愛盲時報 第216号(テキスト形式・全文)

2008年1月28日

愛盲時報 第216号
 平成20年1月28日(月)発行

 《1.新春対談2008 舛添厚生労働大臣と笹川日盲連会長》
 笹川:新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 大臣:おめでとうございます。こちらこそよろしくお願い
いたします。
 [障害者自立支援法の見直しについて]
笹川:まず最初に、全国の障害者が舛添先生が厚生労働大臣になられたということで、大変ご活躍期待しております。何か先が明るくなったような、そんな感じでございますけど、まず大臣の抱負をお聞かせ頂きたいと思います。
 大臣:本当にありがとうございます。私も国会議員になって以来ずっと、障害者の皆様との連携を深めながら、一国会議員としてがんばってまいりました。そして私の原点が、障害を持たれた方が健常者と同じように、この日本の中で生き生きと生活をし、仕事をし、人生を過ごしていくということにありますので、この原点を忘れること無く、がんばりたいと思います。まさか、厚生労働大臣になるとは思ってなかったので、年金の問題があったり、C型肝炎の問題があったり、医療体制の整備の問題があったりと、とまどうことばかりで慣れませんが、全力を挙げてがんばっており、障害者の皆さん方の、この施策についても全力を挙げますので、みんなで力を合わせてやりたいということを、新年の抱負として申し上げたいと思います。
 笹川:ありがとうございます。今私ども障害者が抱えている最大の問題は、一昨年の4月から施行されました、いわゆる障害者自立支援法でございますけれども、このことにつきましては臨時国会で与野党を問わず見直しとか改正とか、かなり声が上がってきておりますが、その辺をどのようにお考えでしょうか。
 大臣:母親を介護していた時に私が常に思っていたのは、北欧諸国などでノーマライゼーション、つまり障害を持っていても健常者と同じように、先ほど申し上げたそういう理念を生かしたいと思っておりますので、障害のある方も就労して、そして健常者と同じように頑張っていただくというのが理想なので、そういう理念というのは私は貫きたい。そういう意味でも、障害のある方が地域で安心して暮らせるようにするために、障害者福祉サービスの質も量も上げていこうという法の理念は、しっかり守っていきたいと思います。しかし本法の改革が、これまでにない大きなものであり、さまざまなご意見が存在しましたので、1200億円の3年間の暫定措置と言うことで、激変緩和的なことを入れました。今後は、今会長さんがおっしゃったように、12月7日に与党の障害者自立支援に関するプロジェクトチームが、この報告書をまとめてくれまして、この中で5つの視点と9つの分野に渡って、いろんな基本的な考えや方向性をお示しいただいたので、これを踏まえ、いろんな緊急措置を実施したいと思っています。理念は理念として、現実的、具体的な対応をするというのが、今の立場でございます。
 笹川:特に視覚障害者の場合ですけれども、いろいろ問題がございまして、例えば視覚障害者の就業率というのが、これは6年前の資料ですけれども、23%というような大変低い数字です。それから70歳以上が51.5%ということで、非常に視覚障害者の高齢化が進んでいます。従って年金生活者が非常に多いわけですけれども、今回の障害者自立支援法では、費用負担がかなり重荷になっておりまして、せめてその年金生活している方々ぐらいは費用負担がゼロにしてもらえないかという要望が、全国から寄せられております。それから支給量も、これも必ずしも必要な量だけは提供されておりませんし、それからその基礎になる障害程度区分というのもかなり視覚障害者には不利な内容で非常に低く障害が評価されている。この点は私ども、だいぶ担当の方へ働き掛けをしまして、今見直しが進められておりますけれども、その説明によりますと、まだ1年以上見直しに掛かると。そうなりますとその間、どうするかということがまた問題で、何とか特例か何か設けていただければありがたいなと思っております。
 大臣:今会長さんおっしゃったように、私も5年前の選挙の時、網膜剥離をやりましたから、私は助かったんですけど。糖尿病による網膜剥離などで後から目が不自由になると、なかなか大変だと聞いております。だから非常に身近に感じ、お気持ちがわかります。それで例の年金の問題を今お話になりましたけれども、サービスの利用に係る費用については、国の費用負担を義務化して、地方負担を含めて9割以上を公費で負担するとともに、利用者にもこれは本当に申し訳ないんですけど、所得に応じて最大限で1割まで負担をお願いしたいということを申し上げてきたわけです。ただし、ひと月当たりの負担額に上限を設定するとともに、上限の設定に当たっては所得に応じたきめ細かい軽減措置を講じているところですし、昨年の4月から特別対策で、さらに負担軽減措置を講じたことにより、今大体、平均的な負担率は4ないし5%というところであります。それから先ほど申し上げた与党のプロジェクトチームの報告書では、緊急に措置すべき事項として「低所得者層の居宅・通所サービスなど、利用者負担については、一層の激変緩和を図るため、更に軽減」とされているところですので、これを踏まえて、具体的に対応したいと思います。
 (注:インタビュー時点では、具体的な対応策が固まっていなかったが、その後の平成20年度予算編成を経て、低所得層の居宅・通所サービスに係る利用者負担の上限額については、緊急措置として現行(特別対策後)の上限額の半分程度に更に引き下げられることとなった。)
 それから、先ほどの介護認定基準の問題は、いわゆる介護認定基準の79項目に加えまして、視覚障害者の方の特性を反映するように、交通手段の利用、買い物、掃除や調理などの日常生活面に関する7項目、さらに文字の視覚的認識に関する1項目を含めて、27項目を追加しているわけですけれども、この自立支援法ではホームヘルプサービスなどの介護給付の他に、障害程度区分に関わらず、自立訓練など給付および移動支援などの地域生活支援事業についても、利用することが可能であるので、これらを上手に組み合わせていただいて、サービス利用いただければと思います。今ご指摘いただいた点も踏まえまして、さらにより良くできるか、そして具体的な方向性を検討していきたいと思いますし、早急にやれということでございますので、頑張って検討してみたいと思います。
 笹川:地域格差の問題、特に視覚障害者が利用する移動支援ですとか、コミュニケーション支援、日常生活用具の給付、こういったものが全て各自治体の判断に任されています。結果的には自治体の首長の判断でやるものですから、これが地域格差を生ずる原因になっているんですね。やはり全国どこにいても同じサービスが受けられるというのが基本なはずですから、この辺もう少し、自治体に任せているからということではなく、厚生労働省として何か指針なり基準なり、何かそういったものを設けていただけないかと思うんですけども、この点いかがでしょうか。
 大臣:いわゆる地域生活の支援事業ということをやっており、国は基本的に、これまでやりなさいということは決めてますが、そこから先の自由裁量の部分に市町村に、どこまで地元の人たちが口出しできるか。介護保険の時に思ったのは、今までは地方自治、地方自治って言いながら、何もかも国が口を出す、手を出す、金出すでした。これではいけないということです。介護や皆さん方の地域の生活支援などは、例えば私の母親は、北九州にいてもう亡くなりましたが、東京のヘルパーさんが九州まで通うわけには行かないので、息子である私が東京にいようと、介護してくれる方は北九州の方で、そういうものを含めて地方自治だなあって感じがしてまして、ここで市長さんたち町長さんたちが競争して、私の町の方がこんだけ素晴らしいという、こういう競争してもらった方がいいなあって思いも片一方ではあります。かといって基本的に必要なこと、それを市町村がさぼったりするようなことがあれば、これはきちんと指導しようと思っております。これからは本当に地域の生活支援、そういう地域の自立ですから、そういう面もあるということをご理解賜りたい。しかし、皆さんが本当にお困りになって、ここの市町村のやり方は話にならんということであれば、きちんと指導をいたしたいと思っております。
 笹川:はい、是非そのように。なかなかこれまで直接やってなかったということもあって、各自治体がかなり戸惑ってる感じがあるんですね。ですからそういうときには、是非ひと声掛けていただければですね。
 大臣:頑張ってやりたいと思います。
 [障害者基本計画後期5か年の取り組みについて]
 笹川:障害者基本計画前期が、この19年度で終わりまして、20年度から後期5か年計画になっていくんですけれども、その中身はやはり障害者自立支援法とかなり重なる部分がありますね、生活支援だとか就労雇用とかですね。はっきり言いまして前期では、我々障害者としてはそれほど計画通りいってないという認識なんですが、政府の方はもう非常に良くいっているということになってまして、後期もかなり不安があります。で、特にあの地域生活の場合に必要な、いろいろなサービスについては、障害者自立支援法との関わりがありますので、その辺もう少しきめ細かく、例えば年次計画を立てて対応するとか、その辺是非ひとつ大臣のお力を、対応していただければ大変ありがたいと思います。
 大臣:後期のこの5か年計画については皆さん方の声が反映されないといけないので、内閣府も色々ヒアリングをした上で19年12月に決められたわけですが、この計画にはその数値目標を盛り込むことをやっております。ちょうど今私は年金で苦労しておりますが、困難な問題があれば、あるということを定期的に国民にお知らせするということが必要です。この計画ではその進捗状況を1年に1遍、確認することになっておりますが、その際に、是非会長さんからもご指摘いただいて、少し正確に進捗状況の確認を進めてみて、それで5か年計画ですけれども、きめ細かく見直すというようなことは考えたいと思います。
 [視覚障害者の就労問題について]
 笹川:これはもう視覚障害者にとって本当に厳しいんですけれども、我が国の場合は伝統的な、はり・きゅう・マッサージという、大変ありがたい職業がありまして、多くの視覚障害者がはり・きゅう・マッサージで自立をしております。ところがやはり健常者の進出が非常に、年々活発でして。平成18年度の衛生行政業務報告を見ますと、大体例えば、あん摩マッサージ指圧師の場合、視覚障害者が全体の25.2%、4人のうち1人しか、視覚障害者がいないという状況です。従って競争となりますと、技術が基本ではあるけれども、例えば移動の問題、カルテの処理とかありますので、年々厳しい状況に追い込まれております。それからこれは医政局の問題になるんですけれども、無資格者がやたらと増えてまして、もうこれが全く今のところ野放し状態なんですね。そういう点で本当に働く場が年々狭められてきている。最近もしきりにIT、ITと言われますけども、なかなかコンピュータ技術を習得しても、一般企業で働くということが大変厳しい状況にあります。それ以外の職種というのも、ほとんどないもんですから、働きたくても働く場が無い、これが実態なんですね。その点は他の障害者に比べると非常に条件的に悪いんですね。何とか働く場の確保ということを、私どもも毎年陳情にも行き、色々お願いしてますけれども。是非ひとつ厚生労働省として、例えば介護施設の機能訓練指導員というのがありますね。これなどは法律的に難しいかもしれませんけども、優先採用という、そういう何らかの道をつけていただければ大変ありがたいんですけれども。
 大臣:今の点は、通所介護や特養、障害者自立支援法の生活介護などに配置される機能訓練指導員については、あん摩マッサージ指圧師の方々は、そこに含まれてますから、それはまたちょっと考えてみます。それから確かに会長さんおっしゃったように、私もいろんなところを旅行したりすると、母親の介護をして腰痛の持病があって今もちょっと足を引きずるようなとこがあるんで、あん摩マッサージをお願いするんですが、前は結構視覚障害者の方がおられた。ところがそう言われてみると、この1、2年、健常者の方がほとんどですね。随分、比率が下がってるんですね。
 笹川:それと無資格者が多いんですね。ホテルでも旅館でも、きちっと管理ができないもんですから、結構無資格者が入り込んでるんですね。
 大臣:私なんか当たり外れがあって、あ、この人うまいなと思う人が来たり、力任せにやるだけで、かえって腰痛くなったりしてね、もうそんなこともありました。それでまあその障害者自立支援法で就労移行支援事業とか就労継続支援事業を作りましたから、これも活用させたいと思います。それから就労移行支援事業で、今無資格とおっしゃいましたけれど、あん摩マッサージ指圧師、はり師などの資格習得の訓練もここでやっておりますし、それからハローワークも、もう少し視覚障害者に対して、きちんと的確に支援できるようにということも、指導強化しております。それから11月には眼科医に対して、視覚障害者の雇用のために理解して欲しいポイントをまとめたリーフレットを作りまして、周知徹底させるといったことをやっております。このような取り組みを、引き続き推進してまいりたいと思います。
 笹川:是非ひとつよろしくお願いします。11月に静岡で第7回国際アビリンピックがありましたね。それで大臣が、金メダルのプレゼンテーターなさってましたね。あれ競技種目が30種目あったんですね。ですけれども視覚障害者の参加者は少ないんですよ。
 大臣:今大会で、職業技能競技と生活余暇競技に参加した海外の選手280名中、視覚障害者は14名、日本選手では80名中、視覚障害者は1名のみだったそうですね。
 笹川:国内の障害者職業技能競技大会では、視覚障害者を対象に、パソコン操作という競技種目をやってるんですけど、国際競技大会となるとなかなかできないんですね。それほどやっぱり各国とも視覚障害者の職業っていうのは、非常に問題が多いというか解決困難な課題なんですね。
 大臣:国内大会では視覚障害者向けの支援機器を使って、ホームページ作成やデータベース作成などの競技種目にも参加している人がいると聞いています。会長さん、この前私も見に行きましたけど、視覚障害者の方は非常に頑張っておられるんで、例えばその競技種目として考えられるものとして、こういうものなら国際的に参加選手も集まって、競技できるというものが何かありますか。
 笹川:いやそれがなかなか無いんですよね。
 大臣:あれは職業との絡みがありますからね。ただのゲームじゃないわけですからね。
 笹川:そうなんですよね。ですから私ども今度、デモンストレーションで手芸品の展示なんか、やらせていただいたんですけどね、趣味的にやることは結構皆さん、編み物なんか見事なのを女性の方々編んでおられる。ただ競技となると、なかなかできないんですね。限られた時間で限られた形のものを、なんていうことになりますとね、なかなかできませんのでね。
 大臣:アビリンピックに視覚障害者の方が参加しやすい競技があれば、大変、励みになりますから。省としても何かそういうものができるかどうか検討させていただきますけれども、またお知恵があれば拝借したいと思います。
 笹川:是非、よろしくお願いいたします。
 [視覚障害者の所得保障について]
 笹川:一番最後になりましたけども、いわゆる所得保障の問題ですけれど、これは障害者自立支援法が制定された時に、既に附帯決議で3年以内にということになっております。やっぱり基本的には、障害基礎年金の引き上げということになろうかと思うんですけども、幸い昨年の12月に、与党から出されました見直し案の中に、この問題が出ておりまして、これが解決するだけでも、どれだけ障害者の皆さん助かるか分かりません。是非ひとつこの辺もご検討いただいて解決していただきたいと思います。
 大臣:やっぱりその工賃の引き上げが非常に助かるわけですね。これを積極的にやりたいということで、まず障害者自立支援で、先ほど申し上げましたように、一般就労への移行ができるといいんですよね。それがただ障害の種類にもよりけりですが、現在、工賃倍増5か年計画ということで、なるべく福祉的就労の底上げをするという取り組みをやっております。それから12月7日に与党プロジェクトチームがまとめた報告書では、今おっしゃったような障害基礎年金の引き上げとか、住宅手当の創設についても言及しておりますので、これを踏まえ、幅広く検討を行ってまいりたいと思います。是非連携して、障害者の皆さん方のお力になれるように、大臣としても頑張ってやりたいと思います。ひとついい見本にするために、一緒に協力してまいりたいと思います。
 笹川:ご活躍期待しておりますので、よろしくお願いいたします。どうも本日はありがとうございました。
 大臣:今日は本当にありがとうございました。

 《2.謹賀新年2008年》
 ・年頭のご挨拶 会長 笹川吉彦
 新年明けましておめでとうございます。
 会員の皆様には、お元気で平成20年の初春をお迎えのことと、心からお慶び申し上げます。本年も皆様のご指導、ご支援の下、障害者福祉増進のため全力を尽くして参りますので、よろしくお願い致します。
 本年は本連合にとりまして、新たな一歩を踏み出す極めて重要な年となります。皆様ご承知の通り、新しい日本盲人福祉センターが4月末には落成いたします。そして結成60周年という大きな節目の年にもあたります。戦後のあの混乱の中、いち早く立ち上がり、本連合を立ち上げられた先人の方々の決意に対し、心から敬意と感謝の意を表する次第です。
 新センター建設という大事業は、皆様方はじめ関係各方面の方々の温かい、しかも力強いご支援によるものでして、ただただ感謝のほかはございません。もちろん故村谷昌弘名誉会長の多大なご尽力があったからこそ、用地を良い条件で入手することができました。さらに現在地の売却にあたっても「社会貢献」をモットーに業の発展を目指す株式会社エフ・イー・シーが、破格の値段で買い取ってくださいました。「幸運に恵まれた」というほかありません。
 その仲介をして下さったK氏は、現在地の地続きにお住まいの方です。私とは思いがけないご縁のある方です。と申しますのは、私の通勤路に小学校があり、毎朝多くのお子さんと行き交うのですが、7年前の4月、ぴかぴかの1年生を含めたグループとすれ違った折、「あっ、いつものおじさんだ」というささやきが聞こえました。私が即座に「おはよう」と声を掛けると「おはようございます」という返事が返ってきました。それ以来、毎朝挨拶を交わすようになり、そのことを小学校の校長先生にお伝えしたところ、朝礼の折に取り上げて大変褒められたとのことでした。
 もちろんそのお子さんたちは、もう中学生になっていますが、その習慣は今も引き継がれ、毎朝挨拶を交わしていますが、最初に挨拶を交わしたお子さんがK氏のお孫さんだったのです。売買の折にお会いした時にその話が出て、お互いに納得しあったことでした。いろいろな面で、センター建設にあたっては幸運に恵まれたように思います。
 新センターの落成を記念し、結成60周年を祝う第61回全国盲人福祉大会は、6月9日から3日間、東京で開催されます。新しい門出となる同大会に、皆様こぞってご参加の上、大いに大会を盛り上げて下さい。
 年頭にあたり、皆様のご健康とご繁栄を心からご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。

 ・新春のご挨拶 副会長 竹下義樹
 あけましておめでとうございます。
 2008年がみなさまにとって、そして日盲連にとって実り多き年であることを祈念申し上げます。
 今年は、障害者団体が一丸となって、障害者権利条約の批准と障害者差別禁止法の制定に向けて全力を尽くさなければなりません。また、障害者自立支援法が真に障害者の自立した地域生活を保障する内実を持つ法律となるよう改正運動にも取り組まなければなりません。
 日盲連は、今年結成60周年を迎えます。60年の歴史は視覚障害者の自立と社会参加を実現させる歩みでした。本年6月に東京で開催される第61回大会を契機に、次の節目となる70周年に向けてどのような役割を担い、歴史を積み重ねていくかが問われることになります。
 日盲連がわが国の約30万人といわれる視覚障害者の利益を代表し、基本的人権としての働く権利や社会参加の権利を実現させ、保障するためになすべき課題は山積しています。みなさんの英知を結集し、一丸となって取り組む1年にしたいと思います。本年もよろしくお願い致します。

 ・新年のご挨拶 副会長 時任基清
 日盲連会員の皆様、関係者の皆様、新年明けましておめでとうございます。
 今年は暦の上では戊子の年、一白水星の年とのことですが、果してどんな年になるのでしょうか?
 我が日盲連は内外の皆様の大きなご協力により新館建設に成功し、一層の発展を目指す訳ですが、私ども役・職員こぞって一層の努力を続ける覚悟であります。皆様の倍旧のご支援をお願いして止みません。
 国は消費税を「福祉目的税」化するとし、増率を考えております。しかし、実際に国や公共団体から日盲連が受ける委託料、補助金等は年々減額されており、運営は困難を増しております。米国のように「社会事業は皆の寄付金で支える」という土壌ができているところはともかく、我国の状況はこれには程遠い実態と言わざるを得ません。関係者の皆様には、一層大きな関心を持って日盲連を見守って頂きたいと存じます。
今年も日盲連を宜しくとお願いして年頭のご挨拶と致します。

 ・年頭のご挨拶 副会長前川昭夫
 皆様、新年明けましておめでとうございます。平成20年、日盲連結成60周年の節目の年が幕明けです。
 昨年9月28日、わが国は国連の障害者権利条約に署名しました。国内法を整備して1日も早く批准されるよう求めると共に、各県・各市町村においても障害者差別禁止法が条例化されるよう、障害当事者として運動を推進する必要があると思います。
新日盲福祉センターも、昨年7月27日の起工式を経て工事は順調に進行し、今年5月には落成の予定です。6月に東京で開催される結成60周年記念大会には一人でも多くの皆様にご参加いただくと共に、ぜひ新センターをごらん頂きたいと考えています。
 障害者自立支援法は施行後1年半が経過しましたが、次から次へと問題が表面化し、今年はどげんかせんといかんようです。昨年12月7日、与党プロジェクトチームが抜本的見直しを提出し、野党も大幅見直しを求めています。昨年7月には新バリアフリー法施行に伴い、推進に向けた統一基準が国土交通省から出され、雇用率未達成についても勧告など指導が強化されるようです。また、消費税の引き上げ材料になるのではと思いますが、社会保障費の中核財源として使用目的を明確にし、自立支援法見直しと併せ、障害基礎年金引き上げもあるかのような文書も出ています。
 このように世論が盛り上がっている状況に鑑み、日盲連も大同団結、総力を上げて運動する必要があります。去る11月30日の移動支援連絡協議会立ち上げも重要な問題であり、成果を挙げることが期待されています。
 教育、就労(職業訓練)、バリアフリー、コミュニケーション(専用放送)、人権や障害補償などについても、専門的協議を深める部会、もしくは協議会を設置し、運動をより強固に、また大きな成果に繋げていかなければなりません。私も障害者運動に関わって38年、ほとんど成果といえるような仕事はしていませんが、及ばずながら地道な努力をしてまいりたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 《3.平成20年度障害福祉関係予算案 支援法見直しに向け緊急措置》
 政府は昨年12月24日の閣議で平成20年度予算案を決定した。
 厚生労働省の障害福祉関係予算(案)は対前年度伸率6.7%増の9700億円。障害者雇用施策関係では167億8000万円を計上。
 また「障害者自立支援法の抜本的見直しに向けた緊急措置」として130億円が計上されている。
 障害者関連の主な項目と予算額は次の通り。
 1 障害者自立支援法の抜本的見直しに向けた緊急措置
 「特別対策」で造成した基金の活用を含め満年度ベースで310億円(平成20年度予算案130億円)
 1-1.利用者負担の見直し(20年7月実施):70億円(満年度ベースで100億円)
 (1)低所得世帯を中心とした利用者負担の軽減(障害者・障害児)
 (2)軽減対象となる課税世帯の範囲の拡大(障害児)
 (3)個人単位を基本とした所得段階区分への見直し(障害者)
 1-2.事業者の経営基盤の強化(20年4月実施):30億円
(「特別対策」の基金の活用を含め180億円)
 1-3.グループホーム等の整備促進(20年度実施):30億円(グループホーム等の施設整備費に対する助成)
 2 障害保健福祉関係
 2-1.障害者の自立生活を支援するための施策の推進
 (1)良質な障害福祉サービスの確保:4945億円
 (2)障害児施設に係る給付費等の確保:642億円
 (3)地域生活支援事業の着実な実施:400億円
 市町村事業:相談支援、コミュニケーション支援、日常生活用具給付等、移動支援、地域活動支援センター等
 都道府県事業:専門性の高い相談支援、広域的支援、サービス提供者等の育成等
 (4)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供:1414億円
 (5)障害者自立支援法の着実な施行の推進:85億円(うち障害者保健福祉推進事業:25億円、障害者就労訓練設備等整備事業:30億円)
 (6)障害者の社会参加の促進:28億円(うち北京パラリンピック競技大会派遣等事業の実施:8300万円)
 2-2.障害者の就労を支援するための施策の推進
 福祉施設で働く障害者の工賃倍増5か年計画取り組みの推進:16億円
 ※障害者の「働く場」に対する発注促進税制の創設(平成20年度から24年度までの時限措置)
 2-3.その他
 (1)障害福祉サービス提供体制の整備:142億円(社会福祉施設整備費:112億円、障害者就労訓練設備等整備事業:30億円)
 (2)障害者に係る手当の給付:1286億円
 3 障害者雇用施策関係 (カッコ内の金額は前年度額)
 3-1.雇用、福祉、教育等の連携による地域の就労支援力の強化
 (1)ハローワークを中心とした、地域の関係機関との連携によるチーム支援「地域障害者就労支援事業」の強化等:6億3800万円(1億2900万円)
 (2)障害者就業・生活支援センター事業の拡充、設置か所数135を205に:25億900万円(12億4200万円)
 (3)障害者の就労支援を担う人材の育成・確保のあり方に関する調査研究(新規):1100万円
 (4)障害求職者と企業とのマッチング支援ツールの整備(新規):障害者雇用納付金事業
 (5)障害者トライアル雇用事業の拡充、対象者数8000人を9500人に:10億7200万円(9億200万円)
 3-2.障害者雇用促進法制の整備
 障害者雇用促進法制の整備(新規):1800万円
 3-3.障害者雇用の底上げのための関係者の意識改革
 (1)障害者雇用の底上げのための意識改革・支援ネットワーク形成推進事業(新規):2億3400万円
 (2)地域の事業主団体を活用した「障害者雇用に関する意識改革促進事業」の推進(新規):7200万円
 3-4.障害の特性に応じた支援策の充実・強化
 (1)「精神障害者ステップアップ雇用奨励金(仮称)」の創設等、
精神障害者の特性に応じた支援策の充実・強化(新規):2億9000万円
 (2)発達障害者の就労支援者育成事業の推進:1200万円(1300万円)
 3-5.障害者に対する職業能力開発の推進
 (1)民間を活用した機動的かつ実践的な職業訓練の推進、対象者数6600人を8150人に:18億円(14億8700万円)
 (2)政令指定都市における職業能力開発推進基盤の強化、実施か所数6か所を17か所に:2億1700万円(5500万円)
 (3)一般校を含めた公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進:40億2300万円(42億8700万円)

 《4.日盲福祉センター建設2億円募金》
 ご寄付いただいた方々のお名前(平成19年8月21日~同12月20日)
 12月20日現在 総額1億4022万3995円
 (敬称略)
 *会員及び一般個人・団体
 【347万円】故坂巻鈴枝(東京都)
 【200万円】河田満(東京都)
 【100万円】木村廣介(静岡県)
 【50万円】山形県視覚障害者福祉協会(山形県)、茂木幹央(埼玉県)
 【45万円】工房輪主宰齊木丘菫(川崎市)
 【21万円】高柳周子(東京都)
 【14万8400円】日盲連女性協栃木県大会募金箱
 【10万円】出井弘八、後藤久子、高山ノリ子、三好信一、渡辺哲宏(以上東京都)、馬場弘(宮崎県)、日盲連音楽家協議会会長富田清邦
 【6万2000円】長野県視覚障害者福祉協会(長野県)
 【5万7240円】笹川吉彦(東京都)
 【5万円】橋本フサ子(東京都)、座間市視覚障害誘導グループ(神奈川県)
 【3万6701円】全道視力障害者福祉研修大会募金箱(北海道)
 【3万2000円】府中市視覚障害者福祉協会有志(広島県)
 【3万円】藤井貢(広島県)
 【2万6000円】川崎市視力障害者福祉協会・相互激励大会募金(川崎市)
 【2万4300円】新宿区視力障害者協会協同治療所(東京都)
 【2万円】明内孝吉(岩手県)、大城俊治、高山宏明(以上東京都)、起塚英昭(岡山県)、佐竹訓幸(広島県)
 【1万7455円】京都府視覚障害者協会綾部支部(京都府)
 【1万6000円】野田一郎(東京都)
 【1万5000円】桑野秀子、桑野佑平(以上兵庫県)、安田和正(山口県)
 【1万円】氏家フサ、高橋光子(以上北海道)、佐藤勇助(青森県)、小島伸公(岩手県)、NTT東京福祉文化事業団ゆいの会、大竹博、木村久子、佐藤朋子、鈴木安之・一枝、東山文夫(以上東京都)、間野幹夫(千葉市)、横浜市南区視覚障害者福祉協会(横浜市)、長沼晃(川崎市)、佐藤憲正(愛知県)、川渕俊和、橘髙則行、溝手秀利(以上広島県)、永尾博雄(広島市)、谷本団四郎(徳島県)、金丸良子(長崎県)
 【5570円】千葉県視覚障害者協会千葉県福祉大会有志(千葉県)
 【5000円】藤野侑子、渕脇都紀子(以上北海道)、今真吾(青森県)、石野清、藤原順子、望月廉一(以上東京都)、藤井恵之助(千葉県)、広瀬清敏(山梨県)、齋藤春二(新潟県)、市川誠、林順子、山崎勇治(以上長野県)、後藤博(名古屋市)、中川小夜子、山越久子(以上三重県)、井之上勝義、北村隆(以上兵庫県)、岡田恵美子、茅本勝利、下江真、渡辺清恵(以上広島県)、村岡正(山口県)、平山敏郎(佐賀県)、森川フジヨ(熊本県)
 【その他】計1万7360円/6件
 *経済界
 セコム株式会社、社団法人日本自動車工業会、富士電機ホールディングス株式会社、松下電器産業株式会社

 《5.第33回全国盲人文芸大会 入選者発表》
 平成19年に開催された日本盲人会連合主催第33回全国盲人文芸大会には、全国から短歌42人(121首)、俳句60人(180句)、川柳50人(149句)、随想・随筆6人(6編)のご応募をいただき、厳正な審査の結果、各部門の入選作品が決まりました。
 審査員の先生並びに入選者の方々のお名前は次の通りです(敬称略)。
 【短歌の部】 審査員:佐佐木幸綱
 1位(厚生労働大臣賞)・安蒜啓子(神戸市)/2位・葛西全(札幌市)/3位・結城頼子(山形県)
 【俳句の部】 審査員:松林尚志、高島征夫、松井国央
 1位(文部科学大臣奨励賞)・鈴木武司(宮城県)/2位・佐藤仁(東京都)/3位・錦戸一則(熊本県)
 【川柳の部】 審査員:金子蛙次郎、福田案山子
 1位(NHK会長賞)・大久栄悦(宮城県)/2位・井岡栄(千葉県)/3位・森錠次(長野県)
 【随想・随筆の部】 審査員:高橋秀治、竹村實
 1位・澤瀬正子(千葉県)「勇気ある夫に乾杯」/2位・古賀副武(兵庫県)「日々わくわくと一歩を重ねて百日百歩、千日千歩のあとの夢は」/3位・坂戸敏明(香川県)「頭の体操」