愛盲時報 第198号(テキスト形式・全文)

2003年9月15日

   愛盲時報 第198号(平成15年9月15日)

 1.平成16年度厚労省概算要求 支援費制度充実へ 総額で7%
増 IT活用で新規事業
 厚生労働省は8月27日、平成16年度政府予算に対する概算要求
をまとめた。障害保健福祉関係予算は7128億1300万円の対前
年比7.0%増で、「新障害者基本計画」の前期5年間の「重点施策
実施5か年計画」(新障害者プラン)に基づく地域における自立の支
援、住まいや働く場の確保等と共に、支援費制度の着実な実施を目指
す。
 障害者雇用施策関係では、重度障害者の職業的自立支援のための施
策を充実、ITを活用した新規事業などで雇用機会の拡大を図る。
 (身体障害者関連の主な事項は次の通り)
 【障害保健福祉施策関係】
 Ⅰ 重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の推進(1472
億円)
 1、在宅サービスの推進
 (1)訪問介護(ホームヘルプサービス)事業(身体・知的・精神)
291億1300万円→341億7400万円
 (2)短期入所(ショートステイ)事業(身体・知的・精神)46
億千400万円→50億4900万円
 (3)日帰り介護(デイサービス)事業130億2400万円→1
48億3600万円
 (ア)身体障害者日帰り介護事業82億9700万円→94億43
00万円)
 (イ)障害児通園事業26億8200万円→30億3400万円
 (4)重症心身障害児(者)通園事業25億9700万円→26億
8400万円
 (5)障害者ケアマネジメント体制支援事業1億4500万円→1
億4400万円
 2、住まいや働く場または活動の場の確保
 (1)地域生活援助事業(グループホーム)85億5400万円→
104億1400万円
 (2)福祉ホーム8億8500万円→11億7100万円(うち身
体障害者福祉ホーム1億600万円→1億1200万円)
 (3)通所授産施設456億6100万円→504億5100万円
(うち身体障害者通所授産施設51億5300万円→62億2800
万円)
 (4)小規模通所授産施設(身体・知的・精神)35億400万円
→53億800万円
 (5)小規模作業所に対する助成(身体・知的・精神)27億58
00万円→24億8100万円
 3、保健福祉施策と雇用就業施策の一体的推進
 (1)障害者就業・生活支援センター事業の拡大5億6700万円
→9億700万円
 (2)重度障害者在宅就労促進事業(バーチャル工房支援事業、仮
称)の創設(新規)1億円
 (3)施設外授産の活用による就職促進事業は、障害者自立支援・
社会参加総合推進事業(仮称)にメニュー化
 (4)職場適応援助者(ジョブコーチ)による就業支援事業の拡充
は職業安定局で要求
 ※社会福祉施設整備費等(新規にサテライト型障害者施設の整備及
び身体障害者療護施設等における居室の個室化の推進)は事項要求
 Ⅱ 支援費制度の着実な実施
 (1)支援費制度の着実な実施3212億6700万円→3597
億9100万円
 (ア)ホームヘルプサービスなどの居宅生活支援の推進515億8
800万円→601億8800万円
 (イ)更生施設、授産施設などの施設訓練等支援の推進2696億
7900万円→2996億300万円
 (2)支援費制度施行に係る事務の円滑化等の支援12億7300
万円→7億5800万円(新規事業の支給決定事務の適正化を図るた
めの巡回指導事業の実施を障害者自立支援・社会参加総合推進事業に
メニュー化)
 (3)支援費事業経営実態調査事業(新規)4000万円
 Ⅲ 障害者の社会参加の促進
 (1)障害者自立支援・社会参加総合推進事業(新規、仮称)55
億円(社会参加と自立支援の一体的な事業の推進、障害者IT総合推
進事業によるITを活用した情報バリアフリーの推進、身体障害者補
助犬の育成)
 (2)全国障害者スポーツ大会開催事業、障害者芸術・文化祭開催
事業9600万円(前年度と同額)
 (3)身体障害者福祉促進事業委託費5億7500万円→5億17
00万円(声の図書のCD化、インターネットを活用した情報提供の
導入)
 (4)高度情報通信福祉事業1億5000万円→1億4900万円
 Ⅳ その他の施策
 1、手当等の給付1193億4300万円→1205億5500万
円 (1)特別児童扶養手当847億2200万円→861億400
0万円
 (2)特別障害者手当等346億2100万円→344億1600
万円
※(1)(2)ともに物価スライドの特例措置に係る所要額は枠外で
別途要求
 2、補装具の給付等
 (1)補装具の給付184億7100万円→178億7200万円
 (2)日常生活用具給付等事業(視覚障害者用ポータブルレコーダ
ーを追加)21億4100万円(前年度と同額)
 3、高次脳機能障害支援モデル事業1億400万円→1億500万
円 4、小規模通所授産施設への移行促進事業(仮称)の創設(新規)
1億3500万円
 5、更生医療・育成医療の給付100億4200万円→111億6
800万円
 6、地域医療及び各種生活支援を含めた包括的地域生活支援プログ
ラム(ACT)モデル事業の実施(新規)7100万円
 7、厚生労働科学研究費(厚生科学課に一括計上)
 (1)障害関連研究経費(仮称)9億3900万円(平成16年度
より障害保健福祉総合研究経費と感覚器障害研究経費を統合)
 (2)身体機能解析・補助・代替機器開発研究経費1億円(平成1
6年度より医政局との共管、7億円のうち1億円を計上)
 8、国立更生援護施設の運営費・整備費107億8300万円→1
02億1300万円
(1)補助犬トレーナー育成研修事業等の実施800万円→1300
万円
 (2)高次脳機能障害支援モデル事業(再掲)2400万円→25
00万円
 【障害者雇用施策関係】
 Ⅰ 雇用と福祉の連携による重度障害者対策の推進
 1、障害者就業・生活支援センターの拡充による就業・生活の一体
的支援の推進4億4200万円→6億9500万円
 2、ITを活用した在宅就労支援事業者(バーチャル工房)への支
援(新規)1億3700万円
 Ⅱ 障害者の雇用機会の拡大
 1、障害者試行雇用事業の拡大4億8000万円→11億1千万円
 2、職場適応援助者(ジョブコーチ)による人的支援事業の拡充2
0億1700万円→20億1800万円
 3、求職者情報のインターネットによる提供(新規)8000万円
 4、障害者の再就職支援の推進4億2200万円→6億1500万
円 5、当事者団体と連携した障害者の職業自立等啓発事業の実施3
600万円→3200万円
 Ⅲ 多様かつ効果的な障害者職業能力開発の推進
 1、公共職業能力開発施設における障害者訓練の拡充45億910
0万円→55億1600万円
 2、多様なニーズに対応した委託訓練の実施(新規)12億880
0万円
 3、IT技術付与のための遠隔教育の推進(新規)3300万円
 4、障害者の職域拡大のための訓練カリキュラムの開発(新規)1
900万円

 2.障害者地域生活支援検討会発足 日盲連意見書 移動介護の改
善を 法整備の重要性確認
 支援費制度をめぐって障害者団体と厚生労働省との間で申し合わせ
となっていた「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」
がスタート、5月26日の第1回から、すでに7回の会合が重ねられ
てきた。
 同検討会は厚生労働省社会・援護局長の私的諮問機関で、委員は障
害者団体代表をはじめとする、学識経験者、行政担当者などで構成、
日本盲人会連合からは笹川吉彦会長がメンバーに加わっている。
 会合で日盲連は、視覚障害の特性が十分認識されないまま策定され
た支援費制度の欠陥について問題を提起、特に緊急を要する課題であ
る移動介護(ガイドヘルプ)については、速やかな改善を求める意見
書を提出した。
 また、厚生労働省からは支援費制度実態調査実施計画が示され、日
盲連としては障害種別の統計と各自治体平等にデータ収集するよう要
望することにしている。
 第6回検討会では欧米各国の実情が紹介され、基本となる関連法整
備の重要性を改めて確認、我が国でも障害者基本法の改正や障害者差
別禁止法の制定などを急ぐ必要が指摘されている。

 3.あん摩師等法19条改正 衆院への請願は保留 1月通常国会
めざす
 去る7月28日に閉会した第156通常国会に提出していた「あん
摩師等法第19条に鍼・灸を加え、はり師・きゅう師養成施設の新・
増設を規制する」衆議院議長宛の請願は自由民主党内での意見調整が
つかなかったことから保留となった。
 同請願については、日本盲人会連合(笹川吉彦会長)が組織を上げ
て取り組んだ他、国リハあはきの会などとも同一歩調を取った結果、
請願数257件、紹介議員216名と多くの議員の理解、協力が得ら
れたが、現有衆議院議員477名の過半数には達しておらず、今一歩
足らなかった。
 日盲連では、7月28日に理事会並びにあはき協議会委員会合同会
議を東京で開き、請願結果の分析と今後の取り組みについて協議した
結果、組織力が充分に発揮されておらず、請願方法についても不徹底
な点があったことを反省。より詳細な情勢分析を行うとともに、短期
が予測されるこの秋の臨時国会を避け、来年1月に開会予定の通常国
会に、再度衆議院議長宛の同請願運動を行うことを決めた。

 4.障害者基本法改正案 次期国会で継続審議
 与党3党は7月17日、障害者差別禁止規定を盛り込むことを柱と
する障害者基本法改正案を衆院に提出した。与党側は今国会成立を視
野に、委員会審議を省略し直ちに本会議で採決するよう野党側に打診
してきたが、同意を得られなかった。同改正案は次期国会で継続審議
される見通し。
 同改正案は障害者に対する不当な差別の禁止のほか(1)都道府県
にも障害者施策の基本計画策定を義務付ける(2)国や地方自治体に
障害者を適した職種で優先的に雇用するよう義務付ける、などを内容
としている。

 5.「代筆郵便投票」来夏から 重度身障者対象に
 重度身体障害者対象の郵便投票に代筆を認める「代理投票制度」を
新設する公選法改正法案が7月18日、参院本会議で可決、成立した。
政府は来夏に行われる参院選から適用できるようにする方針。約13
万人に投票の道が開かれる。
 対象は、身体障害者手帳や戦傷病者手帳を持ち、筆記が困難な有権
者。代筆者は市区町村選管への事前登録制とし、代筆者の不正には
「2年以下の禁固または30万円以下の罰金」を科す。
 このほか介護保険制度で「要介護5」と認定され、在宅介護を受け
ている有権者にも郵便投票を認める。この対象者は約12万人。

 6.補装具等の改善要望 活字読み取り装置指定など
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)の正副会長は8月28日、厚生労
働省の障害保健福祉部企画課社会参加推進室の金井博室長らと面接し、
視覚障害者対象の補装具・日常生活用具の改善について強く要望した。
日盲連では第56回全国盲人福祉大会における決議事項を元に5月2
7日に既に陳情書を提出しているが、改めて要望書をもとに協議した。
 要望の内容は(1)重度視覚障害者が最も苦慮している活字の読み
書きの問題を解消するためパーソナルコンピュータと活字文書読み取
り装置を補装具として指定する(2)白杖の折り畳み式とスライド式
についての制限を削除しすべての白杖を給付対象とする(3)電磁調
理器や体温計などの給付に際し、健常者が同居している場合の制限の
撤廃(4)日常生活用具品目の充実(5)給付の際の自己負担はあく
までも本人の所得とする(6)補装具日常生活用具の選定に当たって
は当事者の参加を原則とする、など。
 これに対し厚労省側から、(2)については要綱を改正し、来年度
からすべての白杖を対象とするようにしたい、(3)については要綱
中に「準ずる世帯」という項目があり、健常者が同居する世帯でも日
中1人になるようなケースには適用可能、(4)については来年度政
府予算に対する概算要求でプレクストークポータブルレコーダーを新
たに追加要求している、その他については要望の内容を充分検討した
い、との回答があった。

 7.高速・有料道路障害者割引ETCでも 12月から登録開始
 道路関係4公団などは、来年1月20日からETC(ノンストップ
自動料金収受システム)を利用した場合も高速道路や有料道路での障
害者割引を適用すると発表した。これまで障害者は、福祉事務所でも
らう割引証を料金所で渡すことで通常料金の半額の割引が受けられた。
1月20日からは、事前に福祉事務所でETCのカード番号などを登
録することで、ETC利用時でも同様の割引が2年更新で受けられる。
有人料金所の場合は身体障害者手帳や療育手帳を示すことで割引とな
る。福祉事務所への登録は12月1日からで、割引証は同日から廃止。
1月20日までは、有人料金所で身体障害者手帳などを示し割引を受
ける。

 8.全盲男性に医師免許 欠格条項撤廃で
 厚生労働省は8月7日、3月の医師国家試験に合格した全盲の男性
(27)に医師免許を交付したと発表した。2年前の法改正で目や耳
が不自由な人が医師免許を取得できない「欠格条項」が撤廃されてお
り、視覚障害者が医師免許を持つのは初めて。同省によると、この男
性は大学5年の時に病気で視力を失い、両手足にも障害が残った。一
時休学していたが復学し、臨床実習では友人の援助を受けてレントゲ
ン図の読みとりなどを行い、卒業した。本人の希望で氏名や住所は公
表しない。免許交付に当たっては、専門家4人と厚労省医事課職員が
面接を行い、全員一致で免許交付に問題はないと判断した。

 9.2003年版障害者白書
 政府は6月17日の閣議で、2003年版「障害者白書」を決定し
た。
 「障害者基本計画」(2003~2012年度)を定め、前半の5
年間で重点的に進めるべき施策として、今年度中に障害者に情報技術
(IT)機器を使いやすくするガイドラインを作成するなど障害者が
社会参加する際の障壁(バリア)を除去することや、就職支援など経
済的な自立を促すための基盤整備を挙げた。5年間では住宅、交通機
関などのバリアフリー化の数値目標やガイドラインの作成も掲げた。
 障害者白書は毎年12月に公表していたが、本年度から国民生活白
書など内閣府が刊行する暮らしと社会に関する5白書の公表時期を統
一することになり、半年早い公表となった。

 10. 第49回全国盲青年長崎大会 西村協議会長を再選 全国
から300人
 第49回全国盲青年研修大会が7月19日から3日間、長崎市のセ
ンチュリーホテルで開かれた(第19回九州盲青年研修大会も同時開
催)。日本盲人会連合、同青年協議会、九州盲人会連合会、同青年部
が主催、全国から約300人が参加した。
 1日目は常任委員会と大会運営委員会などが開かれ、2日目は社会
対策、日常生活一般、スポーツ対策の3つの分科会に別れ、地方提出
議題と共に、それぞれ「盲ろう者とのコミュニケーション手段」、
「平和学習」、「ボウリング」をテーマに討議を行った。続く全国代
表者会議では平成14年度事業報告、同決算、及び平成15年度事業
計画案、同予算案を執行部原案通り承認、任期満了に伴う役員改選で
は、西村秀樹現協議会長が再選された。
 最終日の21日は、前日の分科会と代表者会議の報告等に続き大会
式典が行われ、笹川吉彦日盲連会長他主催者代表などの挨拶に続き、
9項目の決議を満場一致で採択、閉幕した。来年度の第50回大会は
東京で開催の予定。決議された主な要望事項は次の通り。
 (1)鍼・灸をあん摩師等法第19条に加え、無資格類似行為者を
一掃(2)理学療法従事者の権益を守り、身分の安定を保障(3)支
援費制度において、適切な情報提供、自治体間の格差是正、適正な制
度運用、苦情・要望の受付け機関充実(4)全市町村で各障害別代表
者を加えた障害者施策推進協議会の早急な設置と、市町村格差のない
障害者計画策定(5)金融機関等での代筆申請を認める(6)障害基
礎年金引き上げと、所得制限大幅緩和(7)視覚障害者対応のパソコ
ンソフト・周辺機器を日常生活用具給付対象品目に加え、地方自治体
のIT講習会が受講しやすい環境を提供(8)視覚障害者が容易に操
作できる電子機器の開発改善(9)視覚障害者の移動安全性の向上の
ための設備充実と、公共交通機関職員の障害者に対する接し方指導。

 11. 第49回全国盲女性岩手大会 「共に生きる」テーマに意
見交換
 日本盲人会連合の第49回全国盲女性研修大会(日盲連、同女性協
議会、岩手県視覚障害者福祉協会、同女性部主催)が7月31日から
3日間、岩手県花巻市の花巻温泉ホテル千秋閣で開かれた。大会は全
国から予想を上回る500人以上の参加者があり、大きな盛り上がり
を見せた。
 1日目は全国委員会が開かれ、2日目の代表者会議では各ブロック
提出議案などを審議、続いて開かれた研修会では「共に生きる」をテ
ーマに各ブロック代表がレポートを発表、意見交換を行なった。3日
目は大会式典が開かれ、主催者を代表して笹川吉彦日盲連会長、名取
陸子女性協議会長が挨拶、地元岩手県視障協の小島伸公理事長らの歓
迎の挨拶に続いて行われた議事で9項目の決議を採択し閉幕した。来
年度の第50回大会は大阪府で開催の予定。決議された要望事項は次
の通り。
 (1)日常生活用具の給付や支援費の算定基準を、現行の家族総合
所得対象から、受給者本人の個人所得のみでの算定へ法改正(2)テ
レビの緊急放送、外国語を翻訳した字幕スーパー、文字放送等の音声
化(3)色を識別し音声表示をする器械を、日常生活用具品目に加え
る(4)障害者が生活の基盤としている障害基礎年金を、1級月額1
0万円以上、2級月額7万5000円以上に引き上げる(5)視覚障
害者が外出する際の移動の安全確保に、費用負担でも、手続きにおい
てもガイドヘルパーを利用しやすい条件を整える(6)IT時代に即
応し、必要な情報を自由に入手するために、視覚障害者に使い易い機
器の開発と適切な指導者の養成(7)居住している地域によって、福
祉の恩恵を受ける不平等さをなくすための打開策(8)視覚障害者が
交通機関を利用する際、段ばなの鮮明な色表示、車内放送の鮮明さ等
配慮(9)家庭電化製品など使い勝手のよいように、点字や音声表示。

 12.IBSA世界選手権 柔道アテネ出場枠7階級で獲得
 国際視覚障害者スポーツ協会(IBSA)主催の「第2回IBSA
世界選手権大会」が8月1日~12日、カナダのケベック市で開かれ
た。日本からは陸上競技、柔道、ゴールボールの3種目に29名の選
手が出場した。
 柔道は参加35か国、175人(男子131人、女子44人)。日
本は男子の73kg級を除く6階級と、女子48kg級でアテネパラ
リンピック出場枠を獲得した。
 ゴールボールは男子25か国・4ブロック、女子10か国・2ブロ
ックで競技を行い、日本男子は予選で敗退したが、女子は銅メダルを
手にし、アテネパラリンピック出場枠を獲得した。日本選手の主な成
績は次の通り。
 [陸上競技]
 女子:5000m4位・安部直美。 男子:100m4位・斉藤晃
司、やり投げ4位・大勢待茂男、三段跳び3位・今井裕二
 [柔道]
 個人戦:女子48kg級3位・赤塚正美、男子60kg級3位・広
瀬誠、同66kg級3位・平井孝明、藤本聰
 団体戦:1位ロシア、2位日本、3位スペイン
 [ゴールボール]
 男子:1位スペイン、2位アメリカ、3位カナダ 
 女子:1位フィンランド、2位ブラジル、3位日本

 13.東海地区夏期研究集会 講演と分科会討議など
 日本盲人会連合の東海地区連絡協議会平成15年度夏期研究集会が
7月13、14の両日、加盟5団体から120人余りが参加して名古
屋市港区の邦和セミナープラザで開かれた。
 13日の全体会議では笹川吉彦日盲連会長による「日盲連の動き」
などの講演が行われ、続いて福祉一般、女性部、青年部、体育部の4
分科会での討議の後、代表者会議が開かれた。14日の全体会議では、
前日の代表者会議、分科会の報告に続き、名古屋市健康福祉局障害福
祉部担当者の講演「名古屋市における支援費制度について」と質疑応
答などが行われた。次回は岐阜県で開催の予定。

 14.中国ブロック盲人福祉大会 鳥取に400人参加 県知事が
講演
 第52回日盲連中国ブロック盲人福祉大会が8月31日、9月1日
の両日、鳥取市の県民ふれあい会館他を会場に、約400人が参加し
て開かれた。初日は4つの分科会と全体会議などが行われ、日盲連の
笹川吉彦会長が中央情勢を報告。2日目の大会式典では、片山義博鳥
取県知事が「福祉先進県を目指して」を講演、18項目の決議を採択
し、閉幕した。
 決議された主な要望事項は(1)障害者の「完全参加と平等」実現
のため、新しい障害者プランに準じ、各県及び全市町村で障害者計画
を策定し、完全実施(2)支援費制度の見直しにあたり、自己負担額
の算定を本人所得のみ対象とし、ガイドヘルパー事業を充実させ、市
町村格差を生じないようにする(3)介護保険制度の等級判定基準に
視覚障害の項目を加える(4)歩道の整備、音響信号機の増設を図り、
公共施設への微弱電波を用いた音声システム整備等、誘導ブロックを
基本に立体的な誘導システム構築(5)歩行者の安全確保のため、自
転車の運転マナー普及・啓蒙を強化(6)ユニバーサルデザインの普
及徹底(7)公共施設のトイレ内の設備、操作方法を音声化(8)J
Rの切符の材質と大きさ統一、列車の手動ドア開閉時の安全性確保と
ともに、号車番号、座席番号を点字表示(9)表裏、上下を識別でき
るよう全ての官製はがきに切込みを入れる(10)国や地方公共団体
からの公的な文書を点字、SPコード化(11)テレビ放送の字幕音
声化(12)地域的な放送メディアからの過疎化解消のためインター
ネットラジオ放送の普及推進(13)病院、施設等で働く視覚障害鍼
灸マッサージ師の雇用安定(14)視覚障害者の新職業を開発する公
的な研究機関設置と、独自の職業訓練を通して新職業に繋げる(15)
あはき師法第19条に鍼灸を加え、視覚障害者自立のための唯一の職
域を確保(16)団体もしくは社会福祉協議会に歩行訓練士を常駐配
備(17)パソコン、音声化ソフトを日常生活用具に(18)金融機
関窓口での代筆を認め、視覚障害者が自力で操作可能なATMを増設。

 15.日盲連国際委員会設置 情報収集・発信一本化
 日本盲人会連合(笹川吉彦会長)の国際委員会が7月10日、東京
・高田馬場の都盲福祉センターで開かれた。この国際委員会は、一昨
年来、笹川会長が出席した一連の国際会議(「障害者の権利条約」採
択の国連総会、第6回DPI世界大会、ブラインドサミット、アジア
太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム、アジア太平洋経済社会委
員会)において、わが国の役割の重要性が強く求められ、これに対応
すべくわが国の国際窓口として設置されたものである。
 10日の委員会では、運営、体制、役割等が検討され、指田忠司氏
を窓口として、情報の収集・発信を一本化していくことになった。委
員として活動するメンバーは、視覚に障害をもちながら国内外で活躍
されている次の方々。
 委員長:竹下義樹氏(竹下法律事務所・弁護士)
 事務局長:指田忠司氏(日本障害者雇用促進協会職業総合センター
・研究員)
 委員:山口和彦氏(東京都視覚障害者生活支援センター・指導課長)
、中根雅文氏(株式会社イメージソース)

 16.スピーチオ対応の情報提供始まる 研修会9月も受け付け 
SPコード版週刊誌も
 日本盲人会連合は、平成15年4月から活字文書読上げ装置「スピ
ーチオ」が日常生活用具に指定されたのを受け、行政、公的団体、企
業などへ積極的に「SPコード」(スピーチオで読み上げさせるため
墨字文書に添付するコード)による情報提供を呼びかけている。
 八日市市視覚障害者福祉協会(川本喜代司会長)では会員15名の
うち11名がスピーチオの申請を行い市に情報提供を要望、市も積極
的に協力し「納税額の通知書」「国民健康保険使用額の通知書」「市
営住宅家賃の自動引き落とし額通知書」「ごみ収集日の通知」など生
活に関連する情報への「SPコード」添付が開始された。市立図書館
では希望者に「カラオケの歌詞カード」や「料理のレシピ」にSPコ
ードを付けて提供する。
 また、日盲連では7月から加盟団体に「スピーチオ・SPコード研
修会」の開催を呼びかけており、既に実施した函館市、宮崎県、千葉
市、川崎市の各視障協で大きな成果を上げている。この研修会は九月
以降も受付ける。申し込みは日盲連事務局(電話03―3200―3
439)の小林まで。
 さらに、日盲連では毎日新聞社の協力を得て、SPコードのみを印
刷した小冊子の形で提供する「SPコード版サンデー毎日」(週刊)
の発行を計画しており、発行日や価格など詳細が決まり次第、お知ら
せする予定。

 17.「機能訓練全国連」が発足 雇用拡大を目指して運動
 日盲連、日マ会、理教連、国リハあはきの会、福マ会(介護老人福
祉施設マッサージ師会)で構成する「視覚障害者を介護老人福祉施設
機能訓練指導員に・全国連絡会(略称・機能訓練全国連)」の発会式
が7月10日、東京・永田町の参議院議員会館で80名程が参加して
開かれ、経過報告、会則案、役員名簿案、当面の対厚生労働大臣陳情
書案が報告・提案され、それぞれ承認・可決された。
 決定された役員は、会長・笹川吉彦(日盲連会長)、副会長・時任
基清(日マ会会長)、事務局長・与那嶺岩夫(国リハあはきの会事務
局長)、運営委員・富安猛(理教連進路対策部長)で、その他各加盟
団体から運営委員を選出する。

 18. 携帯電話各社 身障者向け割引開始 ドコモなど最大50
%引き
 携帯電話サービス各社が相次ぎ身体障害者向けの料金割引サービス
を開始する。NTTドコモが9月からサービスを開始、KDDIのa
uと傘下のツーカーグループに加えJ―フォンもサービス導入を表明、
4社すべてが出そろう格好になる。
 NTTドコモは基本使用料に加え、iモードや留守番電話などの付
加価値機能の使用料を50%割り引く「ハーティ割引」を9月から開
始。問い合わせはドコモの携帯電話、PHSから局番なしの151
(無料)、又は一般電話の0120―800―000へ。
 auは基本使用料と通話料金が最大50%割引となる「スマイルハ
ート割引」を導入。基本使用料とauの携帯電話・一般の固定電話向
け通話料が50%割引、他社携帯電話・PHS向け通話料が20%割
引になる。11月1日から提供開始。問い合せはauお客さまセンタ
ー(0077―7―1111)へ。
 ツーカーグループ3社は新料金プラン「エール17(イチナナ)」
と「エール35(サンゴー)」の提供を11月1日から開始。問い合
わせは電話0077―789―151「ツーカーセルラー東京・お客
さまセンター」へ。
 J―フォンは、基本使用量、通話料、メール送受信料を最大50%
割引くサービス「プライオリティサポート」の申し込み受け付けを1
0月1日に開始。受付窓口はJ―フォンショップ(ボーダフォンショ
ップ)およびJ―フォン取扱店。

 19.日本点字図書館創設者 本間一夫氏逝く
 社会福祉法人日本点字図書館前会長の本間一夫氏が8月1日、午後
1時30分、心不全のため東京・高田馬場の自宅で逝去された。87
歳。葬儀は近親者のみの密葬で行われたが、日本点字図書館主催によ
る「お別れの会」が9月9日、東京・霞が関の全社協・灘尾ホールで
開かれ、1千人を超える関係者が出席した。
 本間氏は、5歳で失明。1940年に私財を投じて日本盲人図書館
(現日本点字図書館)を創設、初代館長に就任し、78年から理事長、
2001年から会長として、同図書館を充実・発展させ、視覚障害者
の文化生活向上に尽した。著書に「指と耳で読む」(岩波書店)など
がある。

 20.セブンデイズ日盲連の再放送日一部変更
 日盲連の最新情報をお届けしているJBS日本福祉放送のラジオ番
組「セブンデイズ日盲連」の再放送曜日が7月7日から一部変更にな
った。
 本放送の曜日と時間は今までと同じで、毎週月曜日の朝6時半~7
時。再放送は月曜日が昼12時半から。水曜日・金曜日・日曜日が朝
6時半と昼12時半の2回。

 21.短信
 *厚生労働省の8月29日付人事異動で社会・援護局長に小島比登
志氏、障害保健福祉部長に塩田幸雄氏、同企画課長に村木厚子氏、医
政局医事課長に上田博三氏がそれぞれ就任した。
 *社団法人広島市視力障害者福祉協会(川本正行会長)は、団体名
を社団法人広島市視覚障害者福祉協会と変更した。

 22.訃報
 沖縄県視覚障害者福祉協会会長の島袋和清氏が6月19日、午後6
時55分ごろ、老衰のため沖縄県那覇市の自宅で逝去された。89歳。
告別式は21日、那覇市の安国寺でしめやかに営まれた。喪主は妻の
ササエさん。自宅は〒903―0815那覇市首里金城4―31。