多様な見え方の人のためのシンポジウム開かれる
日視連の片岡美佐子副会長の司会の下、淑徳大学総合福祉学部教育福祉学科の青木隆一教授をコーディネーターとして、千視協の川崎弘常務理事及び本多裕二氏、奈良県視覚障害者福祉協会の秋國志尚副会長、カラーユニバーサルデザイン機構の平原奏任氏、日視連・弱視部会の岸本将志部会長及び小池恭子副部会長の6名のシンポジストが発言しディスカッションを行いました。
まず、シンポジストそれぞれが自らの見え方等の自己紹介、困りごとや工夫していること、多様な見え方の人が幸せな生活が送れるように日視連に望むこと等を発言しました。
次いで、青木教授のコーディネートにより様々な角度からディスカッションが行われました。その内容は多岐にわたりますが、主なポイントは次のとおりです。
1.視力・視野・色覚・眼球使用困難症等の状況により見え方は多様。しかし、それを周囲に理解してもらうことが難しく不便や不安をかかえる。まずは多様な見え方があることを広く周知するためアピールすべき。周知は障害当事者同士がつながるきっかけにもなる。
2.自らの見え方を的確に認識することが大事。そのためには早期の適切な医療的診断を受けられるようにする。そして、それを踏まえた日常生活・学校生活・職業生活の質の維持につなげられるよう支援体制を整える。
3.見え方に関わる不便や不安をかかえたままの期間が長期に渡ることがある。そうならないようにするには、気持ちに寄り添った相談や同じ困難をかかえる当事者との交流が有効。気持ちに寄り添った相談として歩行訓練士との出会いが有効との声があった。
4.見え方によって障害者手帳を取得できず、そのため福祉支援策を利用できなかったり、手帳を取っても障害等級が軽度のため福祉支援策を利用できない。障害者手帳制度の見直しが必要。
5.買い物・飲食店・各種券売機等でタッチパネルが多用されており操作が難しい。社会的な環境のバリアフリー化が必要。
日視連に望むこととしては、相談体制の強化、多様な見え方に関わる情報発信の強化、障害者手帳や障害福祉支援策の見直しに関する提言、早期の色覚検査と多様な見え方に向き合う意識を学校教育に求めていく働きかけ、自らの権利養護や周囲への働きかけの仕方に関する助言・啓発等が上げられました。
こうしたディスカッションを受けて、日視連の竹下義樹会長は、総括として、日本盲人会連合から日視連に改称した意義に触れつつ、相談体制の強化を含めロービジョンの課題への取り組みを進めており今後も強化していくこと、また、合理的配慮の提供は個々人の困難への支援であって、多様な見え方への支援の手がかりになるものであることから、今後も広く実施されるよう求めていくこと等を述べました。
最後に、日視連・弱視部会の岸本部会長がディスカッションで上げられた現状と課題に言及しながら、主体的に考えて政策を提案し、共生社会の実現をめざすとの宣言を行って閉会となりました。