ご寄付のお願いについて≫
 平素より視覚障害者福祉向上のため、ご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、当法人は、昭和23(1948)年の創設以来、戦後の障害者福祉運動の牽引役として諸活動を展開し、今日の障害者福祉制度の基盤確立に尽力しております社会福祉法人です。
 活動内容は、点字・録音図書等の製作・出版・貸し出し、福祉用具の販売、文化・スポーツイベントの開催など多岐にわたっております。このような活動に対して特段のご厚志