愛盲時報 第225号(テキスト形式・全文)

2010年3月25日

 愛盲時報 第225号 平成22年3月25日(木)

 《1.平成22年度厚生労働省障害福祉関係予算案の概要》
 政府は昨年12月25日の閣議で平成22年度予算案を決定した。厚生労働省の障害保健福祉関係予算案は、対前年度伸率12.7%増の1兆1202億円。そのうち障害福祉サービス関係費(自立支援給付プラス地域生活支援事業)は11.8%増の6159億円。障害者雇用施策関係では4.1%増の212億3200万円が計上された。概要は次の通り。
 1 障害保健福祉関係
 1-1.利用者負担の軽減(新規):107億円(障害者自立支援給付費負担金及び児童保護費等負担金の内数)
 新たな総合的な制度ができるまでの間、低所得(市町村民税非課税)の障害者等につき、福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする。
 1-2.障害福祉サービス等による障害者支援の推進
 (1)良質な障害福祉サービスの確保:5719億円
 (2)地域生活支援事業の着実な実施:440億円
 (3)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供:1954億円
 (4)障害福祉サービス提供体制の整備:124億円
 社会福祉施設整備費(保護施設分を含む):100億円
 障害者就労訓練設備等整備事業:24億円
 (5)障害者虐待防止等に関する総合的な施策の推進(新規):4億7000万円
 障害者虐待防止対策支援事業の推進:4億6000万円
 障害者虐待防止・権利擁護に関する人材養成等の推進:300万円
 (6)盲ろう者向け生活訓練等モデル事業(新規):5400万円
 盲ろう者の障害特性に対応した生活訓練等の確立を図るため、宿泊型の生活訓練等のモデル事業を実施する。
 (7)障害者の社会参加の促進:28億円
 (8)障害者自立支援機器等開発の促進(新規):4億3000万円
 障害者の自立や社会参加を支援する支援機器や技術開発の促進を図るため、マーケットが小さ<事業につながらない等ビジネスモデルの確立が困難な機器に対する実用的製品化において、障害者によるモニター評価等を義務付けた取組への助成を行う。
 (9)障害児施設に係る給付費等の確保:710億円
 (10)重症心身障害児(者)に対する在宅支援の推進:31億円
 (11)障害者総合福祉推進事業の創設(新規):5億円
 障害者自立支援法廃止後の新たな総合的な制度の検討、制度施行のために具体的な検討が必要となる課題について、地域における実践的工夫や取組及び実態の把握を行うため、「障害者総合福祉推進事業」を創設する。
 平成21年度第1次補正予算において、都道府県に対する交付金(障害者自立支援対策臨時特例交付金)により基金の積増し(1425億円)を行い、以下の事業を実施する。(平成23年度まで)
 1-3.障害者に対する就労支援の推進:18億円
 (1)「工賃倍増5か年計画」の着実な推進:7億9000万円
 (2)障害者就業・生活支援センター事業の推進:9億6000万円
 1-4.精神医療の質の向上や精神障害者の地域移行を支援する施策の推進47億円
 1-5.発達障害者等支援施策の更なる推進:7億5000万円
 1-6.自殺対策の推進:6億円
 1-7.心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療提供体制の整備の推進:235億円
 1-8.特別児童扶養手当、特別障害者手当等:1367億円
 2 障害者雇用施策関係
 2-1.雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化
 (1)ハローワークを中心とした地域の関係機関との連携による「チーム支援」の推進:6億2200万円
 (2)雇用と福祉の連携による地域に密着した就労支援の実施:38億2000万円
 (3)障害者試行雇用事業の推進:9億9400万円
 2-2.障害特性に応じた支援策の充実・強化
 (1)精神障害者の総合的な雇用支援の実施:13億4300万円
 (2)発達障害者の特性に応じた支援策の充実・強化:4億400万円
 (3)難病のある人の雇用促進のためのモデル事業:1億2500万円
 (4)チャレンジ雇用の推進:2億5600万円
 2-3.障害者雇用納付金制度の対象拡大等に対応した障害者雇用の一層の支援
 (1)障害者初回雇用(ファースト・ステップ)奨励金:7億円
 (2)事業協同組合等雇用促進事業助成金:1500万円
 (3)特例子会社等設立促進助成金:8億2500万円
 2-4.障害者に対する職業能力開発支援の推進
 (1)民間を活用した機動的かつ実践的な職業訓練の推進:18億2400万円
 (2)地域における職業能力開発推進基盤の強化:1億9100万円
 (3)一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進:38億4600万円
 (4)発達障害者に対する職業訓練の推進:1億2700万円

 《2.障がい者制度改革推進会議スタート》
 政府の「障がい者制度改革推進会議」の第1回会合が1月12日、内閣府で開かれた。同会議は、内閣総理大臣を本部長とし、すべての国務大臣で構成する「障がい者制度改革推進本部」の下部組織として、具体的な制度作りを担当する。委員は障害者とその家族・関係者ら14名に有識者を加えた24名とオブザーバー1名で、日本盲人会連合からは竹下義樹副会長がメンバーに加わっている。
 会議冒頭、挨拶した同本部副本部長の福島瑞穂内閣府特命担当大臣は、(1)障害者権利条約批准にむけた障害者基本法の改正(2)障害者自立支援法に代わる障がい者総合福祉法(仮称)(3)障害者差別禁止法制、について今年の夏ごろまでに基本方針をまとめたいとの考えを示した。
 会議は毎月2回程度開催する予定で、内閣府のサイト(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/kaikaku.html)では、その模様を動画で配信するほか、会議資料と議事録並びに議事要録を順次公開している。また、会議の一般傍聴希望者の申し込み受け付けも同サイトで行う。
 一方、「CS放送障害者統一機構」は、同会議の中継を全国の障害者施設などで実施しており、東京では「東京都盲人福祉センター」(東京都新宿区高田馬場1-9-23)の2階・研修室で中継を行っている。
 お聞きになりたい方は、東京都盲人福祉協会(電話03-3208-9001)まで、事前に放送予定をご確認の上、ご来館を。
 交通アクセスは、JR山手線または東京メトロ東西線の「高田馬場駅」から徒歩15分、東京メトロ副都心線「西早稲田駅」から徒歩3分。
 そのほかの主な中継実施施設は次の通り(カッコ内は電話番号)。
 【埼玉県】ふれあいセンター久喜(0480-25-1010)
 【千葉県】八千代市障害者福祉センター(047-487-0050)
 【岐阜県】可児市障がい生活支援センター・ハーモニー(0574-62-5231)
 【愛知県】さくらピア障害者福祉会館(0532-53-3153)、あいトピア総合福祉センター(0532-57-2601)
 【京都府】大山崎町社会福祉協議会(075-957-4100)、京都市障害者スポーツセンター(075-702-3370)
 【大阪府】社会福祉法人コスモス・ほくぶ障害者作業所(072-254-5778)、ビッグ・アイ(072-290-0962)、日本ライトハウス(06-6441-0015)
 【兵庫県】丹南健康福祉センター(079-594-1117)、三田市社会福祉協議会・三田市総合福祉保健センター(079-559-5940)
 【奈良県】三郷町社会福祉協議会(0745-72-5800)
 【岡山県】邑久町公民館(0869-22-3761)
 【広島県】広島県立障害者リハビリテーションセンター・スポーツ交流センター(082-425-1455)
 【山口県】しらさぎ会館(083-922-3666)
 【徳島県】徳島県立障害者交流プラザ(088-631-1400)
 【愛媛県】いきいきプチファーム(0894-29-1313)
 【福岡県】北九州市立ビデオライブラリー(093-645-1216)
 【長崎県】長崎市社会福祉事業団(095-842-2525)

 《3.障がい者制度改革推進法案の概要》
 民主党が今国会での成立を目指している「障がい者制度改革推進法案」の主な項目を以下にご紹介します。全文の点字版をご希望の方は、切手300円分を添えて日盲連点字出版所(〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2、電話03-3200-6157)までお申し込み下さい。
 第1章 総則
 1 目的
 この法律は、障がい者の自立及び社会参加の支援等を一層推進するとともに、障害者の権利に関する条約において締約国が措置をとることとされている事項を達成するために、障がい者に係る制度の抜本的な改革と基盤の整備を行うことが緊要な課題であることにかんがみ、障がい者制度改革について、その基本的な理念及び方針並びに国の責務を定めるとともに、障がい者制度改革推進本部を設置すること等により、これを総合的かつ集中的に推進することを目的とする。
 2 基本理念
 2-1 障がい者に対する給付、手当等の根拠となる制度について、障がい者の自立及び社会参加のために必要な水準の給付、手当等が確保され、障がい者の意思が真に尊重されたものとすること。
 2-2 障がい者の日常生活及び社会生活の基盤について、障がい者の自立及び社会参加のために必要な整備を推進すること。
 2-3 障がい者がその権利を擁護され、かつ、差別を受けないようにすること等、障害者権利条約において締約国が措置をとることとされている事項を達成すること。
 2-4 何らかの障害により自立及び社会参加のために支援を必要とする者を広く施策の対象とするとともに、その者の年齢及び障害の状態に応じて必要な支援を的確に講ずること。
 3 国の責務
 国は、前条に定める基本理念にのっとり、障がい者制度改革を推進する責務を有する。
 第2章 基本方針
 1 障害者権利条約の実施状況の監視等を行う機関
 2 障害を理由とする差別等の禁止に係る制度
 3 障がい者に対する虐待の防止に係る措置
 4 選挙等
 5 司法に係る手続
 6 教育
 7 障がい者が円滑に利用できる製品、施設等の普及等
 8 情報の入手、利用等
 9 雇用等
 10 所得保障
 11 障害福祉サービス等
 12 障がい児の福祉
 13 医療
 14 難病対策
 15 障がい者のための施策に関する予算の確保
 16 障害者権利条約において措置をとることとされているその他の事項
 17 法制上の措置等
 第3章 障がい者制度改革推進計画
 1 政府は、障がい者制度改革に関し講ずべき措置について必要な計画を定めなければならない。
 2 内閣総理大臣は、障がい者制度改革推進計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。また、閣議の決定があったときは、遅滞なく公表しなければならない。
 第4章 障がい者制度改革推進本部
 1 設置
 障がい者制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、内閣に、障がい者制度改革推進本部を置く。
 2 所掌事務
 障がい者制度改革の推進に関する総合調整に関すること。障がい者制度改革推進計画の案の作成及び実施の推進に関すること。障がい者制度改革の総合的かつ集中的な推進のために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
 3 組織
 本部の長は、障がい者制度改革推進本部長とし、内閣総理大臣をもって充てる。障がい者制度改革推進副本部長を置き、国務大臣をもって充てる。障がい者制度改革推進本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。
 4 障がい者制度改革推進委員会
 4-1 本部に、障がい者制度改革推進委員会を置き、障がい者制度改革推進計画の案に関し、本部長に意見を述べること。
 4-2 そのほか、障がい者制度改革に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
 4-3 委員会は、委員20人以内で組織する。
 4-4 委員は、障がい者、障がい者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 4-5 委員は、非常勤とする。
 5 資料の提出その他の協力
 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人等の長並びに特殊法人の代表者に対して、資料の提出その他、必要な協力を求めることができる。
 6 本部の事務
 本部に関する事務は、内閣府において処理する。
 7 設置期限
 本部は、その設置の日から起算して5年を経過する日まで置かれるものとする。

 《4.お知らせ》
ジパング倶楽部特別会員年会費増額
 JRが、高齢者を対象に各種サービスを提供する会員組織「ジパング倶楽部」の、身体障害者を対象にした特別会員制度の年会費が、平成22年4月1日申し込み分から、現行の1010円から1300円に増額されます。詳しくは「日本盲人会連合・ジパング係」(電話03-3200-0011)まで、お問い合わせ下さい。

 《5.第63回全国盲人福祉大会米どころ秋田で開催》
 主催:社会福祉法人日本盲人会連合
 社団法人秋田県視覚障害者福祉協会
 会期:5月19日(水)~21日(金)
 主な日程と会場
 【第1日目】5月19日(水) 秋田ビューホテル
 ・理事会
 ・評議員会
 ・あはき協議会代議員会
 ・スポーツ協議会代表者会議
 【第2日目】5月20日(木) 秋田ビューホテル
 ・第47回全国盲人代表者会議
 【第3日目】5月21日(金)秋田県民会館大ホール
 ・第63回全国盲人福祉大会式典並びに議事
 主管団体事務局
 社団法人秋田県視覚障害者福祉協会
 〒010-0922 秋田県秋田市旭北栄町1-5
 秋田県社会福祉会館内
 電話:018-864-2783
 FAX:018-864-2785
 Eメール:akisikyou@mub.biglobe.ne.jp